コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: とったま!! ( No.5 )
- 日時: 2014/07/15 23:33
- 名前: かおる ◆D7srdkd1KM (ID: YC5nxfFp)
【#4 合格発表】
そして、時は過ぎた。
高校の合格発表の日。
「月見山、受かってるといいな。」
「うん……。」
宏太はあれから色々悩んだ末、バレーの強豪校、月見山に挑んだのだ。
しかし月見山から推薦が来なかった訳を知った。試験の問題が全部意味不明だったからだ。
もうどうにでもなれ、と殆どが当てずっぽで答えを書いたようなものだった。
勿論、受かっている気はしない。
番号が綴られたボードを見る勇気もない。
「り、流新……僕の代わりに番号見て…!126だから!」
「あー、はいはい。」
流新はボードを見上げる。126、126と呟きながら、同じ番号を探した
その時、
「あった。」
白い息と共に流新の口から漏れた言葉。
宏太は思わず顔をあげた。
番号、124の下に確かに126と書かれていた。
何度確かめても、126としか書いていない。
「うううううう受かってる!?」
そう叫び、流新の方を見ると、あの時のような黒い何かが隠れているような笑顔では無い、つまり正真正銘の笑顔で此方を見た。
「合格、おめでとう!」
二人は抱き合い、喜びを分かち合った。
「あれ、流新何処受けたっけ。」
帰り道、宏太はそんな話題を持ち掛けてみた。
流新が宏太とは違う高校に行く、というのは聞いていたが、何処に行くとは聞いていなかったからだ。
「香岸坂。」
「受かった?」
「当たり前だ。」
無愛想に言った流新の言葉に宏太は思わず足を止めた。
少し離れてから流新も足を止め、振り返った。
「バラバラ……だね。」
宏太が小さく呟くと、流新は「そうだな」とだけ返し、足を進めた。
五歩くらい歩いた所で、流新が再度振り向いた。
そして大きく息を吸い、
「俺達何時迄も仲良しだ!!!」
と、両手をメガホンにして叫んだ。
宏太もそれを聞き、負けてられないと自分も両手をメガホンにし、
「当たり前だよ!」
と、叫んだ。
それからしばらく叫び合う二人の姿を、夕日が赤々と映していた。