PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力少女 ( No.109 )
- 日時: 2016/03/28 21:23
- 名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)
「彼?」
レオが首を傾げる、しかし、そのあと何かを思い出したように目を見開いた。
その場の空気が変わり、緊張感があたりを絞めていく。
「はい。変わりますね」
「ああ、よろしく」
甘那はいつの間にか愁哉と口喧嘩をしているユリを一回見てから、垣根から手渡された携帯電話を受け取り、そのまま耳の近くにまでもっていく。
「……もしもし」
甘那が携帯に向かってそう告げると、無機質なあまり抑揚のない冷たい男の声が帰って来た。
『もしもし、俺です。甘那さん……ですよね」
「そうだよ。柳、調子はどう?」
『まあまあってところですね。そろそろお役目御免の時期になってきますし、それに……』
そう、電話の相手は柳、黒田 柳という。甘那たちの組織のスパイ、相手の情報を仕入れているものだった。
十代後半、長身で、黒い胸まである長い髪に赤い眼、結構危ない能力を持っているので、たとえ危険な状況に陥ったとしても、大事には至らないであろうという判断と、本人の意思でスパイ役を任させている人物からだった。
「それに?」
『敵のボスの娘に結構気に入られて毎日興味のない話を聞かされてうんざりしてます』
「…………。うん、ドンマイ」
『そんなこと言わないでください。結構疲れるんですよ。じゃあ本題でね——』
**
しばらくして、甘那が携帯を自分の耳から離した。そのころにはユリは玲たちのところに戻って、食事にありつけていたので、甘那は気を使って少し遠いところで電話をしていた。
しかし、周りの雰囲気からさっしたのであろう、食器を自分の膝の上に置く。
そして、甘那はとても緊迫した表情で、声を張り上げて言い放った。
「全員、いつでも戦闘に行けるように! 各自準備を!!」
PR