コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力少女 ( No.111 )
- 日時: 2016/04/01 16:42
- 名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)
ロイが邦真の言葉に反応した。
「へーえ、家族かー。まあ家にいたんだし当然か」
聞こえはよいが、ロイの顔はとても皮肉めいていた。どうやら家族というもので何かがあったらしい。それを見て、邦真は言葉を付け足す。
「あ、でも義理らしいですよ。居候でいるらしいです」
その言葉に七草が感心した。
「え、あの子結構幼い感じだったよ? なのに居候なんだ。へー」
だが、これも何か裏がある顔をしていた。どうやらこのアジトは闇が深いらしい。
そのあと、絵梨が話を戻すように考え始めた。
「でも、そのこのことなんか見覚えがあったのよね。誰なんだろう」
「そうなんですか……。あ、資料とかあった? その命令の時に」
それにつられ、闇も考えて思いついたことを声に出した。
「あー。ありましたよ。えっと、ある? ロイ」
「ああ、あるよ。今持ってくるから待ってろ」
**
「おまたー」
何分か後にロイが何枚か紙が入ったクリアファイルを持ってきた。
「それ古くね?」
「いいんだよ。で、これです」
邦真に指摘されたのを適当にはぐらかしながら、ロイは一同が座っているところの真ん中あたりに位置する机の上に写真がついた紙を一番上にして置いた。
そして一同は顔を見合わせた。
「え? これって……」
「あの子って何年も寝てなかったっけ?」
「逃げたの?」
「……でも髪の色が違う」
「だよね」
「そういえば、あの時って生存者が一人いたんですよね? 確か小さい女の子とその家族」
闇が思い出したように言った。
「あ、まさか」
「その子か」
「……マジかよ。それなのに今回殺されちゃったとか」
「ドンマイ。しかいいようないね」
ロイが苦笑すると、七草が心底楽しそうに笑った。
「あー。でももしかしたら生きてるかもよ。あの能力者の双子の妹なんでしょ?」
「あり得るかもね」
そう、能力者の血筋には能力者が生まれやすい。ましてやあの少女の双子だ。何かないほうがおかしいと言っても過言ではないだろう。
「そしたら、私も会えるかもしれないのね。面白そう」
「何が面白いんだよ」
「いや、多分これって一卵性の双子ってやつでしょ? すっごくにてるし。だったら、その子にも能力があるのかもしれないなーって」
「え、でも確かその子からは能力の反応がなかったって、灯村城(ひむらぎ)さんが言ってたよ?」
「あら、残念です……」
「なあ」
「ん?」
「今暴れたらなんか、面白そうじゃね?」
「「「「「あ」」」」」
「よし、じゃあ俺行ってくる—! ついでに能力者狩ってくるー!」
「あ、待って私も行く」
「俺も!!」
そのあと、ほどんどのものは血気盛んに一目散に外に出て行ったのだった。
部屋に残っていたのは、
「…・・・お前は行かなくていいのか?」
いまだにだるそうにしている柳と、
「……私はそこまで興味は無いので。というか、私の能力はそこまで戦闘向きではありませんし、不安定ですからね。黒田さんは?」
少し挙動不審になっている麻央だけだった。
「俺は、気が向かなかっただけだ」
どうやらどちらも穏健派なようだ。いや、穏健派なのは麻央だけか。
「……そうですか。にしても、この子、咲乃ユリさんでしたっけ? 本当に似てますよね。あの4年も眠り続けている女の人——咲乃リナさんに」
「……そうだな。あ、ちょっと俺これから急用あるんだった」
「それは、……解りました。闇ちゃんたちが帰ってきたら、柳さんは帰ったと言っておきます」
「ありがとう」
そうして、柳は外に出て携帯電話を取り出したのだった。