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Re: 能力少女 ( No.112 )
日時: 2016/04/01 17:06
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

「——もしもし、垣根さんですか」

 柳が無機質な電子機器を耳に当てながら呟いた。
 すると、無駄に明るい声が流れてきた。

『お! その言葉が刺さるような声は黒田君かな!?』

「はい。黒田です。甘那さんに代わってはいただけませんか?」

 しかし、それは無視して柳は本題に入ろうとする。

『相変わらずつれないねー。待ってて、代わる』

「はい、ありがとうございます」


 そのあとはさっきの通りだ。そして、本題だ。


**

「そして、本題です。咲乃ユリちゃんという少女に関してですが……」

『ん? ユリちゃんがどうかした?』

 恐る恐る柳は切り出す。

「容態はどうなっていますか」

『その様子だと、そっちの奴なのね。ユリちゃんを殺ろうとしたのは』

 ドスのかかった声が耳に響く。どうやらとてもご乱心らしい。

「はい。存在を消すことができる能力を持つ城内七草と姿を変えることができる能力を持っている南会ロイという人物がやった模様です」

『そう、ありがとう。ユリちゃんは約3日間生死の境をさまよってたけれど、大丈夫よ。そして——』

「そして?」

『ユリちゃんは能力者だった』

「やっぱり」

『え? やっぱり?』

「ユリという子は双子の姉がいるとか言ってませんでした?」

 それを効いた甘那の声はとても焦っているように聞こえた。

『え!? なんで知ってるの!? ……まさか』

「ええ、そのまさかです。咲乃リナはこのアジトにいます。と言っても4年も目を開けていないようですが」

『ありがとう。あ、そうだ』

「なんですか」

『そろそろこっちに戻ってきていいわよ。そうね、どうせあんたたちも今週末に遊園地に行くんでしょ? その時にこっちに戻ってきなさい』

「やっぱり、そうなのですか」

『ええ、北条焔。あの子に接触するのはこちらも一緒よ』

「解りました。準備します。そして、あ奴らがこれから暴れまわすらしいので、それなりの準備をしといたほうがいいかと」

『ありがとう。それじゃあ』

「はい」

 そうして、柳は電話を切った。