コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力少女 ( No.117 )
- 日時: 2016/04/16 13:52
- 名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)
「あ、氷菓さん。お久しぶりですね」
「あ、甘那ちゃんだ。おひさしぶりー。私の弟なんかやらかしてる?」
話しかけてきた甘那に対してとても親しげに氷菓は受け答える。その反応にユリは少し驚いた。どうやら氷菓は玲がこの組織に入っていることは知っているようだ。
考えてみれば知っていなかったらここに襲撃もできないだろう。
「なんでやらかした前提で話してるの!?」
「だまらっしゃい」
氷菓が玲に冷たい視線を送る。どうやらこの姉弟は力関係ができているようだった。
「はい……」
その証拠にそのあと玲は言うとおりに黙った。まるで子犬だ。てな図化されている。しかしユリはその光景には慣れているので、無反応だった。
代わりに甘那が玲に溜息交じりに言葉をかける。
「玲もうちょっとは頑張ろうよ。それと玲は今のところ何もやらかしてませんよ。その玉にとてもよく働いていてくれて、この組織にはなくてはならない存在になっています」
「そっか。ならよかった。そして、なぜここにユリちゃんがいるのかを説明して」
「あ、やっぱりそこ気になりますか」
「ええ。とってもきになる」
甘那は苦笑を浮かべながらユリを見る。しかし、ユリの顔の中にどうしたいのかと言った思いは読み取ることができるものは何もなかった。
「ユリちゃんは鉄壁だなあ。玲とは違って感情が読みにくいよ」
その言葉でユリの顔に少しだけ花が咲く。嬉しかったからではない。愛想笑いというやつだ。
「そうでもしなくちゃ生きていける気がしなかったので……。あ、話していいですよ。それとも私が方が話した方が」
「ううん、いいよ。私たちのことに巻き込んじゃっただけだからさ、私が話す」
「…………。そうですか。ありがとうございます」
***
そのあと、甘那は氷菓に今までの事を少し濁したりしながら話した。どうやらユリに話さなかったのは機密にしなくてはいけない部分があったかららしい。
それに気づいたユリはすっきりした表情になった。やはり甘那が自分のことについて話すのは抵抗があったようだ。
甘那が話し終わった後、氷菓は自分の頭を撫でるようにかきながらこういった。
「そう、解った。これは私が足を突っ込んじゃいけないものだ。玲、私はまたすぐあっちに行かなきゃいけないからここから離れるけれど、お前は男だ。だから、絶対にお姫様はお守りしなさいよ」
その言葉に玲はとても穏やかな表情でユリを見てから何かを決意したように氷菓のほうに顔を向けた。
「言われなくても解ってる」
その行動を見て氷菓は微笑む。そして、出口の方に向かおうとする。
「そう、ならよかった。じゃあ」
「おう、またいつでも帰ってきていいから」
「うん、ありがとう。ユリちゃんまたね! こんど帰って来たときは4人で遊びに行こう!」
「!! はい!」
そうして氷菓はアジトから去っていった。