コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力少女 ( No.121 )
- 日時: 2016/05/27 22:42
- 名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)
「あ、ごっめーん。頭が滑ったー」
「え、ユリ? お前、今何し……、あ、これダメだ。ご乱心だ」
玲はユリがしたことに目を疑い、咎めようとしたが、諦めることにした。なぜならばとっても笑顔なのだ。ユリは。
ユリが気持ち悪いほどの綺麗な笑みを浮かべている時は、とてもではないほど怒っている時だけだ。これはいきなりユリの頭から頭突きが発生したことも納得できた。
「え? 私がなんだって? 能力を使って人間を弄ぶ悪魔? なにそれ、ひっどいなー。私そんなことしたことないのにー。しかもお前自ら望んでやったことに後悔しちゃっているとかもうおかしくておかしくて。笑うこともできやしねえよ。垣根さん、すみません。能力使っちゃいました」
いきなり真顔になったかと思ったら、ユリは垣根に頭を下げた。
それに垣根は目を点にさせる。
「え? いつ?」
「頭突きをしたときに。そんなに記憶を戻してほしかったら戻してやるよ的なテンションで。焔さんに昔の自分が使った能力を解除させました。使った時はあれです。リナの話で出てきたでしょう? リナが私の中に入った時の話。結構ザックリでしたけれど。あれはしょうがないのですよ、私が記憶にふたをしたんですもん、北条焔に関する記憶全部に。北条焔に関するものすべて。彼女が望んだんです。自分だけが助かるために、あの時能力者だった人は全部狩られましたもんね、灯村城さん?」
ユリは敵意たっぷりに焔と乱舞を見る。視線を向けられた乱舞は懐かしそうに、楽しそうに笑い出した。
「おお! 懐かしいね! あの時は本当収穫が大きかった。君の両親も確か殺したんだっけ、そこで! あの悲痛な顔は綺麗だったな」
「ああ、残念、あの人達なら生きてますよー。楽しそうに幸せそうに生きておられます」
「は?」
灯村城は笑みを消す。が、ユリはそれには動じなかった。どうでもいいことだった。
「息があったんですよ、だから完全には死んでいなかった。なので……“私が怪我を治して”、一命をとりとめましたよ。バカですよね、あなた。ろくに死人の状況を確認しないで去って行くとか。まあ、私の両親以外はみんなみんな天国に召されていましたが、それでも私の両親は今は海外で楽しく暮らしていますよ、それに……」
「ヘル・ブラスト!」
そんなとき、ある一筋の黒い光が遊園地に差し込んできた。一気にあたりは暗くなる。そして、その地面には倒れているユリ——はいなかった。
「ねえ、ねえ、聞いたユリさん、あのひと技名を叫んで黒い雷を出しましたよ」
「ええ、玲さん聞きましたとも。それにしても技名を叫ぶとか、どこの戦闘漫画なんでしょうかね」
その代わり、笑いを堪え、とてもうざい顔で黒い雷を落した黒咲闇を見ている二人が佇んでいた。
「——な!? なぜかわされた!? というかその言動止めろ! うざい、腹立つ!」
しかし、闇に対する中傷はやまない。それどころか、勢いを増していく。
「にしても玲さん、あの子見た感じだと自分が偉いとかそんな感じの雰囲気を醸し出していますよ。あ、もしかして親の成り上がりとか?」
「ああ、そんな感じでしょうねえ。親が偉いから自分も偉いとか勘違いしちゃっている痛い子」
「こら、玲さん。本人の目の前ですよ、そんなこと言ってはいけません」
「でも、面白くて……ぶふぉ!」
「お、お前らあああああああああああああああああああああ!!」
闇は怒り狂う。どうやら気に障るところがあったようだ。それでも玲とユリは余裕綽々で笑っている。
そんな二人の行動を見て、誠仁は微笑む。
「玲君とユリちゃんは元気だねえ」
「おお、さすが俺が見定めた奴だな! 余裕綽々過ぎる!」
「……風馬いつ見定めたの、ユリちゃんには言葉で負けただけなのに」
「時也、お前それ言うなよ!」
「いつもの仕返しだ」
そんな自分たちの舐められっぷりに、七草は溜息を出す。
「……どいつもこいつも、うっとうしいね、ロイ」
「だな、俺らで何か仕掛けるか? 拳銃とか持ってきてる?」
「ああ、持ってる。じゃあ、俺が存在消すから、それで好き放題撃って」
「あ、私も交じっていい?」
決行しようとしたときに、絵梨が話題に入ってきた。それにぶっきらぼうに七草が返事を返す。
「いいですよ、絵梨さんは単体でも強いので好き勝手やってください」
「やった」
そうして、しびれを切らした物が対戦姿勢に入って行き、銃声が一面に響き渡った。