コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力少女 ( No.123 )
- 日時: 2016/07/23 20:34
- 名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)
「うわっ」
いきなりの銃弾に玲は体をこわばらせる。一瞬のうちに自分の身体に近づいてくる鉛の弾はそんなことに構ってくれはしない。とっさの判断でユリは玲や垣根の周りに透明な膜を張った。それにあたった弾たちはすべて下に落ちていく。
その様子をいて一瞬安どの息を漏らした時也が叫ぶ。
「風馬!」
「ああ! 分かってるぞ!」
そのあと、その鉛の弾が出ている武器たちは身は等しく壊れた。風馬がその武器の戦闘が触れるところのみの空気の密度を濃くしたことで壊れたのだ。
「なっ」
武器が壊されたロイは顔を歪める。ユリも驚いた。けれどそれはどちらも一瞬。また新しい武器を取り出したロイや他の者たちはまた一斉に射撃を始めた。
そして——。
「ヘル・ブラスト!」
甲高いく力強い叫びがユリたちの耳に届く。すると当たりの電気はすべて途絶え、あの明るい雰囲気は闇の中に消えて行った。
まだユリの能力も持って壊れてなく、夕方頃だからいいものの、あと少し時間がたてば不利になりかねない。
ユリは気を静め、玲を見て、それから垣根たちを見た。玲や風馬も同じように垣根を見る。そして、全ての味方の組織のメンバーの視線が集まったことを感じた垣根は垣根は目を見開き、大声で玲たちに命令を下した。
「いいか、やられたからにはやり返そう! けれど殺してはだめだ! めんどくさいことになる! 懲らしめる程度で! というわけで、やり方は各々に任せる。くれぐれも死なせない程度にね!あ、ユリちゃんはこっちに来て避難してねー」
「あ、はい」
突然の話題変更で戸惑いながらもユリは返事を返す。それを確認した垣根は右手を前に出し、叫んだ。
「では! 反撃開始!」
ユリはその言葉と共に自分らを覆わせていた膜を解除させ、三人は一斉に了承を意味する言葉を叫び、一斉に攻撃を始めた。まず玲が竜巻を巻き起こし場を少し混乱させる。そして風馬が場の一体の空気を濃くし、身体の自由を奪うそして、時也がしめとばかりに強化した体の部分を相手に向けて放つ。
「うわああ。むちゃくちゃだあ」
ユリはその攻撃の仕方を見てそう呟いていた。それに垣根が苦笑いをしながら言葉を返す。
「それがここのやり方だからな!」
「…………取りあえず甘那さんの傷を治しましょうか」
血で血を洗う争いの彼方、ユリは溜息を吐きながらそう呟く。もうどうにでもなれというような表情をしていた。
「え? できるの?」
「できますよ、ほら」
そうしてユリはしゃがみ込んで甘那に触れた。すると甘那のあの見るだけで痛々しい傷は無くなっていった。
「ユリちゃん」
「はい?」
すると垣根はぐっと親指を立て、嬉しそうに言った。
「何でもありだね!」
「あ、ありがとうございます?」
ユリは首を傾げながらそう礼を言った。よくわからないからか、少し疑問形になっている。そしてその礼のあと、ユリは言葉を続けた。
「それと垣根さん、なんか油断してますね?」
「……? それはどういう意味だい?」
今度は垣根が首を傾げた。それを見てユリはふふっと笑う。
「言葉通りの、そのまんまの意味です」
「うーん、それは例えばこれから5秒後くらい後に僕たちが狙撃されることを意味しているのかな?」
「あ、分かっているのですか。じゃあ話が早い」
ユリは立ち上がり、垣根を見下ろす。
垣根はそんなユリを警戒もせずに見ながら楽しそうに首を縦に振った。それを見た彼女は少し悲しそうに力強く頷いてきた彼に言い放った。
「これから私はあなたたちの悪でも味方でもなくなりますのでよろしくお願いしますね」