コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 能力少女 ( No.126 )
日時: 2016/12/05 20:30
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

 垣根に別れを告げたリナはあるところに向けて走っていた。そこは先ほどユリ達を狙って発砲された銃の出発地点でもあった。
 なぜそんなところに行くのか、そんなのは決まっている。その、銃を発砲したものに用があるからだ。
 リナの口元は笑っていた。
 これは姉であるユリも同じの癖である。怒るとなぜか笑ってしまう癖。とてもおかしいがもう治らないのでリナはそんなに気にしていない。むしろ、相手の気を散らせるためにはとてもいい手段でもあるから、この癖があってよかったとさえ思えてしまう。
 そう、目の前にいる人物は不快そうな顔をしているのだ。
「なあ、なんで君はそんなにも楽しそうな顔をしているんだい? そして、なぜ、君がここにいるんだい? 君が君ならば、俺の後ろにいる女の子はいったい誰なんだい? 君の分身か、君の本体か、はたまた全くの別人か」
 その言葉に、リナはとても不愉快そうにはんっと息を吐く。
「そんなの、私が聞きたいぐらいだよ。一体全体その黒髪の女の子の中には誰が入っているのですかね?」
「はははっ。この中に入っているもの? それはだなね——誰も入っていないよ。中身は空っぽ、ただの生きているのか死んでいるのか訳が分からないただの入れ物だ。俺はなぜ、そうなっているのか前々から不思議で不思議でしょうがなかった。だけど! 今日、今! やっとわかったよ、元々、俺がこの体を奪った時点で君はその中にいなかったのだね」
「そうだよ、リナはリナの中になんていない。私は、ここにいた」
 ユリの形をしたリナが笑う。黒く染まった髪に、赤く染まった目の少女がにたあと笑う。それはとても不気味で、異様な雰囲気を醸し出していた。