コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力少女 ( No.127 )
- 日時: 2016/12/22 20:39
- 名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)
「そうか、だから君の能力をこのガラクタは少ししか使えなかったのだね」
リナはそんな灯村城の言葉にピクリと体を反応させ、さらに口の口角が上がった。そうなったのには二つの理由があった。
一つは自分の体のことをガラクタと言われたことが気に入らなかったから。
もう一つは自分がいなくなった身体でも、能力が使えたということに驚いたからだ。
しかし、リナはどりらかというと、最初に述べたほうのことが気がかりだったようで、リナの体には怒りという感情のほうが多く浮かび上がってきてしまっていた。
「……っていうなら、私の体、返してくれない?」
口角が上がったままの顔から、声こそは小さいが、聞いたものはみな身震いをしてしまいそうなほど、どす黒い声があふれ出した。
以前彼女も自ら言っていたが、彼女はとんでもないほどの短気だったりする。なので今回は良く持ちこたえたほうだが、彼女の怒りは爆発寸前になっていた。
「ああ? 今なんて言った? 声が小さすぎて聞こえなかったなけれど」
「ええ、それはごめんなさいね。では、もう一度言います。私の体をガラクタっていうのならば、その体を返せよ。……人殺し」
ユリの中にいた時、一度も忘れたことはなかった。あの時に起こった出来事。白衣の男が自分たちの目の前でやってきたこと。リナは、ひと時も忘れることなどできなかった。それはもちろんユリだって同じだ。あの時狂わされた人生を彼女たちは忘れることなどできるはずもなかった。
ユリこそ、不死身能力がなかったら今頃この肉体は冷たい墓の下に眠っていたのだ。
もちろん、母も、父も。
だから、この人物に対する憎しみは尋常ではない。自分以外家族全員を殺されかけた。とても、とても憎い相手なのだ。
そんなことを知ってか知らずか、目の前の男はへらへらと今の状況を楽しんでいるかのように笑っている。
楽しそうにしている。それを見て、リナの強い憎しみは力を増して、彼を殺してしまいたいと軽く思えてしまうほどになっている。
けれど、彼と同じ舞台には立ちたくはないリナはしっひしにその感情を押さえつける。
そして思うのだ。この男を殺してしまうのは、勿体ないと。やるのならば生きたまま、苦しみを味わってもらわなければと。
「うん、確かにこいつはガラクタだけれど、嫌だね。なぜなら、もうこれはすでに俺の手中にある。言い換えれば、これは僕の操り人形なんだ。それもコピー能力を持った操り人形。これほどいいものはないと思わないかい? 楽しくて楽しくて楽しくてしょうがないと思わないかい? これでいくら遊べるかはやってみないとわからないが、それでも手放すにはいかない俺のおもちゃだよ」
また、ピクっと体を反応させるリナ。
こいつは何もわかっていない。自分の能力に酔いしれている。自分の戦力に酔いしれている。
「おもちゃ……? おもちゃねえ……。あはは、あはははははははははっはあはははっはあはあああはっはっは!」
「なんだなんだ。どこがおもしろかったんだい? 俺に教えてほしいな」
狂ったように笑い始めたリナに楽しそうに灯村城が問いただす。それに彼女は全力で体が息切れするまで笑った後に真顔になり、言った。
「やっぱお前、殺す」