コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力少女 ( No.6 )
- 日時: 2015/10/16 00:04
- 名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)
「ハアッ・・・・・・ハア・・・・・・」
あー疲れた! 久しぶりだ・・・・・・こんなに走ったのは。
玲は、大丈夫なのかな? 無事なのかな? うーん。
でも、後であの訳のわからない事の正体みたいな事を
教えてくれるって言ってたし、そういえるって事は大丈夫なんだ
ろうな。というか無事じゃなかったら私の中であの事は永遠に
わからない事になっちゃうから無事じゃなきゃ困る。
「あーのど渇いた水水!! そして暇! する事は・・・・・・ない!
・・・・・・菓子でも作るか」
結局其処に落ち着いちゃうんだね私は。もう、どうしてなんだろ?
プルルルル
あ、電話だ・・・・・・。
ガチャ
めんどくさそうにユリは受話器を取った。
「はい。もしもし・・・・・・
*****************************
「もうこんな時間か・・・・・・あいつ遅いなー! 私が家に帰ってから
もう3時間たってるんだけど!? 菓子作り終わっちゃってるんだけど!」
え? 何? 玲のやつ嘘つきやがった? そうなのかな?
そうだったら・・・・・・
キィーガチャ
そんなことをユリが考えていると扉の開く音が聞こえた。
「ただいまー」
あ、噂をすればだった。そして確定。
足早に玄関に行ってユリは笑顔で拳を作りながら言う。
「おっ帰ってきた。お帰りー。遅かったねー。あと少し遅かったら
殴りに行こうかと思ってたんだよ」
「え!? そうなの!? じゃあよかった今帰ってこれて!
ちょっと用事が出来ちゃって遅くなっちゃたんだよ」
「? ふーん。あっそうそう、クッキー焼いたんだよ。ほら」
玲の反応になんとなく不思議な違和感を抱きながらユリは
さっき焼き終わったクッキー楽しそうにを玲に見せる。
「おーうまく焼けてるじゃん」
そういう玲はとてもうれしそうだ。どうやらユリの手作りというところに
テンションが上がっているらしい。
その反応を見てうれしそうにユリはリビングにある机に指さす。とてもいい笑顔で。
「そ? ありがと。あっ食べたいならあそこで勝手に食べ始めてる
から来て? てか、来い。今日のこと、聞きたいことたくさんあるから」
「え? あ・・・・・・うん。わかった」
すると玲は少し首を傾げたように言った。まるで「え? 今日のことって何?
何のこと? 俺そんな事知らないよ」といいたげな反応だった。
「・・・・・・・・・・・・? 玲・・・・・・?」
それを見たユリは不安そうに眉を八の字にし、玲の顔を覗き込むようにしながら目をじっと見てきた。
すると玲はそのユリの行動に多少困り、耳を赤くしながら
「あ! 思いだした! 思い出した!」といって慌てて取り繕うように、
「あっわ、わかってるって! ちゃんと話すから!!」
と、なぜか手を上下に振りながらそういった。
「?? あーうん。じゃあ待ってるね」
ユリは頭にはてなマークを浮かべるように困った顔をしながらもリビングに戻り、
クッキーを机の上に置き、椅子に座ってクッキーを食べだした。
******************************
ぼりぼり・・・・・・ゴクゴク・・・・・・
「おまたせー」
玲がそう言いながらトイレのある方向から歩いてきた。
玲はそのまま椅子に座った。その行動を確認したユリはクッキーを
食べながら少し玲にわからないように口角を上げ言った。
「おひょい・・・・・・モグモグ・・・・・・にゃにやってたの?」
「いや、クッキーどんだけ頬張って食べてんの?」
そう言いながら玲はクッキーを1つとって口の中へと運ぶ。
そんな玲を少しユリは睨むようにしながら言う。
「質問を質問&ツッコミで返すな」
「ああ、ごめん。ちょとトイレ行っててさ」
それを聞いてユリは声に凄みを掛けた。
「そーなんだ。手は、洗っただろうね・・・? 」
「ちゃんと洗ったよ」
少しユリにビビりながらもユリにもみえるように手を上げ答えた。
それを見いてユリは笑顔になり
「なら、食べていいよ」
といった。
「うん」
「で?」
「え?」
「今日のこと」
「ああ。」
「じゃあ質問してってもいい?」
「いいよ」
玲に承諾を得たユリは
「・・・・・・・・・・・・」
と黙ってわざとらしく左手をあごに当て少し考えるような姿勢になった。
それを見て玲はなんと言うかよくわからないがなぜか心配になり
「ん?どうした?」
といいながら表情をくもらせていく。
そして考え事が終ったようでユリは玲を安心させるように笑顔を作る。
「やっぱ、先にクッキー食べる」
「え? なんで!?」
「なんとなく」
そういったユリの顔はなぜかさっきの笑顔とは反対に
怒っているような顔になっていた。
*********************
少し時間がたってから玲はきれいに何もなくなった皿を見ながら悲しそうに言った。
「なんだかんだ言ってるうちに全部食べ終わってしまいましたが・・・・・・」
「いいの! これで!」
「なんか怒ってない?」
ユリはなぜか少し胸を張りながら自慢げに、
「怒ってない」
といった。
「ならいいんだけど」
「それで、質問してもいい?」
ユリは笑顔だった。気持ち悪いぐらい奇麗な笑顔。それは、ユリのある癖だ。
「いいよ」
「じゃあ、・・・・・・」
ユリはさっきまでクッキーをつまんでいた指を少しなめ、
そのなめた指を布巾で拭いてから、気持ちを改めるように深呼吸をし、真顔になった。
玲はその行動に多少の不快を感じ、せかすように問いかける。
「なんだよ」
「あのね、間違いだったらいいんだけど」
「うん」
2人のいる空間になんともいえない緊張感が走る。
ユリは真顔のまま、しかし声は攻撃的に玲になるべくダメージが加わるようにこういった。
「・・・・・・あんた誰? 玲じゃないよね・・・・・・?」
「え? な・・・・・・なに言ってるのユリ?」
ユリは玲の顔に一瞬焦りと怒りが出たことを見逃さなかった。
その行動である仮定が確信に変わった。
「いやさ、間違いだっだらいいんだけどとか言っておきながらさ、
もう私の中で確信ついちゃってるんだ。あなたが玲じゃない事。
なんかごめんね。すっごくノリノリで演じてくれてたから
言いにくくなっちゃってさ」
「だから? なんで? どういうこと?」
うわー、顔、超怖ー。というか、短気すぎる気がする。うん。
でも鬼の形相ってこういうこというんだろうな。それじゃぱっぱと言っちゃってお引取り願おうかな。
もう、玲は顔の仮面を保とうとする気はないらしく、とても怒りに満ちた顔になっていた。
声もドスがきいている。しかし、ユリはそんなことは気にしない。無視し、
真顔のまま眉を一つ動かすことなく言葉を続ける。
「えーと、あのね、『あなた達』玲が言ってた『敵』とかいう人達でしょ?
ごめんね、あいつもの食べるときはまず自分が食べるものを確保してから
食べ始めるから・・・・・・」
ユリは真顔のまま言いきった。
「ふーん。で、俺が何らかの変装をした別人だと推理したわけなんだ」
「うん」
「そっか」
「あっそれだけじゃないんだよ!!」
急に真顔から楽しそうに頬を緩めユリが前のめりになり取り繕うように言った。
「え!?」
その行動に玲が驚く。
そして、何もないはずのところからほんの少し物音が聞こえた。
そこにいたか、見つけた。2人目。
ユリは笑顔を作りながら周りの警戒を全神経で行いながらなるべくへらへらして、
相手の注意をこの行動だけに注ぐ。
「あのね、あいつトイレ行って手を洗うのよく忘れて私に怒られてるから
もしかすると・・・・・・てなカンジで・・・・・・さ」
「・・・・・・」
「え、あ、うんと、大丈夫?」
急に黙った相手にユリは上辺だけの言葉をかける。そして、返ってきた言葉はユリの予想したものどうりだった。
「そっそ・・・・・・そんなことでばれたの!? え・・・・・・だって、コレをするのに
どれだけ歳月をかけたか!」
「デスヨネー」
「そんな・・・・・・」
ユリはたちあがり、その哀れな人の肩に手を置き
「ということで、お帰りいただけませんか? あと、そこにいる透明な人も」
ニコニコしながら姿を消しているやつがいるところに指を指す。
「まだ、帰るにはやることが残ってるんだよな」
そこにあったのはもう、玲ではなく、違う人の姿だった。
とても端整な顔立ちのいかにも体育系な男の人だった。
「おーやっと本当の姿を見せてくれましたか」
「でも、なんで俺のほかにこいつがいるって分かったの?」
男の人はさっきまで何もなかったほうに手を向けながら言った。そこにはかわいい男の人が立っていた。
「ああ、それは秘密。でも、いずれ分かるよ」
「そーなんだ・・・・・・。でも」「今聞かないと、聞けなくなる」
「? なんで」
「だって、敵を攻めるなら」「まず身内からって言うだろ?」
うわーこの人たちひどい・・・・・・2(両方男)対1(女一人だけ)でやろうとしてる・・・・・・。
まいっか、無抵抗で。どうせ、『死なないし』
そう思いながらユリは顔をしかめ、目を潤める。
「うわー卑怯ー」
「だって」「革命に犠牲はしょうがない」
「革命・・・・・・? あんたら頭いかれちゃってます?」
目を潤めながらユリは今の状況を楽しむかのようにしかめた顔をニヤニヤ顔にかえ挑発するように
相手がむかつくような態度をとる。
「大丈夫、いかれてない」
「そーなんだ」
「調子が狂う・・・・・・」
「狂ってくれたほうが私的にはうれしい。そして帰ってください」
「嫌だ」「もーちゃっちゃとやちゃいますかー」
ヒュンッ
何かが空気を切る音がする。
「!? っつ・・・・・・」
そしてそれはユリの脇腹に吸い込まれるように刺さった。
何だ・・・・・・今の・・・・・・
プシュー ドクドク
うわ血が・・・・・・
刺さったところから血があふれ出る。刺さったものを見ると銀の棒状のもので少しぎざぎざしていた。
触っただけでも皮膚が切れそうな鋭利なものだ。それをユリは抜かず素手で傷口を押さえた。
それを見てそれを放った本人はわざとらしく顔をしかめ、手を口の前に持っていく。
顔がかわいいから妙にその反応が似合っているからなぜか感心してしまう。
「うわー! イタソー」
「いや、あんた達がやったんだろうが!」
「うーん。つっこむ力がまだあるのか凄いな」
「普通の人ならさっきの一発でショック死レベルなのにねー」
「そーなんだ・・・・・・」ユリが相打ちをうった直後、ヒュンッという音と共に
ユリの体に鉄の棒が刺さる。
「うっ・・・・・・」
「今度はどーお?」
「ハア・・・・・・うッハア・・・・・・」
ドサドサ・・・・・・
ユリは床に崩れるように倒れる。それを覗くように見ながら少年は楽しそうに言う。
「おっやと倒れた。・・・・・・でもまだ気を失ってない・・・・・・」
「ハア・・・・・・ハア・・・・・・」
「ねえ、ロイ・・・・・・どうすればいい?」「・・・・・・あと一回同じのやって、
それでもだめなら腹めがけて蹴り一発」「了解」
・・・・・・こいつら何? 鬼?
ヒュンッ
「っい・・・・・・」
銀の棒が肺に刺さる。
こいつら、確実に人間の急所狙ってきてやがる。ふざけるなよ・・・・・・。
体が痛い。意識が薄くなってきた。やばい。
「あーだめだ・・・・・・気ぃ失ってくれない」
ドンッ
少年はユリの背中に蹴りを加える。
バキバキッと、ユリの体から音がなる。体の中はもうグチャグチャだろう。
「あ・・・・・・あいっ・・・・・・」
ユリはもう声が出せるのがやっとの状態になり、そのまま意識を失っていく。
「お前・・・・・・やりすぎ」「えだって、ロイがやれって言ったから・・・・・・」
「でも、骨を折れなんていってない」「大丈夫だよ! 息はあるみたいだし」
「・・・ハア。もういいいくぞ」「あ、待ってよ」
キィバタン
重いドアの音がしまる音が聞こえる。
そしてその音と共にユリの意識は完全になくなった。