コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力少女 ( No.69 )
- 日時: 2015/01/07 13:17
- 名前: ろろ (ID: gfxukZ12)
「じゃあ、行こっか!」
そう言って甘那は歩き出した。
迷いなく廊下を歩く・・・。というか・・・。
「ここの廊下、扉多くないですか?」
そこの廊下には扉がいくつもあった。1m間隔ぐらいに。そして甘那が平然と答える。
「ああ、この扉ね。ほとんどがダミーだよ。奇襲除けでね。開けてもほとんど壁。
何にもないよ。というか・・・能力使ったほうが聞くよりも早いんじゃないかな?
ほら・・・透視とか」
「能力はあまり使いたくないんですよ。体力使うし・・・」
能力は使うと体力を消耗する。頭をよく使うのだ。
でもまあ私の場合は能力で回復させるからあんまり関係は無いんだけど・・・。
それに能力をあんまり使いたくないというのも本当で使うたびに・・・私にとって
一番思い出したくない記憶が頭によぎるんだよなぁ・・・。何でなんだろ。
本当に・・・。あんなこと・・・思い出したくもないのに・・・。
「ふーん。そうなんだ。やっぱりユリちゃんでも体力消費しちゃうんだ・・・。
そういえばユリちゃんって私は無敵だとか言わないよね?
ふつうはさ、なんかいいそうじゃん。私は無敵だから凡人はひれふせー!
私は神に等しい存在だ!!とかなんとか」
甘那はなぜか楽しそうにそういった。それにたいして、ユリは言った。
「言いませんよ。だってこの能力は生まれつきですし・・・。それに・・・私にとってこれが・・・。
能力があるのがふつうです。人それぞれによってふつうの基準が違うんです。
だから・・・。多分この世に普通なんてものはないんですよ。それに、能力者は神じゃない。
人間です。人間は神にはなれません。どうあがいても人間です。能力者は・・・そうですね、
ちょっとそこらへんにいるような人よりもある能力が著しく発展した人間でしょうか?」
ユリは真面目な顔をして、少し低いトーンで言った。
あ・・・。ちょっとむかついて口走っちゃった・・・。どうしよ・・・。
もの凄い驚いたような顔してるもん2人とも・・・。どうしよ・・・。
「・・・。なんか。ごめん」
甘那が申し訳なさそうに言った。それにユリが驚く。
「え!?なんであやまられたんですか!?私!?」
むしろ謝るの私のほうなのに!
だが、甘那は言った。
「なんか、あやまりたくなったから。あやまっちゃった。でも、そっか・・・
生まれつきなんだねその能力」
甘那は少し優しい口調だった。
「はい。親はずいぶんと苦労したようですけど・・・」
それにユリは苦笑しながら答える。それにつられたように甘那も苦笑した。
「あはは・・・。そうだよね。こんな強力な能力持ってる娘持ったらそりゃ大変だ」
「はい・・・」
ユリが少し悲しそうな表情をしながら返事をした。
そして、そんな会話を黙って聞いていた玲が口を開いた。
「おい、そんな話している間に着いたぞ」
そういってある扉に指を指した。ユリが玲が指を指した所を見て言う。
「ここ?」
それに玲が答えた。
「そう。ここ」
ユリが扉を睨むように見ながら言う。
うーん。デザインはそこらへんにあるようなものなんだよな。それにまったく
同じのデザインの扉もさっき何個かあったし。なんか見分けがつくものもない・・・。
言ってみるほうが早いかな・・・。
「・・・。他の扉とそんなに変わらないですね。なにか見分けがつくような仕掛けが
あると思っていたんですけど・・・」
それに甘那が答える。
「ああ、見分けはつくようにしてあるよ。ここ」
甘菜が指を指す。ユリが指を指されたところを見るとあるものがあった。
「え?あ、本当だ・・・。なんか小さく彫ってある・・・。猫・・・?」
それは、彫刻刀で彫られた猫だった。結構細かく彫ってある。
「うん。垣根さんが好きなんだって」
甘那が苦笑しながら言う。
「そうなんですか・・・」
あれ?ここのトップの人ってそんなに歳いってないのかな?
「あの・・・ここのトップの人ってそんなに歳いってないんですか?」
「んー。どうだろ?30代後半だった気がするけど・・・」
「そうですか」
でも若いんだな。でもさっき玲からトップの人も個性が凄いとか言ってたもんな・・・。大丈夫なのかな。
凄い不安。
「ま、入ろ?」
甘那がニコニコしながらユリにいった。そしてユリが力なく言った。
「はい・・・」
無事に部屋から出れることを祈ろう・・・。