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Re: 能力少女 ( No.77 )
日時: 2015/02/13 17:47
名前: ろろ (ID: DGNStUnA)

キィ・・・

甘那さんが扉を開けた。そこには・・・。

「やあ!待ち構えたぞ!!!」

黒い襟足までの髪で、目もくろく、肌は少々焼けていて童顔、そして少々筋肉質
のように見えた。そして、服装はYシャツにカーディガンで、ジーパンにスニーカーの男の人が
なんかもうすっごい楽しそうな顔をして座っていた。・・・机に。

「・・・・・・」

ユリが机に座っている男の人を言葉もなく見つめていると甘那があきれたように言った。

「何してるんですか、垣根さん」

そして男の人・・・この組織のトップ、垣根は言った。

「何って、こうして机に座ってまるでピクニックの前日みたいな感じのワクワク間に
包まれながら待っていたんだよ! そんなこともわかんないのか蓮堂ちゃん!」

  あ、やっぱまともな方じゃない。

ユリは一瞬にしてそう思った。要するに第一印象はよくないということだ。
そして、垣根はテンション高く言った。

「君が咲乃 ユリちゃんだね!!」

ユリは垣根に若干引きながらも答えた。

「あ、はい・・・」

「元気がないみたいだけど大丈夫かい? 俺は垣根 誠仁(かいき まさひと)、
よろしく。というか、本当に何でも持っているのかい?」

垣根が心配そうにそういった。そしてその言葉にユリは首をかしげた。
そしてそれを見た垣根は少々呆れたように言った。

「もう、そんなことも解らないのか? 能力だよ。超能力。俺の能力は超能力者が
何の能力を持っているか、その能力はどのぐらいの大きさなのかわかるんだが、
それを使ってもいっさら何にも解らないので本当なのかどうなのかわからないんだよ」

「ああ。そういうことですか。それならすみません。ブロックしてました」

「ブロック?」

そして今度は垣根が首をかしげた。そしてユリは言葉を続ける。当たり前のように。

「そう。ブロック。解りやすくいえば、どんな超能力でも私に対しては効かない能力です」

「そうなのか!!」

垣根はおおーといってユリの言葉を興味深く聞く。そしてユリは言う。

「はい。えっと、もう解除したので多分解ると思いますよ」

「あ、本当だ! しかし面白いね!」

「? 何がですか?」

ユリがそういうと垣根は座っていた机からおりユリの前に来てそして、
ユリの顔をなめるように見ながら言う。

「君、なんでとんでも能力を持ってるのにコピー能力なんて持ってるの?」

「? なんでそう思うんですか? 私の能力はいろいろなので、コピー能力があったって
別におかしくなんてないじゃないですか」

「いや、そう思うんだけどね、違うんだよ。なぜかそのコピー能力だけ強さが違うんだよ」

「強さが?」

「そう! ユリちゃんが持ってる能力の強さを10というならそのコピー能力だけ5か6という
ところなんだよ! それだけがなぜか不自然過ぎるぐらいに強さが違う! まるで」

そして、垣根は一回ユリを見ながらふうと息を吐き、そして、きっぱりと、
そこにいる全員に聞こえるほうに言った。

「違う能力者の魂を自分の体の中に入れて、それを、あたかも自分の能力にしている、
みたいなそんな感じなんだよ!!」

「「「!!?」」」

それを聞いた、ユリ、玲、甘那の3人は一斉に驚いた。そして内心一番驚いたのはユリだった。

 なんで? なんで!? 何で何で何で!? 何でそう思うの? わかるの? 
私が誰にも言ったことがない事を。 何この人・・・怖い怖い怖い・・・怖いよ。逃げたい逃げたい逃げたい・・・。

そしてユリのその反応を見て垣根は言った。

「ユリちゃん。なんで、そんな風に思うのかって思ってるのかい?」

「!? なんで・・・解るんですか?」

そういわれた垣根は、笑顔で言った。

「勘!!!!!」

「・・・・・・」

 この人ふざけてるの? ・・・解らない。でも、心の中を見れば・・・。やめておこう。それは、卑怯だ。じゃあどうすれば・・・。

しかし、垣根はそんなのお構いなしで、笑いながら、微笑みながら、テンション高く、話を続ける。

「いや、ガチで、ガチで勘なんだよ! そして、僕の推測はあっている! そう?」

そして、ユリはもう、冷静さを装うことが出来ないまでに精神的に追い詰められていきながら
やっとの思いで声を振り絞って、今にも泣きそうな声で言った。

「・・・。言いたくありません。コレだけは・・・・・・いいたく・・・ない・・・です」

 声が震える。もう、嫌だ。泣きたい。逃げたい。怖い。この人は、読めない。
だけど、なにか、何か、逃げるすべがあるはず。だから探さなきゃ。

「そう。でも、そういうということは、あってるって事でいいね」

「!?」

そうすると、もう、垣根とユリのやり取りを見てられなくなったのか、玲が言った。

「なんで、そう決め付けるんですか。間違ってるかも知れないじゃないですか!」

すると、垣根は玲のほうを向いて言った。

「玲君、君は以前こう私に話していたよね『俺と一緒に住んでいる女の子は
これは絶対間違っている!!と思ったら全力で否定します』って」

「あ・・・」

垣根の言葉に、玲は反論が出来なかった。納得してしまったからだ。そして、
垣根は少し改まった口調で言った。

「そう! だけど今は、否定するどころか口をあけて、いま、どうこの状況を
切り抜けられるのかを目に涙を浮かべながら全力で考えているように見える! ということは・・・!?」

「垣根さんの言うことがあっている・・・」

玲は、完全に納得してしまった。そして、それを聞いていた甘那も、反論の余地がなかった。
そして、ユリは目に浮かべた涙を流していた。