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Re: 能力少女 ( No.79 )
日時: 2015/07/11 12:42
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

「双子のお姉ちゃんかー。で、咲乃・・・・・・リナ? リナ・・・・・・」

 ユリの言葉を聞いて玲があることに引っかかったように名前を言う。
それを聞いて甘那が首をかしげながらユリにいった。

「あれ? ユリちゃんののお母さんって確か由理菜って名前ちゃなかったけ?」

  あ、ばれた。

「・・・・・・はい」

 ユリが暗い顔でそう答える。それを見て甘那が言う。

「もしかして、それにかけてノリで?」

「半分あってて半分間違ってますよ」

「え? どこが間違ってるの?」

 甘那の問いにユリが遠い目をしながら答える。

「もともと双子だと知った時点で決めていたそうです。そして、
真剣に考えた結果がそれだったそうです」

「わーお。凄いね。それは」

「まあ、2人とも私達を生んだ時は10代後半だったので完全に・・・・・・
ですね。まあ、そんな感じですよね」

「そうなんだ」

 甘那が納得したようにうなずいたとき、ある人の声が室内に響いた。

「ちょっとまてーい!!」

「うわっ! ビックリした!! 何ですか、誠仁さん!!」

 大声を出した垣根はそのままユリの顔あたりに指を指し、大きな声で言った。

「君のお母さんとお父さんって今何歳なの!?」

 ユリは、少しため息を吐き、遠い目をしながら言った。

「どちらとも現在32歳です。ちなみに父は約一ヵ月後に33になります」

「マジか!!」

 垣根は少しおおバーリアクション気味に体を動かしながら驚く。
それにユリは「元気いいなー」とつぶやいてから言う。

「マジですよ」

「すげーな!! え、初めて知り合いにいた!! スゲー!! あ。
感動で涙が・・・・・・」

「ねえ、玲! この人ホントに涙流してるんだけど! しかも号泣だよ! 大丈夫なの!? この人!」

 ユリが垣根の反応を見て全力でひきながら玲に助けを求める視線を送る。
しかし玲はああ、やってるなーという感じの視線を垣根に向けながらユリにいった。

「大丈夫だよ。もともとこういう人だし」

「え? そうなの?」

  だとしたら、この人は本当に気をつけて接しないといけない・・・。

「うん。頭はこれでも正常だから」

「そうなんだ・・・・・・」

 ユリは少し落胆した表情になった。

「うん。でさ、俺も聞きたいことがあるんだよ」

 玲が少し声のトーンを変えていう。それにユリは何かを感じたらしく、険しい表情になりながら玲に聞いた。

「ん? なに?」

「俺さ、お前のお母さん、由理菜さんからお前の姉ちゃんの事聞いてたんだよ」

「!?」

  おお!? マジか! そんなことあの人はしゃべったのか・・・・・・。
 いつなんだろ? いつしゃべったんだろ?

「でさ、由理菜さんはこういってたんだよ」

 玲は少し小さく息を吸ってから、はっきりとユリが聞き取れるように言った。

「リナを守れなかったせいで、ユリは人間不信になったって」

「ああ、そうなんだ」

 それを聞いたユリは少し悲しそうな顔をした。
 そして、玲は優しく、しかし険しく言う。

「うん。それにこうもいっていた。リナは、もう死んだんだって」

 それを聞いた時にユリは玲が本当に言いたいとに気がついた。

  ああ、玲はリナが死んでいると思ってるのか。そして、
 その霊が私に取り付いたと。それは違うんだよなー。

「ああ、それ? まだ死んでないよ。リナは、ただたんにリナは
行方不明なだけだよ。・・・・・・もう4年目に突入したけど」

「「「4年目!?」」」

 3人の声が見事にきれいにハモった。

  おお、見事なハモリ。

「待て・・・・・・4年目って・・・・・・確か4年前って・・・・・・」

 玲が記憶をたどるようにしながら言う。
 それにユリが懐かしそうな顔をしながら言った。

「うん。私が玲の家にお世話になるようになった年だよ。
といってその半年前ぐらい前のことだよ。リナがさらわれた時のことは」

 その言葉に垣根は何か思ったらしくユリに言った。

「ふーん、そうなんだ。ユリちゃん、そのときのこと話せるかな? 
つらいかもしれないけど、ごめんね。でもさ、気になるんだ。
それに、君の事を少しでも多く知りたい」

「・・・・・・。いいですよ。でも、アジト以外の方に言ったら・・・・・・
わかりますよね?」

 ユリは了承をしながら脅しを一応入れた。そうしなくては
話せない内容だから。その言葉に垣根は首を縦に振り、言う。

「うん、わかった」

 それを聞いたユリは安心したように胸をなでおろした後、
半笑いで言った。

「と、言っても私はそのときの記憶なんかわかんないけどいろんな部分が
まるで誰かに意図的に消されたようにすっぽ抜けてるんですよね」

「マジで?」

 その言葉に垣根は目を丸くする。もちろん、玲と甘那もだ。
 しかしユリはそんなのお構いなしという風に半笑いの状態で言う。

「マジですよ。でも、それを含めてなら・・・。え?」

と、そこでユリの顔はつまらなそうな悲しそうな顔をした。そして、言った。

「リナここで変わるの?マジで?結構私自身ここからがちょっと
楽しいかもなとか思っちゃったんだけど」

 それを見た3人は、「どうした?」と、言いたげな顔を浮かべている。
が、そんなことはだれも言わない。なぜなら予想が付くからだ。
ユリが誰に話しかけられたということぐらい。

『楽しいとか思ってたりしたんだ。ごめん。でも変わらせて?』

  いいよ。

『ありがと』

 ユリは息を吐いた。それを見て、玲は話が終わったことを悟った。
 そして、ユリに話の内容を聞くために話かける。

「おい、ユリ」
 
 しかし、話の内容をユリから聞くことは出来なかった。なぜなら、

「ごめん。バトンタッチだ」

 玲の顔を見て、ユリが少し悲しそうにそう言った。

「え?」

 玲がそういった瞬間、ユリの目は茶から赤に、髪は茶から黒に変わった。
そして、落ち着いた口調でゆっくりと、聞き取れるようにユリは言った。
いや、ユリとはいえないのかもしれない。なぜなら、彼女はこう言ったからだ。

「こんにちは。はじめまして。リナです」