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Re: 能力少女 ( No.91 )
日時: 2015/10/12 20:36
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

「はぁ、笑った笑った」

「楽しかったですねー!」

 甘那とユリがニコニコしながら話している。
 玲はその隣で疲れきったように横たわっている。
ちなみにまだ垣根の部屋だ。

「ユリちゃん、ちゃんと撮ってくれた?」

「撮りましたよ! ほら!」

 ユリはさっき録画したものを甘那に見せながらそう答えた。
心底楽しそうに。
ユリの携帯の画面を見て甘那は笑いそうになりながら率直な意見を述べた。

「おお! ちゃんと録れてる!! これはいいね。
というかユリちゃんカメラワークうまい」

「がんばりました!」

 ガッツポーズをしながらユリがうれしそうに笑う。その反応に甘那は
『このかわいい生き物は何なのだろうか・・・・・・』と思いながらユリに頼む。

「あとでいいから携帯にその動画送って!!」

「もちろんいいですよ!」

「あ、僕にも送って!!」

 と、2人の話を盗み聞きしていた垣根がさっき笑いすぎてつってしまった
腹を抱えながら話に割ってはいってきた。

「では、メールアドレスかラインを交換しましょ!」

 ユリが楽しそうに快く了承した。
 そうして垣根はユリのメールアドレスをゲットしたのであった。



***********************************



「おーい、玲起きろー」

 メールアドレスを交換したユリは疲れて寝てしまっていた玲を
ゆさゆさと揺らして起こしている。
その様子をソファーのうえでだらけながら見ていた甘那はユリに問う。

「どお? ユリちゃん、玲起きるー?」

「うーん、ぜんぜん起きません。この起きなさレベル昔のゲーム風に言うなら
 『ただの屍のようだ▼』 って出るレベルです」

 ユリは眉を八の字にしながら首を振る。

「マジか」

「マジです」

 甘那は真顔で、その様子を見るあたりこういうのは当たり前
といっているような感じだった。

  甘那さんは疲れていないのだろうか・・・・・・。

 ユリは昨日から今までの事を思い出しながら本心からそう思ったが様子を
見るからに疲れていなさそうだったので聞かないことにした。
そしてユリは立ち上がって伸びをした。
 その行動を見た甘那はまだソファーの上でだらけながらユリに聞く。

「そしてユリちゃんは今からどういう選択をしようとしているの?」

「 『起こす▼』 という選択ですね」

「ほう、がんばって」

「はい」

 そう笑顔で甘那に言った後、ユリが玲を起こすために使った。行動は、、、

「せいやっ!!」

 掛け声と共にユリが玲を起こすために使った技はまさかのチョップだった。
玲の無防備のおなかに見事に吸い込まれるようにヒットする。

「ぐはっ!!」

 そして、玲は目を見開きながら身体をくの字に曲げる。結構きいたようだ。
ちなみにさっきユリのチョップが玲にヒットした時に玲の体内から
バキッッッと聞こえた気がしたがユリは見事にスルーした。無視した。

「わお」

 甘那がまさかの出来事に上半身を起こす。
 そしてユリは幻想でユリの周りにお花畑が見えるぐらいの笑顔で、

「起きましたね」

 と言った。不思議と声も張りがあるように聞こえる。

「え? 起きたのそれ? 起きるのとおりこしてない? しんでない?
 そしてまさかの物理攻撃だったのは驚いた」

 甘那が玲の様子が気になったようでソファーから歩いてきた。

「そうですか? 大丈夫です、手加減はしました」

 ピクピクを体を震わせている玲を可哀想な物を見るような目で
見ながら甘那はそうつぶやいた。

「っえ・・・・・・。これで手加減ですか・・・・・・」

「私こう見えて握力170ぐらいあるのですよ」

 ユリがとてもきれいな笑顔で答える。

「まじか」

「マジです」「マジだよ・・・・・・」

 ユリの声と同時に素直に起きなかった代償に骨をおられた玲が苦しみながら言った。

「あ、玲おはよー。あれ? そういえば誠仁さんは?」

「玲おはよ、大丈夫?」

「だ、大丈夫じゃない」

 玲は精一杯にがんばって声を出す。よほどユリの一撃が聞いたらしい。

「あとで直してあげるから大丈夫ですよ」

 と、ユリは甘那の心配を取り除くために微笑んだ。
 それを聞いて安心した甘那は胸をなでおろす。

「そう、じゃあ大丈夫か。なんか、ユリちゃん玲に対しての扱いひどいね。
垣根さんならどっかいったよ」

「そうですか」

「うん」

 玲は腹の痛みに耐えながらもユリをガン見していたので
ユリがよらぬことを考えている表情をしていることを見逃さなかった。




**********************************



 普通に腹の骨折のせいで立てなくて寝ている玲の傍らにユリは座って、言った。

「あ、じゃあ玲お腹のとこ直すよー」

「おう」

 玲がなぜか緊張したようにそういう。というか照れいる。顔が赤い。
しかしユリはそんなことは華麗に無視した。そして、

「ほい」

 ユリは見事に無表情で玲の骨折を治した。

「おお、見事に痛くなくなった」

「あと、ついでに腰のこりの原因も直しといた」

「まじか! あ、ほんとうだ」

 そういって玲は肩をまわす。それを見て甘那は

「おじさんみたい」

 と、素直にドストレートに玲に言葉の刃を向けた。

「言うな!」

 玲のとてもいい反応を見てユリがにやにやしながら第2の言葉の刃の
元を玲に投げつける。

「玲ー、ちゃんとこれから新聞読む時は全部広げちゃだめだよ、いつもなんか
無駄に場所陣取ってるし、微妙に変な体勢になってるからやめたほうがいいよ」

「やはりおじさん」

 第2の言葉の刃が見事ユリの思惑通り玲に突き刺さった。

「ひどい!!」

「20歳のおじさん・・・・・・。ぶふっ」

「そこ! 笑うな! 吹くな!」

 玲は涙目になりながら甘那に指摘する。

「甘那さん、そこは触れてはいけな・・・・・・あははははははは」

「そういってるお前も笑ってるだろうが!」

「だって、あははははははははははははははh」

「玲、これは笑うなって言うほうが無理」

 笑いすぎて答えられないユリに変わって甘那が答えた。
そして時計を見る。

「あ、時間だ」

「ん? 何の時間ですか?」

 笑っていたユリが甘那の言葉に反応し、笑うのを中断する。
そして、玲も時計を見て言った。

「あ、本当だ時間だ」

「え? だからなんの? あ、もしかしたらもう帰る時間とかですか? 定時とか。にしては早いか・・・・・・。ん? なんだろう」

「ユリちゃん、来て」

 ユリが脳をフル回転させていると玲が扉を開いて甘那が手招きをしていた。
どうやらこの部屋を出るらしい。

「あ、はい」

 そういってユリは玲と甘那のほうに行き部屋を出た。