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Re: 舞えし蝶は暗闇へ散る゜.:。+゜remake ( No.14 )
日時: 2014/08/17 09:31
名前: 覇蘢 (ID: EyrVLEam)



_「なあ、お前本当に男かあ?女みてえな顔してんなあ」

開場に向かっている途中でガラの悪い声に足を止める。

数人の男が1人の青年を取り囲んでいる。

青年はずっと俯いていて反論しようとしていない。

「でもよ兄貴〜。こいつだったら1回相手してやっても大丈夫ですぜ」

下っ端のような奴が大男に言い張る。

「な……ッッちょっとッッ」

青年の身に危険を感じ慌てて前に割り込む。

「あん?なんだこの女。こいつの女か?」

思ったよりで大きかった大男を思いっきり睨みつける。

「おーおー!威勢がいいねえ、お譲ちゃん」

「じゃあ、お譲ちゃんがお兄さんたちの相手をしてくれるのかなあ?」

口から吐かれるなんとも言えない臭いに吐き気がする。

「いッッや………」

手を掴まれてゾワッと背筋が凍った。

「…………………ハァ」

後ろから呆れたような溜め息がつかれたと思うと、肩を掴まれ青年の後ろへ引かれる。

「……女の子に手を出すなんて、最低ですよ。…おじさん」

想像より低い声に驚いた。

後ろに立たされてみるとわたしより背も高いし身体も大きい。

同い年の男の子だろうか。

「言ってくれるじゃねえか、坊ちゃんよお」

「………」

……青年は口角をあげた。

一瞬だった。

「(我は主なり。我の言葉に従いたまえ。……気絶)」

青年は口を開いてはいない。

「何……?まるで心の声が聞こえてるかのよう…」

青年の声が頭に響いた。

男たちが全員倒れている。

青年は1ミリたりとも動いていなかった。

「え……」

「大丈夫?お嬢さん」

「は、はい」

「良かった」

目を細めて笑う青年。

……綺麗な人…

「あなたは…」

「ああ、名乗ってなかったね。僕は篠」

「篠……珍しい名前」

シノはにっこり笑って首を横に傾けた。

……本当に綺麗な人。

まるで、どこかのお姫様みたい。

女の人も顔負けだわ……

「お嬢さんはこれからどこに向かおうとしていたの?」

「あ!そうだった…わたし急ぐから、篠君気をつけてね!」

大急ぎでわたしはシノ君に背中を向けてまた走りだした。





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ひめゆりが走り去った後、残った篠は声を潜めた。

「護衛かい?空火」

「気づいていたか」

2人…悲しい瞳を互いに見つめる。

「僕で最後?」

「いや、あと1人」

「ああ………“暁”」

「あいつは………       」

風で声が遮られる。

「そうだね…」

ひめゆりの駆けていった方向を見つめ、2人の姿は消えた——…