コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 舞えし蝶は暗闇へ散る゜.:。+゜remake ( No.42 )
- 日時: 2014/10/14 22:19
- 名前: 覇蘢 (ID: OjDUGINw)
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_「無知は罪、知るは罰」
闇杜の深い闇の中、祠の前で呟いた。
この祠の前に立つとき、あの日の記憶が鮮明に思い出される。
無力な自分と仲間の死、愛しい人を眼の前で助けられなかった絶望と無力さ。
『あの人』の最後の姿ーーーー
この世界の命運を一人で背負い、私を置いて逝った美しき姫ーーーー藍鏨《こんぜん》。
彼女の事を知るものは今や、私と…………
「もう、最早貴方の存在を皆知らぬ、それでも尚、自らを削りその御力を皆の為、使わされるのか…悪夢の連鎖は続くというのか」
………また、私を独りにするのですか。
そう呟き、苦い笑みを零す。
「永い時を過ごしても、淋しさというものは消せぬものよ」
姫は与えられた使命を、いずれ最期が『死』であろうとも全うし、それに使えし守護人は全ての力を使い、枯れ行くその時まで、姫を護り抜く。
残酷だ。
誠、残酷な事だ。
そうすることで、皆救われる。
ーーーーそれが世界の為だ
自分の役目は、他の守護人と姫を見守り、管理すること。
幾度となく繰り返されるこの連鎖。
『どうして、わたしには母様と父様がいないの?』『わたしは捨てられた子だから』『翠蓮なんか、嫌い』
ああ、愛しい。
いくら、泣きべそをかき駄々をこねたとしても私のもとへ帰ってくる幼き少女。
あの小さき姫にも、あの時のような哀しき最期を向かわせようと言うのか。
いや、今やひめゆりも美しき女人。
穏やかに頬を撫でる風が、内なる心を静めるよう吹き抜けていく。
それすらも神の意思なのか。
だとすれば、あまりにも無慈悲ではないかと愚痴の一つも零したい。
………とはいえ。
「もう、後戻りはできぬ。あの子は私を嫌うだろうか」
ヒラヒラと蝶が頬をかすめた。
っと、手を伸ばし、綺麗に飛ぶ蝶を片手で握り潰す。
「私は、こんなにも残酷な男へと変わりましたよ」
静かに、口元を緩め誰ともなく呟く。
「再び、始まる。悪夢の連鎖」
乱暴だが、優しい心を持つ鬼の守護人・アカツキ
真面目で真っ直ぐな瞳を持つ守護人・クウカ
最年少にしてあらゆる言葉を使えし者・シノ
此の祠の管理者・スイレン
そして、我等が愛しき姫ーーーー藍鏨《こんぜん》……いや、ひめゆり
彼等にはかつてなく見覚えのある痛ましい悲劇が再び訪れるだろう。
美しき姫は、すべてを知った時、それでも尚私のもとへ帰ってくるだろうか。
「役者はすべて揃った」