コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 舞えし蝶は暗闇へ散る゜.:。+゜ ( No.44 )
- 日時: 2014/10/26 17:52
- 名前: 覇蘢 (ID: zL3lMyWH)
_蝶の残像が頬をかすめると一瞬、視界が歪んだ気がした。
見知らぬ風景が脳裏を過ぎていく。
今のは、一体……?
ーー否、いくつかはたった今、目にしたばかりのものもあった。
おかしいのは、何故かわたしは今の風景をどれもよく知っていたの言うことだ。
……見たことがない。
なのに、知っている。
辺りは真っ白に染まり、すべてをーー光が、押し流す。
そして、……わたしは、見た。
初めて見るのに、どこか懐かしい……
そんな、いくつもの光景を。
ーー夢うつつの中で。
**********
「……この争いを止められるのは、あんただけだ。この先、どれほどの命が消えることになろうとも、世界は変わりはしないでしょう……俺達はしがらみに苦しみ続ける」
「お嬢さんなら、きっと出来るよ。その力を使って終わりにしよう、この世に蔓延るすべてを」
「姫さんが望むなら、この命は惜しくない……だから、お願いします。最後まで、私を側に」
「やめ、ろ……っやめてくれ!……やめろおおおおおおおおお……っっ!!!!」
ーーーー……現世を救ったとしても、わたし達のしがらみは取れぬ。
……幾千の月日の後に、またわたし達は苦しむことだろう。
幸せなど、未来永劫、ありえない
その事実に……来世のわたし達はまた絶望する。
また来世……転生するときまでーーわたしは眠る。
「翠蓮様……ご報告が」
「どうした」
「たった今……姫が、藍鏨様が、現を封印した後、自らも転生する為世を絶たれました」
……今、なんと言った。
「他、藍鏨様に続き、空尊、紅も……」
う……そだ。
そんなはずは、ない。
何かの間違いだろう?
「……もう、いい」
………。
何故私を置いて逝かれたのですか。
側にいると仰ったでは有りませぬか。
何故………っ
何故!!!!!!!
「……暁は。暁はどうした」
「藍鏨様が世を絶たれたあと消息がつかめません」
ーーいくつもの夢が混ざり合って伝わってくる。
夢?
いやーー違う。
これは、記憶。
誰かの、記憶。
……わたしの?
それとも……。
……美しい木漏れ日。静かな時間、穏やかな世界
愛しさと哀しみの入り混じる、行き場のない感情
消えない違和感。
欠けた記憶。
これは、記憶。
誰かの、記憶。
……わたしの?
それとも……。
ーー夢のように不確かな、触れれば消えてしまうような、そんなあやふやなものではない。
こんぜんの魂が受け継ぐ、記憶。
今、ここにいるひめゆりであるわたしではなく、かつて現という悪しきモノを玉に封印したこんぜん。
何百年もの前の、【藍鏨】と呼ばれていた頃の。
ーー遠い、過去の記憶。