コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 舞えし蝶は暗闇へ散る゜.:。+゜ ( No.45 )
- 日時: 2014/11/02 01:18
- 名前: 覇蘢 (ID: NywdsHCz)
_途端に。
視界が、真っ白に染まった。
何かが弾けるような音が響く。
空中に放り出されたような感覚が襲ってきて、天地すらわからなくなる。
一体、何が……?
目に焼き付けているのは、最後に見た四人の顔。
苦しそうな。
痛みをこらえるような。
そんなーー表情、だった。
**********
「……ごめん、ね」
目を覚ました私が最初に呟いたのは、そんな言葉だった。
あまりにも、長い夢。
【藍鏨】と呼ばれていた頃のーー前世の記憶。
そして、そのこんぜんすら知らない、玉が持っていた記憶。
そして。
「あ、起きた」
目の前にはシノの顔。
「!?!?!?!?!?」
「あーあ…顔が真っ赤ですよ?お嬢さん。可愛い」
勢い良くシノを押し退けて起き上がってあたりを見渡せば、そこには見知れた自分の部屋と他三人の姿。
アカツキ、クウカ、スイレン。
ああ……
そうか、わたしは。
「古の姫」
そう、呟いたわたしに静かに頷くスイレン。
「まだ、貴方の記憶はすべて思い出されておりませぬ…今は、何処まで理解しておられますか」
「……わたしは代々あの祠の中にある現を封印している玉を守る姫から転生した者。時は満ち、再び私の力で現から玉を守るのが使命……そして、貴方達四人は守護人だということ」
「私はあの祠で眠っていた貴方を此処へ連れて来ました」
七歳までわたしは、あそこの中で眠っていたというのだ。
「少し、気になる単語があった」
先ほど見た記憶を手繰って言葉を頭から引っ張る。
「空尊と紅という名」
スイレンはああ、という表情をしてクウカへと目をやった。
「空尊は俺の先祖の名だ、紅はここにいる篠だ。あんたにも藍鏨という先祖の名があるように俺等にもある」
「それじゃあ、どうして」
『アカツキとスイレンの名は変わっていないのか』
スイレンに目をやると微笑みだけが返ってくる。
……今は、教えられないということか。
「………はぁ」
溜息をついたのはアカツキだった。
そのまま障子の戸を開けて出て行ってしまう。
「おい!!!」
それに続きクウカとシノも出て行ってしまい、わたしとスイレンだけが取り残された。
「…………」
無言でスイレンは障子の戸を閉め、わたしへと近づく。
「…………っ」
その表情から何故か怒りがにじみでているのが分かった。
無意識のうちに身体が震えた。
「翠蓮……?」
口を開きかけた時。
「え」
「姫さん……!」
ーー強く、抱き締められた。