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Re: 舞えし蝶は暗闇へ散る゜.:。+゜ ( No.57 )
日時: 2014/11/25 22:22
名前: 覇蘢 (ID: n0SXsNmn)


_「っと……」

前を見ず走っていたせいか、大きな黒い物体に頭をぶつけ、蹌踉めく。

直ぐに強い力で引っ張られ、再び黒い物体へと飛び込んだ。

「俺は何度あんたを引っ張ればいいんだ」

「あ、空火…ごめ」

言いかけると、クウカの指がわたしの口を遮った。

徐々にその指は瞳へとうつり目尻のあたりを優しく撫でる。

「泣いた、のか」

「……っ」

気づけば、目尻が微かに濡れている。

「翠蓮さんに、何か言われたか?」

「…………」

優しく頬に手を当てるクウカ。

「空火?」

その仕草が余りにも優しすぎて、いつもの小言ばかり言うクウカとは違う。

「………空火も、わたしを見てないんだね……」

ドンッとクウカの胸板を押し退け裸足で縁側を下りて走りだした。






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「お前は、まっこと女心が解らぬ奴よのお」

「…………」

昔、毎回毎回耳が痛くなるくらい聞いた言葉ーー……

呆れたように俺の顔を見ながら溜息をつく。

「何も言い返さぬようだが、自分でも理解しておるのか」

この人は、何もわかっていない。

俺がどんな思いで……

「俺が、他の女人と遊び呆けてもいいと、そう言うのか藍鏨」

少し、不機嫌になりながらじろりと睨む。

「……フフ……ハハハハハハッッ!!」

最初は呆気に取られていたこんぜんだが、それは徐々に大爆笑へと発展した。

「何だ。わたしの事が好きなのか?空尊」

図星だ。

「本当、あんたには敵わない」






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「あんたと姫百合は似ても似つかない」