コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 舞えし蝶は暗闇へ散る゜.:。+゜ ( No.58 )
- 日時: 2014/12/14 13:31
- 名前: 覇蘢 (ID: y1N6F4if)
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怖い。
ニンゲン ハ コワイ
俺は ニンゲン ですか
ひとりの人間の女に、問いかける。
その女は、優しく微笑んで黒く汚れた俺の身体を抱き締めた。
「お前は、人間だ」
手首と足首を鎖で繋がれ、食料を滅多に与えられない。
それでも、永遠と生きる俺がニンゲンと言えるのか。
「お前、名をなんと言う」
自分の名………
名なんて呼んでもらったことなどない
ましてや、自分に名などあるのか
「そうか、お前…名が…」
そう言うと空を仰ぎ、考える素振りをする
「……今宵は、月が綺麗だな………暁」
アカ………ツキ
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「おい」
走り疲れて、その場でしゃがみ込んでいると真上から低い声が響く。
「なに…」
見なくても分かる。
この低い気怠い声はアカツキだ
わたしは、膝に顔を埋めたまま素っ気ない返事を返す。
「藍鏨」
「…ッ」
その言葉にピクリと反応する。
「お前は、藍鏨じゃねえよ」
「え……」
そっと顔を上げると、直ぐ側にアカツキの顔があった。
「俺は、藍鏨に救われた。俺の恩人は一人だ……だから、藍鏨の生まれ変わりのお前を護る」
そんなの、いらない。
「なに、それ……わたしの前世が藍鏨だったから仕方なく護るってことでしょ」
「そうだ」
「!!!」
はっきりと言われ、視界が歪んだ。
「ひど、い…よ」
わたしなんて誰も見てくれない。
否、はじめから見てくれていなかったのだ。
スイレンも
クウカも
「だから………」
「本当、酷いですね」
アカツキの言葉を、遮るように入ってきたのはシノだった。
「僕は、お嬢さんはお嬢さんだと思うけど?僕は姫百合として護るよ」
「篠………」
「………」
アカツキは面倒くさそうに頭を掻き、去ってしまった。
「大丈夫ですか?お嬢さん」
「う、ん」
笑いかけられ、つられて口角を無理やり上に上げた。
「そう……」
と、シノの微笑みが一瞬に消える。
「………ククッッあー、本当久ぶりだなあ。お嬢さん」
黒い笑みへと変わり、わたしの首へと手を伸ばされた。