コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(200) ( No.206 )
- 日時: 2015/05/24 22:50
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
9月1日・・・・
洛西学園の始業式はこの日だ。
僕の誕生月に差し掛かった。
9月24日が誕生日の人は僕だけじゃない。
瑠璃や麗魅、零や海斗がそうだ。
つまり、僕ら5人の誕生日が一緒なのだ。
僕は誕生日のことより体育祭のことで頭がいっぱいだった。
体育祭は9月12日にある。
体育祭でいったいどうなる結果になるんだろうか・・・・
女子は目も当てられない姿になるのだろうか・・・
そんな心配があった。
「どうしたんだよ、健太郎」
「ハッ!」
「お前らしくないぞ」
「そうかな・・・」
「何考えてたんだ?」
「ちょっと、体育祭のことをね」
「そうか、それはよかった」
僕は皆に心配かけたかなと思う。
だが、体育祭が近いのは分かってるけど、僕の誕生日がある。
いや、今は僕らの誕生日というべきか。
9月になるとカレンダーに×印をつけてカウントダウンをしてたんだよな・・・
ぼくらの誕生日は、もう近い。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(201)西京総合病院 ( No.207 )
- 日時: 2015/05/25 22:33
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
9月3日・・・
僕は相変わらず体育祭と誕生日のことで頭がいっぱいだった。
だが、そうでもない事態が起きてしまった。
それは19時25分ごろ・・・
LINEで唯が産気づいたという知らせが来たのだ。
出産予定日は22日だから、予定より19日早いことになる。
唯とはここ最近顔を見せてなかったな。
僕らは西京総合病院に駆けつけることになった。
19時40分ごろ・・・・
「しかしあいつ大丈夫かな・・・」
「10代の出産の場合、最悪の場合死産ということもありうるからね・・・」
「確かにそれも否定できないが・・・あいつのことだし、大丈夫だろう。今は無事であることを祈る。それしかできないな」
「そうかな・・・」
僕らは洛西学園都市を駆け抜けるのだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(202) ( No.208 )
- 日時: 2015/05/25 23:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
西京総合病院・・・・
19時37分についたころにはもう皆集まっていた。
その頃には唯の陣痛も強まってきた。
時間が経つにつれて強くなっていく陣痛。
そして待つこと36分後の20時13分・・・・・・
赤ちゃんが産声を上げた・・・・
これは命の誕生をも意味していた。
「おめでとうございます!かわいらしい女の子の双子です!」
「マジか・・・」
「すげえ・・・」
「信じられない・・・」
皆の言葉が安堵と喜びの色に染まる。
「よっしゃあ!」
「これで俺もお父さんになるのかな・・・・」
俊はもう夢見心地だ。
「よかったな。あっそうだ。名前。名前は何か考えているのかい?」
ハックは名前のことを出す。
「そうだな・・・凛と玲奈でどうかな?」
「どういうところからなってるんだ?」
「凛はいつまでも凛とした心を持って欲しいという願いと、玲奈は・・・」
「いったい何が由来なの!?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(203) ( No.209 )
- 日時: 2015/05/26 23:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は理由を訊いた。
「ああ、それはな・・・」
あれは9年前にさかのぼる。
彼らには普通に家族がいた。
僕ら同様・・・
だが、彼らの両親とはもう永遠に日常が続くことはもうかなわなくなってしまった事件が起きてしまった。
それは2005年の12月のクリスマス・・・
2人の両親が交通事故に巻き込まれてしまったのだ。
どうも向こうの運転手が飲酒運転をしていた事実があり、バカみたいに蛇行していて、それがたまたまあの車に衝突していたのだ。両親は子供たちに早く逃げるよう促し、自分たちはあの燃え盛る炎の中に消えて言ったのだ。
もうあんなことが起きて欲しくない。
この子達は絶対に守りぬく。
そんな中ですばらしい少女に育って欲しい。
だから玲奈と名づけたのだ。
「そうだったんだ・・・」
「家族と一生会えないなんてちょっとこれはきついな・・・」
「確かに・・・」
ハックと僕は目を合わせる。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(204) ( No.210 )
- 日時: 2015/05/26 23:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
親たちがいない環境の中、あいつらはよくがんばってきたと思う。
つらい事でも歯を食いしばって、崖っぷちでも踏ん張って、あんな2人を僕は尊敬している。
なぜなら僕はときどき戦いに迷い、悩み苦しむ、そんな弱い少年だからだ。
それだから決してひるまず、何があっても前へと進む、そんな2人のことを僕は9年間も尊敬し続けていた。
だから、僕はずっと彼らの未来に幸せが続くこと、笑顔が耐えないこと、輝ける未来に栄光の光が待ってること祈ってる。
その夜の23時ごろ・・・・
「そう、それはよかったね」
僕は今日あったことを澪に伝えた。
「確かに、10代の妊娠はリスクも結構あるし、平坦な道のりじゃないと思う。でも、それだから掴み取った幸せって意味がちゃんとしてるんじゃないかなって思うの」
「え?」
「だってそうじゃない?苦労しないでつかんだ幸せよりもいろいろあってつかんだ幸せのほうが価値があるじゃない」
「そうだな」
「でしょ?」
澪が笑顔を見せた。
澪の笑顔は、かわいらしいものだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(205) ( No.211 )
- 日時: 2015/05/27 21:23
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
9月6日・・・
僕は体育祭のチーム編成を確認した。
零はチーム編成のプリントを覗き込む。
洛西学園のチーム編成は6の聖獣のチームの色になっていてそのイメージカラーがそのチームのゼッケンの色になってるのだ。
中等部の3年のチーム編成はこんな感じだ。
3年1組は朱雀の赤。
3年2組は麒麟の黄色。
3年3組は白虎の白。
3年4組は玄武の黒。
3年5組は青竜の青。
3年6組は鳳凰の緑。
もっとも、鳳凰の緑はどこから来てるのかは知らないが。
ハックのクラス(中等部2年2組)も白虎の白と決定された。
ちなみに、ここでは縦割り式にチーム編成を行ってるわけだが、チーム決定は担任の先生がくじ引きをしてあたった色のチームになるというのが通例だ。
ちなみに方法はあみだくじ。
なぜか走らないがこれが洛西学園の伝統なのだという。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(206) ( No.212 )
- 日時: 2015/05/27 21:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
高等部3年生にとってはこれが最後の体育祭。
しかも、洛西学園には目玉競技がある。
それは、洛西マッチョマンという高等部の男子限定の競技だ。
ルールはただの障害物競走と同じだが侮るなかれ。
跳び箱は10段編成になってるわ、廊下はこの日のためにめちゃくちゃ狭くしてるわ、しかも全長6㎞という長さだからめちゃくちゃめんどくさい。
しかもほかの競技と並行してやるからいつ終わるのかも予想できないのだ。
だけどこれが醍醐味なのだ。
2000人が盛り上がることで洛西学園都市内では知らない人はいないほど有名なのだ。
だから9月の第2金曜日には大盛況するのだ。
これこそ洛西学園の体育祭なのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(207) ( No.213 )
- 日時: 2015/06/01 22:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はというと、あの体育祭実行委員の星空先輩と同じ白虎組になれたか気がかりだった。
すると・・・・・・
「ケン!星空先輩と同じ白虎組だってよ!」
「そう。なんだったらよかった。ところで、例の変態軍団はどのチームに入った?」
「全クラス玄武組だよ」
「そうか・・・今回はすごい戦いになりそうだな」
「そうだね」
「どうかしたの?」
「うん?誰かと思えば澪姉ちゃん」
「私もああいうの興味あったんだよね・・・」
「え?魔界にも体育祭あったのか?」
「そりゃそうよ。でも、人間界と違うのはかなりきつい内容だったかな」
「え・・・例えば?」
「そうね・・・灼熱の銅の棒引きとか?」
「絶対人間だったらやけどじゃすまないレベルだな」
「ほかにも火あぶりレースとか地獄のレースが多いけど・・・」
「うひゃあ。こんなレースが本当にあったらたまったもんじゃないな」
「そうでしょう。だけど、心なしか気合はいるのよ・・・・」
「何でなんだよ?」
「それはね・・・・」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(208) ( No.214 )
- 日時: 2015/06/01 22:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
翌日・・・
僕は9月の青空をかざしていた。
澪はというとウェディングドレスの雑誌をパラパラめくっていた。
「ああ、私もこんなの着るのかな・・・」
澪は自分のウェディングドレス姿を想像していた。
まあ胸元はきつそうだが。
「どうかしたの?」
「え?ちょっと、かわいいウェディングドレス特集があったから・・・」
「そうか、ホントかわいいな・・・あれ?」
「どうしたの?」
「あっ、ちょっとこのページの右側見てよ」
「え?」
「あいつ、僕の知人だよ」
「ああ、豊橋夏樹ちゃん?」
「そうそう・・・」
「どうしたの?」
「華凛、あいつだよ。昔の友達が雑誌に出てるんだよ」
「え?」
「やっぱり!夏樹だ!」
「あの泣き虫娘が・・・」
「こんなにきれいになっちゃって・・・・」
僕はまたしても知る由もない。
彼女が犯人に仕立て上げられる事件が起きるなんて。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(209) ( No.215 )
- 日時: 2015/06/02 21:44
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてそのころ、魔界では、ある計画が執行されていた。
それは、人の心の闇につけこみ、おぞましい殺人計画を行わせるということだ。
そのためにはまず、何かしら動機を持っている人でなければならない。
それを先天的な勘で見つけ出す25歳の長女。
刑事が10人束になってもかかってきてもびくともしない計画を立てる24歳の長男。
彼らを操ってるのはもちろん言うまでもない。
そう、大魔王なのだ。
大魔王はもちろん人間界侵略のためには何だってする男なのだ。
だが、ぬらりひょん一族に阻まれることが多い。
そのため、ぬらりひょんの一族(もちろん23代目である熊本健太郎も)を激しく憎んでいるのだ。
憎悪の念を向けているのは僕だけではない。
蘆屋道満の一族にもだ。
彼らは400年前、大魔王の計画をくじいたことで知られている。
その中心人物は16代目ぬらりひょんと17代目蘆屋家当主忠経である。
彼らとは深い因縁を持って対立してる。
その戦いの日は未だ遠いものの、いつかやってくるだろう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(210) ( No.216 )
- 日時: 2015/06/02 22:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
9月11日・・・
僕は朝は落ち着いていたものの、夜になると落ち着かなくなった。
「どうした?体育祭のことで落ちかなくなったのか?」
「う、そう見えるか?」
「ああ」
「実はというと、そうなんだ」
「そうか。あの変態軍団のルーツ、分かったみたいだって」
「え?」
「ケンのお父さんが、変態軍団の初代ボスだったんだよ」
しょ、初代ボス=僕の父さん?
「3代目生徒会会長・・・22代目ぬらりひょん・・・初代変態軍団のボス・・・・その3面性があったんだ」
おいおい、僕の父さん、3足のわらじを履いてたのかよ!?
「いや、それだけじゃなくテニス部の部長も兼任してたよ」
うそだろ、僕の父さんは4足のわらじもはいてたなんて・・・
「それだけじゃない・・・名前は『熊本貴久』」
間違いない!
あれは僕の父さんだ。
「しかも家族構成は・・・妹3人と姉3人の7人兄弟」
この家族関係間違いない!
僕の父さん、熊本貴久に違いない!
まあ事実、6人のいとこがいるからな・・・
「まあ、元は変態・・・いや、れっきとした紳士を育てるための組織だったんだがな・・・」
「いったい何があったんだよ?」
「4代目からその心意気が失われてしまって・・・」
「それで?」
「14代目の都城が中興の祖と呼ばれたんだけど・・・・」
「そうだったんだ・・・」
やっと、僕は変態軍団の素性を明かすことができた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(211) ( No.217 )
- 日時: 2015/06/03 23:20
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そして迎えた9月12日・・・
「あなたは・・・熊本健太郎君?」
「あ、いかにも、そうだけど・・・」
「ちょっと敬語使ってくれない?」
「え?」
「どういうことですか?」
ハックが訊く。
「私はね、れっきとした高校3年生なのよ!」
「え?マジかよ・・・」
僕は凝視する。
「人は見かけによらないって言うが、本当にそうなったな」
「熊本君!話聞いてるの?」
「いや、ぜんぜん聞いていませんでした」
「まったくこれだから洛西学園中等部の36期生は・・・わたしは『羽鷺佳奈』、生徒会役員の1人よ!」
な、何ですとぉぉぉぉ!!
「すいません、ケンはもとが鈍感なものなんで・・・・」
「あ、あなたは何年生なの?」
「あ、すいません。僕は青竜院雹。中等部の2年生です」
「熊本君って、中等部の3年生でしょ?何で先輩にため口なんか・・・」
「いいんです。あいつは特別付き合いありますんで」
「そう、それならいいけど」
そういって小さな少女、羽鷺先輩は去っていった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(212) ( No.218 )
- 日時: 2015/06/03 23:32
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「23代目・・・・僕は絶対継ぐ!」
「え?何かあった?」
「いや、なんでもない」
僕は、ぬらりひょん23代目を継ぐのだ。
誕生日である、9月24日に。
瑠璃も麗魅も零も例外じゃない。
何せ彼女たちも9月24日生まれなのだから。
「がんばりましょう、熊本さん?」
僕の事をそう呼ぶのは零しかいない。
「う、うん」
僕はちょっと顔を赤らめて答えた。
ついに所狭しと生徒たちが暴れまくる体育祭の開戦のゴングが鳴り響く。
3年3組のプレイヤーはざっとこんな感じだろう。
熊本健太郎 HP2100
阿蘇宮篤 HP2100
八代海斗 HP2100
青竜院零 HP1900
大分紗野 HP1800
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(212-1)(213) ( No.219 )
- 日時: 2015/06/07 23:39
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
注意事項 水俣君のやつ忘れてました!
水俣芳大 HP2100
体育祭の第一種目は・・・『100m走』。
霖が出場するんだよな。
ついに第2レース。
霖は料理好きなのは分かるのだが、果たして体育の実力は・・・・?
「よーい、ドン!!!」
空砲が鳴り響くとダッシュするメンバーたち。
霖は2位か・・・
でも1位との差は大きい。
第4、6、と2いう結果が続き、結果はというと・・・
なんと、1位は青竜だったのだ。
くそっ、幸先悪いスタートになっちまったな・・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(214) ( No.220 )
- 日時: 2015/06/08 22:23
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
前書き 今週は体育祭があったというわけで、11話編成でどうぞ。
第2種目は中学女子『デカパンリレー』から6種目目小学生・高校生『大玉ころがし』が終わって、白虎は青竜に負けている。(青竜251-白虎223)
さて第7種目、『ムカデ競争』が始まった。
この4人は身長差が25cm以上あるわけだけど、前はぜんぜん平気だと言うんで任せておこう。
さてこちらは朱雀。
「心のそこからムカデになりきるぞー!!」
「いいから早く足結ぶぞ!!」
まったく何やってんだか。
さて空砲が鳴り響く。
皆走りぬく。
玄武倒れた!
鳳凰までも、麒麟までもが!
今度は青竜!
後は朱雀と白虎の一騎打ち。
結果はというと・・・
ほぼ同時到着!
結果は・・・・・・
0.06秒差で白虎の勝利!!!
まったく、ひやひやさせる戦いやってくれるぜ。
白虎の皆湧き上がる。
朱雀はしょげる。
ハックが、
「いったい何なんだろうね・・・このギャップの違い」
僕もこのギャップの違いが分からなくなった。
残り9話
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(215) ( No.221 )
- 日時: 2015/06/08 22:39
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、第8種目中3『バンクボウリング』。
ちなみに、この体育祭は種目が多すぎるので、同時並行でやることが多い。
僕は体育館。
「まったく、何でここは同時並行で行わなきゃいけないのかな」
「仕方ないよ。ここは種目が多すぎるんだから」
駿と唯真がなだめる。
「そうなのか・・・」
さて、バンクボウリングが始まった。
1投目・・・
ボールが接触することなくピンへ・・・
ピンは黄色、赤色、青色、黒色と分けられてあって、それぞれ得点は50点、10点、5点、1点と分けられてある。
結果は・・・・黄1本赤6本青18本黒55本で255点だ!!
さて続く2投目もスペア狙いでいったんだけど・・・・
そう簡単にスペアは取れず、青11本黒39本で94点。
青竜はガーターが相次ぎ0点。
玄武は277点。
朱雀は300点。
鳳凰は112点。
麒麟は227点。
ってことは白虎が勝利・・・(351点)
やったーーーー!!!
僕らは玄武に大差で勝ったのだ。
ところで点はどうなったかな?
おっ、玄武578点に白虎716点!!!
こりゃいい調子だ。
残り8話
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(216) ( No.222 )
- 日時: 2015/06/08 23:02
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、『ジャングルビンゴ』・・・
出口が24あるのだがそのうちどれにつながるかは5階に着くまで分からない。
さて1箇所目は、11!
2箇所目は7,3箇所目は15,4箇所目は23と続く。
そして5箇所目。
ついに12が開いた。
つまり14が開けばビンゴ成功という意味になる。
でも6箇所目は9,7箇所目は21,8箇所目は5と開く。
でもやってくれたのは瑠璃と麗魅の双子姫だ。
9箇所目と10箇所目は同時開きで14・17が開いた。
つまりWビンゴ成功ということになる。
11箇所目は8,12箇所目は6,13箇所目は22と開いた。
残り時間は30秒しかない。
14番目には彩世の双子の姉『臼杵怜子』が10を開けた。
連続で3ビンゴだ!
3・・・2・・・1・・・0!!
結果は1位だ!!
玄武が続く。
何せこちらも3つ決めたんだから。
朱雀は1つのみという結果に。
どんどんペースが上がってるぞ。
残り7話
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(217) ( No.223 )
- 日時: 2015/06/09 22:17
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、プログラム11の『ポップコーンヒッター』。
ルールはフライパンステージ上に立ち、リズムに合わせて跳ねるボールをゴールゾーンに入れなきゃならない。
2人がかりだから、相当チームプレーが必要なんだ。
校長曰くここで点を取れないと負けてしまうかもしれないほどこの競技は重要な競技なんだとか言うほどすごい目玉なんだ。
さてさて、白虎の挑戦はといいますと。
2人ともリズムにはカラオケで大慣れしてるのかは想像に任せるけれど、リズムよくボールをゴールに運んでいってなんと225点!
玄武は最多の355点。
最小は鳳凰で110点という結果になった。
まったく何なんだこの戦い。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(218) ( No.224 )
- 日時: 2015/06/09 22:51
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、こちらはプログラム12『洛西マッチョマン』。
洛西マッチョマンは京都洛西学園都市1周の超厳しいアスレチックだ。
さてぼくらの代表は、高等部3年生は5組の『射手川潤』。
彼は身長215cm、体重122kg、しかも握力は脅威の77kgだから最強だ。
この最強の怪力でゴールを取って来い!
さて、13『ピンボールランナー』はというと・・・
望恵の的確な支持をマルシーが答えるという連携技で、なんと170点をマーク。
一方、朱雀はなかなか連携をとることができずに1個もかごに収めることなく勝負がついてしまった。
青竜はというと過去最多の210点をもぎ取り、優勝へ布石を進めたのだった。
残り5話
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(219) ( No.225 )
- 日時: 2015/06/11 22:25
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、プログラム14『パン食い競争』では。
逸塵と翔貴が決めてくれる。
身長的に考えれば翔貴があのメンバーの中でもっとも有利だ。
さてと、逸塵は逸塵で食欲的にも有利そうなんだがな・・・
洛西マッチョマンはといいますと・・・
11㎞もあるコースのうち4㎞完走している。
でも、きついのはいろいろある。
僕が通学中経験するあの心臓破りの坂。
しかもそれだけじゃない。
たとえば砂袋3kgを担いで500mは走ったり、バスケットボールを塀の向こうに投げ入れたり、いろいろな障害物のある障害物競走だ。
あっ、身長的に翔貴が有利だからって・・・あれ?
逸塵は大食い競争のように3個もパンを食べてるし!
しかも仁美は仁美でアフタヌーンティーを勧めてるし!
2人とも早くゴールしてー!!
というようなことはあったけど無事にゴールできた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(220) ( No.226 )
- 日時: 2015/06/11 22:37
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、プログラム15『デュアルカーリング』。
星空先輩がじきじきに出場する競技だ。
ルールはいたって簡単で、VS嵐のとまったく変わらない。
でも、違うところは、×2のストーンが2個あること。
これは大得点のチャンス!
とはいったものの、腰巾着の2人はストーンをはじき出しまくって道を開けていったものの、本人がなかなか入れられない。
というわけで結果は20pゾーンに×2のストーンを置けただけで210点。
玄武は川内の活躍で400点をもぎ取ってしまった。
なんかいやな空気がしてきた。
ここから玄武が逆転するかもしれないのに・・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(221) ( No.227 )
- 日時: 2015/06/11 22:57
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて洛西マッチョマンはというと・・・・
もう射手川先輩はもう8㎞地点で最強のスピードを保ったままダントツの1位をキープしている。
時計の時刻は12時25分。
白虎の玄武に対する連勝神話は17年間続いてるわけだけど、18年連続勝利となるだろうか?
そうそう、僕らは前半の15が終わったというわけで休憩に入ってる。
さてさて、どのチームが先に到着するのかな?
おっと、先に見えたのは白虎だ。
次は玄武。
いったいどっちが勝利するのかな?
玄武?白虎?玄武?白虎?
そんなことをしてるうちにゴール!
ほぼ同時着。
さて、審判の判定は・・・・
「ごめん、犬の世話しててみてなかった」
おい!!
まったくマイペースな審判だこと。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(222) ( No.228 )
- 日時: 2015/06/12 22:49
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
というわけで、映像判定に。
その結果は・・・
0.05秒の差で玄武の勝利。
この競技は後々の競技にいろいろ影響をもたらすんだ。
やる気が1位と最下位ではまったくと言ってもおかしくないほど違いができてしまうんだ。
玄武はこの後やる気が上がるだろうし、最下位だった朱雀はやる気が0になっちゃうんじゃないかな・・・
このプログラムが全終了したわけだし、今から食事タイムだ!
今日の僕の弁当はいなりずしがメインディッシュなんだ。
何せ今日は体育祭。
体育祭くらいはちょっとぐらいはご飯の種類変えたっていいよね?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(223) ( No.229 )
- 日時: 2015/06/12 23:36
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて午後の競技が始まった。
最初はプログラム16『タイムトライアル綱引き』。
そのルールは京阪の第1戦目KIRAMEKIと第2戦目AKOGAREの発車BGMにあわせて2人ずつ増やし、綱引きを行うのだ。
ここは阪急沿線なのに京阪のBGMが使われているのは、発車BGMをつなげると1曲のつながりになってるからだ。
僕は第1戦目の守口市のBGMで、第2戦目のBGMは中書島となってる。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(224) ( No.230 )
- 日時: 2015/06/16 22:16
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、綱引きが始まった。
淀屋橋駅でのBGMが流れると始まるのだ。
何しろ、始発駅だからな。
淀屋橋駅でのBGMが流れた。
このときの中学生3年はたったの4人だ。
滉人、唯真、怜子、侑李だ。
つぎのBGM、天満橋のBGMだ。
ここで入るのはマルシー。
この綱引きは1度BGMがなると1人ずつ増えていく仕組みになっていく。
さて、京橋のBGMがなった。
ここでは翔貴が入る。
次はいよいよ僕の番だ。
あとがき 時間短縮の都合上、最近文章が短くなっています。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(225) ( No.231 )
- 日時: 2015/06/16 22:30
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、京橋のBGMがなってから15秒後・・・
守口市のBGMがなった。
僕も綱に駆け寄る。
その15秒後・・・
篤の番だ。
篤は、萱島のBGMで綱引きに参加するのだ。
後は香里園で仁美。
枚方市で零。
樟葉で瑠璃。
八幡市で敏輝。
淀では芳大。
中書島で愛。
丹波橋で麗魅。
深草で紗野。
三条で明。
この順番で増えていくのだ。
これがなかなかすごくて応援も過熱するのだ。
香里園、枚方市、樟葉、八幡市、淀、中小島、丹波橋、深草、三条とBGMが鳴り終わり、メンバーが全員でそろった。
ここからが戦いになるのだ。
お詫び 223-L3 2人→1人
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(226) ( No.232 )
- 日時: 2015/06/16 22:44
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
お知らせ 更新が3週間分できたので、当面更新をお休みさせていただきます。次の更新は7月13日予定です。
さてさて、ついに戦いが始まった。
対戦相手は鳳凰。
向こうにはなんと・・・
高校3年生にして身長250cm、体重185kgと学園一最強の巨漢である、『坂崎直樹』がいる。
こりゃ軽く引っ張っただけでもこっちは引きずられてしまうね。
だけど、ここで負けるわけには行かないんだ。
何せ変態軍団のいる玄武に勝たなきゃいけないのだから。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(227) ( No.233 )
- 日時: 2015/07/14 15:52
- 名前: メカニッカー (ID: Oiud.vUl)
試合スタート!
うわわ、早速引きずられている僕ら。
まあ、相手がそうなんだから仕方ないけどここで負けるわけにはいかないんだ。
そうなんだけど、なぜかこっちが引きずっている?
どう言うことだ?
ってあっ!!!
あいつ食欲に負けて買い食いしてる。
これじゃ勝負にならないよね。
なんかスッキリしない後味の悪い勝ち方になってしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(228) ( No.234 )
- 日時: 2015/07/14 22:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、こちらは玄武。
玄武は青竜に勝利。
第2戦は・・・
青竜が玄武に勝ったけれど、時間差・・・つまり勝利までの時間で玄武の勝利。
麒麟VS朱雀は朱雀の圧勝。
白虎VS鳳凰も白虎の圧勝に終わった。
続く2回戦は・・・
玄武VS鳳凰。
玄武はこれまた麒麟に勝利。
麒麟は図体がでかく、腕力も相当ありそうなのに、なぜか敗北。
それも麒麟団長は変態軍団の前幹部であったのだ。
おいおい、なぜにこいつが麒麟団長やってるんだ?
ついに決勝戦が始まった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(229) ( No.235 )
- 日時: 2015/07/15 22:47
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
玄武と白虎の対戦が始まった。
「おい、熊本。友達だからって手加減しないぜ?」
「分かってるさ。だけどこっちだって負けないぞ」
「ふん!俺らの団結力は最強中の最強だ」
「そりゃ僕らだって負けやしないよ」
「ふふん。面白くなったな。さあ、勝負だ!」
「僕らだって手加減なしで行くぞ!!」
僕らは戦いの炎を撒き散らせていた。
「Ready・・・・・・・・・・Go!!!!」
タイムトライアル綱引き決勝戦が始まった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(230) ( No.236 )
- 日時: 2015/07/15 22:55
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
綱引きで全てのBGMがなり終わった。
玄武と白虎の綱引きはデッドヒートを超えていた。
一進一退のつばぜり合いを繰り返してるうちに22分の長い時間が経っていた。
開始から25分・・・
綱引きは始めて動いた。
それぞれ1人ずつ脱落していったのだ。
また1人、また1人と脱落していき、ついに残ったのは川内と熊本になってしまった。
本気の1対1のマジの戦い。
もう誰も予想のできない結末。
いったい勝利するのはどっちなんだ!?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(231) ( No.237 )
- 日時: 2015/07/16 22:40
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
開始37分後・・・・
「いつの間にか俺とお前になったな・・・」
川内が言い出した。
「・・・ああ」
「だが、俺はここで負けるわけには行かないんだよ・・・」
「これは僕だってそうだ」
「ここで全部けりをつけよう」
「そうだな・・・」
皆は固唾を呑んでこの戦いを見守るしかない。
開始から40分・・・
勝負はついた。
次回予告 ついに勝負がついたタイムトライアル綱引き。
勝者はどっち!?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(232) ( No.238 )
- 日時: 2015/07/22 22:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
40分間の激闘を制したのは・・・
白虎だった!!
「おいおい・・・僕・・・本気で勝ったのかよ・・・」
「ああ・・・悔しいが俺の負けだ・・・・」
珍しい。
あんな負けず嫌いの川内が潔く負けを認めるなんて・・・
「成長したな」
どうも大学生らしい男性が川内に声をかけた。
「え?」
「あなたは・・・」
ハックと僕はまさかと思って名前を尋ねた。
「俺は都城久熊。よろしく。君が熊本健太郎君だね」
「はい・・・いかにもそうですけど・・・」
「ボス・・・なんでここに」
川内は訊く。
「お前もたくましい紳士になったな」
「え?」
「君はこのタイムトライアル綱引きで負けず嫌いな気持ちを捨てて謙虚に負けを認めた・・・そう、お前は謙虚でたくましい気持ちを持ったんだ」
「うう・・・」
川内の目には涙がたまっていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(233) ( No.239 )
- 日時: 2015/07/22 22:18
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「あら、ひーくん。奈々」
「お姉ちゃん」
「え?もしかして・・・あなたは・・・」
ハックが訊くと、
「私が星空仁美よ。そういうあなたは?」
「僕?僕は青竜院雹だけど・・・」
「雹?聞いたことのない名前だなぁ」
「まあ僕は遠いところから来たんだけど・・・いろいろなわけあってここに住んでるんだ。よろしく」
ハックは握手をした。
「それから・・・あなたが熊本健太郎君?」
「はい。僕は熊本健太郎ですが・・・・」
「やはりうわさどおりの少年ね」
「へ?」
「うわさどおりの正直で正義感の強い少年だって聞いたけど・・・本当のようね」
「・・・・」
僕は何もいえない。
その言葉よりも、川内の涙が僕の心に響いたんだから。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(234) ( No.240 )
- 日時: 2015/07/23 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は結果発表を待たずしてないはずの展開の渦中にいた。
「熊本君」
「はい」
「川内を・・・これからもよろしく頼む」
「・・・・・・はい」
「都城先輩・・・」
気づけば奈々も僕も何も言葉を発せなくなっていた。
白虎団のもとへ帰ると・・・
「熊本君マジすごいよ!」
「ぎりぎりの戦いしてくれるぜ」
「おめでとう!!」
どうもこの1対1の本気の戦いは僕の勝ちに終わったようだ。
奈々も疲れ果てた様子だった。
「やりましたね、委員長!」
「これであいつらの鼻を明かせたな!」
「いいや・・・私は本気の闘いをさせてくれた川内君に感謝したい」
「え??」
「だっていろいろな戦いを見てきたけどここまで興奮させてくれてしかも本気でぶつかった戦いはもう経験できなさそうだもの」
「・・・・そうかな・・・・」
「そうよ!」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(235) ( No.241 )
- 日時: 2015/07/23 22:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は戦いの後・・・・
京都市宇治川のほとり、伏見区淀の河川敷に佇んでいた。
「熊本」
「ん?」
「すまなかった」
「どうして」
「俺たち変態すぎて女子に痴漢だなって思われることやってばかりだったよな」
「そうか。それでどうした」
「でも、ボスに再会してよく分かったよ」
「何を?」
「俺たちは紳士であれる事さ」
「・・・」
「だから、俺のこと、悪友じゃなくて親友だって認めてくれないか?」
「当然よ!」
僕はいつの間にかこぶしを交わしていた。
その僕らと宇治川の水を夕日が照らしていた。
この煌きは美しいものだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(236) ( No.242 )
- 日時: 2015/07/27 22:16
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
9月になっても京都の蒸し暑さは続く。
そんな後半に僕の誕生日がある。
体育祭では3位に入賞できて、まあよしとしたのだけれど、9月24日は僕の誕生日なのだ。
普通は家族が祝ってくれるんだけど、僕は違う。
僕は2年前から1人暮らしを始めてるので誕生日を祝ってくれるのは同級生かそこらだ。
だけど今年はこの2年間とはどうやら違う誕生日を迎えそうだ。
なんか今年はとことんにぎやかな誕生日になりそうだな。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(237) ( No.243 )
- 日時: 2015/07/27 22:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「この9月24日は僕だけじゃない・・・麗魅・瑠璃たちにとっての15歳の誕生日か・・・しかも人間界で迎える初めての誕生日・・・・なんだよな」
「おい、カレンダーを見てどうした?」
しずくが後ろに突っ立っていた。
「え!?雫!!何でここに!?」
「9月24日は零の誕生日だからな・・・・」
「そうか・・・・」
「だろう?お前らは祝われるのか・・・年に1度の誕生日だし、本気だそうか」
「・・・・・・・そりゃそうだな」
もうこいつの本気は誰にも止められそうにもない。
「どうかした?」
霙がこの部屋を訪れた。
「ん?それは・・・ぼくらの誕生日が近づいてきてるから・・・」
「零の誕生日なのか?」
「ん?まあそうだけど・・・」
「そうか熊本、あんたも9月24日誕生日のようだな?」
え?
何で知ってるの?
「そりゃいやでも、分かるさ。雫兄貴が本気出すのは誕生日以外考えられっこないから・・・」
「・・・・」
そういうことなんだ・・・
「というわけであたしも手伝おうか?ああなったら誰も雫兄貴を止められやできないからな・・・当然ハックにもな」
あの常識人であるハックでも止められない!?
相当本気出すと僕だろうが絶対無理だな。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(238) ( No.244 )
- 日時: 2015/07/29 22:05
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
9月の16日・・・
僕らの誕生日の準備が始まった。
僕らには15歳の誕生日だ。
ハックも僕の目をまじまじと見る。
もうこれはどうすると問いかけてるようだ。
どうも処置なしと対応したいけれど、それが表現できないのが残念なんだよな。
あと残り8日。
僕の誕生日は近い。
皆にLINEで報告しようかな・・・・
ってあ、もう皆知ってるはずだよな。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(239) ( No.245 )
- 日時: 2015/07/29 22:13
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕の誕生日は前々から話したように9月24日だってことは話したよね。
でもその日は双子姫、瑠璃・麗魅の誕生日であるのだ。
9月16日の19時・・・
まあ皆知ってるはずなんだから僕らは僕の家で待機することにした。
せっかくのサプライズを邪魔したらしゃれにならないでしょ?
だから僕らは9月24日まで待機するんだ。
後の皆飾りつくりやプレゼント購入をするんだ。
料理は9月24日を待たなきゃいけないんだけどな。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(240) ( No.246 )
- 日時: 2015/07/30 22:23
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
9月18日・・・
僕は相変わらず京都市の洛西学園都市で生活してる。
さて、洛西学園都市について皆に説明しよう。
京都市西京区・長岡京市・向日市という3つの町にまたがってある学園都市だ。
その中心となってる学校は洛西学園という総合学園だ。
この学校は阪急京都線洛西口駅から徒歩25分くらいのあたりにある。
ここから阪急を使おうがJRを使おうが京都市街にすぐ出られる。
この町は阪急沿線で最大規模の学園都市なんだ。
しかもここからだとJRを使えば大阪市や神戸市・滋賀県に出られる交通の便がよいところなんだ。
だからここ15年人口が多くなってるんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(241) ( No.247 )
- 日時: 2015/08/03 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
前書き 今回はフランスの歴史の人物が登場します!!
さて、1431年5月23日・・・
「わたしは・・このまま火あぶりにされる運命なのでしょうか・・・?」
ある19歳の少女が死への恐怖の中に打ちひしがれていた。
この少女はジャンヌ・ダルク。
オルレアン解放に一役買った少女なのだ。
けれども異端者とされて今は冷たい牢獄の中にいる。
「そんなことはない」
「マリア様?」
「あなたは21世紀の日本という場所に行きなさい」
「え?私が・・・どうして日本へ・・・?」
「その国の京都の町にいる熊本健太郎君と一緒に過ごしなさい」
「熊本健太郎?その人って誰なんですか!?」
「さあ、会ってみれば分かりますよ」
「ちょっと・・・きゃああああ!!!」
少女はブラックホールの中へと消えた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(242) ( No.248 )
- 日時: 2015/08/03 22:16
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてこちらは2014年9月22日・・・
熊本健太郎は夕涼みに鴨川のほとりをぶらぶら歩いていた。
すると・・・・
「きゃああああああ!!!!」
バッシャアアアアン!!!
1人の少女が鴨川に突っ込んだ。
「おいおい、大丈夫かよ!?」
その1人の少女を鴨川から引き上げた。
容姿はちょうど佐野ひなこ金髪にした感じの女の子だった。
「あ・・・あなたは・・・?」
「僕?僕は熊本健太郎だけど・・・」
「やっぱり!!あなたが熊本健太郎君ね!?」
「はい?」
僕は急に見知らぬ少女に手をつかまれてびっくりした。
「わたしはジャンヌ・ダルク。皆からはジャンヌって呼ばれてるの。よろしく」
「・・・ジャンヌ・・・ダルク・・・・ってえええええええ!!!????」
僕は15世紀の人間であるジャンヌ・ダルクがなぜこの21世紀の京都にいるのかがさっぱり分からなくなってしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(243) ( No.249 )
- 日時: 2015/08/04 22:29
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「どうして!?どうして君はこの21世紀に!?」
「わたしは・・・えっと・・・神のお告げなんですよ」
「はい・・・?」
「わたしは・・・火あぶりの刑を受けることになって生きる希望を失ってました。しかし神のお告げ・・・いや、マリア様のお告げによってわたしは21世紀の日本に行ってあなたとともに・・・」
「そうか・・・・君は聖母マリアのお告げによってこの21世紀に行ってほしいっていったんだな。でも、何で21世紀の日本に行くよう命じたんだろう?」
「さあね・・・でも、これだけはいえると思います」
彼女には笑顔で生きていて欲しい。
聖母マリアの思いを感じ取った。
彼女への純粋な愛がよく分かるような気がしてきた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(244) ( No.250 )
- 日時: 2015/08/04 22:38
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その晩・・・
僕はジャンヌを連れて帰宅した。
かわいらしい女の子を目の当たりにした篤。
「いったい何があったんだよ!?」
「それが・・・鴨川のほとりをぶらぶら歩いてたら・・・この女の子が鴨川に・・・」
「それ本当!?」
篤は半信半疑でジャンヌの頬をつねる。
「痛っ!」
ジャンヌがかわいらしい悲鳴を上げた。
「やっぱり・・・本当だったんだ・・・・・・」
「うん」
「でも親が心配してるんじゃないの?」
「もう遠くにいて会えなくなってる」
「会えなくなった?」
「そういうことなの・・・・」
「まあ仕方ない。ちょうどここから2部屋離れた801号室が空いてるよ。ここに住んでったらどうだ?」
「はい・・・ありがとうございます」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(245) ( No.251 )
- 日時: 2015/08/05 22:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そして迎えし9月24日・・・
16時30分、僕は机の上の置手紙を見つけた。
その置手紙を読むと、こう書いてあった。
『18時30分、804号室に来て』
それだけだった。
あと、2時間もある。
その間ゆっくり遠回りして帰るとしよう。
さて、皆は準備の最終段階に向かっていた。
瑠璃はもう先に帰っているけれど805号室で待機してる。
当然、麗魅もだ。
18時30分から誕生日パーティーがある。
サプライズのある18時30分まで後1時間44分。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(246) ( No.252 )
- 日時: 2015/08/17 22:10
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕らの誕生日・・・9月24日17時45分・・・・
サプライズまで1時間をきった。
僕も帰宅ではなく待機することにした。
「遅いよ、今までどこほっつき歩いてたの?」
「ごめんごめん50分以上このあたりを回ってきただけだよ」
「そう、じゃあ許す」
麗魅も半分呆れ顔で許してくれた。
僕はやっぱり不器用だな・・・・
「サプライズか・・・どんなことになるんだろう・・・・」
「分からないわよ・・・」
「まあ楽しみよね」
「そうですよね」
「サプライズを待とうか・・・」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(247) ( No.253 )
- 日時: 2015/08/17 22:20
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてついにやってきた18時29分・・・・
804号室のドアの前・・・・
「いよいよだな・・・」
「なんか楽しみ」
「早く開けたいですけど・・・まだ我慢します」
「そうしておこう」
18時30分。
瑠璃がドアを開けた。
中は真っ暗だ。
仕方ないので照明をつける。
パン!パン!!
クラッカーが鳴り響く。
「お誕生日おめでとう!!!」
皆のお祝いの言葉が充満した。
そうか・・・
この置手紙はこういうことだったんだ・・・
麗魅はもう嬉しさのあまり泣き出してしまってる。
料理はローストチキンやらハンバーグやらステーキやらいろいろずらりと並んでいる。
まさに豪邸の食事かなんかだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(248) ( No.254 )
- 日時: 2015/08/17 22:29
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ちなみにこの料理は霖と澪の2人がかりで作ったものだ。
それに2人でこんな料理を作り上げるなんてすごいな。
何せ、大勢で祝う誕生日なんだから。
18時38分・・・
やばい!
僕の誕生日も5時間半もない。
「さ、そろそろ食べようか」
「そ、そうだね」
雪もいわれるがままの返事をした。
中央のケーキは直径70cmくらいはありそうだ。
こんなにでかいケーキは過去に見たこともない。
「ケーキのろうそくをさすよ」
霊が15を模ったろうそくをさした。
霄も9/24を模ったろうそくをさす。
「すごいすごい!誕生日らしくなった感じがする!!!」
「そうだな」
「それじゃあ・・・いっただきまーす!!」
「いっただきまーす!!!!!!!」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(249) ( No.255 )
- 日時: 2015/08/18 22:41
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
19時、残り時間5時間。
皆あれほどあった筈の大量の食事が8割ほどなくなった。
「ここまで減ったんだし、ケーキのろうそくに火でもつけない?」
霊が突然言い出す。
「え?まだ食事が残ってるよ?」
霖が驚く。
「そうだよ、ケーキは最後でいいのに・・・」
「でもろうそくの火だけならいいじゃない」
「そこまで言うのなら、仕方ないな」
ろうそくの火がともった瞬間、消灯した。
霙がどこかで買ってきたマイクロフォンを手にする。
「はい、ついにやってきてまいりました熊本・姫さん・零の誕生日です!さあ、ろうそくの火を消してください!!」
ふーっ。
ろうそくの火が消えたのを確認すると電気がついた。
するとなんと霙は蝶ネクタイ姿になってる!?
いったいどういうことなんだ?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(250) ( No.256 )
- 日時: 2015/08/18 22:46
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「あの・・・」
「霙姉上・・・それは・・・?」
「これ?これからスーパーメドレーをしようと思ってね・・・だから用意したんだよ」
霙はぬけぬけとした口調で答える。
「そうだったんだ」
ハックがノートパソコンを立ち上げる。
ノートパソコンの動画の項・・・スーパーメドレーの項をクリックする。
するとシアターモードでテレビがついた。
これからテレビでスーパーメドレーが放送されるんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(251) ( No.257 )
- 日時: 2015/08/19 22:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
19時10分。
ハックが編集したMV動画が再生し始めた。
プログラム編成はHey!Say!Jump!から始まって嵐、AKB48、Flumpool、西野カナ、E-girls、EXILE、3代目J-soul brothers、関ジャニ∞、Kis-my-Ft2などのようなアーティストのMVのメドレーとなっている。
その間に15分おきに誕生日プレゼントが渡される予定なんだ。
19時15分、まずは澪だ。
「熊本君、いい誕生日迎えられておめでとう。これ、私からのプレゼント」
中に入っていたのはHey!Say!Jump!のシングルCDだ。
瑠璃のは桜の髪留め。
季節はずれのような感じがあるけど気にしないほうがいい。
麗魅のはブレスレッド。
しかも宝石つきだ。
結構お金使ったんだな。
零のは香水。
しかも瓶のデザインがかわいい!
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(252) ( No.258 )
- 日時: 2015/08/19 22:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
19時30分。
2番目は篤・翔貴・芳大だ。
「誕生日おめでとうな」
そういわれて受け取ったのは全員同じ緑のCDラジオだ。
緑とはいっても緑青色なのが特徴なんだ。
19時45分。
滉人・光平からのプレゼントはスマホケース。
僕のは青。
瑠璃と麗魅はどちらも橙色。
零のは緑。
早速すごいプレゼントをもらった僕らであった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(253) ( No.259 )
- 日時: 2015/08/26 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
19時51分・・・・
僕らは誕生日を楽しんでいる。
そう、9月24日という日を。
僕は過去にこんなに多くのプレゼントをもらったことがあるだろうか?
いや、ないだろう。
「熊本、お前って本当に羨ましい男だな」
「何がさ?」
「そりゃこんなに多くの女の子に祝ってもらえるんだからな」
「え?その中には悪魔もいるんだよ?」
「いいや、悪魔だろうが人間だろうが、女は女なんだよ」
「・・・」
「そうじゃないのか?」
「そうじゃないと言ったら嘘になるだろう」
「当たり前じゃないか」
「そうだな・・・・・・」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(254) ( No.260 )
- 日時: 2015/08/26 22:16
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
20時・・・・
ハックと霞と霄のプレゼント。
「これが僕たちからのプレゼントだよ」
すごいラッピングだ。
中も豪勢だと思ったんだが、案の定3DSのカセットが10枚分も入っていた。
6万近くもするようなやつを買ってくれたんだなと思うと嬉しくなってきた。
20時4分。
誕生日ケーキが雪にきれいに切り分けられた。
24等分ってことになるからすごい。
20時8分、ケーキが皆の皿に乗せられた。
でも、21時30分に食べる予定なのにいいのかな?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(255) ( No.261 )
- 日時: 2015/08/27 22:13
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
20時10分。
僕は誕生日パーティーを楽しんでいる。
霙は僕を急に呼び出して1階のエントランスに連れ出した。
「こんなところへ連れ出してどうすんだよ?」
「空を見上げれば分かるって」
「上?」
そこには、9月の星空が浮かんでいた。
少し季節はずれだとは思うが夏の大三角。
西の空にはさそり座。
秋の大四辺形。
南のうお座のフォーマルハウトが光る。
星空だったんだ。
「お前に見せてやれるのはこれしかないかなと思ったんだよ」
「これしかない?どういうことなんだよ?」
「こういうの気に入ってくれるかなって思ったんだよ」
「気に入ったよ」
「・・・・・・よかった」
霙はふっとつぶやいた。
「え?」
「なんでもない」
そういうと霙はマンションの中に駆け込んだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(256) ( No.262 )
- 日時: 2015/08/27 22:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
20時16分。
僕は霙の言われるがまま星空を眺めていた。
確かにきれいだ。
この満天の星空を僕は見たことがあるだろうか。
いや恐らくないだろう。
秋はこれといって明るい星空がないから寂しいかもしれないけれど、僕はこの星空が大好きなんだ。
ああ、もう7分くらい眺めている。
もっと眺めていたいけれど、9月とはいえ夜は寒いかもしれないし、皆心配してるだろうから家へ戻ろう。
僕はこんな幸せで嬉しい気分になったことは初めてだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(257) ( No.263 )
- 日時: 2015/08/27 22:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
20時24分。
皆がいる家へ戻った。
「何やってたんだ?こんな遅くに」
霄がにらみつける。
「夜の星空を見上げていたんだよ」
「ふうん、人間界の星空とはそんなに美しいのか?」
「ま、まあな」
そうか、彼ら彼女たちは魔界生まれ魔界育ちだから人間界の星空なんて見たことないんだったな。
霙は別として。
え?
空はベランダへ向かっていく姿が見えた。
まさか、夜の星空を眺めに?
しかもうちわを持って?
あいつもなかなか風流なことをするな。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(258) ( No.264 )
- 日時: 2015/08/28 22:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
21時30分・・・
楽しい誕生日も終わりを迎える。
ケーキが残っている。
霖がケーキを切り分け皆の目の前に切り分けたケーキを置く。
皆は膨れたお腹をさすりながらゆっくりそのケーキを口に運んだ。
おいしい!
でも、何なんだ?
このつらいと思う感情は?
おいしいのに苦しいという感情は何なんだ?
僕は楽しい9月24日を過ごした。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(259) ( No.265 )
- 日時: 2015/08/28 22:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
9月27日・・・
修学旅行の3週間前。
今回の修学旅行はなんと福島。
会津若松・いわきといった地域をめぐることになっている。
会津若松で福島の歴史に触れ、桧枝岐でのファームステイ、いわきでのフラガール。
といったすばらしいプログラムとなっている。
でも、僕は知らなかった。
まさか、この楽しい修学旅行が大魔王によって捻じ曲げられることを。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(260) ( No.266 )
- 日時: 2015/09/01 22:13
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
洛西学園都市・・・・
京都では最大級の衛星都市だ。
この町には昔、都が存在していた。
長岡京だ。
784年、桓武天皇は僧侶たちの勢力の強い平城京(奈良市)から遷都をしようと思った。
この都市は甲子の年に当たり、遷都にはちょうどいい年だった。
しかし、工事責任者だった藤原種継が暗殺された。
しかもこの事件に弟の早良親王も関わっていたといううわさも広まり、彼は流罪になった。
早良親王は最期の時まで無実を訴え続け、死んでいった。
それからというもの長岡京の工事は遅々として進まず、しかも飢饉やら伝染病やらで天変地異が発生していた。
その結果、794年に平安京(京都市街)に改めて遷都した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(261) ( No.267 )
- 日時: 2015/09/01 22:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それから1868年までの1000年以上の長きにわたり、平安京は日本の中心としての役割を果たすようになる。
北には玄武(船岡山・鞍馬山)、東には青竜(鴨川)、南には朱雀(小椋池)、西には白虎(山陰道)が鎮座している四神相応の地である。
しかし、面積があまりにも広すぎて右京はそれほど宅地化は進行しなかった。
鎌倉幕府や江戸幕府の設立によって行政府としての機能は神奈川県鎌倉市、東京23区といった地域に移るようになったが、それでも今日とは日本の首都であり続けた。
そして、1868年に東京(江戸)に首都機能も移ることになった。
現在の京都市は山科や淀、嵯峨、京北といった地域にも広がっている。
現在の人口は146万9千人と政令指定都市として定められていて、11区でできている。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(262) ( No.268 )
- 日時: 2015/09/01 22:47
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
京都市には、螺旋の結界というものが存在している。
これは、淀殿の没した1615年(元和元年)に蘆屋一族によってできた結界である。
滋賀県大津市にある比叡山延暦寺から始まり、左京区の慈照寺、伏見区の伏見稲荷大社、西京区にある桂離宮、右京区の竜安寺、東山区の清水寺、下京区の西本願寺、北区の鹿苑寺、上京区の相国寺、中京区の二条城で終わる結界である。
この結界は400年は持つといわれ、強いものだ。
けれども、普通の妖怪はこの結界の栓に触れられないので、唯一人間としての体を持つ九尾の狐しか破れない。
その結界の寿命ももうすぐここまで来ている。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(263) ( No.269 )
- 日時: 2015/09/03 22:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ぬらりひょんの一族はもともと、岡山県沿岸部を中心に暗躍していた妖怪だ。
その隆盛の基礎を齎したのは15代目で、日本各地を旅する過程で仲間と出会い、百鬼夜行の地盤を固めた。
16代目のときに有名な事件が起きる。
大阪夏の陣の3ヶ月前のことだ。
大阪・京都を中心に暗躍していた京都妖怪があった。
その中枢が九尾の狐だった。
安倍晴明も封印にてこずったといわれるほどの強い妖気を持っていた妖怪だ。
そんな彼女を、16代目は倒した。
あの剣を以って。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(264) ( No.270 )
- 日時: 2015/09/03 22:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、それからはというと岡山市を中心に人間と妖怪の共生の道を歩むことになった。
それから7世代経って大きな悲劇があったが天才も生まれた。
20代目の暗殺。
22代目貴久は名将で、武術の達人だった。
そんな中でも一番大きな出来事といえることは18代目のときだ。
その代に当たる1688年、京都に入ったのだ。
京都に入るというのはこの時代、とても光栄なことで皆喜んだが、岡山との別れも惜しんだというほどだった。
こうして今、23代目健太郎の時代が始まるのである。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(265) ( No.271 )
- 日時: 2015/09/09 22:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
あの剣は、16世紀に安倍晴明の一族が作ったとされる由緒ある剣だ。
安倍一族はこの時代、蘆屋一族と合同するようになり、現在の蘆屋一族の血には、安倍一族の血も流れている。
これは安倍一族の女子が、蘆屋一族の男子に嫁いだから起きたことなんだ。
けれども狐の呪いは強く、この一族は嫡男、つまり長男が早世してしまうという呪いが会った。
だから傍流から実力あるものを当主に据えて現在まで至っている。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(266) ( No.272 )
- 日時: 2015/09/09 22:14
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、そんな渦中に星空奈々は1996年10月13日、星空家の次女として生を受けた。
妖刀作成のエキスパートは陰陽師が1000人いても1人いるかいないかだったが、彼女はいたって優秀で、齢3歳で最初の妖刀を作成した。
また、彼女は信心深く心優しい性格で、人格者とし謳われていた。
そんな中、13にして二条城を任され、次期当主としての期待を一身に集めることとなる。
しかし・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(267) ( No.273 )
- 日時: 2015/09/09 22:21
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
去年、驚くべきうわさが出てきた。
「本家の熊本杏香が破軍を召喚したぞ!!」
「・・・・!!」
「そ、それじゃあ、熊本杏香が次期当主と言うことなのか!?」
「うそだろ?」
「しかし、17代目が示した才ある者とは、破軍が使えるものということではないか。何しろ破軍なしでは九尾の狐は倒せないのだから・・・」
それ以降、彼女の虚無は増大していく。
「あれから1年、杏香はまだ子供、私には最強の槍がある。最強の術もある。私が九尾の狐を封じればいいのよ、破軍が使えなくてもね・・・」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(268) ( No.274 )
- 日時: 2015/09/11 22:17
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、誕生日も終わった9月29日。
学校もいつものように始まり、中間テストの日も迫っている。
今回はあの天才組、3年6組との勝負が控えている。
3年6組には学校内で有名な5人の天才がいる。
国語最強で生徒会の書記、天才詩人の『佐賀敦也』。
理科最強で中学の科学部部長の『唐津翔』。
数学最強の天才科学少女『佐世保亜里沙』。
英語最強で帰国子女の『松浦直美』。
社会最強で弁護士の息子『鹿島俊太郎』。
彼らは天才とされ、『五英傑』と呼ばれて恐れられている。
僕らは彼らに果たして勝てるのだろうか。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(269) ( No.275 )
- 日時: 2015/09/11 22:21
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
彼ら五英傑もまた、杏香を快く思っていないメンバーである。
もともと、彼らの推薦があって、星空奈々は二条城の守護者となれたのだ。
彼らはいわば彼女の側近みたいな存在だ。
しかし、熊本杏香が破軍を召喚したとなると、次期当主は当然杏香になる。
そうなると彼らにとっては厳しい。
中学1年の子供に先を越されたと焦るばかり。
けれども、彼女には最強の妖刀、最強の術を備えている以上、破軍は必要ないとした。
そう、自分たちが仕留める。
そういう覚悟を持って。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(270) ( No.276 )
- 日時: 2015/09/11 22:33
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて3年3組も最強はいないわけではない。
国語最強で僕の幼馴染の『松橋宏和』。
数学最強でサッカー部の長崎光平。
理科最強で吹奏楽部部長で雪女のDNAを受け継ぐ『千歳菜々子』。
英語最強で最大の戦力、宇佐美晴海。
そして地歴最強、23代目ぬらりひょんを襲名する予定の僕、熊本健太郎。
だけれど心配なのは加賀の弦殺師、阿蘇宮篤だ。
あいつは授業もあまり出席してないし、保健室登校が多いから、気がかりなのだ。
だから、僕らが先生の代わりに教えてやっているわけなんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(271) ( No.277 )
- 日時: 2015/09/14 22:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて僕はというと、京都府京都市伏見区中書島・・・
ここには宇治川が流れている。
僕はそのほとりで少し考え事をしていた。
僕に果たして23代目は務まるのだろうか?
果たして九尾の狐とはいったい何者なんだ?
あいつの宿願とはいったい何なんだ?
果たして僕はそいつに勝つことができるのか?
そんなことばかり考えていた。
でも、ここで考えたって始まらない。
全部やってみなくちゃわからないんだから。
全て行動しないと分からないんだから。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(272) ( No.278 )
- 日時: 2015/09/14 22:13
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、雪にもうれしい知らせができた。
それは、彼女の新たなる武器ができたことだ。
これはあまり魔力を必要としない代わりに、1つの重要なことを学ばなければいけないものだ。
それは、医学や医術。
この新たなる武器は『手術刀』と呼ばれるもので、医療の知識が必要とされる業物だ。
でも、雪はまだ12歳。
医療や医術、医学に関してはまったくの無知だ。
だから、彼女はその武器が届くなり医療や医術の参考書を片っ端から読み漁る気でいるのだ。
手術等にはホルモンを自由に操作できる力も備わっている。
ゆえに、雪が使いこなせれば、雪はもはや人体改造のエンジニアと同等の実力を持つようになれるのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(273) ( No.279 )
- 日時: 2015/09/15 22:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてさて、雪の手術刀と同様、医療の知識が必要なものがある。
それが、手術の力だ。
まあ、これはワンピースの悪魔の果実はこの世にはないから、DNAが覚醒したものしか使えないのだけれど。
でも、これには世界を揺るがす最強の力を宿しているんだ。
そう、普通の手術然り、人格移植手術然り。
この最大の手術は・・・
なんと、人を不老不死にさせるという最強で禁忌の不老手術というものだ。
けれど、これを終えた瞬間その能力者は命を落とすというハイリスク・ハイリターンの手術なんだ。
まあ、僕らはそういうものは持っていないんだけれど。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(274) ( No.280 )
- 日時: 2015/09/15 22:24
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
最初に 最近物語から逸脱して説明文となっていますが、こちらもよろしくお願いします。
手術刀には、もう1つの力が眠っている。
それは、ホルモン操作の力だ。
性別からテンション・成長までいろいろなホルモンを操作できるのだ。
まあ、男を女にできるし、その逆もできるというものだ。
雪が使いこなすということは、まさに人体改造のスキルを身につけるということと同じようなものなんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(275) ( No.281 )
- 日時: 2015/09/16 22:24
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
はじめに 本編へ戻ります!
さてさて、9月29日・・・
大阪府高槻市・・・
高槻駅前にある小さな喫茶店で僕は勉強をしていた。
この喫茶店は7年前から何か考え事をしたり勉強をしようと思ったときに行く所だ。
たとえ五英傑でも僕の居場所と癖を知らない限り、ここまでは追いかけて来れまい。
けれど、僕はあいつらの行動パターンなんかお見通しなんだよね。
だってあいつらは僕が見つからないとき、いつもと言ってもおかしくないほど長岡天神駅に集合するんだよね。
さてと、今日の勉強は終えたわけだし、そろそろ帰ろう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(276) ( No.282 )
- 日時: 2015/09/24 22:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はいつもそういう遠出は時々するようなやつなんだ。
中2の夏休みのときは神戸三宮。
冬休みは奈良。
これまで使ったのはJRや私鉄くらい。
けれど、今年はどうやらそう簡単に遠出ができないようなんだ。
大魔王の脅威が今年に入ってからというもの蠢きはじめているのだから。
けれど僕はあのことを聞き出しに行かねばならない。
いったいあの時、何があったのか。
さっぱり僕はあの時は分からない。
けど、あの花が散る時期に・・・
あの黄色い花が散るときに確かに殺されていたのだ。
それはいったい誰だったんだろう・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(277) ( No.283 )
- 日時: 2015/09/24 22:38
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕の学校生活が始まった。
けれども、僕には授業のことなんか耳に入ってこなくなりそうな気さえしてしまいそうだった。
大魔王が人間界へいつ侵攻するのか分からない。
もしかしたら明日かもしれないし、はたまた10年先のことになるかもしれないし・・・
けれど、大魔王の宿願は人間界をも支配すること。
そんなこと知ったら、大女神がどんなに怒るんだろうか・・・・
僕はそんなことばかりで頭がいっぱいだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(278) ( No.284 )
- 日時: 2015/09/25 22:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、スーパーアイドル・静岡環奈は橋本環奈と改名して、改めてアイドルとしての成長を始めた。
けれど、マネージャーになぜか遺産相続の話が持ち上がった。
僕も呼んだことのある人気作品、ロシア人形殺人事件の作者のミステリー作家・山岡和夫の別荘を舞台に書いた本の中にはこんな句がある。
「人間には誰にも悟られたくない心の闇があり、その闇を偽善という仮面で隠している」
彼は10日前に病死し、数十億円という遺産を残した。
その素顔を知るものは、誰もいやしない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(279) ( No.285 )
- 日時: 2015/09/25 22:18
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
大阪市梅田のある喫茶店・・・
環奈の曽祖父はかのスーパー名探偵だとか。
「じゃあ読むよ」
「分かった」
「どんな内容なんだ?」
「遺産相続・・・」
「この山岡和夫さんって言う人がこの間亡くなってね・・・マネージャーが相続人として選ばれたのよ」
「マジか!!」
篤が驚く。
「しかも・・それが何十億もあって・・・(笑)」
「ええ!!??10桁も!??」
僕も驚いた。
まさか何十億の遺産があるなんて。
「彼は隣人として家族同然の付き合いで、あの人、身よりもいなかったから、遺産をってもわるくないんだよ」
「相続人が、5人もいるんだろ?」
「そう。それにゲームがあって、制限時間内に長野県の軽井沢の別荘で暗号を解きなさいってやつ」
「どんな暗号?」
「どうかしたんですか?」
零と怜子、華凛が急に声をかけた。
「それがね・・・」
これまでの経緯を説明した。
「面白そうだな。やってみようか」
「そう、それはよかった」
僕も行くことになった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(280) ( No.286 )
- 日時: 2015/09/25 22:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、長野県軽井沢町・・・
「ようこそ静岡様」
「どうも熊本です」
「橋本です」
「阿蘇宮です」
ここは携帯の電源を入れての持込は禁止だから、シャットダウンしていくことになってる。
「よう、静岡」
「もしかして、ミステリー評論家の名古屋先生じゃないですか」
「君がまさか助っ人?」
「いや、環奈が助っ人さんで、僕らは単に付き合ってきただけで・・・」
「環奈?こんなクールでかわいい天使が?」
「そうですけど、あの探偵のそう孫でIQが175もある天才アイドルなんすよ」
「へえ、そいつは驚いた」
「ほへ?」
「そんな人と謎解き合戦できて光栄だよ」
「あなたは・・・?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(281) ( No.287 )
- 日時: 2015/09/27 22:35
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「僕は『犬養裕也』。僕も山之内先生の隣人で皆さん同様家族ぐるみの付き合いでね・・・どういうわけか遺産相続候補者となったのでよろしく」
「犬養・・・ああ、この間の窃盗事件の犯人を暴いたお手柄大学生か!」
「でもこの状況・・・あの山岡先生が書かれたミステリー小説と同様の状況だなんて興奮します!」
「ふん!高々近所窃盗事件を解決した程度でいい気になるな!」
「何よあいつ・・・いやな人」
「しかも酔いすぎているのなぁ」
「それも最近あの人の原稿が20年前よりきれなくなってるって話も聞きましたけど・・・」
「確かにね。最近彼らしくないって言うか・・・・」
「離婚が応えたんじゃない?それも身から出たさびだけど」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(282) ( No.288 )
- 日時: 2015/09/27 22:43
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「あー!誰かと思えばあの死者の砂時計で有名の・・・」
「まさか、倉沢先生?」
「え?ここに来たのはあなたも、遺産相続候補?」
「その辺かしらね。山岡先生は私の師匠みたいなものだから・・・遺産なんかいらなくたって稼ぎだけで食べていけるっつーの」
「彼女一発屋で・・・」
「一発屋?どういうことです?」
「あの作品が大ヒットした後、後が続かなくなって・・・あれ最近盗作じゃないかってうわさもあって・・・」
「あ。そういうのネットで見たことがある」
「しかも最近交通事故やらかして。賠償金とかなんかで・・・」
「橋本さん?ひそひそ話はやめてくれる?事務所の社長に言いつけるわよ?」
「何でもありません・・・」
「あんたのマネージャーの『宇都井和哉』だって、株で大借金背負っちゃたしねぇ」
「うっ・・・・」
言うんじゃなかったと後悔する環奈。
すると・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(283) ( No.289 )
- 日時: 2015/09/28 22:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「いや!放してください名古屋先生!」
「どうしたんだね及川くん、君の背じゃ届かんだろう」
「だ、大丈夫です!私1人でも取れますって!」
及川美緒というメイドさんが相当嫌そうに抵抗している。
「あらら・・・ずいぶん酔っ払ってますね・・・」
「あれ、環奈は?」
「そういえば、見かけないな」
「いいじゃないか及川くん・・・さあ・・・」
「あっ」
僕は声を迂闊にも声を出してしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(294) ( No.290 )
- 日時: 2015/09/30 22:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
けたたましい音ともにボトルが割れてしまった。
環奈が身を乗り出して
「すいません・・・名古屋先生にボトルを取って差し上げましょうと思ったんですけど・・・つい手が・・・」
丁寧そうに謝ればいいってもんじゃないよ。
あのバカ。
そう思ってたんだけれど、新手がやってきた。
どうも彼女は『天野瑞樹』といって絵本の挿絵を描いているんだとか。
え?
誰なんだ?
あの仮面をかぶった男は。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(295) ( No.291 )
- 日時: 2015/10/01 22:42
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「あの・・なんで・・・仮面を・・・」
零が腫れ物にでも触るような雰囲気で尋ねた。
「これは手品のときに傷ができて・・・・」
仮面の人物が答えた。
「そうですか・・・」
零は納得したのか、それ以上は訊かなかった。
けれど、いったい何者なんだ?
僕には後々それが疑問として残ることになった。
けれど、これで役者はそろった。
いったい誰が遺産を相続できるのかを僕らは見守ることになる。
暗号の内容はこうだ。
5体の人形は朝礼の順に首を刈られた。
これは頭文字を取れということだが、いったいどう並び替えるんだ?
数合わせは2番目の頭を5番目の頭の横に並べてごらん。
2番目と5番目は誰なんだ?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(296) ( No.292 )
- 日時: 2015/10/17 05:41
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、彼ら5人はそれぞれ指定された楽器を持って相続ゲームをすることになる。
名古屋はイワン(Ivan)のコントラバスか。
犬養はコンスタンチン(Constanuine)の第一バイオリン。
倉沢はターニャ(Tanya)の第二バイオリンだな。
それから、宇都井はエミール(Emil)のチェロだ。
天野はオリガ(Oliga)のビオラ。
暗号からすると、まさか今回の事件のターゲット?
そう考えるのもバカバカしい。
そんなわけで遺産相続ゲームが始まった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(297) ( No.293 )
- 日時: 2015/10/17 05:52
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、夜の22時35分・・・
名古屋が人形のある部屋に忍び込んだ。
「山岡先生、あんたの遺産は俺がいただくぜ」
あの暗号からすると、ヒントは人形の身長にあるに違いない。
彼はメジャーを手にした。
まずIvanは20cm、Emilは30cm、TanyaとOligaは40cm、Konstanuineは50cm。
あれ?
人形がちょっと湿っぽい。
これはどういうことだろう?
彼は考え込んでいるうちに何者かが鈍器らしいもので頭を殴られた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(298) ( No.294 )
- 日時: 2015/10/17 05:59
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて45分前、僕は部屋に寝転がっていた。
なぜ山岡先生はこんな遺産相続ゲームをけしかけたんだ?
どうしてなんだ?
21時55分・・・
鐘の音が聞こえてきた。
嘘だろう?
もう22時になったのかよ。
でも腕時計にな21:55と表示されている。
これはいったい何があったんだ?
そんな僕はこの40分後に惨劇が起きたことを知る由もない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(299) ( No.295 )
- 日時: 2015/10/17 06:08
- 名前: メカニッカーv2 (ID: YvSbEZ.f)
翌朝、僕らは朝食に集合した。
あれ?
名古屋がいない。
彼は集合時間になっても来なかった。
いったい何があったんだ?
それを突き止めるべく僕は部屋の前に立った。
「名古屋先生、起きて下さいよ。いつまで寝ているんですか?」
ドアは鍵がかかってない。
・・・!
これは!
名古屋先生の首なしの遺体が風呂場に浮かんでいた。
同じく浮かんでいるのはIvanの人形だ。
なんでIvanの人形を浮かべたんだ?これが事件のヒントとなるんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(290) ( No.296 )
- 日時: 2015/10/18 22:13
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
注意 294〜299話は284〜289話として読んでください。
Ivanの人形を拾い上げた僕は、疑問に感じた。
何でこんなのが風呂場にあったんだ?
「まさかこれって・・・見立て殺人?」
環奈が急につぶやいた。
「見立て?」
「ある現象とかになぞらえて殺人をするあれですか」
「これは、あの暗号か」
暗号といえば確か、285話で書かれてあった暗号が思い浮かんだ。
「まさかそんな。ミステリー小説じゃあるまいし、見立て殺人なんて・・・」
「いや、ありえなくはないよ」
僕が遮った。
「彼の言うとおりですよ。あの山岡先生の書記の小説『ロシア人形殺人事件』の内容・・・」
「確か、あの小説じゃ5人がロシア人形に見立てられた遺体となって発見され、最後は真犯人である『Conductor』しかいなくなる・・・っていうものだったな」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(291) ( No.297 )
- 日時: 2015/10/18 22:23
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「Conductor?何それ?」
「殺人という名の協奏曲を奏でる指揮者らしき人間かな」
「おい待てよ・・・」
宇都井が動揺する。
「宇都井さん?」
「次に殺されるのって・・・Emil・・・俺じゃないか!」
「ちょっと僕、ほかの人形がどこ行ったか確かめてくる」
零と僕はあの人形があった場所へ引き返すと・・・
「あれ?」
「人形が・・・全部持ってかれてます」
「そんな・・・」
環奈はこの事件の闇を感じているようだった。
弁護士らしき人がIvanの人形を持ってきた。
「一体何考えてるんですか!」
「人1人殺されたって時にまだ遺産ゲームを続けるつもりかよ」
零が怒鳴った。
篤もこれには憤りを隠せない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(292) ( No.298 )
- 日時: 2015/10/19 22:16
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「でもこれは山岡先生の暗号の1つですし・・・なるべく元通りにしておくべきかと。それに、迎えが来る5日後の朝まで続行するよう支持されてますのでいずれにせよ迎えが来るまでここにとどまるべきかと」
「そうよね。ここまで来てあきらめるわけにはいくもんですか」
部屋の中・・・
「何だよあいつら・・・」
「人1人殺されてもゲームは続けるんだ・・・」
「最悪です」
「確かに・・・誰も死んで欲しくはないものだよね」
「もちろんです」
「でもあいつら・・・生活かかってるからな・・・」
僕は憤りを隠せないが押し殺すことしかできない。
「みんな、今日は鍵をかけて誰が来ても迂闊に開けないでね」
「分かったよ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(293) ( No.299 )
- 日時: 2015/10/20 22:14
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「ちょっと、それどういうこと!?」
倉沢が動揺する。
「分かってるとは思いましょうが、ここは下界からは凍った湖で切り離されて、大規模な密室になりました。外から犯人が来たとは考えられないんです」
「つまり、犯人Conductorはこの中にいるってわけだよな」
「そう」
さて宇都井は自分の部屋の鍵を閉めた。
「さて、これでよしと」
彼だって遺産は欲しい。
でも命を取られたりしたら何の意味もない。
それにあの見立てが本当だったら次は自分の番。
なぜかは知らないけど急に睡魔が襲ってきた。
彼はこの後、殺されてしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(294) ( No.300 )
- 日時: 2015/10/20 22:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
翌朝・・・・
「うわ〜、朝だっていうのになんかだるい」
「篤もだよ」
「私たちもどうしてか体が重たい・・・」
「おかしいですよね・・・みんな体がだるいなんて」
さて、僕らがロビーに赴くと・・・
環奈が体をこわばらせていた。
「に、人形が、増えてる・・・?」
あれは・・・
チェロのEmilだ!
宇都井さん?
「あの、宇都井さん、これっていっ・・・」
宇都井は倒れた。
そう、もう死んでしまってるんだ。
いや、殺されてしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(295) ( No.301 )
- 日時: 2015/10/26 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、ついに起きてしまった2件目。
もう、トリオとなってしまった。
やっぱり、あれは見立て殺人だったみたいだ!
「でもいったい鍵をかけた筈なのにどうしてマネージャーは・・・」
でも、部屋を調べると、下部分に隠し扉があった。
人間1人くらいが入れそうな大きさだ。
「じゃあ、鍵をかけたとしても、犯人に入られてしまうじゃないですか!」
零は信じられない様子で叫ぶ。
「それで、長年出入りしていた執事さんは、こんなものがあったなんて知ってたんですか?」
「いいえ」
「ここってもしかしたら・・・」
「そうですね。もともとホテルだったらしいですが、オーナーが有名なマジシャンだった。そうですよね?平井さん」
「はい。そうだったと山岡先生から聞いております」
平井執事が答える。
「じゃあ、ほかの部屋にもあるって事じゃ・・・」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(296) ( No.302 )
- 日時: 2015/10/26 22:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「おいおい、だとしたら皆の部屋にも・・・」
「ジョーゼフさん、私の部屋も見てくださらない?」
「分かりました。皆さんの部屋も念のため、調べておきましょう」
まずは天野さんの部屋。
クローゼットの中には隠し階段があった。
それはワイン蔵へ続いてあった。
あれ、ワインだ。
しかも1955年物とか1975年物。
結構古いんだな。
「ちょっと、飲まないでくださいよ」
「分かってるって。ちょっと見てただけだよ」
それにしてもすごい財産だな。
倉沢さんのところには隠し金庫。
犬養さんのところにはアンティークのドレス。
零の部屋には何もなさそうだけど・・・鏡にしては妙だ。
マジックミラー?
後の皆の部屋はどうなってるんだろう。
環奈と僕のはとりあえず自分で調べておく。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(297) ( No.303 )
- 日時: 2015/10/26 22:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
及川さんのところにはのぞき穴がある。
向こうには山岡先生の部屋があったという。
後の執事・平井と弁護士・高尾は何もない。
皆鍵を閉めれば大丈夫みたいだ。
キーストッカーは警備が厳重な様子。
しかも、あの紐は強い繊維で簡単には切れない。
でも、弁護士には大きな利益が転がり込むけど、皆怪しそう。
当然、僕もだ。
そんなわけで、ジョーゼフが預けることにした。
何か嫌な予感がする。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(298) ( No.304 )
- 日時: 2015/10/27 22:54
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
環奈と僕は考えていた。
どうして犯人は暗号の筋書きに見立てて2人を殺害したのか。
そして5体の人形のうち3体はどこいったのか。
「あのスマホの写真見せて」
でも、ヴィオラとヴァイオリンって確か似た大きさだけど・・・
いったいどうして同じなんだろう。
けどどっちが大きいのかな・・・
「ヴィオラのほうよ」
「え?」
天野さんが立っていた。
ヴィオラは65〜66cmで、ヴァイオリンは60cm、チェロは120cm、コントラバスは200cmとのこと。
ヴィオラはヴァイオリンよりは低いけど安定していて、ドラマの助演のような役割ということだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(299) ( No.305 )
- 日時: 2015/10/28 18:39
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、天野さんは昔山岡先生から挿絵の依頼を受けたのだけど、たまに自己主張したいのかわからないけど、トリックの答えに気づいてしまい、それを挿絵に表現してしまった。
もちろん、読者からはブーイングを受けてしまった。
でも当の本人は笑って許してくれた。
けど、それはどうだろうか。
殺したいほど憎んでいたのかもしれない。
あの覗き穴は、人格者としての仮面だったのかもしれない。
本当は執念深く陰湿、そして好色な男だったのかもしれないな。
まあ、当の本人は死んでいて、わからないけど。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(300) ( No.306 )
- 日時: 2015/10/28 18:49
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
人間という生物は心の中には闇が存在していて、いつ、何かしでかすかなんてわからないものなんだ。
そう、彼女も・・・・
天野さんは髪の裏の顔を見せた。
うわっ、すごい火傷じゃないか。
これは3ヶ月ほど前、ホテルの火災の時負ってしまった。
弟は一酸化炭素中毒で意識不明の重体で今も入院している。
だから彼女は遺産が欲しいのだ。
どんな手段を使ってでも・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(301) ( No.307 )
- 日時: 2015/10/28 19:02
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その晩、僕は環奈と部屋の中で考え込んでいた。
やっぱり、背の低い順かな?
でも同じ高さの人形が2体もあったらどうしようもなさそうだ。
でも、僕は殺人鬼より怖いものがある。
山岡先生は遺産相続ゲームにかこつけて殺人を起こさせているとしたら。
そんなこと、考えただけでもぞっとする。
人間には心の闇が存在していて、それを仮面で隠している。
でも、僕はそれは仕方ないと思う。
だって僕も仮面をかぶっているさ。
本当の自分晒してばかりじゃ恥ずかしくってやってられないじゃないか。
それに、いい仮面をかぶっていたらそれは悪いことじゃない。
僕はそう思う。
考え事してたらいつの間に夜が更けていった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(302) ( No.308 )
- 日時: 2015/10/29 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、夜もふけた2時・・・
急に眠気がしてきた。
いったいどうして・・・
なぜなんだ・・・?
そう考えているうちに僕と環奈は寝込んでしまった。
さて、そのころ、犯人らしき人物がOligaの人形を置いた。
ヴィオラの音も消えた。
天野さんも寝入ってしまった。
そして・・・
紐で犯人は彼女を絞殺した。
「なぜ・・・あなたが・・・・・」
なぜあいつに殺されるかの理由も分からないまま死んでいった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(303) ( No.309 )
- 日時: 2015/10/29 22:14
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
前書き 気づけばもう1年以上。参照も2200近くまで行きました。本当にありがとうございます!
翌朝・・・
「熊本さん!もういい加減起きてくださいよ!」
零が揺さぶって僕らを起こした。
「どうしたの?零?」
「それが・・・天野さんが・・・・」
部屋の前に立つと天野さんが応じていないようだ。
鍵はジョーゼフが持ってるはず。
鍵を開けるとそこには・・・
天野さんの死体が転がっていた。
ここは3階。
窓から出入りできない。
まさか今のは密室殺人!?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(304) ( No.310 )
- 日時: 2015/10/29 22:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ロビーにて・・・
「完全な密室ね・・・でもどうかしら。たとえば針金で窓の隙間から・・・」
「私も窓周りは調べたんだけど、それらしいものはまったくなかったよ」
「やっぱり密室だったのかよ」
「いいえ。1人いるじゃないですか。針金なんてちゃちなトリックも使いもしないでやれる人物が。キーストッカーを管理していた人物・・・」
ジョーゼフ?
おいおい、あいつの部屋も封鎖されて・・・
でも、抜け道はないっていうのは証言が根拠だったよな・・・
「そう、この中で抜け道がないっていったのは彼自身で誰も確認してはいません。それに、ほかにも証拠はあります。2日目に宇都井さん殺害時、皆だるさを感じたでしょ?それが彼が仕込んだ睡眠薬だとしたら?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(305) ( No.311 )
- 日時: 2015/11/02 22:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「え?まさか・・・」
「そのとき、皆眠たくなったでしょ?」
「まあ、そうっちゃそうだけど」
「でも、篤は飲まなかったよ。っていうかココア飲み忘れちゃった」
おいおい。
「その後、眠くなりませんでしたか?」
「いや、深夜の1時ごろ、レンジで暖めて飲んで部屋へ戻ったら・・・」
「でしょう?それは偶然じゃなかったんです。しかも、阿蘇宮君同様ココアに砂糖を入れなかったのがただ1人・・・」
やっぱり、ジョーゼフさん!?
「ちょっと、どうなんですか?」
僕は尋ねざるを得ない。
「それはどうかな?」
?
環奈が急に言葉を返した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(306) ( No.312 )
- 日時: 2015/11/02 22:22
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「確かに、ココアの砂糖に、睡眠薬が入ってたのも無理ないとは思うんだけど。皆あのときの食事を飲食もしてた。でもさ、それを口に含まないようにできる手もあるんじゃない?」
え?
そんなことできるのかよ。
「ハハハ、何いってるんだ。そんなこと、できるわけ・・・」
「簡単よ」
篤はココアを入れた。
「でも入れるのって・・・なんだ?」
「唐辛子よ」
おいおいおい、そいつまさか、本当入れて飲むのかよ!?
って、篤がちで飲んでるし。
そいつはちとやばいんじゃ・・・
え・・・
「え?辛くない!魔法みたいだ!」
「僕にも飲ませて。本当だ。辛味なんか感じない」
どうして唐辛子入れても辛くもなんともないんだ?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(307) ( No.313 )
- 日時: 2015/11/02 22:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「簡単なことよ。ほら、ココアって牛乳から作るでしょ。だから時間が経つと表面に膜ができちゃうんだよね。これ、案外丈夫なものでね。ほら、さじ1杯くらいなら包み込んじゃうってわけ」
そうか・・・
だからあの時辛くもなかったわけか。
「しかし、君が言ったトリックを使ったという証拠はないじゃないか!」
「そうね。でもさ、密室まで作った狡猾な犯人が篤君が見てる中で堂々と砂糖を入れると思う?」
確かに、これじゃ犯人だって告白するようなものだ。
けど、何でジョーゼフさんはあの時うそついたのかな?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜 ( No.314 )
- 日時: 2015/11/03 00:39
- 名前: せあら (ID: UgGJOVu5)
えーっと、見にくいです。
記事が多いので、遡って見るのが大変です。
目次を作ってはいかがでしょうか。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(308) ( No.315 )
- 日時: 2015/11/04 22:20
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
>>314
せあらさんご指摘ありがとうございます!この件についてはおいおい改善したいと思いますので待っててください。
「あのー・・・なんであの時、うそをついたんですか?」
僕と篤はわけが聞きたくてたずねた。
「うそ?」
「ほら、あの時あなた言ったでしょ?外から進入できないって」
まさかあのうそが密室トリックにつながることも考えられてしまうからね。
「わたしはうそなんかついてませんよ」
「え?どういうことなんだよそれ?」
僕にはわけが分からなくなってしまった。
「私の部屋には確かに抜け道はありました。しかしそれは外へのためであって外からは不可能ということです」
ますますわけが分からなくなっちゃった。
「そんなの、ただの屁理屈じゃないか!」
犬養さんも食って掛かる。
でも、ここはあきらめるべきだろう。
「あきらめましょう。こんなことで議論したって始まりません」
「・・・っ」
犬養さんは悔しそうに部屋を出て行った。
もうデュオ。
次が殺されればもうおしまいだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(309) ( No.316 )
- 日時: 2015/11/04 22:35
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
でも、何で1度人形を持ち去って、1人被害者が死んでいくごとに戻していったんだ?
単なる見立て殺人じゃ説明できないし・・・
ゴーン・・・
ゴーン・・・
鐘の音が聞こえた。
もう11時か。
あれ、待って。
あの時確か、21時55分に鐘がなっていた。
あの大時計が21時55分の時には22時になっていた?
最上階へ行ってみた。
お!
ここにははしごがあって、ここを伝って行けば時計にたどり着くぞ!
もしかしたらあそこにあるはずだ。
調節用の歯車が!
そんなわけで歯車の元へ行ってみることにした。
風は弱いけど、慎重にいかねばならない。
下にたどり着いたら扉がある。
そこだ!
でも、何のために5分ずらして元に戻したんだろう?
目次1 せあらさんのご指摘を受け、1学期がどこからどこまでを示しておきます。
>>1->>75
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(310) ( No.317 )
- 日時: 2015/11/04 22:58
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
やっぱり、アリバイのため?
でも、第1の事件のときの皆のアリバイはあやふやだ。
何せ死亡推定時刻も分からないから。
第2の事件のときはどうだろう。
あの時は深夜24時。
皆寝てしまっているころだろう。
絶対アリバイなんて作れるわけない。
すると・・・
ぽつぽつ・・・
雫?
もしかして・・・雨?
悠長に考えてたら風邪を引いてしまう。
いったん撤収しよう。
そんなわけで戻った。
「熊本さん、お風呂にでも入って、着替えましょうよ。ほんとに風引いちゃいますよ」
「分かったから・・・え?」
あの時も・・・確か、雨降っていたよな。
じゃあ・・・
目次2 夏休みはどこからどこかも示しておきます。
>>75->>205
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(311) ( No.318 )
- 日時: 2015/11/05 22:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は環奈に耳打ちした。
「ああそうか、だから犯人はあの暗号文に沿って人形を現場に置いたんだ!」
スマホの写真を見るとやはりTanyaとOligaの人形は服装は違うけど同じ大きさだ。
あっ、確かヴィオラって、バイオリンよりは一回り大きかったっけ。
確か、人形の楽器は全て20cm。
バイオリンは60cm、KonstantinとTanyaはそれぞれ50㎝と40㎝。
ヴィオラは65㎝、Oligaは40㎝。
チェロは120㎝、Emilは180㎝。
コントラバスは200㎝、Ivanは20㎝。
そういう感じだったな。
じゃあまさか・・・
ノートにまとめると・・・
そういうことだったんだ!
暗号の解が分かった!
遺書のありかが分かった!
後は殺人のパートだが・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(312) ( No.319 )
- 日時: 2015/11/09 22:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
密室に関してはまだ謎が残っているんだけど、犯人は予想がついた。
スマホの画像で確かめておこう。
全員の部屋の画像を一通り見てみたが、これで十分分かった。
犯人は、あいつだな。
でも、やっぱり密室がまだ分からないこともある。
マスターキーは外すには結構難しい。
堅固そうなマスターキーだった。
でも・・・いったいどうやって取り外せたんだ?
僕が分からないうちにまた次の被害者が出てしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(313) ( No.320 )
- 日時: 2015/11/11 22:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
あーあ。
紐がゴムみたいに伸びたらいいのに・・・
切ったら後はどうつなげりゃいいんだ?
もしかして・・・
そうだったんだ。
だからあいつがすぐ看破できるわけだ。
ここはパズルの館。
もう、間違いない!
そうだ、やっておくべきことがあるな。
え?
ジョーゼフ?
もう、謎を解いてしまったのか?
その夜・・・
キャーッ!!
1人の悲鳴が聞こえた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(314) ( No.321 )
- 日時: 2015/11/12 22:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
現場に着てみれば、なんと倉沢先生の生首があった。
零もさすがに見てられないような顔をした。
「うぅ・・・」
これは・・・
もう彼にとっては犯人が分かったようなものだ。
「今度は何事ですか!」
「く、倉沢先生・・・」
「ついにソロとなったか・・・」
「そうでしょう?犬養さん?」
「!?」
え?
「やっと分かりましたよ。犯人『Conductor』の正体が」
「何ですって!?」
彼女の服についているのは・・・まさか!
「犬の毛ですよ」
しかも、彼の家の犬だとしたら納得行く。
けど・・・
あの推理はなんだったんだ?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(315) ( No.322 )
- 日時: 2015/11/12 22:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「そうですよね、犬養君?」
まあ、彼の家のことだ。
数匹か犬は飼っていたはずだ。
「飼い犬の毛は、飼い主が気づかないうちにこびりつくものですしね」
確かにそうだけど・・・
僕は犬に触ったことがないから分からない。
もしかしたらもみ合ってるうちにいつの間にか犬の毛が付着したんだろうな。
「ち、違う!犬の毛なんかで犯人だなんて決め付けないでくれ!!」
「そうだよ。それくらいの証拠で犯人扱いだなんてそんなこと・・・分からないのに・・・」
「何よりの証拠は君が生きていることです」
「じゃあ、倉沢先生が死んじゃった今、遺産相続候補は・・・彼1人・・・」
「そういうことです」
後は暗号を解き、遺書を読めば、彼に遺産が転がり込むってわけか。
もっともらしいね。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜 ( No.323 )
- 日時: 2015/11/13 09:05
- 名前: どあら (ID: /dOKRqFx)
Kさんノ太陽ノ奇跡夜ノ無かった土曜日13年8月と11年5月7月8pm月ノ超ミカ月
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(316) ( No.324 )
- 日時: 2015/11/15 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
くっ、この賭けは環奈の負けか・・・
でも、賭けといえば・・・
そういやジョーゼフに勝てばConductorは法の審判を受けることになり、負ければ・・・
ジョーゼフの裁きをくらう事になるだろうな・・・
はっ!
そんなこと考えてる暇はなかった!
彼はマジで殺されるという運命。
いったいどうすれば助けてやれるんだろうか・・・
いや、無理に違いない。
まあ、奇術まがいのトリックができそうな人は彼しかいないだろう。
そうやって罪を着せようとしたって考えられるからな。
あっ・・・
逃げる犬養さんをジョーゼフはナイフで一突き。
「・・・」
「そんな・・・」
「Conductorは死んでしまったのか・・・」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(317) ( No.325 )
- 日時: 2015/11/16 22:06
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
犬養さんに駆け寄ろうとした。
けど、ジョーゼフ・・・いや、殺人経験の持ち主、ジェームズ・スミスは僕にナイフを向けた。
くそっ、これ以上近づけば僕もこのナイフで命を奪われる。
「今は止しましょう」
零が僕を制止する。
気持ちは分かるけど・・・
怜子が叫ぶ。
「早く、皆逃げよう!」
僕も仕方なく引き下がることになった。
これで遺産相続者はいなくなってしまった。
ロビーにバリケードを作って封鎖した。
けど、まさかこんな結末になってしまうなんてね・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(318) ( No.326 )
- 日時: 2015/11/16 22:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
遺産相続候補者は全員死んでしまった。
いったい誰の仕業なんだ?
やっぱり、ジェームズ・スミスの仕業か?
これまでの人殺しは何件にも及んでいる。
やっぱり、寄付という形で終わるのか?
でも、あとゲームセットまで49時間。
僕はとりあえず犬養さんの部屋の中を調べた。
すると、残りのTanyaとKonstantinが見つかった。
やっぱり、犬養さんが犯人なのかよ。
その翌日、22時15分・・・
及川さんはこのパズルの謎を解き、遺書を探し当てた。
しかし、この遺書は予想もできない内容だったことを知らずに・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(320) ( No.327 )
- 日時: 2015/11/17 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「読み上げます。第2の遺書のありかを・・・」
「・・・」
僕らは固唾を呑んで見守っていた。
「突き止めた人間こそが・・・わが遺産をめぐる連続殺人事件の真犯人、Conductorである・・・山岡・・・なんだって?」
「うそでしょ!?それは偽者です!きっと誰かが摩り替えたに決まってます!」
及川さんは狼狽した。
「そうだよ」
僕は答えた。
「僕が持ってたのが本物だ。先に暗号の謎といて摩り替えちゃった」
「先に・・・暗号を?」
「うん。ご覧ください。この5体のロシア人形は楽器はばらばらなのになぜか一緒の大きさなの」
「そういや、20㎝だったな」
「これは人形がもってる楽器とあわせたとき、ちゃんとした答えが出てくるんだよね」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(320) ( No.328 )
- 日時: 2015/11/24 22:10
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
怜子が答える。
「この暗号・・・朝礼の順に首を刈られたっていう仕組みにね」
「首は人形の頭文字だけど・・・小さい順に並べておく必要があるんだ」
零が反論する。
「待ってくださいよ。私だってそれは考えたんですけどそれじゃ、I,E,O,T,Kってなって、何がなんだか分からなくなっちゃいますよ」
「いいや、そうやって単に並べるんじゃなしに、その前に元の人間の大きさに直す必要があるんだよ」
「元の・・・大きさ?」
「うん。持ってる楽器の比率だよ」
「私やってみる」
怜子が黒ペンでホワイトボードに書き込む。
「まず、Tanyaだけど、持ってるバイオリンは20㎝に対し、本物は60㎝。だから比率は1:3。Tanyaの人形は40㎝だから本当は120㎝になるわけね」
「そういうことだ」
これなら数学の得意な怜子には楽勝な暗号問題だ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(321) ( No.329 )
- 日時: 2015/11/24 22:54
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「同様にKonstantinも50cmだから実際は150㎝。そしてOligaは40㎝に対してヴィオラが65cmだから実際は130㎝(4:13)。Emilは30cmに対してチェロが20㎝出実物120㎝だから実際は180㎝(1:6)。Ivanは20㎝のコントラバスと人形20cmで実物200cmだから実際は200㎝(1:10)」
怜子大活躍だな。
「それで、これを並べ替えると・・・T,O,K,E,I。時計!!」
「時計といえば、あの大時計しかないよね」
「次は2番目を5番目の右に並べてごらんだけど、2番目はO、5番目はI。これを暗号どおりに並べると・・・10!」
「楽しいリズムは時計の鐘の音だね!」
「つまり10時、鐘の音がなるってわけか」
「というわけで、この遺書を読み上げようか。この暗号を解いて第2の遺書を探し当てたものが遺産を相続できる。ただし、5人の相続候補者が1人もいなくなれば、暗号解読者に相続させる。・・・つまり、遺産は環奈のものだね」
「ちょっと待ってよ。私、死んでないわよ」
「僕もだよ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(322) ( No.330 )
- 日時: 2015/11/24 22:59
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「・・・!どういうこと?」
「見てのとおり、犯人をおびき寄せるための手品だよ。2人と、まだぴんぴんしてるぜ」
「ふふっ。そう、マジックショーです」
「だって、あの時、ほんとに倉沢さんの生首が・・・」
零はびっくりしている。
「あれは、テーブルの下に仕込んで合った鏡の陰に隠れてて、首だけ出してたんだよ」
「でも、どうしてそんな回りくどいまねをしたんです?」
「それは2つ理由があるんだ」
「それはね・・・」
あとがき ついに事件もクライマックス。時間も来たので、今日はここまでにします。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(323) ( No.331 )
- 日時: 2015/11/25 22:14
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
環奈は答えた。
「まず1つは、残るターゲットの2人を死んじゃったと思わせることでこれ以上の犠牲者を出さないようにするため」
僕も応ずる。
「そして2つ目は・・・残る2体の人形を回収することによって犯人に偶然解けたといわせることで、今回の動機が財産だって確認を得るためさ。そうじゃないですか?真犯人『Conductor』の及川さん?」
「ちょっと待ってください!彼女が犯人だなんて!」
「そうですよ!わたしは本当にたまたま解けただけで・・・」
「じゃあさ、何であの遺産が偽物だって気づいたのかな?」
「・・・直感よ。なんとなくそう思っただけよ」
「違う。実際は本物見てたんじゃないか?」
「違うわ。たまたまよ。本当にあの暗号の解き方がたまたま気づいただけで・・・」
「いや、それはないよ。だって、このIvanは違う人形だよ。こいつは3㎝小さいんだ。もしあの比率を使って計算すると170㎝でIvanより小さくなってしまう。この並びだとT,O,K,I,Eとなって時計にはたどり着けない。よって、たまたま解けたってのはありえないんだよな」
「じゃあ、いつ、どうやって及川さんはこの暗号の解に気づいたの?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(324) ( No.332 )
- 日時: 2015/11/25 22:24
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「それはね、私たちがここへ来た最初の夜に解いたんだよ。まず、彼女は21時50分ごろ、あの大時計の近くに来た。でも、雨が降り始めてしまったんだよね。その雨はやむどころか風も強くなって土砂降りに。だから5分進めておいたんだ」
「まあ、どうやらあなたは元に戻しておけば問題ないだろうなって思ってただろうだけど、あいにくにも僕は偶然腕時計を見ていたんだ。5分早い鐘の音をね」
「それで遺書を読んだあなたは5人の遺産相続候補者がいなくなればあの財産を手に入れられることを知ったあなたは今回の殺人を計画したってわけ」
「でも、あなたはそのためにミスをやらかしてしまったんだ」
「え?」
怜子が首をかしげる。
「まさか、窓を閉め忘れたことですか?」
零が答える。
「うん。このままだったらヒントを与えてしまうかもしれないし、かといって人形を全部処分したら今の演技が失敗するだろうからね。だから、今回の殺人を暗号になぞらえたんだ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(325) ( No.333 )
- 日時: 2015/11/26 22:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「つまり、人形を隠したのは人形が雨でぬれたからか!」
犬養さんが気づいた。
「まあね」
「あの時、Ivanの人形が浴槽に浮かべてあったのは濡れたことをごまかすためだったんだ」
怜子がIvanが浴槽に浮かべてあった思い出した。
「じゃあ、Emilのときはどうしてだったんですか?」
「それはただ人形が小さいとその分、服が乾きやすかったからなんだ」
「じゃあ、大きさが同じの、TanyaとOliga、どっちが先に乾いたんです?」
「服だよ。あれは、冬服のTanyaより、夏服のOligaのほうが乾きやすい。だから先に彼女が殺されたんだよ」
「な、何それ?万が一、Tanyaが乾いてたりでもしたら、私が殺されていたってこと?」
倉沢さんが驚いて尋ねた。
「そうかもしれませんね」
零も目を下に向けて答えた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(326) ( No.334 )
- 日時: 2015/12/10 01:50
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
及川さんは手を叩いた。
「素晴らしい想像力ね。もしかしたら、倉沢さんよりもすごい小説がかけるかも」
彼女は淡々と僕らの推理を褒めた。
「え?それ、どういうことですか?」
零が尋ねる。
「これまでの推理はあくまで空想のもの。だって私は遺書を盗み読んでもいないし、ましてや殺しだなんて…でも、これは認めるわ。私はあの時人形を見た時点でもう答えが分かっていたもの。なぜならトリックノートらしいものを見たことがあるんです。倉沢さんの部屋の金庫の中にあったものです」
僕はそのトリックノートに目を通した。
すごい。
あの暗号のからくりとかがびっしり書いてある。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(327) ( No.335 )
- 日時: 2015/12/10 02:01
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
もしかして、山岡先生本人のもの?
僕は知りたくなった。
だから尋ねた。
でも、これは彼の筆跡じゃないみたいだ。
「私は、このトリックノートを見て遺書の隠し場所が分かっていたけど、ずっと黙っていたのが気まずくて、解けたフリをしていただけです。でも、それで犯人だなんて…第一、天野さんのときは密室だったし、鍵もジェームズさんが持っていました。私が彼女を殺せるなんて出来るわけないじゃないですか」
「それはどうかな?」
「え?」
「あの時は本当は密室じゃなかったんだ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(328) ( No.336 )
- 日時: 2015/12/10 12:22
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はキーストッカーをみんなに見せた。
「なぜ、このキーストッカーがこんな形状になっているを説明するよ」
僕は1つ鍵を残して全部上にやった。
環奈が残した鍵を知恵の輪の理屈で取り出した。
「このキーストッカーは、警護が厳重だという見せかけに過ぎなかったんだよ。要するにこの知恵の輪が解ければ取り出し可能だってこと」
「それに、まだ証拠が残ってある」
篤はスマホの写真を見せた。
「この中に変わったものがあるんだけどこれが決め手なんだ」
「変わったもの?」
「スタンドの…傘の柄?」
怜子がスタンドの傘の柄の違いを見つけた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(329) ( No.337 )
- 日時: 2015/12/10 22:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「その通りさ。あの時窓を閉め忘れていたからスタンドも濡れてしまったんだ。だからどこかのスタンドと取り替える必要性があったんだ」
「このことをどう説明するの?あなたの部屋のスタンドがあの時のスタンドがあったこと。それでもまだ、自分は違うって断言できるの!?」
「…わかったわよ。そうよ、あたしがやったことよ」
「及川さん…なんで…どうして殺したんですか!」
零が問い詰める。
「お金よ。遺産が欲しかったのよ」
「遺産?」
「お金のためなんかで人殺しだなんて…」
「そんなこと言えるのは…あんたが苦労知らずのすねかじりだからよ!悴む手で体がボロボロになるまで苦労して働いたことある?嫌な男に媚びなきゃいけない屈辱を知ってるの?」
僕は今までそんな経験をした覚えがない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(330) ( No.338 )
- 日時: 2015/12/11 14:44
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
身よりも誰もいない彼女が信じられるのは多分お金しかないのか…
どれだけ彼女の心が荒廃していたのかなんてわからない。
でもあのお金を、なぜそこまでして欲しかったのか?
「あのお金は、もともとあたしが受け継ぐものだった…」
「じゃあこのノートは山岡先生のじゃなくて…」
「そうよ…私のお父さんが書いたものよ!」
その話はこういうものだった。
彼女のお父さん、及川光一郎は対ロシアの貿易商で、仕事の暇を潰すためにこのノートを書いていた。
彼女はこのノートを読むうちに小説にしたいと考えていたようだ。
でも、ある時くらいから山岡先生が来るようになった。
彼はその当時は無職で、彼女のお父さんにお金を借りていた。
その時、彼はノートを手にした。
彼はノートの内容をかたっぱしから食いつぶした。
それであれ程の遺産を手に入れたのだ。
そのことを知った彼女は遺産を手に入れようと彼に近づいた。
以上が彼女の動機だ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(331) ( No.339 )
- 日時: 2015/12/13 22:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
あの館も、数十億ともいえるような財産も、もともと受け継ぐべきだった。
でも、彼があんなの小説にならないなんて言い出さなけりゃ彼女の父がかかれるはずだったんだ。
彼女は何を思ったか、最後の最後、ナイフを手にした。
「ちょっと・・・もしかして・・・」
怜子はぎょっとした。
まさか・・・彼女は自殺するつもりで、ナイフを取ったのかよ!
「もう終わりよ・・・遺産も手に入らなかったし、もうこんな最悪な人生なんか・・・」
「もうやめて!」
「バイバイ、名探偵君と、名探偵ちゃん」
そういってナイフを首に突き立てた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(332) ( No.340 )
- 日時: 2015/12/13 22:41
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
バラの花びらが散った。
「これで約束は守りましたよ」
え?
この声って、ジェームズ!?
「君がこの謎を解いた時点で、君の勝利は決まりました。確か、君が勝てば犯人の命は助けるって約束でしたよね」
「これって、あんたが仕込んだマジックだったのか?」
「及川さん、探偵に追い詰められたぐらいで自殺を選ぼうとするなんて冷血な犯罪者とは程遠い。あなたはたった今一度死んだ。あなたの内面をしっかり見つめなおすことですね。おや、霧も晴れたし、わたしはこれにて」
かーっ、とことんきざな野郎だな。
僕が思ったその瞬間、彼女は泣き出した。
確か警察の話によると、4年前の殺人は母親の復讐だった。
昔の自分の姿を見たんじゃないかな・・・
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(333) ( No.341 )
- 日時: 2015/12/14 22:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は事件の後、京都へ帰った。
澪が僕にある原稿用紙を手渡した。
どうもこれは山岡先生の遺稿らしい。
「今回の事件を聞いて、東京でコピーしたのを受け取ったんだけど、私気づいちゃったの」
「何を?」
「たぶんこれを読み終わる頃にはもう分かってるとは思うんだけどさ、今回の事件の真犯人『Conductor』を操っていたのは山岡先生なんじゃないかなって・・・」
「殺人を企てたのは及川さん本人でしょ?でも、それを山岡先生はこれを計算に入れて・・・」
「そうかもね。彼は彼女の正体を見抜いてるかもしれないんだよね」
「まさか・・・あの暗号も、彼女が殺しをするよう仕向けたってわけ?」
「うん・・・まず天野さんの挿絵事件だけど、本人は笑って許してやったって言うけど、本当は激しい憎悪と怒りの感情があふれてたんだろうね。担当の編集者は現行の取立てがしつこく、評論家の名古屋さんへは自分の作品への批判。それて倉沢さんは彼の愛人で、自分の計画を盗んで自分が取れなかった賞を取得したことかな?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(334) ( No.342 )
- 日時: 2015/12/15 05:45
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「じゃあ、犬養さんにも殺す動機があったんだろうけど、それって何?」
「近所トラブルだそうよ」
「どんな?」
「彼は5匹の犬を飼っていたそうだけど、あの犬の吠えるのがうるさいって言われていたの。あの人にとっては最も殺してほしい人だったんじゃないかって…」
「そんな…近所トラブルが殺人の動機になったというケースはあるかもしれないけど…」
「とまぁ、人間は心に闇を抱えた生物だろうなって言うけど、その闇に打ち克つ力を持っているのは、おそらくその人間じゃないかなって思うんだ」
「そうかな…」
「うん…」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(335) ( No.343 )
- 日時: 2015/12/15 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
こうして、遺産相続をめぐる殺人は終わり、修学旅行が始まった。
行き先の福島県・会津若松市・・・
夜の24時だった。
全ての始まりが来たのは。
僕らは異世界に投げ飛ばされた。
その世界は全然見覚えもない世界で何がなんだか全然分からなかった。
でも、これだけは言える。
皆この場にいるっていうこと。
そして、向こうの世界の時間は止まったということだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(336) ( No.344 )
- 日時: 2015/12/15 22:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
この世界は一種のファンタジー世界。
どうやら人間だけじゃなく妖精や魔物も住んでいる世界なのだ。
それだけじゃない。
犬、猫といった動物もしゃべる世界だという。
とまあ、この世界じゃありえないことが起きる世界なのだ。
これから、僕の、いや僕らの大冒険が始まるのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(337) ( No.345 )
- 日時: 2015/12/16 22:42
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、この世界は前にも言ったように科学じゃ説明のつかない現象が結構あるのだ。
でも、どうして僕らはこんな世界に飛ばされてしまったんだろう?
僕はある1人の妖精にたずねた。
すると、僕は衝撃的な答えを聞いてしまった。
どうやらこの世界も大魔王の手が伸びているということらしいのだ。
つまり、大魔王は全世界を支配しようとしているのだ。
だから大魔王の野望をくじく必要があるということだ。
でも、ほかの皆は大丈夫かな?
無事に合流できるのかな?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(338) ( No.346 )
- 日時: 2015/12/16 22:47
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はある大きな町へとたどり着いた。
この大きな町は王家が住むといわれる城下町で、この国の都だというのだ。
それにしてもいつか写真とかテレビで見たフランス・パリに街の雰囲気が似てるなぁ。
僕はさ迷い歩いていると翔貴に出会った。
どうも翔貴も同じ経緯でこの世界に吹っ飛ばされたのだ。
この町で皆と合流できたのはいいんだけど、どうやら皆同じ経緯でここへ来たみたいなのだ。
しかし、どうして僕らはこの世界に飛ばされることになってしまったんだろう?
それを知るべく僕らは王の住む城を訪れることにした。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(339) ( No.347 )
- 日時: 2015/12/17 22:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は王のいる城へ向かった。
「おう、よく来てくれたな。矢野健太郎君」
へ?
僕の名前を知ってるの?
「あの・・・なぜ僕の名前をご存知なんですか・・・?」
「当然さ。この世界は本を通じて皆の世界とつながっているのじゃよ」
そっか。
だから僕は知らなくても向こうは知ってるんだ。
「おっと、自己紹介がまだだったな。わたしはこの国の王、ジョン5世フレデリックじゃ。よろしく」
ジョン5世フレデリックという王様は45歳前後の気前のいい国王は、家族の皆も呼び寄せた。
王妃の名前はエリザベス・メアリー。
王子と姫はそれぞれ1人ずついて名前はそれぞれチャールズ・ルイス、メアリー・ジェーンという。
彼らはどうして僕を呼び寄せたんだろう?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(340) ( No.348 )
- 日時: 2015/12/21 22:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「でも、何で僕らをこの世界に召喚したんですか?」
「それは、大魔王がこっちの世界にも手が伸びているからだ」
ジョン5世の説明はこうだった。
どうやらこの世界も去年の今日あたりまで平和だったという。
でも、大魔王の前に敗北したり降伏する王様が出てきたという。
でも、大魔王はそれを許さず、ひどいことにその王様自身を刺客によって殺したという。
しかも自分は傀儡の王様をすえてしまった。
なんか聞いてるだけでも胸が詰まりそう。
でも、とにかくのこの世界を守れるのは僕らだけってことはよく分かった。
「分かりました。どっちみち大魔王とは直接戦う運命だったんだし、この世界、守って見せますよ!」
「おお、それはありがたい。では、こいつらを連れて行ったほうがいい」
彼は、15人ほどの戦士たちを呼び出した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(341) ( No.349 )
- 日時: 2015/12/21 22:59
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
この16人の戦士たちは、僕らと同年代でこの3ヶ月間に新たに入隊した新進気鋭のメンバーだ。
まず、兄貴分のヘンリー・マイケル。
大食いだが力持ちのジェームズ・ジャック。
16人の軍師役のルイス・アレグザンダー。
喧嘩っ早いが勇敢なポール・ヘンリー。
美少女の剣士、クリスティーナ・メイ。
彼ら5人を中心に選ばれた16人がこの戦争に借り出されることになったのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(342) ( No.350 )
- 日時: 2015/12/22 22:54
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
王が考えるには、年上より同年代のほうがむしろコミュニケーションがとりやすいという考えだろう。
まあ、そうかもしれないけど、年上の人にため口で話しそうな気がする。
まあ何がともあれ、僕はこの戦いに出発することにしよう。
「ちょっと待ってくれ」
え?まだ何かあるのかよ。
「君たちは武器も持たないで出発するのか?」
そうだった。
武器は向こうの世界に置いていってしまってる。
どうやって取りにいくべきなんだろう・・・・
「大丈夫だ。このポケットに手を突っ込みなさい」
僕は言われるがままポケットに手を突っ込んだ。
「そうすれば君たちの武器が取りに行かずとも回収できるからな」
本当だ!
僕の武器の白竜黒竜が取れた!
これで回収できたし、出陣と行こう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(343) ( No.351 )
- 日時: 2015/12/23 22:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はいつから、大魔王が全世界を侵略しようとしたのかが分からなかった。
だから、魔界のことには一番よく知ってる零に聞いてみた。
「あのさ、零」
「何です?」
「いつから、大魔王は全世界への野心を抱いてたんだ?」
「分からないですけど、10代前には持っていたんでしょう」
「10代も前から?」
「はい。でもそのたび失敗していたんですよね・・・」
紀元前、8世紀、17世紀、18世紀と失敗してきた大魔王一族。
今度失敗したら後がなくなる。
だからそうなる前に大魔王はこの世界を支配したいってわけか。
でも、僕がそうはさせない。
3年前の事件の真相を僕は知りたい。
あのときのけじめをつけさせねばならない。
だから僕は戦うんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(344) ( No.352 )
- 日時: 2015/12/23 22:57
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
この世界は大魔王の侵略からというもの国同士での戦いが頻発しているというのだ。
これによってある中小の国は滅び、相当な大国ができているという。
でも特にある国の王様は野心家で、大魔王に魂を売ってしまったという。
まあ、魂を売ってしまったら、買えばいいはずなのだが、そんなのできるわけがない。
これから分かることは、魂を買えないなら売ることもできないってことだ。
あいつは単に人を手玉にとっての運命を狂わせてるだけだ。
まあ、運命が分かるというなら苦戦くらい承知のはずだからね。
負けるのは、立ち向かう勇者の心が弱いからなんだと思う。
だから、ぼくはせめて強くありたい。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(345) ( No.353 )
- 日時: 2015/12/24 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は出発前、ジョン5世にこういわれた。
「実は、危険な国が1つある。その国の王様はカルロス3世。彼は相当邪悪で、腹が黒いから何を考えているのか分からん。そいつが持っているのがあの魔の剣、漆黒なのじゃ。この剣は破壊されることのない究極の悪をまとっているのじゃ。だからその剣には気をつけたまえ」
それは承知だ。
あの危険な剣は一国でも早く封印せねばならないんだろう。
それくらい大女神も承知なんだろう。
だから、僕はここへ来たのかもしれない。
だったらなおさらここで立ち尽くす余裕なんてないじゃないか。
さあ、戦おう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜 ( No.354 )
- 日時: 2016/01/05 22:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それにしても、ここにはいろいろ現実世界にはいない生物が存在しているんだなぁ。
とか言ってる僕の武器の名前も中国神話上の生物の名前なんだけど。
普段は白竜・黒竜だけど、四霊の応竜、麒麟、鳳凰、霊亀とか四神の玄武、青竜、朱雀、白虎という8種類の武器も加わるんだ。
要するに僕は10種類の武器を持っているんだよね。
けど本当に10種類の武器を持って戦うことはないんだけど。
普段は2本の剣で戦うんだけどね。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(347) ( No.355 )
- 日時: 2016/01/05 22:54
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
あの野心家の王、カルロス3世はいったい何を考えているんだろうか?
世界の均衡がどんどん壊れて平和が乱世へと変わっている。
僕の住む人間界でも、乱世に巻き込まれようとしているわけだ。
まさか大魔王はこの世界をすべて支配したうえでの全世界を支配することが目的?
こうでも考えなければ乱世になっている理由が納得できる。
だが、僕は知らなかった。
いや、知るよしもなかった。
人間界では、何百年にわたって実験され、それくらい失敗してる実験が行われていようとしていたことを。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(348) ( No.356 )
- 日時: 2016/01/07 09:58
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
確かあれは人体の巨大化と言う現代科学じゃ説明できないものだ。
あの研究は中世ヨーロッパではもう始まっていた実験と聞いているよ。
これは何百年も実験され続けていて、失敗してきている実験でもあるのだという。
今回もおそらく失敗するに違いない。
でも成功する見通しなんてまだない。
たぶん今回の失敗をデータ化したうえで成功へ導くことを考えているだろうな。
これまでの死者は推定2万3000人だと言われている。
でもこんな実験して何か得でもあるのかな?
この実験には何か裏がありそうだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(349) ( No.357 )
- 日時: 2016/01/07 10:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そのことはさておき、僕は今目の前にある問題を解決しないといけない。
確か野心的な国王が領土拡大を狙ってあちこちで戦いを仕掛けている。
あいつの野望はなんだ?
どうして漆黒という剣があの手の中にあるんだ?
あの裏には大魔王が関わっているんだろうな。
しかしまああの野心を大魔王はよく利用したものだよ。
おそらく怒れる大魔王と一戦交えることになるんだろう。
しかも僕が連日ニュースで聞いている闇取引のことだってだんだん拡大してきている。
だから最近暴力団がのさばっているんだろう。
また横道にそれた。
今は野心的な国王との戦いが始まるから、そっちに集中しよう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(350) ( No.358 )
- 日時: 2016/01/11 12:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はあの大魔王、そいつの手先と戦っている。
しかしあいつが直々に戦う様子はない。
多分、あいつの考えは手先を作ることによって向こうの味方を増やすつもりなんだろう。
まあ、味方を増やしているのは僕の方だって同じだ。
これまで大魔王は自分の娘を連れ戻そうとして邪魔だてする僕の暗殺をも企てた。
まあそれは全部失敗して味方を増やしてしまう結果になったけど。
この戦いも大魔王が後ろで操っているんだろう。
そうだったらなおさら戦わねばならない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(351) ( No.359 )
- 日時: 2016/01/11 12:22
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そのままいろいろ考えているうちにその王国に入った。
でも僕が想像していたものとは全く違った。
みんな賑やかだし、平和そうな人たちがたくさんいた。
僕は逆にびっくりしてしまった。
ん?
あれは…
ハックたちだ!
僕はとりあえず話しかけることにした。
「あれ?熊本君じゃない!なんでこんなところにきたの?」
「僕は訳ありで…でも澪さんたちはなんで…」
「それが図書館の本をたまたま拾ったら…」
やっぱり訳ありなんだ。
でもここは想像とはまるっきり違うなぁ。
全然闇取引とは関係なさそうだ。
ここは一体どうなってるんだ?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(352) ( No.360 )
- 日時: 2016/01/12 18:33
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
この国ではみんなが賑やかそうだし、何もなさそうだ。
でも僕はあの時知らなかった。
まさかこんな国にでかい闇のマーケットが存在していたことを。
そんなことはさておき、澪と合流できたことはよしとしよう。
この国には大きな剣闘試合が行われいる。
なんだろうな。
この石は?
雫が過剰反応した。
「おいおい、これってホワイトストーンじゃないか?」
ホワイトストーン?
なんだそれ?
「あの石は天界を守る重要な要石だ。この要石が壊れれば世界が荒れてしまう世界を守る要石なんだよ」
へえ、そんなに大切な要石なんだ。
でも、誰が取りに行くんだ?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(353) ( No.361 )
- 日時: 2016/01/12 18:42
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「とりあえず、じゃんけんで決めよう」
話し合いだと時間を無駄にしてしまう。
そんな時間があるならこっちの方が早いからね。
「よーし…じゃんけんポン!!」
霙の負け。
「うう〜」
霙は嫌そうな顔だ。
「こいつじゃんけんでワンパターンの出し方しないんだよ。だから俺たちの中じゃ一番弱いんだよ」
あんなに腕力あるのに運はないんですかそうですか。
じゃ、がんばってきなよ。
「はーい」
霙は仕方なさそうにコロシアムに向かった。
次回予告 霙のブロックが決定します。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(354) ( No.362 )
- 日時: 2016/01/13 17:34
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
霙は最初のうちは嫌そうだったけど、自分の腕力を久しぶりに振るえることにやる気を出してエントリーを済ませた。
番号は3218番。
ブロックは3番ブロックだ。
さて、1番ブロック。
優勝者が決まった。
そいつはニコライ・イヴァンだ。
僕は知っている。
去年のチャンピオンだったあの人だ。
霙は選手控え室に入った。
なんか屈強な戦士たちがごまんといる。
まあ、自分の実力を試す機会だ。
いつもどおりにやればいい。
霙はそう思うのだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜 ( No.363 )
- 日時: 2016/01/13 17:47
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
注意事項 1000番台が1番ブロックとなっていますので、3218番の霙は3番ブロックです。
この試合に出場するのは中国(帝国時代)の陸軍大将の李狼白。
ドイツの傭兵隊長のヨハン・ヴィルヘルム。
フランスの戦う王のルイ21世フィリップ。
ここからは見えないけどイギリスのイケメン海賊やポルトガルのいかれた貴族とかが出場している。
まぁ主な出場者はこの通りだ。
あとあと出てくるからみんな紹介したら時間の無駄になるしやめておこう。
それにしてもまぁ曲者達が集う試合だな。
さて、2番ブロックのゴングが鳴り響く前。
2番ブロック250人の戦いが始まる。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(356) ( No.364 )
- 日時: 2016/01/17 23:27
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はというとあの闇取引の行われているとある工場の前にいた。
この工場では何かが製造されているのは事実だ。
きっとやましいものに違いない。
例えば麻薬とか武器とか。
ああいうものが蔓延してるからこの世界では戦争が頻発しているのか。
しかもたちの悪いことに闇のブローカーが相当なお金を儲けているように見える。
多分、あの工場は闇取引の重要な拠点に違いない。
まあともかく、僕の推量はこんなものだ。
にしても、なんだったんだろうな?
あの小人たちは。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(357) ( No.365 )
- 日時: 2016/01/18 17:03
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、第2ブロック…
第2ブロックの出場者は棄権が1人出たので249人となった状態でスタートするという。
出場者のなかにはいかれた貴族、エンリケ・カルロスが出場する。
エンリケが入場するなりブーイングが飛ぶ。
まああいつは最も消えて欲しい貴族ランキング1位だもんな。
それはさておき第2ブロックは上記以外にアラビアの盗賊とかカルロス3世の部下とかロシアの剣闘士とか韓国の格闘家とかがいる。
ルイ21世にはお付きの軍師がいる。
相当曲者ぞろいだなこれ。
第2ブロック開戦のゴングが響く。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(358) ( No.366 )
- 日時: 2016/01/18 17:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
あれ、チームを作っている?
作ったのはルイ21世の軍師のジャン・シャルルだ。
彼はあの石をルイ21世に手に入れさせるため、戦っているのだ。
ルイ21世は過去にある城を拳ひとつで破壊、落城させたことで名を轟かせた。
しかしなんて凄いパンチなんだ。
名前も知らない戦士たちをチームに引き入れている。
彼は相当な策士で策に溺れたことのない屈強な男だ。
残虐なアラビアの盗賊はカルロス3世の部下を破った。
あれはひどい負けっぷりだった。
どんどん敵を残虐に攻撃していく。
でもその時だった。
彼らが敗北したのは。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(359) ( No.367 )
- 日時: 2016/01/19 23:40
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
幹部のフアン・アレッサンドロがその仇をとった。
残虐とか冷酷非情のような語句は彼のためにある言葉。
まさにハイエナそのものだった。
まだ活躍しているものはいる。
魚人空手家でこっちの世界でも活躍しているラインだ。
さらには中国帝国の格闘家が猛威を振るう。
彼は長い足を武器に名も無い戦士を次々と撃破していく。
あの長足は予測不能の移動をした後、敵に蹴りを入れる。
あの蹴りはハンパな戦士がよけられるものじゃない。
どれだけすごい戦士がいるんだここは。
でも、真面目に戦っていない戦士が1人いた。
そいつは、エンリケだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(360) ( No.368 )
- 日時: 2016/01/19 23:46
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それも公衆の面前である部分をあらわにし、何と用を足していた。
一体何をやっているんだ。
真面目に戦っているラインが後ろをあの拳で貫こうとしたその時だった。
まさかの展開が待っていたのは。
そう、ラインが倒れた。
エンリケは何もしていない。
一体なぜ?
コロシアムに激震が走る。
この時、僕は知る良しもなかった。
あのエンリケが屈強の戦士を倒すなんて。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(361) ( No.369 )
- 日時: 2016/01/26 21:34
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はというとあの工場の秘密を探していた。
あの工場には何かあるに違いない。
そう僕は睨んでいた。
でも証拠がわからない。
どうすれば証拠が得られるんだろう。
僕はとりあえず図書館に行って調べて見ることにした。
本とかインターネットにあるはずだから、見つかるのは時間の問題だ。
そう思った。
でも簡単には見つかるはずもない。
当たり前だ。
相手は狡猾な王様だ。
尻尾を出すような真似はしないに決まっている。
澪があるジャーナルを手にした。
どんなジャーナルかというと闇の事が色々書いてあるようなすごいジャーナルだった。
このジャーナルの中にとんでもないものが書いてあった。
その説に僕らは驚くことになる。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(362) ( No.370 )
- 日時: 2016/01/26 21:45
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
このジャーナルの書き込みはこんなものだった。
カルロス3世はとある離れ小島でEXEというわけのわからないものを製造していて、あの工場でSAFARIという人間に動物の力を与える果実へと変えていた。
あの工場の近くには港があるに違いない。
その港で武器やSAFARIの闇取引が行われているとすると、領土の飽くなき野心があるのもうなづける。
でも、誰をどうやって働かせているのだろう。
僕はその方にも興味ができてしまった。
でも流石に堂々と矢面に出る訳にはいかない。
だから隙をついてあの島に行く必要がある。
あの闇の市場を白日の下に晒すために。
でもあの離れ小島の名前はは地図には載っていない。
でもそばにあることはわかった。
だから僕はその離れ小島に行こうと思った。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(363) ( No.371 )
- 日時: 2016/01/28 05:49
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、僕らがその離れ小島に向かっている頃…
工場内では小人たちが働かされていた。
理由は至って簡単なものだ。
小人たちはあらゆる植物を育てられるからだ。
でもSAFARIは不自然な植物。
流石の小人たちもどう育てていいかわからない。
けれども、囚われの身である双子姫を救うためだ。
仕方のないことだ。
彼らはそう言い聞かせて働いた。
でも、彼らは知らなかった。
まさか、自分たちが騙されていたなんて。
それだけじゃない。
ある少女によって催眠をかけられた人々も港で働かされていた。
ある少女はまだ10歳ながら催眠術の研鑽を積んでいた。
だから僕の知らない催眠術をかけられる。
でも、それだけじゃなかった。
他にも、屈強の幹部がいた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(364) ( No.372 )
- 日時: 2016/01/28 06:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
この王国の幹部は3のブロックから成り立つ。
まず、特殊能力チームは49歳のリーダーを中心に、アートやホビーの力、催眠術の天才といった特殊能力の持ち主がここに所属している。
格闘集団は45歳の団長を中心に武闘派が所属している。
齢は86だが、車1台を吹き飛ばすものもいるし、半魚人とか体重の重さを利用しての攻撃をする男もいる。
最後に特攻部隊。
40歳の隊長を中心に爆弾のエキスパート、僕よりも多い武器を引っさげた人の好いメイドや回転の力を持った兵士がいる。
この部隊に所属しているからには、絶対にしてはいけないことがあるという。
だから兵士は緊張感を持った状態でいつも構えている。
けど、何をしてはいけないかは僕はその身をもって知ることになってしまうなんて僕は知らなかった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(365) ( No.373 )
- 日時: 2016/01/29 21:05
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
あの離れ小島の名前はタンク島と呼ばれていて、あの島は地図には載っていない不思議な島だという。
何でも、この島にはドラゴンという地球上には存在しないがここには存在する生物が住んでいるという。
それだけじゃない。
この島にはEXEの製造機がある。
しかもあの島には何も知らずに子供達が住んでいるという。
なぜ、子供達が住んでいるかはわからない。
けれど、相当な事が起きているのは事実だ。
一体、何の為に誰がそうしているんだろう?
不穏な空気が流れ始めた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(366) ( No.374 )
- 日時: 2016/02/02 05:00
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
どうやら何かの教育が施されているらしいけれど、その教育が何かはわからない。
あそこの研究家は一体何のために子供達にどんな教育を施しているんだろう?
まだ、確信は持てないがこう考えたら辻褄が合うんだよね。
子供達を兵士として育てるため。
陸海空の軍の兵士がここ最近減っているからな。
多分何かの方法で逃げられなくしているんだろう。
恐ろしい人間だ。
あのカルロス3世と繋がっているんだろう。
カルロス3世はなぜ、あの研究家と関わったんだ?
カルロス3世の幹部とは同格なのか?
僕はまだここもはっきりとわからなかった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜 ( No.375 )
- 日時: 2016/02/02 05:17
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
いろいろ考えているうちにタンク島に着いた。
この島は何か気味悪そうな感じがするな。
「何だあの生物は!?」
「確か本で見たことがあるよ。名前は"スライム"。その生態は女性好きで女性を襲って服だけを溶かすハレンチな生物だって」
もうだめだ。
露の答えにみんな呆れた。
こいつ終わっている。
「バカ。よく見てよ。服が溶けるかは知らないけど、触れたらOUTだろうな。その証拠にスライムの毒で魚が死んでいる…」
こりゃここの魚は全滅だろうな…
そうするとハックの言うことも頷ける。
「なんか怖い毒素は持っていそうね」
澪はこんな状況でもやけに冷静だ。
澪はリケジョだから平静にものを考えられるのかな?
何かヤバそうなところへ来てしまったな。
でも、こういう時こそ冷静にもの考えないといけないんだよな。
落ち着くために深呼吸だ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(368) ( No.376 )
- 日時: 2016/02/02 21:20
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて僕らはこのタンク島の研究施設を探さなきゃいけない。
「あのさ、何の為に子供達をこの島に住まわせているんだろうな?」
「多分強い軍隊を作る為とかじゃない?」
僕の問いに澪が応える。
強い軍隊?
何のこっちゃ?
「例えば…動物の力を持った軍隊とか?」
伶子の考えはあり得そうだ。
「こうも考えられませんか?巨人兵とか」
零も思考を巡らす。
「自然の力を持った軍隊はどうだ?こっちも強そうだと思わないか?」
雫も答えを考えた。
まあ何れにせよどれも強そうな軍隊だ。
でも何故強そうな軍隊を作るのに子供達が必要とされているんだろう?
まさか、子供達は影響を受けやすいからか?
それとも…
なんかの病気だと偽られたからか?
僕は連れて行かれた理由を自分なりに考えた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(369) ( No.377 )
- 日時: 2016/03/14 18:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
だけど、こういう類のものは大概悪いことに使われているんだろう。
例えば…
何だろう?
あの人は誰なんだ?
この島を彷徨っている侍らしい男性がいた。
なんか探しているようだ。
「そこの少年。虎若丸はどこだ?男子なのだが」
あれ?
侍にしては現代語だな。
虎若丸のことは知らない。
「知りません」
「お前達は何をしにここへ来た?」
「この島の秘密を探る為ですけど」
「なるほど」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(370) ( No.378 )
- 日時: 2016/03/14 18:30
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「お前も訳ありか…承知した」
へ?
「ならば共に行こう」
「 は、はぁ…」
よかった。
僕てっきり殺されるのかと思った。
「ケン、一緒に行こう…ってあれ?」
「何か侍みたいだね」
霜が駆け寄ると背比べした。
「へえー、お侍さんデカイんだな。俺とほぼ同じくらいの大きさだ」
「おっと、申し遅れたな。拙者は東方の日本の侍、『吉田信之』だ。生まれは信濃の国の上田だ。よろしく頼む」
吉田信之という侍は虎若丸という少年を探しているらしい。
一体なんでここに来たと分かったんだろう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(371) ( No.379 )
- 日時: 2016/03/14 18:41
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
しかしあの島にはあのドラゴンが住んでいるから、いつ何時僕らが襲われたっておかしくない。
この島がよく分かったのはどうして…
「何故追われているのかは今は言えない。だがな、拙者たちはハノイというところへ向かっていたのだ」
ハノイってベトナムの首都だ。
一体何の為に…
「しかし、嵐に巻き込まれてフィリピン北方の港に着いたのは拙者含め35人程…後は訳の分からないところへ行ったり、暗礁してしまったのだよ」
嵐ではぐれた仲間や海の藻屑となった人もいたんだ。
災難だっただろうな。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(372) ( No.380 )
- 日時: 2016/03/15 14:36
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それだけではなかった。
あの国にたどり着けたのは弟の幸村も一緒だったのだという。
でもその本人は人質として信之を行かせたのだというもの。
その幸村の兄弟愛に泣かずにいられない瑠璃。
そりゃそうか。
妹とはもう十数年も一緒だもんな。
雫は感慨に耽っていた。
ハックは気を取り直そうとした。
本当こういう人たちに囲まれててんてこ舞いだな。
麗魅は何か物を考えていた。
「そうだ。子供達の中に虎若丸が紛れ込んでいるとしたら…」
「そうか」
ハックはポンと手を拳で叩いた。
「あの研究所にいることは少なからず考えられるね」
「でしょ?」
「あのさ、一体どうやって助けるべきなんだ?」
「…」
麗魅は黙ってしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(373) ( No.381 )
- 日時: 2016/03/15 14:45
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
辺りを見回すと雪がもう先に行っている。
「みんな…スライムの様子がおかしいみたいだけど…」
まずい。
これじゃいつ毒ガス化しても不自然じゃなさそうだ。
「い、急がなきゃな」
霜も少し焦り気味だ。
「こりゃ話をしている場合じゃないな。とにかく早く逃げよう!」
もう何がどうなったっていいや。
とにかく逃げよう。
風よりも何よりも速く走って逃げよう。
そのスライムをかなり突き放したその時だった。
危惧していたことが起きたのは。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(374) ( No.382 )
- 日時: 2016/03/15 14:56
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
まさかのまさかでスライムが本当に毒ガス化してしまったのだ。
何か様子がおかしいと思ったはガス化の前兆だったんだ。
もう走って逃げるしかないね。
あれ?
あれは…
海軍?
どうしてここにいるんだろう?
研究所のロビーの2階の窓から先に着いた雪が見た光景は恐ろしいものだった。
1人の海兵が逃げ遅れてガスの中に入ってしまった。
「あぁ…た…す…」
彼は固まって口を聞かなくなってしまった。
これはもしかして…
化学兵器!?
化学兵器は現実世界では1997年に禁止されているものだ。
でもここはファンタジーな世界。
使われていてもおかしくない。
けれども海軍は逃げ切れるのだろうか?
僕はロビーで息を殺しながら隠れていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(375) ( No.383 )
- 日時: 2016/03/17 09:32
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、こちらは青龍院兄弟…
「何この毒ガス!」
「こんな不思議な走り方でも追いつかれそうだ!」
「恐ろしいほど侵食のしようが速いって!」
「海軍も恐ろしいようにやられていくよな」
「飛んだところねここは!」
走っている6人は毒ガスの恐怖と戦っていた。
海軍の先陣と6人は無事ガスから逃げられた。
けれど、僕はここからが戦いだということを知らなかった。
その毒ガスとの戦いがまた始まることも、背後の人間との戦いも。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(376) ( No.384 )
- 日時: 2016/03/17 09:43
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、こちらは子供達。
彼らの中の1人が脱走してロビーの方へ逃げて行った。
その少女はヨハンナ。
みんなの姿を見ていられなかったかは知らないけれど、もういたたまれなくなった彼女は逃げることにした。
5歳にしては145センチはある大きな体でとある1室の中で隠れていた。
この毒ガスの正体は吸い込むと肺胞の機能を麻痺させることで敵兵を殺して行く化学兵器なのだ。
他にも、あの研究者が作った兵器を挙げると天然痘ウイルスやペストウイルスといった生物兵器がその代表だ。
けれども機械系の兵器を作ったことはない。
というのも彼がそれに興味がないからだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(377) ( No.385 )
- 日時: 2016/03/17 10:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて僕らは走っていると、門番の『鬼門番フェリペ』が待ち構えていた。
足が正味おかしい。
「足がおかしい…僕は認めないぞ!一体…お前は何タウロスなんだよ!」
鬼門番に一発蹴りを入れるとブサーの鳴る門を潜り抜けた。
一方、後方40mにいる雷と雫は、
「何だ!?このブザーは!!?」
「多分、この門が閉ざされようとしているんだろう」
さて、さらに後方70mにいる篤たちはと言うと…
「走ってばかりだよもう」
「なんですかもう弱音ですか?」
「ただの愚痴だよ!」
「もうこんなの嫌だー!」
もう露は弱音を吐いている。
海軍もやっと状況を理解したのか扉へまっしぐら。
でも予想だにしなかったことが起きた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(378) ( No.386 )
- 日時: 2016/03/17 18:14
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて時間を遡って、ここの研究所の所長はというと…
「あいつらの目的地はQ-53だ。行かせるものか。A棟とB棟の扉を封鎖し、ガスを流し込め」
「え?そんなことしたら、うちの味方も…」
「いいからやれ!!」
「は、はぁ…」
雪はと言うと…
(鎮静剤も手に入れたし、薬の仕組みもわかった…でもどうやってあの子たちをおびき寄せ…)
するとヨハンナが現れた。
「あ、あのー…」
「わっ!どうかしたの?」
「お姉ちゃんは何してるの?」
「うーん、悪いやつを倒しに来たんだよ」
やばい。
こうでも言わなきゃ疑われる。
「悪いやつって誰?」
「ここの所長だよ」
こう答えなきゃますます疑われる。
冷や汗をかきそうになる雪。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(379) ( No.387 )
- 日時: 2016/03/17 18:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「何言ってるの?あのおじちゃん優しいし、キャンディもくれるんだよ」
「確かにそうだろうけど実はあれこそ罠なんだ」
「え?」
「あのね。その大きな体が何よりの証拠なの。人体の巨大化は中世からずっと行われてきた実験…言い換えればずっとその時から失敗している実験ってこと。あいつは、きっとそのデータのためにみんなを送り込んだんだと思う」
「じゃあ、私たちどうなるの?」
「…簡単に言うと死ぬってことよ。みんな大人になるまでにね。美味しいそのキャンディは麻薬かなんかと同じなんだよ!それでもあれを1度でも食べるとまた欲しくなっちゃうんだって」
「…私たち、何も悪くない!キャンディもくれたから食べた!でも!死ぬなんて考えたことなかったよ!大人になれるって思っていたよ!」
ヨハンナの目には涙が浮かんでいた。
「…うん。だからあいつが許せないんだよ!ごめん…雪たちがもう少し…もう少し早く気づいてやれたらこんな自体にはならなかったのに…」
雪は悔しさを顔ににじませて謝った。
「あいつは確かに最低でひどくてかなり強いけど…あのお兄さんならやってくれる!そのお兄さんを信じよう!」
「…うん!」
涙を拭ったヨハンナは腕を出した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(380) ( No.388 )
- 日時: 2016/03/18 10:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてこちらは、篤たち…
「あとどれくらい走ればいいのだ?」
信之もイライラが少しずつ溜まっている。
さて、外側では…
『目標、第1研究所A棟外壁、発射!』
「え!?外壁が爆発した!?」
「おいおい、まさか…」
「ガスが流れ込んできたー!!!」
「みんな、死にたくなかったら走れー!!」
また犠牲者が増え始める。
「あ、あぁ…」
「お、おい!」
固まるのを見るなり悲鳴が上がる。
「ギャァーー!!」
「うわあーー!!」
固まった死体を見て見んな速度を上げる。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(380) ( No.389 )
- 日時: 2016/03/18 11:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「よし、抜けたー!!」
「きゃー!!」
みんな、閉まりゆくドアのを通り抜けることに成功した。
女大佐は態勢を立て直すと向こうに残った海兵たちを救いに戻ろうとした。
けれども、もう無理になってしまったものはもう無理だ。
みんな、毒ガスの餌食になってしまった。
彼らは全員、女大佐を守るために自ら犠牲となったのだ。
「よくやったお前ら!俺たちが大佐ちゃんはしっかりと受け取ったからな!」
みんな、あとはお前たちに託したというポーズで固まっていた。
あるものは親指を立てていたり、またあるものはピースマークを両手で作ったり。
ズゥン…
こうして扉は閉まった。
今の生き残りは、2614人。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(382) ( No.390 )
- 日時: 2016/03/18 11:21
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
前書き ここまで来るとかなりの長文乱文となり、1000話までは持ちそうな、超長い話となってしまいそうです。それでも最後まで読み続けてくだされば幸いです。
さて、僕とハックは海軍中将と最短ルートでB棟を突破してC棟へ向かった。
「中将さん、あなたの目的は誰ですか?」
「俺のそれはあのコードネーム『K』だ。そいつは、あれたち海軍の中にいる」
「まさか。味方の中に敵がいるなんてそんなこと…」
「あり得るんだよ。それが。例えば、敵がこっちの内部調査に来ているとか」
ハックは至って真面目なことを言った。
「最も…裏切りという最悪の形で本性を晒すことも考えられないわけじゃないんだ。そうと考えるとあの海兵たちも…まずい状況に置かれるかもしれないね」
ハックの言葉は運悪く的中してしまった…
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(383) ( No.391 )
- 日時: 2016/04/06 22:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、こちらは海軍・・・
彼らはドラゴンという生物と相対していた。
そのドラゴンは、かなり強いほうの生物だった。
鉄を噛み砕くほどのあごの力はあるし、火は吹くし。
これだけ強けりゃ並大抵の海兵もかなうはずがなかった。
それでも彼らはかけていた。
最後の希望、海軍中将・カール・ウルリヒに。
その彼は海軍中将でもあり、基地長だからだ。
しかし、海兵たちは思っても見なかったに違いない。
まさか彼が裏切るという行動に出るなんて。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(384) ( No.392 )
- 日時: 2016/04/06 22:14
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
カール・ウルリヒは何を思ったのか必殺技を味方であるはずの海兵たちに仕掛けた。
体罰にしろ、彼の必殺技を食らえば命がいくつあっても足りないはず。
まさかの裏切りだった。
裏切りによって多くの海兵が必殺技の前に倒れていった。
その裏切りで海兵は次々と死んでいく。
最悪の事態が現実と化してしまったのだ。
皆予想だにしなかったに違いない。
まさか味方だと信じていた上司に裏切られるなんて。
この結果、67名の死者を出してしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(385) ( No.393 )
- 日時: 2016/04/06 23:14
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて澪たちは・・・
B棟の1階にいた。
「私たちは手分けして子供たちを1箇所に集中させよう」
「そうすればあいつが子供たちを捜す手間が省けるな」
「でもあいつらは普通じゃないと思うぞ」
「どうして?」
「あいつら、正気を失って暴走しているはずだ」
「確かに」
翔貴もうなずく。
「どうすればあいつらを集中させられるんだろう?」
「いい手があるよ」
雪が現れた。
「私に任せて」
ヨハンナが自分の胸に手を当てた。
「どうもこの子がその子供たちをおとりとしてひきつけて集中させるって」
「え?そんなことしたら身の危険が降りかかるんじゃ・・・」
「安心して。雪も一緒に行くから」
「そうか」
こうしてみんな納得した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(386) ( No.394 )
- 日時: 2016/04/11 22:18
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その話が続く中…
零と霞はD棟へ向かった。
D棟にすべての謎が眠っている。
そう確信した2人は秘密のあるD棟に向かっていった。
僕とハックはC棟の方向だ。
ここの所長を拘束し、カードを得るのが僕らにとってやるべきことなんだ。
尤も、ここの所長の目的が何かはまだ知らないが。
B棟では多くの子供たちがキャンディを求めている。
禁断症状か何かの反応が出てしまったのだろう。
逃げる海兵。
追う裏切り者。
ガス充満まで刻一刻と近づいていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(387) ( No.395 )
- 日時: 2016/04/11 22:25
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、Q-53への道は1本。
A棟はもうガスが充満している。
B棟では多くの人たちが逃走している。
子供たちもキャンディを求めて3階の一室に向かっている。
C棟へはも僕とハックが所長探しに向かっていた。
カードを得られれば、後戻りできない道を進むことになるだろう。
後戻りできない道は、いつしか乱世へと向かうことになるだろう。
D棟へも零と霞が個々の秘密情報を得ようとしていた。
これらのことは、すべて大事件への序章でもあったのだ。
僕らは、今その分岐点に立っていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(388) ( No.396 )
- 日時: 2016/04/11 22:35
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、B棟2階…
滉人と怜子は特殊能力を封じるための錠を探しに行っていた。
特殊能力を封じる素材の名前は普通の金属ではなく、鉛とクロムの合金だ。
通称『クロミード』と言われる特殊な合金だ。
特殊能力者は相当な力を得る代わりに、体力をその分消費しやすくなってしまう。
つまり、疲れやすくなるのが特殊能力者の弱点だ。
ストレスをため込めばかなりの痛手になる。
『クロミード』には疲れを増進させる物質をメッキにしていることが多いから、能力者には有効なのだ。
さて、光平と翔貴はというと…
警備兵を蹴散らして道を進んでいった。
1階から直通での道を探すためだ。
「あいつら…みんな大丈夫かな…」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(389) ( No.397 )
- 日時: 2016/04/12 22:42
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、僕らはというと…
当の本人である、チェザーレ・アレッサンドロ所長と対面ができた。
海軍中将はカール・ウルリヒだから全く違う他人だ。
でも裏切ったとするならば、こいつもグルかな?
「は?」
「もう逃がすもんか!」
「俺を捕まえて何の得になる!?」
「詳しいことは僕らは何も知らん。けど捕まえたら何か面白いことが起きるらしいからね」
「まさか…青竜院はぬらりひょんの一族の側についたのか!?あいつは当てにならねぇ!止めとけ!」
「そんなの僕らが決めることだ!命令するのやめたらどうなんだよ!」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(390) ( No.398 )
- 日時: 2016/04/12 22:48
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ハックがムキになって捕まえようとするもなかなか捕まらない。
「この力…もしかして気体関係!?」
「ああそうだ…俺はガスの力を持っている…俺を捕まえることなんざできやしねえ・・」
「ならば、その気体を固体化せるまでだ!」
ばか!
ムキになるのはやめろよ!
あいつは狙ってるはずだ。
さて澪はというと…
「カール・ウルリヒ…か…あの人物はどうして裏切りなんかしたんだろう…」
「女の子に手を出したかったんじゃない!?」
露が答える。
「そんなふざけたことじゃない!もっと何かあるんだよね…ちゃんとした…確かな理由が…」
それが分かれば苦労はしないのだが。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(391) ( No.399 )
- 日時: 2016/04/13 22:10
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そうそう、言い忘れていたけど、雪はというと3階のプレイルームに来ていた。
だけど…
「そんな…嘘でしょ!?」
もうすでに遅かった。
子供たちはキャンディを探し求めていた。
みんな目もいかれて死に物狂いになって探している。
これはもしかして…禁断症状!?
ヨハンナももしかしたらキャンディを奪われているに違いない。
恐ろしい想像をしてしまっていた。
けど、あいつは大丈夫だって言ってくれた。
だから、信じなくちゃいけない。
信じる価値があるから信じるんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(392) ( No.400 )
- 日時: 2016/04/13 22:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
一方滉人たちはというと…
確か研究員に問い詰めたところ、B棟の2階一番奥の部屋にあるということが分かった。
この部屋の中をしらみつぶしに探した。
この部屋にはクロミードでできた錠がある。
それを見つけなくちゃならない。
滉人たちが探していた時…
雫は毒ガスとの大きな鬼ごっこをしていた。
「死にたくなきゃとにかく走れ!」
女大佐も、
「危険ですから早く走りなさい!」
恐怖の毒ガスがB棟に到達するまで残り14分。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(393) ( No.401 )
- 日時: 2016/04/14 22:25
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、僕はというと…
ハックとともにマスターと対峙していた。
「くらえ…無空間『エンプティーワールド』!!」
「うぅっ!息…が…まともに…」
「どうだ!これが俺のガスの力!」
とりあえず僕は深呼吸をしたうえで無空間の中に突っ込んだ。
これなら息を当分しなくても、助け出せる。
案の定は少しは苦しくなったとはいえ、救い出せた。
「全然息苦しくなくなった…もしかして…」
「気づいたようだな。一定の距離内でしかこの力は維持できないんだ」
「その通り。だがその距離、いつまでもつかな?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(394) ( No.402 )
- 日時: 2016/04/14 22:34
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「物理攻撃が無理なら…射撃攻撃のほうが早いな!」
ハックはポケットの中の二挺拳銃を組み立てて長い機関銃を完成させた。
「いくぞ!」
ハックは何十発もの銃弾をマスターに浴びせた。
幾分かは当たったはずだ。
ところがだった。
「あ〜、いてぇ!やりやがったな!」
ガス状態で襲ってきたのだ。
「くそ、目眩までも…」
「今度はこっちからだ!ガス・ブレード!!息ができないお前たちにも攻撃手段くらいあるさ!」
やべっ!
「鏡花…水月!!」
燃え切られる寸前で鏡花水月を発動させた。
長い距離を移動して一定の距離外に出られた。
「僕だってやってやる!『明鏡止水・柳』!」
雷をまとわせた刀で切り破る必殺技だ。
ところが、まさかの防壁ができるなんて僕は想像していなかった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(395) ( No.403 )
- 日時: 2016/04/18 22:17
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「もらったぁぁ!!」
「カマクラ」
「え?」
目の前にできた大きな雪の壁。
僕も正味びっくりした。
大きな雪の壁を真っ二つできたとはいえ、まさかの形で時間稼ぎをされるなんて思いもしなかったからだ。
「マスター、ここは私に」
「いったい何のつもりなんだよ?」
「そこをどけ!」
「だぁめ。そんなことしたら、あの方に消されちゃう」
「え?あの方??」
「いったいどこの誰なんだよ!?」
「それとあんたはいったい何者なんだ!??」
「…ファナ・マリア」
「…?もしかして、あいつの仲間なのか!?」
「そうね」
何重にも雪の壁を作り上げた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(396) ( No.404 )
- 日時: 2016/04/18 22:22
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「どう、さっきは切られはしたけどこうなればさすがに切られないでしょ?」
「何だよこれ、時間稼ぎかなんか!?無駄なことするなって!」
「そうだよ!僕らは全然お前なんかに負ける気はないよ!」
「そう…でも勝敗と戦闘力のどうこうは別物でしょ?」
彼女は僕とハックを包み込むように抱きしめた。
「!なんだこれ、離せ!」
「くそ…だめだ…・抵抗すればするほど体が冷えてく・・…」
「どうかしら…私はもともと離す気もないわよ?」
やべぇ…
体が冷えてく…
寒すぎる…
「さぁ…静かに眠っちゃいなさい…」
だめだ!
寝たら死んだと同じじゃないか!
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(397) ( No.405 )
- 日時: 2016/04/18 22:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ハックが根性で目を覚まし、何とか下に穴をこじ開けた。
それも自分の杖を足でつかんで。
「まさか…」
「フフフっ…って…」
「ちょっともしかしてそれって…」
「ごめんやらかしたぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ちょっと何してるんだよぉぉぉぉぉ!!!」
「すごい馬鹿力…けどダクトを通っていけばスクラップ場に真っ逆さま…空でも飛べない限りここに這い上がれはしないわ…さよなら」
そう言ってファナは立ち去って行った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ダクトを通ってスクラップ場の中に落っこちた。
なんだここは…
そう思っていたその時だ。
何かいた。
それは竜だった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(398) ( No.406 )
- 日時: 2016/04/19 22:25
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕らが出会ったのは小さな竜だった。
「な、何なんだ?」
「竜…か?」
「な、何者じゃ御主たちは!」
「へ?ぼ、僕は…熊本健太郎だけど…」
「…それと、青竜院雹」
「せ、青竜院!?」
「え?青竜院を知ってるんだ」
「青竜院といえば…あいつの敵だったはず…」
「あいつって?」
「それはまだ言えん!」
「…そうか。変な質問とかしてごめんな…」
「拙者は…ここに来たのはたまたま船があったからだ。そこで見た子供たちはみんな親切にしてくれた…しかし拙者は気が立っていたため…」
彼は悔やんでいたかもしれない。
気が立っていたのかみんなの親切を拒否してしまったことを。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(399) ( No.407 )
- 日時: 2016/04/19 22:30
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そんなある日だった。
彼はある一室にてある果物を見つけ、それを食べた。
それはすこぶるまずかったというが、誰かに気づかれぬよう、こっそり食べ、どこかへ逃げ去った。
その5〜6分後だった。
彼に変化が訪れたのは。
体が人間から竜になってしまったのだ。
鏡を見て自分の姿を見たときには本当にびっくりしたという。
「というわけなのだ…」
「そうか…竜人なんだ…」
「これ、どうやって元に戻せるのだ?」
「さあ、僕らは動物人間じゃないからねぇ…」
「拙者は子供たちにこのことを伝えたい!あいつは医者かと思うていたが…」
ある日、話を立ち聞きしてしまったのだ。
彼が5年後にはみんな死んでるっていう話を。
「平気で子供たちを死なせる悪い奴だと…」
やっぱり。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(400) ( No.408 )
- 日時: 2016/04/19 22:42
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
もし彼の言っていることが本当だとすれば、いろいろな事件が一本につながる。
まさかの形だ。
これでマスターを捕まえれば僕はもう二度と戻れない道を進むということになる。
マスターを捕まえれば当然誰かが怒る。
怒るのはバックについている人間だ。
だんだんバックの人間を怒らせればもしかすれば大魔王のもとにたどり着くかもしれない。
今はまさかだとは思われるが、これはあり得る話だ。
いつか、大魔王との全面対決という衝撃が待っている。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(401) ( No.409 )
- 日時: 2016/04/20 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「…けどさぁ、ここからどうやって脱出しようか?」
「そういえばそうだったな」
伝えるも何も、まずここから脱出しないと始まらないわけだ。
「しっかりしろ…」
「!」
「どうしたんだ?」
「しっかりしろ……!」
「う…わぁぁぁぁ!!!」
彼が突然雲を発生させて空を飛び始めた。
「うわわっ!」
「空を飛んでる!?」
僕らが驚いている時…
澪たちはというと…
「あなたは…」
「青竜院澪ね」
「確かに私は青竜院澪だけど?」
「あなたたちごときにこの計画を邪魔させやしないわ。まったく、何一つ不自由ない生活をさせてるのにそれを奪おうだなんて愚かね」
「何言ってるの?」
「ヨハンナに反抗の意思を植え付けたのは誰?」
「なんですって!?ヨハンナは皆がこうなってるのを見てられなくて…」
澪が反論する。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(402) ( No.410 )
- 日時: 2016/04/20 22:18
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
彼女は何も言わず雪を降らせた。
「何!?これは…」
「そう…私は雪の力の持ち主…ただ先天的な雪女とは違うけどね」
「あたしがやる!」
「紗野ちゃん?」
「あたしが良くても雪女としての矜持が許さない!」
「いいわ、負けたら承知しないわよ!」
「はい!」
紗野は1人ファナに立ち向かうことになった。
さて、海軍中将『フレドリク・エリク』はというと…
基地長カールを見つけ出した。
「基地長…いや、海賊・カール!あいつらお前のことを親のように慕ってるはずだろう。こんな裏切りはないな…・」
「もう手遅れだ。あいつらにはもうすでに逢ってきた」
「!!何をした!」
「さあな」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(403) ( No.411 )
- 日時: 2016/04/20 22:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「おい!答えろカール!!」
「…基地長の俺が何をしようと勝手だろう。俺の正体を知ったお前たちは結局消えるんだからな」
カールとフレドリクの打ち合いが始まった。
「どれだけ俺より地位が上でも、長く付き合っていても!基地長が基地から離れりゃ部隊の命は隊長が背負ってんだよ」
「…」
彼は何も言わない。
「俺の部下に!手ぇ出してんじゃねぇよ!!!」
さてその頃…
「お姉ちゃん!私、どうやって逃げたらいいのかわかんないよ」
ヨハンナが後ろのみんなが暴走するのを見ていた。
まさかここまで麻薬のような症状が出るなんて思いもしなかったからだ。
「…!」
ことの重要さを知った紗野は逃げるのを援護しようと吹雪で氷塊を当てた。
「生粋の雪女…ね…そんな力を持っても私を倒せるなんてありえないわよ?」
「そりゃあかわしてくれるじゃない」
雪女との戦いは熱を帯びていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(404) ( No.412 )
- 日時: 2016/04/21 22:17
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「くっくっくっ…こんなところで死んでもらっちゃあ、俺の実験ショーは完成しねぇ…おい!C棟とD棟の扉を閉めろ!!」
「はい…Q棟は?」
「そこだけ開けておけ。おびき寄せろ。Q棟1階に!」
「いったいなぜそういうことを…」
「お前たちは最高戦力だ。無駄に犠牲者を増やしたくない」
「ま、マスター…」
「作戦はこうだ…今言ったC棟とD棟の扉をふさげばQ棟1階への扉1本しかなくなる。そうすれば生存者全員がそこにしか行きつけなくなるうえに毒ガスが入り込む通風孔もある。そうすりゃ誰も生き延びられやしねぇ」
彼は高笑いをした後、涙を流した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(405) ( No.413 )
- 日時: 2016/04/21 22:23
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「…これは科学の弔い戦だ!」
「え!?」
「部下たちよ!」
部下たちは沈黙した。
「俺はこれまで多くの実験をしてきた。しかし!あいつは俺のことを認めなかった…未来の最強科学者だと期待された俺を認めなかったあの女が今科学者の頂点にいる!失敗ばかりしてきたあの女が世界の頂点にいてもいいのか!?そうだ…俺が作りたくもなかったであろう殺戮兵器を作って最強の科学者は俺だということを奴に証明してやらねばならん!」
「うおおおおおおお!!マスター!!!」
「すまねぇ!あんたの力疑ってしまって!!」
部下たちから歓声が上がった。
だが、それとは逆に彼の眼付きはにやついていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(406) ( No.414 )
- 日時: 2016/04/25 21:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
すべての始まりは3年前…
彼は大量の敵を殺せる兵器を作っていた。
「おい!そんな殺戮兵器を作るのはやめろ!そんな兵器を作って何の得になる!」
「そうだ!こんな兵器、誰だって望んじゃいない!」
「くっくっくっ…戦争にはいくらか必要な犠牲が必要なんだよ!巻き込まれるほうが馬鹿なのさ!今のところ世界政府は甘いが…新たな世代の奴は欲しがるかもしれねぇ…」
彼は自分の兵器が利用されるのを楽しみにしていた。
しかし…
彼を研究班から取り除くということが了解された。
どうも彼の奇行にはかばいきれぬところがあったからだ。
その結果、彼はカルロス3世に頼り、闇で研究を行うようになった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(407) ( No.415 )
- 日時: 2016/04/25 22:59
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、雪女VS雪女の戦いは激しくなっていった。
吹雪が部屋の中を舞い、気温も低くなってきた。
澪がファナの隙をついて駆け出すと、
「ハンナ、早く逃げて!あんな毒食べさせちゃだめよ!!」
叫び続ける。
けれどもそれに気づかれた。
「子供たちは追わせない!」
アイスピックを彼女に向けった。
鞭を取り出しても間に合わない。
万事休すかと思われた。
その時だった。
バシッ!
紐が鞭のようにファナの足をはたいた。
それは、篤だった。
「阿蘇宮君!?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(408) ( No.416 )
- 日時: 2016/04/25 23:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「阿蘇宮…篤…加賀の弦殺師の子孫ね…」
「相手は自然の力だな」
「相当の力の持ち主ね。私がもてなしてあげるわ」
「ありがとうよ。篤だって手を引くに引けない理由があるんだからな」
篤は弦を構えて対峙した。
それを見たファナもアイスピックを持ち直す。
一方雪はというと…
「し、しまった!先回りしてたなんて考えていなかった!!」
ヨハンナを子供たちが取り囲んでしまっていた。
もはや毒入りキャンディ奪われてみんなまた余命が縮まるのも時間の問題。
けど怖くて何もできない。
もう駄目だと思ってあきらめかけた瞬間だった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(409) ( No.417 )
- 日時: 2016/04/26 22:33
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ヨハンナはその毒キャンディを全て食べてしまった。
そのキャンディはどんなものかは知っていた。
あのキャンディを食べればどうなるかも知っていた。
けれど、こうすればみんな助かるのだ。
そう思って食べた。
「おい!ハンナの奴、全部食べちゃったぞ!」
「独り占めしやがって!!」
子供たちの怒りが暴走する。
ところが、ヨハンナは吐血して倒れてしまった。
「ハンナ…」
「欲張って全部食べようとするから…」
「違う!」
しびれを切らした雪が遮った。
「これがキャンディの正体だからだよ!ハンナは皆のことを思って自分はどうなるかも承知の上で…」
雪の言葉に嘘偽りはない。
雫が合流してきた。
「雫お兄ちゃん!」
「待たせたな。こいつも応援に使えるぞ」
多くの医療班が整列した。
これは頼もしい。
雪も希望があふれた。
自信がついた雪は皆の治療を始めた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(410) ( No.418 )
- 日時: 2016/04/26 23:22
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、B棟のプレイルームでは…
篤とファナが対峙していた。
弦を自由自在に操作することで不規則な攻撃を仕掛ける篤。
彼女は自然の力をもって動きを鈍くする。
どちらも一歩も引かない展開だ。
篤は足払いを仕掛けても相手は鳥人間。
飛んで凌がれるようなものだ。
かといって自分は空を飛ぶなんてできないことだ。
篤は攻略の糸口をつかめないでいた。
さてその頃…
滉人は例の手錠を見つけた。
これでマスターを捕まえることが可能になった。
子供たちも雪たちに任せてあるから大丈夫だ。
けれど、彼らは知らなかった。
あのカルロス3世が動こうだなんて…
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(411) ( No.419 )
- 日時: 2016/04/27 21:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、こちらは霙たち…
第3ブロックのスタートだ。
実はというとここには青竜院一族と深い因縁を持つ者たちが出場するブロックでもあるのだ。
例えば、40年以上前に力を奪われた海賊王。
澪によって敗北した格闘家。
他にもいろいろ因縁はあるとはいえ、数え切れないほどの借りがあるのだ。
その借りを返すために来ている。
けれど、出場するのは雫ではない。
霙1人だ。
それでも彼女1人に立ち向かうのだ。
僕だっていろいろ大魔王に借りはある。
でも、それだけではなかった。
もう1人、大魔王に借りがある人物がいる。
それは、ハックだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(412) ( No.420 )
- 日時: 2016/04/27 22:00
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ハックは9年前、大好きだった人を大魔王に殺された。
彼の名前はファルク。
大魔王の重臣筆頭格だった。
それだけじゃない。
ハックが慕っていた人物でもある。
しかも、大魔王の実の弟でもあるのだ。
大魔王は兄に閻魔大王がいたが、兄弟は大魔王含め3人いる。
上2人を支えていたのがファルクなのだ。
ファルクが死んで乱世が始まってしまったといえるのだ。
まあ、その前から戦争は始まっていたのだけれど。
その戦争が本格化したのが9年前。
それから6年…
ハックはその事件のことをあの事件の夜から忘れたことはない。
だから、ハックにも仮が大魔王にあるのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(413) ( No.421 )
- 日時: 2016/04/28 21:58
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、場所を戻してコロシアム…
並みの剣闘士を次々と薙ぎ払う死神・闘牛。
だが、その背中に乗っているのはというと霙なんだ。
霙は動物の声が分かるのかは知らないけれど、たぶん気があったんだろうな。
「いくぞ!牛さん!!このままみんなぶっ飛ばせー!」
観客のみんなは大爆笑。
さてこちらは巨人戦士。
「知っているか?最強の巨人の力を…」
大きなこん棒でありとあらゆる剣闘士を蹴散らしていく。
他にも、中国の拳法で攻撃する戦士とたくさんの猛者がいる。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(414) ( No.422 )
- 日時: 2016/04/29 00:43
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
霙はこのまま牛にまたがって突進していった。
「あれ?」
何かにぶつかった。
それは巨人戦士だった。
「あ」
どうも怒らせてしまったようだ。
「俺に挑むつもりか!」
その巨人戦士は腕につけた武具で殴りつぶした。
さすがに霙は生きていられないほどの重さだった。
彼は高らかに雄たけびを上げた。
だけれど、まさかの事件が起きた。
霙は無事だった。
霙は渾身の蹴りを一発ぶちかますなり、巨人戦士は場外へと吹き飛ばされてしまった。
まさかの鮮やかな勝利だった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(415) ( No.423 )
- 日時: 2016/05/06 21:35
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、タンク島に戻って雫たち…
雫は子供たちを取り押さえる。
「雫さん!金目的での暴力は範疇に入りますか!?」
「うーん…ぎりぎり無しだな。医療班!早くしてくれ!」
「了解!」
「イエッサー!」
「さすが雫お兄ちゃん!仕事が早い!」
「なあに、俺だってやるときゃやるんだよ」
さてこちらは澪…
「あれ?」
彼女が来たのはQ棟の2階…
「どういうことだ!?みんな1階に合流するはず…」
まさかの展開で驚きを隠せない研究員。
この後一体どうなることか。
みんなは知らないはずだ。
まさか自分たちが実験用のネズミとかのように扱われているとは。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(416) ( No.424 )
- 日時: 2016/05/23 22:46
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
この島は実はというと存在するようで無い、無いようで存在する。
実態がかなり空っぽな島だ。
もちろん実験体もどこからでも調達し放題で実験の内容も知らされることはない。
しかも、たとえ不祥事があったとしても上がもみ消してくるというおまけもついてくるのだ。
あれはカールの仕込んだことだろう。
僕はその身をもって知ることになるだろう。
もし僕がこの事件にちょっかいを出すことで、どれだけの上層部を怒らせることになるのか。
けれど、僕は喧嘩を売るなんて1人ではできない。
けれども仲間がいてくれる。
僕にとっては心強い味方なんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(417) ( No.425 )
- 日時: 2016/05/23 23:03
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はついに到達できた。
あのマスター・チェーザレがいるQ棟に。
けれど、何をここで作っているかはわからない。
「…熊本健太郎か…・ここに来た以上、相当なおもてなしをしないとなぁ」
「この研究所はいったい何のための研究所だ?」
「そりゃあ簡単さ。ここではEXEという薬品が作られてるんだよ。その薬品を使ってSAFARIという人造の実を作る…大魔王様はそれを使って動物軍団を作ろうとしているのさ…背筋が凍るよ…話の壮大さが分かったか!?お前がビジネスを邪魔することで大魔王様を怒らせるってことが」
「それはもう想定済みなんだよ。けど、どうしてもやらなきゃいけないんだよな僕らには」
「バカ野郎、お前らなんかすぐ潰されるさ!カルロス3世に大魔王様!!お前、こいつらに喧嘩売るつもりかよ!?」
僕は刀を振りって衝撃波を放った。
「最初からそのつもりでいてきたさ!」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(418) ( No.426 )
- 日時: 2016/05/24 21:03
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
衝撃波を風に受けても、チェーザレは続ける。
「この期に及んでまだ逆らうか小僧!あいつはな、この世界の闇にいろいろ介入してるんだよ!ドラッグとか犯罪…いろいろ恐ろしいものに…今お前がこのビジネスを邪魔することでどれだけの大物をブチ切れさせる考えろ!!」
「…」
「くらえ!ブラックサイドクラッシュ!」
「おぉ!大きな黒の弾!さすがにこれは…」
「消しとん・・うわっ!未だ生きてやがる!?」
「わるいな。僕は往生際が悪い奴なんでね」
「…っ、まあいい。怪物がここにはまだいる。カールだ!あいつによってお前の仲間も、海軍の連中もみんな死ぬんだよ!」
「誰も死なせるわけにはいかないんだっつーの!」
「!?」
僕だって、あいつらが死に物狂いで脱出するのを努力したことを知っている。
それを無駄にはさせない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(419) ( No.427 )
- 日時: 2016/05/24 21:43
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ハックはというと…
Q棟2階をだれとも遭遇することはなく、D棟にたどり着いた。
そこには、カールとフレドリクがいた。
状況はカールが上手。
「…青竜院雹…か…」
「…いかにもそうだよ。そういうあんたは誰なんだ?」
「名乗る必要はない」
「…残念だなぁ。僕はもう知ってるんだよ」
カールが睨み付ける。
「……長々とこの椅子に座っていられると思ったら大間違いをしているね。だって熊本健太郎はいろいろなことをしでかしている。そうすりゃあんたらのその地位だって揺るがすかもしれない。あんたらは、彼の実力を完全に見くびっていた。けどそれが間違いだって今に気づくはずさ。どうせ、のうのうと笑って次の手立てでも考えるつもりかもね。けど、僕たちはその手は食わない。聞こえてるんだろ?大魔王よ!」
「フフフフフ!粋がってくれるじゃないか、小僧よ…大丈夫か?目の前の人間を怒らせちゃいないか?」
カールを、完全に怒らせてしまったようだ。
「お前は9年前、あいつを怒らせてどうなった?トラウマだろう。お前は立場実力ともにかなうことはないぞ!」
ハックは杖デカールを吹き飛ばし、EXEの工場を破壊した。
「あんたは何をした?あんたは多分この戦争を青竜院が脱落するまで優位に推し進めただけ。もうすぐ始まるのさ、真の人間界の覇権争いがね」
もう歯車が壊れた。
引き返すことのできない、道へと僕らは進むのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(420) ( No.428 )
- 日時: 2016/05/25 22:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
篤はというと、ファナとの戦いにけりをつけようと思考を巡らしていた。
その時、1つの考えを思い至った。
彼はふと話をした。
「篤だってそりゃ縛りたくないものああるけどさ…」
「…フフフ、そうでしょうねぇ」
「1つ聞くが、お前は過去に絶対人をかむことをしないと保証ができる猛獣にあったことはあるかな?」
「え…」
彼女ふと恐怖を覚えた。
その恐怖は、ただの恐怖とは違っていた。
彼女の細胞自体が、恐怖していたのだ。
「篤はないね…」
体が畏縮して全然動けない。
絞められるかもしれない時なのに。
案の定、弦が後ろから首を絞めた。
「殺取・蛸鎖」
蛸の足のように弦が枝分かれして敵の首に絡みついた。
その弦が首を容赦なく締め付ける。
ファナはこの瞬間敗北した。
気絶した状態で倒れた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(421) ( No.429 )
- 日時: 2016/05/25 23:13
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて僕はというと、彼の策を読み取ることに集中していた。
あいつのことだから、何をしでかしてもおかしくない。
チェーザレはついに恐るべき命令を下した。
それは通風孔のコックを開けることだ。
そんなことをしたら、僕らという敵は当然ながら、味方だって被害は出ないわけがない。
けどそんなこと、ごみくずが10人死のうがチェーザレにはどうでもよかった。
この科学はあまりにも歪んでいる。
しかし、彼らは知るわけがない。
むしろ僕を欺く演技だと思い込んでいる。
そんなこと、あり得はしないのに、全く気付いてない。
僕は彼らがすっかり騙されているということを知ったのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(422) ( No.430 )
- 日時: 2016/05/26 22:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そして、彼は毒ガスを己の身にまとった。
その彼は毒ガスの化身となったのだから、僕は震撼した。
「くくく…最初からごみはものを考えるな……最初からこうするべきなんだよ。俺はこの世界や人間界も武器まみれにして大魔王様に認めてもらうんだ!」
そういうとチェーザレは何を思ったのか、同胞に手を伸ばした。
「え!??」
「そんな!止めて…くださ…い…」
同胞は涙を流しながら死んでいった。
僕の心にざわつきが出た。
「フフフフフ…我ながら最上の出来具合だ!さあ、このままいくぞ!おい!熊本健太郎!!逃げるつもりか!?どうせ、お前らには逃げ道なんざないんだよ!!」
さて、Q棟2階…
「うわあ!マスターが仲間たちを殺しやがった!!」
「どうしよう…皆死ぬんだ……」
その時だった。
後ろから声がしたのは。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(422) ( No.431 )
- 日時: 2016/05/26 23:54
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「ご傷心のと超え終わるけど、そこをどいて!ガスから仲間を救いたいの!!」
澪だった。
「ハハハ、俺たちはたったいま大きな裏切りにあったんだ。俺たちは死ぬ。だがお前たちだって同じじゃないか!?こいつも尻尾を巻いて逃げたしている。俺たちは助かりっこないんだよ!」
自嘲的に警備兵たちはあきらめ顔でいう。
「ちょっと、あの熊本健太郎を侮辱するつもり?あの子がそういうような子供だったら私だっていくらか楽になれてたわよ…こっちは逃げちゃっていたはずなのに…でも最後の最後まで私たちを信じているから、こっちのほうが屈しちゃったわよ。だから最後の最後まで応えてあげるってのが仲間ってものでしょ!」
僕は踵を返してチェーザレに立ち向かう。
あの男は気に食わない。
「見てて、チェーザレは熊本君が一番嫌いな法の人間よ…彼は、絶対に金輪際許すつもりはないの!」
僕は刀を抜いて大きく振り上げる。
絶対に、この男は成敗してやる。
チェーザレは叫ぶ。
「そうだ…俺の部下にしてやっても…」
そんなこと、僕にとってはくそくらえだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(423) ( No.432 )
- 日時: 2016/05/27 22:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は拒絶の意思の必殺の斬撃を一発与えてやった。
相手はガスとはいえ、かなり吹き飛んだ。
「ぐおあっ!!!」
重い一撃だったから、チェーザレは倒れた。
さてその頃、篤は雪と合流してファナに麻酔薬を注射した。
これならまた目覚めて暴れることはない。
彼女がカルロス3世のために死ぬこともできない。
これでファナに対する対策も万全だ。
一方カールはというと、体を切り刻まれてしまった。
「お前たちはカルロスの真の強さ、素性を知らない…それがお前たちにとって命取りになるだろう…教えてやれよ、フレドリク…この世界の真の恐怖を………」
ハックは口を開いた。
「僕の心配はどうでもいいよ。今は自分の身を案じてろ…じゃあな、大魔王の腹心、カール・ウルリヒ・ア・バイエルン…」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(425) ( No.433 )
- 日時: 2016/05/27 22:44
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
今回のタンク島の事件によってカルロス3世はEXEを失った。
EXEがない状況になることはSafariも生産できなくなる。
つまり、原料を失った。
これによる怒りは計り知れない。
でも、僕にとってはまだ作戦の一環だ。
これでカルロス3世の鼻を明かして見せられる。
それによって今回の事件が大魔王への道が開かれる。
大魔王はSafariを得ることによって能力者を大量生産している。
これによって、大魔王は屈強なる軍を編成しているってわけだ。
ちなみに、魔界の徴兵制は人間界では考えられないもので、3歳から武術や砲術、剣術などを学び、軍に入ることが身に余る光栄なのだという。
そして、10歳から本格的な軍事訓練が行われる。
11歳から軍に入り、護衛などの役目を負うのだ。
けれどその護衛役は僕の手中に来てしまった。
しかも最強の青竜院なのだから、東の猛者を失ったという異なるのだ。
ちなみに魔界の名門は、白虎寺・朱雀門・玄武塔・青竜院という4つの家がある。
そのうち朱雀を除いて人間との混血化が進み、人間の容貌の悪魔が増えているのだそう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(426) ( No.434 )
- 日時: 2016/05/31 00:03
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
朱雀・玄武・白虎・青竜の家は名門で、4つの軍閥が作られている。
以前にも、人間界を攻撃しようとした大魔王だけれど、大女神にそれを止められ、特殊な腕輪を魔界の連中ははめられた。
その腕輪は、人間界などのほかの世界に行ったとき、魔力を制限する力があるという。
要するに、人間界にいるときは悪魔は自由に魔力を発揮できないのだ。
当然、そのあとで生まれた悪魔もだ。
瑠璃が人間界に逃げているのは、大魔王の野心をくじくためだ。
その時、僕と出会った。
奇遇にも、僕と利害が一致した。
この戦いは、僕や瑠璃だけではなく、ほかのみんなまでもがっつり巻き込む可能性は少なからずある。
けれど、僕らがやらなけりゃ誰が大魔王の野心を止められるのか?
いや、やすやすと完遂されてしまうだろう。
それを阻止するために今戦っているんだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(427) ( No.435 )
- 日時: 2016/05/31 00:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、こちらはジョン5世国王…
「そうか、熊本君がやってくれたのか……」
彼は今、この世界の夢を成就するための計画を立てていた。
平和のために、世界会議を開くことだ。
世界会議は3年前からずっと行われていなかった。
3年前、当時のある国の王、フェリペ7世が急遽失脚したことが原因で中止になった。
ジョン5世は当時、世界会議の議長を詰めていたので、彼は困惑した。
ルイ21世も驚いたことだろう。
この事件以降、世界会議は行われてこなかった。
それかというもの世界は混沌とするようになり、戦争や武器、闇商売が横行するようになった。
この事件には大魔王がかかわっているかもしれないだろう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(428) ( No.436 )
- 日時: 2016/05/31 21:42
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、Q-53…
「さあてと。目標のチェーザレもこっちの人質にしておけば、簡単にカルロス3世も手は出せないだろうな…」
「ま、それもそうだね」
僕とハックはチェーザレを人質にすることにした。
さてこちらは澪…
「貴様…よくもやってくれたな…」
「あんたらがばかばかしい邪魔をするからよ、この馬鹿男!もう1回この鞭を食らいたくなかったらおとなしく黙ってて!」
幹部を全滅させていた。
雪もファナを捕虜にして僕のもとへ合流した。
でも霊と霞はというと…
「どうしよう!信之さんが毒ガスを食らって死んじゃったよー!!」
「ええ!?なんでそんなことになったんや!?」
「それが…」
どうもドラゴンを斬ってしまったらしくって…
息子だと思った彼は毒ガスの中に入り込んでしまった。
それで霊が助けたときには、毒ガスで固まったのだという。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(429) ( No.437 )
- 日時: 2016/05/31 22:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
まあ、それは後で考えるとして今はここからの脱出だ。
さて、露は…
「はぁ、みんな遅いなぁ」
彼女はあくびをしてみんなを待っていた。
さて、こちらは沖合上空…
「早く!何をしているの!?ダビド!」
メイドらしき格好のクリスティーネがダビドをひっぱたく。
「分かってるって!だが、あいつが無事なのかどうかが分からねぇ…熊本ってやつにやられているかもしれないからな……」
「熊本?」
「熊本健太郎だよ」
「ああ、あの!」
「あいつが現れて以降俺たちの快進撃が止まってる。あいつの息の根を止めて大魔王様のために勝利をおさめなきゃいけねぇんだ」
「了解」
「見えた!タンク島!!」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜 ( No.438 )
- 日時: 2016/05/31 22:35
- 名前: ぱる+りんご (ID: Q.pGZPl6)
こんにちはー。初めまして、ぱる+りんごと申します。
絶っっっ対ワンピース好きですよね!?笑
登場人物たちが豊かで読みごたえがあります!
よろしければお友達になりませんかー!?
突然失礼しましたっ((
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(430) ( No.439 )
- 日時: 2016/06/01 21:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
>>438 いきなりびっくりしました…
ぱる+りんごさん、まさかのまさかでその通りなんです。
最後までお読みできれば光栄です。
まあ、強引っちゃ強引だけど爆風を起こしてガスを晴らすことはできるんだが、ダビドが必殺技を見せる。
先にプロペラがついた杖を振り回し、風を起こした。
『突風・又三郎』だ。
これは、台風のような力の風を起こす必殺技だ。
だけど、ガスが晴れると彼らはきょとんとした。
ガスの中から、人間らしい生物が1人いたからだ。
露は空の中から鳥のような生物を見て、こう言った。
「あれ、何だろうこの鳥さん」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(431) ( No.440 )
- 日時: 2016/06/01 23:05
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
彼女はいつか京都のホームセンターで購入した双眼鏡を覗く。
2人がこちらへ向かってくる。
その2人がこちらに降り立ってきた。
「何?あの子?」
「あっ!お前はもしや、青竜院露!!お前、まさか大魔王を裏切ったのか?なぜだ、理由を言え!!」
その問いに露は答えた。
「裏切った?まあね。あの熊本健太郎とその仲間たちと付き合ってから1つの考えに落ち着いたのよ?大魔王のやり方が間違ってるってね」
「何だと?」
「大魔王様は裏切り者を許さない男よ!あなた、どうなるかわかってるの!?」
「分かってるよ。けれど、熊本君が止めないでだれが止めなきゃいけないの?」
「無駄な話をしやがって…今お前をここで倒す!」
「バカなこと言って…はぁ、返り討ち、決定」
露はため息一つつくと槍を構えた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(431) ( No.441 )
- 日時: 2016/06/02 23:16
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
露がやりを構えるなりクリスティーネが発砲してきた。
露もどれだけやりを上手に操れてもさすがに飛び道具の攻撃までは持っていないので軽いステップでバックする。
「ふぅ、この力はただものじゃなさそうね」
悠長そうな眼付きで露は槍を軸にすると、がれきを天高く投げ上げてシュートを仕掛けた。
反動はかなりのものだけれど、悪魔はそれで足を折るほどやわな体じゃない。
この様子でクリスティーネは本気で武器を展開。
まずは彼女にはお似合いの鉄扇をもって飛んできたがれきを破壊。
この防御に露は仰天した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(433) ( No.442 )
- 日時: 2016/06/03 21:52
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「やっぱりうわさに聞く武器持ちの殺し屋でもあり幹部。こいつ、なかなか強い!」
露は口をつぐむ。
さて、カルロス3世はチェーザレだけでも回収するよう命令した。
たとえファナがつかまり、カールが戦死していようとも、チェーザレさえこちらの手中にあれば、まだSAFAIRIは生産できる。
そう見込んだのだ。
「若の命令は大至急だ。さあ、行くぞ青竜院露!」
彼は自慢の大砲を展開。
クリスティーネもそれに合わせてミサイルを押し込んだ。
「くらえ、青竜院露!!」
さて一方、僕はというと。
「目的のファナは捕縛してるし、カールも死んだ今、あとはチェーザレをとらえるだけだな」
「チェーザレを捕えることで、何か益があるのか?」
「ああ、相手がSAFARIを生産できなくするためさ」
「なるほど」
「そうと決まれば、決定だな」
震もロープと手錠を構えている。
これはやる気がありそうで頼もしい。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(434) ( No.443 )
- 日時: 2016/06/06 10:13
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
露は、クリスティーネとチェーザレをめぐる争奪戦を繰り広げていた。
「何なんだこいつ…」
ダビドの顔つきが怪訝になる。
あの時は青竜院のものとして大魔王に使えていたものが今や人間の見方をしている。
ジョン5世の配下の騎士たちは各国で戦いをやめるように遊説している。
これでは大魔王の宿願の雲行きが怪しくなってる。
だからこそ、ここで熊本の足をくじいて宿願を成就させる必要があるのだ。
だけれど、これまで青竜院の護衛役は瑠璃・麗魅の双子姫を奪還しようとして、それを邪魔立てする僕を暗殺しようとしたが、全部失敗に終わった。
逆に僕が持ち駒を増やしてしまうという結果に。
残るは玄武塔、白虎寺、朱雀門の3つの軍閥をもって僕を打ちに行くしかないだろう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(435) ( No.444 )
- 日時: 2016/06/06 11:33
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、僕はそんなこととは露知らず、僕はチェーザレ捕縛のための準備を固めていた。
子供たちや海軍と合流し、Q-53から脱出して、このガスのような島から脱出するつもりなのだけど…
今、露はクリスティーネと戦っている。
「しぶとい!」
クリスティーネは二挺拳銃を取り出して間断なく露に向けて打ち込む。
露も負けずと軽い身のこなしでかわしていく。
露もやりをバレリーナのように回転して柄で攻撃した。
切っ先を使わずに持ち手の部分で攻撃するのは初めてだ。
クリスティーネは肩に食らった。
チェーザレを奪還せねばまずい。
彼女はいい手を思いついたのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(436) ( No.445 )
- 日時: 2016/06/06 18:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
クリスティーネはチェーンで括りつけられた鎌をダビドに託すと、ダビドの扇風機付きの杖に括り付けさせた。
これで露の体を抉り裂くつもりだ。
露は恐怖の鎌を前にして慄いた。
戦慄の鎌が出来上がり、今に露の体が切り裂かれる瞬間だった。
露はひらっと身をかわすことで、鎌を壁に突き刺させた。
これによって露は身動きの取れなくなったダビドめがけて槍を展開する。
「勝負あったわね…孔雀槍!!!」
孔雀のように展開された槍がロケットミサイルのようにクリスティーネとダビドの足元に突き刺さった。
そして露はくるりと一回転。
槍は大爆発を起こした。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(437) ( No.446 )
- 日時: 2016/06/13 22:55
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
結局、チェーザレ奪還を阻止した露。
さて、僕も脱出しにトロッコで急行していた。
それによって、大魔王との戦いも本格的になる道を僕は歩んでいた。
この戦いでカルロス3世は怒るだろう。
何しろEXEが失われることで、SAFARIが生産できなくなるからだ。
僕や青竜院兄弟が集結し、海軍までもいる。
クリスティーネやダビドにとっては分が悪い。
僕の存在を知っているものは、魔界でも少なからずいるだろうからだ。
けど、実力は少しずつ大魔王のもとに飛ぶ。
結果、大魔王が人間界に攻撃してくるだろう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(438) ( No.447 )
- 日時: 2016/06/14 21:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ダビドたちは僕らの姿を見てはっとした。
僕に加えて、青竜院兄弟や海軍の第15番隊が勢ぞろいしたからだ。
こんな大軍とまともに戦っても、命が足りないと判断したのだろうかな。
ここはまず引き上げて、また作戦を練り直そうと思った。
僕はというと…
「なんだ?あいつら」
「敵ですか?味方ですか?」
零も澪に尋ねた。
「…敵ね」
澪ははっきりそう断言した。
ファナは奪還できたとはいえ、チェーザレまでは奪還できなかったダビドは、いったん国に戻って、体勢を立て直す旨をカルロス3世に申し上げた。
カルロス3世の了解を受けると、高速で逃げていった。
「何だったんだろうな…あれ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(439) ( No.448 )
- 日時: 2016/06/14 21:46
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、タンク島の戦いが終わったところで、今の状況を振り返ってみよう。
僕は、今大魔王の手先と戦っている。
大魔王の護衛役をこちらに入れ込んだ今、大魔王は青竜の派閥がいない。
青竜がいない今、白虎寺・朱雀門・玄武塔の3つの家が大魔王側の一族だ。
大魔王は、冥界だけじゃなく人間界にも攻撃を仕掛けている。
だが、人間界に自ら攻め込むことで自分の魔力が制限されるのはきつい。
だから、魔界の手先のものを派遣することで少しずつ侵略していくのだ。
けれど、僕という障壁が立ち上がった。
今や快進撃を遂げていた魔界軍が足踏みを始めている。
そこで、大魔王は新たなる手を考えた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(440) ( No.449 )
- 日時: 2016/06/14 23:34
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕を何かと事件に巻き込ませることで僕を疲れ果てさせ、体力もなくして骨抜きにするという考えだ。
けれど、当然この手にも弱点はある。
いつ、僕が骨抜きになるかが分からないということだ。
しかも魔界軍はなかなか他国を攻めれば勝利できるものをなぜか日本から攻撃する。
ゆくゆくは、京都に魔界の都を作る計画もあるらしい。
計画の内容は人間を滅ぼし、魔界の冷厳な軍事国家を作るつもりなんだろう。
でも、どうせならアメリカもしくは中国を攻めればいいはず。
何しろ、アメリカ・中国には多くの金がある。
その金を奪っちゃえばあっちのものなのに。
いったいなんでだろう?
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(441) ( No.450 )
- 日時: 2016/06/15 22:20
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
でも、人間界でも激震が走るような事態が始まろうとしていた。
変態クラスの3年4組が魔界と手を結べと言われた。
でも、彼らは僕の友人だ。
やすやすと僕らのことを見捨てるわけがない。
その結果いろいろ考えた末に、僕にもつかず大魔王にもつかない中立の姿勢を構えた。
とはいっても好意的な中立だ。
万が一の時は僕と手を組んで戦うとも言っていた。
それはそれでいいのだけれど、問題は星空先輩の取り巻きだ。
星空先輩ではなく、僕の妹・杏香が31代目を継ぐことが面白くなくて、大魔王につこうとしているのだ。
それによって星空先輩をつかせて自分たちが実権を握るつもりなのだろう。
要するに、星空先輩はただのお飾りという状況になってしまうだろう。
星空先輩は先輩でその心の闇に打ち勝つべく僕の誕生日前後に恐山へ修行に出て妖刀作りに励んでいるという。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(442) ( No.451 )
- 日時: 2016/06/15 22:59
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それだけじゃない。
魔刀の漆黒の力によって、九尾の狐の暗躍が始まっているのだ。
現在、落ちているのは延暦寺と銀閣寺の結界。
そしてこの間、伏見稲荷大社の結界が落ちた。
この伏見稲荷大社の戦いによって、結界の守護者をはじめとする多くの陰陽師が戦死した。
桂離宮にも宣戦布告の予告状が出されている。
日は11月7日。
ここを落とせば急激に九尾の狐による進撃が始まるのだ。
九尾の狐は淀殿の側近として人間に化け、淀殿は狐の野心を一つも知らずに彼女を取り立てた。
淀殿はおろかにも、陰の妖怪たちを豊臣家の家臣に入れてしまった。
だが、急に起きてしまった16代目の襲撃事件。
これによって、淀殿は目を覚まして妖怪たちを罷免した。
だけれど、この2か月後に豊臣家は完全に滅んでしまった。
どっちみち豊臣家は大坂の陣で滅ぶ運命だったんだろう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(443) ( No.452 )
- 日時: 2016/06/16 22:26
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、話を戻して僕は海軍と別れた後、霙のもとに戻ることにした。
霙も奮闘する中、巨人戦士は何者かに吹き飛ばされた。
それは、世界ボクシングのチャンピオン『フランツ・アルブレヒト・ヴォン・ザクセン』だ。
優勝賞品を手に入れて、彼は強くなるつもりだという。
さて、こちらは中国のギャング、『王一家』。
現行18代目の『王隆基』。
そして側近で隆基の弟の『王元吉』。
17代目で隠居人となっているが、隆基と元吉の祖父、『王炎』。
以前、日本円にして12億円の懸賞金をかけられたその力はあらゆる猛者をも希薄だけで蹴散らしていく。
霙も彼らにも負けじと次々と闘志たちを蹴散らしていく。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(444) ( No.453 )
- 日時: 2016/06/16 22:36
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
早くも第3ブロックは35人となってしまった。
そんな中敗者たちが残した武器を回収しているものがいた。
そいつは追剥で懸賞金稼ぎの『ジャック・アルベール・シャルル・アレグレ』だ。
彼は日本でも名の知れた賞金稼ぎで、以前に仕留めたものの最大の懸賞金は日本円にして8億だという。
最初はたまたま出会った海賊の親分を暗殺し、懸賞金5000万円をいただいたことだった。
彼は青竜院・ぼくら3年3組連中の首も欲しているという。
だけれど、そいつは霙を見つけてしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(445) ( No.454 )
- 日時: 2016/06/17 22:52
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
アレグレは霙を見つけるなり武器を次々と投げつけていく。
「ちょっ、お前何がしたいんだよ!」
「ふん、俺はお前たち青竜院のコンプリートを目指しているのさ!貴様はもちろん、青竜院零、青竜院澪…16人兄弟の首さ!」
「うわわっ、危なっかしい奴だな」
「俺は懸賞金稼ぎだからな、たとえ女だとしても手加減はないぞ?」
一方…
凶暴な兄弟がいた。
アレクサンドル・ドミトリエヴィチ・チェーホフとニコライ・チェーホフだ。
アレクサンドルは剣闘士にちび呼ばわりされたことに怒ってめちゃくちゃに殴り据えていた。
ニコライは兄のアレクサンドルをなだめている。
めちゃくちゃに殴り据えても、怒りは収まってはいなかった。
そんな時、元吉の奇襲が襲い掛かった。
アレクサンドルは、思いがけない手を打つことにした。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(447) ( No.455 )
- 日時: 2016/06/20 23:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
彼はジャケットの力を発揮した。
その巨体には似つかわしくない軟弱な性格のニコライ。
だがその人格を奪うことによってアレクサンドルの凶暴な力をいかんなく発揮することができる。
この力をもってチェーホフ兄弟は元吉をボコボコに打ち破った。
さて、霙はアレグレの攻撃をひらりひらりとかわす。
王炎にその攻撃が当たっていた。
「さっきからあたっているではないか!!」
王炎はアレグレを殴り飛ばした。
さて、チェーホフ兄弟は元吉の兄隆基と対峙した。
弟を打ち破った勢いに乗って兄も撃破しようという構えだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(448) ( No.456 )
- 日時: 2016/06/21 23:02
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
しかし、兄弟の情など、祖父のもとで修業を始めたときには捨ててしまっている。
その力をもって、チェーホフ兄弟を海水に落とした。
「部下の敵は取らせてもらう!!!」
さすがは18代当主の王隆基。
ロシアのギャング兄弟、アレクサンドル・チェーホフとニコライ・チェーホフを打ち破った。
だけど、王炎と霙は死闘を繰り広げていた。
そして、王隆基とフランツ・アルブレヒトとの激戦が始まった。
だけど、そんなの霙たちにとっては邪魔で無駄な戦いに過ぎないもの。
「邪魔!!」
「どけい!!」
霙は隆基を、王炎はフランツ・アルブレヒトを殴り飛ばした。
第3ブロックの生き残りはもはや、あと2人。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(449) ( No.457 )
- 日時: 2016/07/14 21:25
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
霙と王炎が対峙する。
青竜院と王炎には18年前からの因縁がある。
19年前、王炎は中国では名の知れた大海賊だった。
それが打ち破られたのは、青竜院によってだった。
青竜院は21年前に敗れてしまって、あれ以来復讐するためにサンドバック代わりに山を3つや4つ破壊してきた。
そして、18年前にげんこつ一発で王炎はかなりの大けがを負ってしまった。
そのけがは今でこそ回復しているが、顔には古傷が残るくらいのものだった。
それが因縁の始まりだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(450) ( No.458 )
- 日時: 2016/07/14 21:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて僕はというと、雪とこれまでの事件のすべてを整理していた。
今回の事件は、おとぎの国のナバラ国王、カルロス3世(フランス名シャルル3世)が闇取引の中心となっていたことで、世界が混沌の中に陥ろうとしていた。
しかも、彼は王位簒奪者であり、フェリペ7世(フィリップ7世)が正当な王だとされているが、カルロス3世が世界的に認められていること。
それだけじゃない。
かれはわずか数か月でカスティリヤの北部、アラゴンまで攻めてきたのだ。
しかも、運の悪いことに子供も生まれている。
ルイス王子だ。
彼もまた、父親をしのぐほどの悪童だという。
彼が西ヨーロッパを支配すれば世界は恐怖に飲まれてしまうだろう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(450) ( No.459 )
- 日時: 2016/07/15 01:23
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ルイス王子の悪童ぶりは折り紙付きだ。
彼は気に入らない男がいるとすぐ紐で殺しては妻を過信にやるという極悪ぶりをわずか12歳でやっていた。
そればかりか、まだ12歳にもかかわらず、闇取引の市場に顔を出すこともあるという。
彼は最強の悪のカリスマに育て上げられていたのは、周囲の教育だったのかもしれない。
教育係には狡猾な家庭教師がいるし、周囲にはカルロス3世が王位を簒奪する前からの功臣がいる。
かなりの悪事をしてもとがめられることはなく、それが彼の凶暴さを増幅させているのだという。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(451) ( No.460 )
- 日時: 2016/07/15 09:52
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
カルロス3世の闇取引の中心は、Safari工場の地下にある港だ。
工場は鉄壁堅固な城で、攻めるに難く守るに易い立地にある。
だから工場を作るのに警備が少なくても十分なところにしたんだろう。
けれどもこの工場が落ちるという事態になれば、世界の闇取引が破壊される。
大魔王が血眼になって僕を探そうと思うのも時間の問題だ。
そればかりじゃない。
世界の闇取引のブローカーが僕を恨むだろう。
たぶん、大魔王は僕のことをさらに恨む。
400年も前からすごい因縁ができてしまっているから。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(452) ( No.461 )
- 日時: 2016/07/15 11:57
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
霙は王炎と対峙していた。
あのゲンコツさえなければこうして対峙することはなかったはず。
だが、現実はあった。
しかも青竜院の子供だ。
あの一族の子の首を一つを上げたぐらいでは満足できない。
どうせなら16人すべての首を上げたい。
けれども、あのゲンコツは霙だって受けていた。
それも1つや2つじゃない。
もう数え切れないほど多くだ。
時は19年前…
王炎は中国の南部で大勢力を誇っていたギャングだった。
しかも彼の覇気はとてつもなく半端なかった。
中国の覇者と呼ばれて久しかった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(453) ( No.462 )
- 日時: 2016/07/15 14:13
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
だが、18年前のことだった。
「おい、王炎。今日という今日はお前を倒しにサンドバック代わりに山を壊して回ったぞ」
「ふん、何度やったって同じこと。我が剣に勝てるものなどおらぬわ」
「覚悟しろ、王炎!!」
「そのげんこつ、真っ二つにしてくれようぞ、青竜院雨水!!!」
そして火花がほとばしるような戦いが始まった。
そしてその結果は青竜院雨水の勝利に終わった。
その刃は折れ、鍔にも傷が残った。
そればかりか、顔にも大きな傷が残った。
それでやむなく17代目棟梁を退き、18代目の隆基に譲った。
それ以来だった。
復讐の鬼に化したのは。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(454) ( No.463 )
- 日時: 2016/07/19 22:14
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
あのゲンコツさえなければ。
中国南部に覇を唱えられていた。
「己の父親のそのげんこつが!我がすべてを打ち砕いたのだ!!祖奴には市という生ぬるき罰では物足りん!!生きて、失うことの恐ろしさ、悲しさ、絶望感を思い知らせてくれる!!!」
「いったい何なんだよたかだかげんこつ1回ぐらいで!!あたしなんか何百回も何千回も食らってるよ!」
霙は強い脚力で天高く飛び上がり、ハンマーを自分の身長ぐらいの大きさにして狙いを定めた。
「小娘がこざかしい真似を!最強の必殺技でその手を動けなくさせてくれる!!」
「ったく、失ったもんくらい返してやるっつーの!」
「やれるものならやってみろ、小娘ぇ!!龍牙重破斬!!!」
「うおりゃぁぁぁぁぁ!!」
霙はハンマーを上に向けたまま杖で急降下してきた。
「ぬおおおおおお!!!」
「やああああああ!!!」
すると、彼の刃が新しく生えてきたではないか。
これは、せめてもの、霙の温情なのかもしれない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(455) ( No.464 )
- 日時: 2016/07/19 23:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
王炎はステージに落下した。
第3ブロックを制したのは霙だった。
あの乱暴な闘牛を手なずけ、伝説の巨人を打ち破り、生ける伝説にも勝利した女が、ついにブロック制覇に成功したのだ。
「いよっしゃぁぁぁああああ!!」
喜びの雄たけびが思わずして口から溢れ出る。
けれども、僕は僕で事件に巻き込まれようとしていた。
僕と澪は上陸後、小人族の住む村に紛れ込んでしまっていたのだ。
「何だろう?この島は?」
「お前たちは侵入者だな!?」
「えっと…何がしたいの?」
「それはこちらのセリフです!」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(456) ( No.465 )
- 日時: 2016/07/19 23:17
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「べ、別に怪しい奴なんかじゃないよ」
「怪しい奴じゃない?」
「僕はあのEXEを破壊した男だよ」
「…つまり熊本健太郎ですね?」
「いかにもそうだよ」
「なるほど、この国のヒーローみたいな存在になるであろう人ですね」
「?」
「何で、熊本君がヒーローなの?」
「今にわかることです」
そういわれて、僕は小人族の後をついていくことにした。
「あっ、そうだ。自己紹介がまだでしたね。僕はフェルナンド・レオンです。以後、お見知りおきを」
レオンはそう言って僕をある駐屯所に案内した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(457) ( No.466 )
- 日時: 2016/07/20 22:01
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、雫とハックは、霙と合流しにコロシアムに向かっていた。
その中で、ある1人の女性と出会った。
踊り子のイサベル・サルディアスと出会った。
あの魅力的な踊りは、通りすがるものの眼をそらす。
彼らはその素晴らしい踊りに目を奪われていた。
踊り終わるなり彼女は雫とハックに近寄った。
「あなたが…青竜院雫と青竜院雹ね?」
「え…いかにもそうですけど…」
何か不安な感じがしてきた。
「ちょっといらっしゃい」
そういわれるなり2人とも連れていかれた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(458) ( No.467 )
- 日時: 2016/07/20 22:06
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
2人が連れていかれたのは、とある港から数キロ離れた倉庫だった。
「素晴らしい男たちと出会えて光栄よ」
「素晴らしい?」
「どうして?」
ハックと雫は疑問に思った。
「あなたたちがこの国を解放してくれるヒーローだから」
「ええ?」
「ん?今、なんて…」
「ヒーロー」
「おいおい、冗談じゃないぜ。俺たちは悪魔だ。それなのにヒーロー呼ばわりだなんて」
「熊本健太郎という少年とともに行動してるんでしょ?」
「そうだけど…」
「その人が、この国を解放する奇跡を起こしてくれるから」
「……つまり、あいつがこの国の解放者?」
余計わけのわからなくなってきそうな2人だった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(459) ( No.468 )
- 日時: 2016/07/21 21:42
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
訳が分からなくなってしまった2人はついに核心に迫った。
「あのー、あなたは一体…誰なんですか?」
「私?私は旧王家の王女、イサベル・デ・クルキッチよ」
「つまり、元王女!?」
「そうね。もともと私は王家出身だからね」
「そうなんですか…」
「でも、復讐したいとは思いませんでした?」
「あったわよ。でも、私1人じゃ何もできないから…」
「…」
「そうだ。マリアにも会ってみたら?」
「マリア?」
「私の妹よ」
「今、どこにいるんです?」
「ころっしあむで、戦っているときじゃないかしら」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(460) ( No.469 )
- 日時: 2016/07/21 21:49
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、僕はというと…
フェルナンドという小人の青年に連れられてある駐屯所に向かった。
「長老。連れてきました。彼こそが僕らの希望です」
「希望…?この大人間がか?」
「はい。彼が熊本健太郎。彼女が青竜院澪です」
「初めまして。お会いできてうれしいです」
「熊本君と青竜院さんか。うわさはかねがねから聞いておったぞ。確か、タンク島を荒らしたんだっけな」
「はい」
「それなら心強い。君たちみたいな勇敢なるヒーローをわしは求めておったのだ」
僕らはヒーローと呼ばれることに何かこそばゆい感じが走った。
「そうだ。自己紹介がまだだったな。わしはパトリシオ・ソリアーノじゃ。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(461) ( No.470 )
- 日時: 2016/07/22 21:46
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、篤と霞は、工場の前にいた。
「すごく大きくそびえてるな…」
「…ここに結構多くの人々が働かされてるんだろうな…」
その工場の重々しい雰囲気にただ聳え立っていることしかできない。
あの工場にはSafariという人造の果実が栽培されている。
そこの地下にある港から出火して、海外の闇商人たちにいきわたっている。
当然、現実世界にも。
「何かうちらがしてやれることはないんかね…」
「あればいいんだけど」
ぽつりと篤がつぶやいた。
今から、探すつもりなのかもしれない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(462) ( No.471 )
- 日時: 2016/07/22 21:52
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
霙は、コロシアムで選手控室に戻ってきた。
「あー、よく闘った。いつ以来だろうなぁ、こうしてこんなに全力ふるって戦うなんて」
自分の実力を思う存分震えたことに満足していた。
「青竜院さん…ですね?」
「ん?ああ、いかにもあたしが青竜院の六女、霙だけど?何かあった?」
「あの…あたしはマリアっていうんですけど…」
「マリアか…いい名前だなそれ」
「来てほしいところがあるんです」
「いいよ。どこにでも付き合ってやろうか」
しばらくちょっと歩くと、ロビーについた。
そこには、大きな銅像があった。
「すごいなぁ。このおっさん、誰だ?」
「今は捕虜となってるんですけど…私のお父様の銅像です」
「お、お父様って…こいつがあんたの父ちゃんなの!?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(463) ( No.472 )
- 日時: 2016/07/23 22:05
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「私のお父様の名前は…フェリペ7世…あの男のクーデターによって地位を引きずり降ろされた王よ」
「あの男って、誰なんだよ?」
「カルロス3世…闇社会のブローカーよ」
「ああ、あいつ!!」
霙も話は聞いていた。
例の王が闇取引に介入していることを。
彼の本業は地上げとかいかにも彼がやりそうなことだ。
彼が狙っているのは大魔王の側近となり、右腕になること。
「あの男を知ってるの!?」
「うん。なんでもあいつはいろいろな悪事をやらかしてるからな…人間の割には」
「そうなの…」
「いいよ。協力してやろうか?」
「ありがとう…」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(464) ( No.473 )
- 日時: 2016/07/24 13:52
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はというと、護衛役で今はここに滞在する身の男と出会った。
彼の名はベンハミン・トリスタン。
剣闘士時代、剣の実力を前国王に買われて護衛役となった。
彼は今でもなおフェリペ7世を慕っている。
「私は…彼女たちの護衛役を務めること11年、前野国王のことを見ていたが、とても優しくてお人好しだった」
「そうですか…彼は相当国民から慕われていたんですね」
「だが、その人の好さからすっかり騙されて王宮から逃亡した。あのカルロス3世に」
「やっぱり…あの人は立身出世しか頭にないらしいから…」
「しかも、私の同僚の中には、悩み苦しみ、結果あいつのもとへ着くしかないものもいた」
「うえぇ…」
「だが、正当な国王はフェリペ7世のみ。だから奪還計画を立てているのだ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(465) ( No.474 )
- 日時: 2016/07/25 20:30
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「どうやって、王位を奪還するんですか?」
「それが難しいのだよ」
「それはなぜ?」
「実は、あの魔界軍団の官僚には知力、体力、戦力がかなりあるんだよ。軍勢は私が見る限りでは1万3000ってところかな」
「そんなに多くの大軍がいるだけじゃないって聞いたよね?」
「ああ、高位についているものの中には特殊な能力を持つ戦士がいるしね…」
「そうだ」
なるほど攻めるに難く守るに易い状況だな。
それだけじゃなく、大魔王もこの事件に介入してるかもしれない。
何か恐ろしいことになりそうだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜 ( No.475 )
- 日時: 2016/07/25 22:03
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、霰と瑠璃、麗魅は、雫とハックとは別ルートで霙に会いにコロシアムに向かっていた。
「お、ひめさーん!霰ー!」
中から霙が手を振っていた。
「どうしたのよ霙?」
「ついにやったぜ!あの時以来だぜ!思う存分に力をふるえたのは」
「そうですか・・よかったですの」
「で、コロシアムの様子ってどんなのだった?」
「それがさ、剣闘士はもちろんいるんだけど巨人とかすごいのがいて」
「相当曲者ぞろいですわね」
「だろ?けどいざ闘ってみると結構強くて」
「でも、優勝できたんでしょ?」
「いや、まだ予選突破ってところだけど」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(467) ( No.476 )
- 日時: 2016/07/26 21:34
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「それでもすごいじゃん!」
「まあ、それほどでも」
「それはよかったんですのよ。でも、こっちはこっちで何か退路がなくなってきそうですけど」
「え?何があったんだ?」
「それが…」
3人はチェーザレが子供たちを巨大化させる実験を行っていたこと。
それから世界を兵器まみれにさせようとしていたこと。
けどそれを健太郎が阻止したこと。
現在チェーザレは身柄を確保していること。
このことをつぶさに話した。
「そんなことがあったのか…あいつって、なんかきな臭いなと思ってたんだけど」
「そうなの?私たちもそう思ってたんだけど…」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(468) ( No.477 )
- 日時: 2016/07/26 21:57
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、雫はハックはイサベルと話をしていた。
「俺たち、ちょうどいいところだったんだよな」
「ああ、コロシアムに行こうかと思っていたんだよ」
「ありがとう。私もついて行っていいかしら?」
「もちろん」
3人はコロシアムに行くことになった。
一方、怜子は僕のことが心配になって、僕がいるという小人たちの情報を得て小人たちの住む村の前にいた。
「みんなは、まだ前国王を慕っているの?」
「前とは失礼な!現国王はフェリペ様1人ですよ!!」
「ごめんごめん、それでも、あの王位簒奪者は、何で国民人気があるの?」
「これですよ」
小人のマルガリータ・ロブレスは手を開け閉めした。
「何?その手の動き?」
「あいつは、それをやるだけでお金を呼び寄せているのよ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(469) ( No.478 )
- 日時: 2016/07/27 21:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「どうやってお金を稼いでいるの?」
ついに怜子は核心を問う。
「それは、私たち小人を働かせてSafariを栽培し、世界中の闇商人たちに売りさばいてそれで金を設けているんですよ!けど、フェリペ様の時はあんなことしなかったのに…」
マルガリータはあの時のことを振り返る。
700年間支配していた先の王家がしたことは、この国の農業開発。
この開発の時に手を貸したのは小人たち。
つまりこの国の農業発展は小人たちのおかげとされ、国民たちから尊敬されていた。
だが、あのクーデター以降700年以上前の悲劇と同じになっている。
彼らはなんとかして前の王家を復活させたいのだ。
その時に渡りに船なことがあった。
それは僕が来たことだった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(470) ( No.479 )
- 日時: 2016/07/28 22:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それを何とかして利用しようかと思ったときに、僕が小人たちの村に迷い込んだ。
まさに僕という応援がいる。
これならフェリペ7世に王位を奪還できるかもしれない。
そう思っていた。
しかし、カルロス3世も相応なりに氾濫対策はしていた。
まず、難攻不落の立地条件にふさわしい場所に工場を建てた。
家臣には以前からの譜代を登用して自分の権力を盤石なものにした。
それだけじゃない。
直属の常備軍や特別部隊を計13000もかき集めた。
これなら彼は王位を守れると思っていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(471) ( No.480 )
- 日時: 2016/07/29 22:20
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
でも、僕がタンク島で見せた奇跡が、彼らの希望を呼び覚ました。
と、言うのも小人たちはこの10か月間掘り続けてきたトンネルを通り抜けて今人質にとらわれている小人の姫を連れ戻し、工場を破壊する計画がある。
けれど、壁の素材は頑丈で外からでは破壊できない。
だから彼らはトンネルを掘った。
内側から攻撃ができるように。
さて、雫たちはコロシアムに入り、マリアを探していた。
「ところで、マリアの特徴ってどんな感じなんだ?」
「うーん…髪を私より明るい茶色で白い鎧をまとってたわね…」
「…!?あれはもしかして…」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(472) ( No.481 )
- 日時: 2016/07/29 22:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ハックが見つけたのは白い鎧を身にまとった明るい茶髪の女性だった。
その人もハックの存在に気が付いた。
「マリア…マリアなの…?」
「お姉さま…いつ以来でしょうか…こうして会えるなんて…!」
マリアとイサベルは久闊を叙した。
お互い声を聴くのは去年以来初めてだった。
懐かしい会話。
あの日以来どこで何をしていたのか。
嬉しさが2人の心の中から溢れ出た。
2人もその状況をほのぼのと眺めていた。
間もなく、第4ブロックの試合が始まる。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(473) ( No.482 )
- 日時: 2016/08/01 22:06
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
第4ブロックの選手たちが集結しようとしている。
マリアに対してはそのスタイルからのファンが少なからずいる。
でも、一番孤高の剣闘士でもある。
というのも彼女と刃を交えようとする者は覇気で倒れてしまう。
それゆえにあえて敵する者がいない。
「マリア…」
イサベルは彼女が無事で帰ってくるのを祈っていた。
姉妹愛を感じるハックと雫。
さて、地下にある病理棟ではとんでもないことが起きていた。
これまでの敗者たちが次々と行方が分からなくなっていた。
それには、この国の闇が深くかかわっていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(474) ( No.483 )
- 日時: 2016/08/01 23:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、僕は小人たちと討論をしていた。
どうすれば幾多の関門を突破できるかだ。
まず、催眠術の少女とおもちゃの力を持つ少女。
とくに後者はその力を得たことで子供の時からずっと力を使うことができるのだ。
洗脳しておもちゃ化する。
そうすることで労働者は忠実なる下僕となるのだ。
問題はどうすれば、あの2人を倒して工場を落とすのかということ。
2人とも年齢の割には強い。
この2人がいれば工場は初めて成り立っているようなもの。
フェルナンドたちはそこで頭を悩ませていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(475) ( No.484 )
- 日時: 2016/08/02 22:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
澪はふと、ある実を見つけた。
「何この植物?」
「ああ、それは世界一辛いといわれるトウガラシ、キャロライナ・リーパーです」
「どれくらい辛いの?」
「実は私たち小人が食べると100人中全員が気絶し、そのうちの23人が死にかけるくらいなんです」
「そんなに辛いなら、あの2人に食べさせたらどう?」
「なるほど、それなら2人とも気絶してもおかしくないですね」
「うん、それはいいけど、問題はどうやって食べさせるかってことね…」
「それですけどね…」
フェルナンドはあの2人の好きな食べ物がイチゴだということを教えた。
この中に紛れ込ませれば確実だと伝えた。
「そうね。それなら口に含ませれば気絶してしまうかも」
「これで私たちのものですね」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(476) ( No.485 )
- 日時: 2016/08/03 23:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
マリアはあえて峰打ちで敵を海に落としている。
なぜなら彼女はもともと人殺しをすることが嫌な性分だった。
だからあえて剣をふるってもなお気絶させて幾多もの人々を蹴散らす。
けれども美しい優雅な振るいように人々は惹かれる。
けれども盾を使わずして剣1本でこんなに応戦できるのは彼女しかいない。
さて、ある剣闘士はまたある剣闘士に襲って剣を敵の血で染めていく。
また名もなき多くの剣闘士が海に落ち、闘魚の餌食になる。
または戦死するだけ。
それで凛と咲き誇るのマリアだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(477) ( No.486 )
- 日時: 2016/08/04 23:07
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
しかし、ある時を境に状況が一変する。
イギリスの海軍提督、セバスティアン・オリヴィエが夢遊病にかかったのだ。
その時、彼の眠っていたもう1つの性格が目覚めた。
それは、ライオネル・オーウェルという人格だ。
彼は好戦的かつ冷酷で、一度的とみなしたものは全滅させねば気が済まない性分の男だ。
そして、彼は恐ろしい形相とともにありとあらゆる剣闘士をなで斬りにしていく。
この状況はさすがに誰も生きてはいまい。
そう思ったとき、マリアがこの刃を逃れたのだ。
残るは一気に11人。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(478) ( No.487 )
- 日時: 2016/08/05 22:47
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、それでもなお11人の大きな合戦は続く。
マリアはライオネルの恐怖の刃の前に怖気づきそうになったが、ここ母の食いしばりどころと見て、必死に耐えている。
一方9人の合戦は相変わらず続いている。
剣闘士、処刑人、格闘家といった多くの猛者たちが立ちまわっている。
さて、霙はというと救護室に動けなくなった戦士たちを連れて行った。
これは敵に情けをかけるような行動かもしれない。
でも霙は僕らと過ごすことで分かったものがある。
友達の存在だ。
僕の行動を見ていて分かったこと。
それは、仲間の思いを背負ったり、仲間のために戦うことで、幾多の困難に克つ力を目覚めさせること。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(479) ( No.488 )
- 日時: 2016/08/07 22:34
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
因みに澪は、あのことは1人暮らしをしているときに僕から聞かされていた。
その時、澪はこう思った。
青竜院の敗因は僕が悪魔よりも強かったというわけではない。
それよりもむしろ、お互い兄弟の思いやる心が足りなかったのではないか。
もちろん、兄弟の団結は少なからず解ってはいた。
それでも、僕のように仲間意識をすることがどこか欠けていたのかもしれない。
そう思うと、自分がまだまだちっぽけな存在に思えてまだこの大きな世界を見ていきたい気持ちがなぜか膨らんでくるのだ。
一歩前に進んだ自分のために。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(480) ( No.489 )
- 日時: 2016/08/08 22:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ここは救護室。
ここには幾多の多くの人々がここで治療を受けるつもりだ。
だけれど、現実は違った。
というのも、ここから多くの戦士が消え去り、闇の貿易港で強制労働されているのだから。
ここで強制労働されているのは数百人ともいわれている。
いくら百戦錬磨の剣闘士でも、1000戦勝利で解放されるといわれても、200戦もしないうちに戦闘不能の重傷を負う。
かといって逃げ出せば処刑。
どちらにしても解放されない運命にある。
そう、ここには極端すぎる闇と光があるのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(481) ( No.490 )
- 日時: 2016/08/17 22:40
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
前書き 急な展開で申し訳ありませんが、現実世界に戻ろうかと思います。
僕がいろいろ思っていた時だった。
急に現実世界に飛ばされた。
いや、戻されたというべきであろう。
なぜかは知らないけど急に戻ってきたのだ。
たぶん、これは夢…だったのかもしれない。
物語の世界の5日間は現実世界の一夜に過ぎない感じになっている。
つまり、5日現実世界で過ごしても、現実世界ではまだ1晩しかたっていないのだ。
でも、まあとにかくこの現実世界に戻れたことだけは良しとしよう。
けど、魔界の暗躍が進みそうなのは間違いなかった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(491) ( No.491 )
- 日時: 2016/08/18 22:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕は、いや僕らは何事もなく修学旅行を楽しんだ。
けど、僕らが急にファンタジー世界に飛ばされたのはなぜだろう?
その理由を澪に聞いてみた。
「うーん、それはよくはわからないけれど、それぞれの世界にひずみができたからじゃないかな」
「ひずみ?」
「うん、魔界も展開もここ人間界もすべての世界の間には不干渉地帯があるんだけど、その不干渉地帯に魔界軍が攻めてきてるとしたら?」
「そっか」
瑠璃が手をたたいた。
「それじゃ道理でいきなり飛ばされたりするわけだ」
大魔王は青竜院を遅らせたが失敗した。
思い詰めて考えたのがこれだったのか。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(492) ( No.492 )
- 日時: 2016/08/19 23:36
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
11月…ついにやってきた文化祭。
小中高合同でやるのが毎年恒例になっている。
これは、第1回が始まった時からずっとそう。
ここはエスカレーター式の学校だけど、地域の子供たちがこぞって受験…いや志願してくるから、偏差値にどでかい差ができるのだ。
けれど、それでも洛西で人気が高いのは自由な校風。
小1〜高2までが出し物、縁日、模擬店やらをする。
高3でも、店を回るということは許されている。
他校の友人や家族でも、招待券があれば回れるのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(484) ( No.493 )
- 日時: 2016/08/20 23:44
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
でも、3年3組のメンバーはというと思う存分楽しめたのだけど、1つ不安なことがあった。
それは、大魔王率いる魔界軍のことだ。
彼らの暗躍は現実に始まってしまってる。
その結果、みんなを巻き込むことになってしまったら…
そんなことを考えただけでも…ぞっとする。
でも、修学旅行以来何も起きてはいない。
けれど、これからも用心が必要なのは事実。
これからも、魔界軍の動向がどうなるのかはじっくり見ていくことにしよう。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(485) ( No.494 )
- 日時: 2016/08/22 00:01
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
前書き 何か物語のペースが速くなっている様子ですが、そこに関しては気に品でください。
そして、文化祭が終わったその日の夜…
午前1時を回った時だった。
あの少年少女たちがドアを開け、僕らを連れ去った。
それは真夜中の京都で起きたことだった。
しかも、こっそり秘密裏で行われたことで…
さて、そんなことも知らない僕らは目を覚ますと、森の中にいた。
スマホとか着替えとかご丁寧にバッグの中にある。
そうだ、スマホを起動してGPSで場所を確認すると、思いもよらない場所だった。
岩手県遠野市だった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(486) ( No.495 )
- 日時: 2016/08/22 22:44
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それににびっくりしていた時、何やら声がしてきた。
森の奥からだ。
僕は声をたどって出てみると、そこは修練場のようだった。
あそこには、2年前にとある廃工場に立てこもってあれこれしていた連中が鍛錬していた。
僕は心底びっくりしていた。
みんなこんなところで鍛錬していたのかと。
見とれていたその時、僕は英治に見つかった。
「ん?お前はあの時の…」
僕の顔を覚えていてくれていたんだ。
よかった。
「ようこそ。遠野へ」
「ようこそって言われても、みんなは?」
「あいつらなら、みんな寝ちまってる。俺たちの別荘で」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(487) ( No.496 )
- 日時: 2016/08/23 22:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「ここは…修練場?」
「そうだ。実はというと俺たちは休暇中、ここで体を鍛えたりしているんだよな。いたずらのプラン作成とか」
「え?でも東京でやったほうが…」
「あそこはいろいろうるさいからな…どうせなら自然のあるところやろうっていうやつらがいてさ、それでちょうどいいところが遠野だったってわけ」
「そうなんだ…」
「遠野は、妖怪伝説が豊富だし、いたずらのプラン作成にはもってこいかなって…」
「やっぱり妖怪もあるんだ」
苦笑する僕。
「ま、俺たちはこの土地の風情が一番好きなんだけどさ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(488) ( No.497 )
- 日時: 2016/08/24 22:48
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それで、僕は遠野にある大きな屋敷に案内された。
そこには、遠野妖怪の主である、赤河童が住んでいるという。
僕は屋敷の中に入り、部屋に通された。
「こいつが噂のぬらりひょんの血を引くものか…」
「でもこいつ人間の血も引いてるんだってよ」
「中途半端だなそれ」
多くの妖怪たちが、僕の陰口をこぞって囁いたりする。
「お前がぬらりひょんの末裔、熊本健太郎か」
「はい」
「お前の仲間たちや菊地殿と修行に努めてくれたまえ」
「はい、身に余る光栄です」
僕は深々と礼をした。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(488) ( No.498 )
- 日時: 2016/08/25 22:47
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、僕は遠野の森で修練に励むこととなった。
もちろんみんなと一緒だ。
でも、それは京都にいる時では経験できないことだらけ。
洗濯をしたり料理を作ったり。
正直言って、これが修行になるのかとびっくりするようなものとかもある。
京都にいたときは普通にやっていたことなのに。
だけど、それでもみんなといれば乗り越えることはできるのだ。
それから10日間…
武道やら勉強やらもやっていた。
だけど、僕には病より恐ろしい奴が命を狙おうとしていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(490) ( No.499 )
- 日時: 2016/08/29 22:21
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それはある日のことだった。
京都の陰の妖怪、土着の妖怪の1人がやってきた。
鬼童丸というもう高齢の妖怪だ。
1000年以上前に生まれた子の鬼は、安倍晴明と相対立し、これまでに戦いを挑んできた。
そして、源平の戦乱の時、急遽現れたメフィストという悪魔に仕えるようになった。
それでもって落ち着く場所を得た彼は、京都の闇の世界で暗躍して、メフィストの勢力を日本で広げていった。
でも、それは長くは続かなかった。
というのも、僕らの先祖がしでかしたのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(491) ( No.500 )
- 日時: 2016/08/29 22:40
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
前書き 思えば2年かけて更新してきたこの小説も間もなく500話…
ぜひ、お気に入り登録してほしいです。
目次3 2学期〜修学旅行>>206->>493
それが慶長の間に起きたことだったのだ。
戦国時代から急激に西日本・東日本で勢力を伸ばした来たのが僕らのご先祖だ。
本拠地は岡山・山形・石川にあった。
この3つの派閥が同盟したのが僕らのご先祖なのだ。
彼らは自分たちが妖の主となるために九尾の狐を引きずり下ろしに団結したのだ。
大阪城に殴り込みに行く前のこと。
こんな事があったという。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(492) ( No.501 )
- 日時: 2016/08/30 22:55
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
ある日、京都の町で京妖怪の下っ端を打ち破っていた日々のこと。
ある屋敷には、立派なお姫様がいた。
名前は桜姫(さくらひめ)。
僕の回復力の速さは彼女に遺伝する。
というのも、彼女は回復魔法を使えたのだ。
それを金もうけに利用する父親によって屋敷の奥の部屋に閉じ込められ、世間を知らずにいた。
それによって病で倒れた人を癒せないことを悩んでいたのだ。
そんな時にやってきたのが僕の先祖、16代目ぬらりひょん、『熊本経久』だった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(493) ( No.502 )
- 日時: 2016/08/31 23:40
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
彼は夜中、桜姫を屋敷の外にある、彼らの京都で滞在していた宿に連れて行った。
そこには、多くの妖怪たちがいた。
京都一の絶世の美女にみんな興奮する。
噂には聞いていたとはいえ、まさかここまで美人だったなんて知らなかったからだ。
そんな中焼きもちを焼いているのは雪女。
それでもって、小さな歩兵妖怪たちが投扇興という江戸時代のゲームに誘う。
桜姫は箱入りで、世間をよく知らなかったのだけれど、投扇興で高得点をたたき出して見せた。
桜姫はただ運が良かっただけと謙遜する。
それで今日が盛り上がったところで、経久は求婚する。
みんな驚いた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(494) ( No.503 )
- 日時: 2016/09/01 22:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
カラス天狗は正気か真意を問う。
何しろ桜姫は人間だ。
妖怪とはわけが違う。
でも雪女はそっちよりもむしろやきもちのほうが気持ちが勝っている。
でも、桜姫は思っているよりもよっぽど美しいお姫様だ。
さて、こちらは京妖怪…
ある2人の家来らしき男が桜姫の父のもとへやってきた。
というのも、時の豊臣家の当主、秀頼の側室を探しているのだという。
桜姫の父は冷酷な守銭奴で、金をもっと搾り取ろうと思った。
しかし、1人の男がそれを見破り、もう1人の男をして撲殺されてしまったのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(495) ( No.504 )
- 日時: 2016/09/05 23:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
実をというと、大阪城には妖怪が出入りしているといううわさが横行していた。
大阪夏の陣の2か月ほど前の話だが、結構持ちきりだったという。
まあ、九尾の狐も九尾の狐で結構不安なことがあた。
秀吉が死んで、豊臣家がここまで力がそがれていくとは思わなかっただろう。
秀頼はまだ秀吉ほどの実力はない。
もし仮に徳川の天下となってしまえば、妖にとっては生きづらい時代となることは目に見えていること。
だからこそ、九尾の狐には生まれてくる子供のために力を得ねばならないのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜 ( No.505 )
- 日時: 2016/09/06 20:27
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そんなある日のこと。
いつものように桜姫の屋敷に訪れた。
しかし、そこには桜姫はいなかった。
経久はとっさに思い当たった。
あの九尾の狐だ。
九尾の狐は、乱世に生まれてはめぼしい幼子と同じ容姿となって成長し、その幼子の心の闇が頂点に達した時に成体となる。
人間の姿を羽織りながら人間界に災をもたらす転生妖怪だ。
問題は生肝を集めていることだが、それはメフィストを育てるために必要なものだからだ。
幾多の若き名将豪傑、美しい姫君というような者の生肝を欲していた。
しかしながら、それでいて百鬼夜行を束ねていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(507) ( No.506 )
- 日時: 2016/09/12 23:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
しかし、こちらとて桜姫をあきらめるわけにはいかない。
けれども、相手は百鬼夜行の主だ。
ならば、どうすればいいかなんて分かりきったこと。
その主を超えていくまで。
大阪城では、幾多の豪傑や多くの姫君たちが集っていた。
豪傑の1人が生き胆を食われていく。
口を伝って生き胆が食われていく。
そして、その豪傑はあっけない最期を遂げてしまった。
そんな中、怖気づいた姫君が逃げようとした。
しかしながら、それもむなしく家臣に止められ、生き胆を食われていった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(498) ( No.507 )
- 日時: 2016/09/13 22:18
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
桜姫もそれを見て自分もここで最期を迎えるのか…
そうあきらめていたその時だった。
侵入者が現れたことで城内は大騒ぎ。
こちらには3万もの兵力があるのだが、それを一気に蹴散らされるというありさま。
そして現れたのがぬらりひょんだった。
後に続く盟友たち。
陽の百鬼夜行の軍勢が現れた。
しかし、京都妖怪も負けてはいない。
京都妖怪の切り込み隊長、熊童子が先頭きってぬらりひょんの首を狙う。
しかし、物の数ではなく、熊童子はあっさり一刀両断された。
続く各部隊たち。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(499) ( No.508 )
- 日時: 2016/09/14 22:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
互いに対峙するのは、しょうけらVS首無、鬼童丸VS狒々、茨木童子VS雪女、狂骨VS鎌鼬、鞍馬天狗VS牛鬼という様子。
もちろん、ぬらりひょんも用があるのは九尾の狐。
桜姫を返してもらうため。
しかし、相手は尻尾が12本。
転生した数だけ増えていく厄介な尻尾。
それゆえにぬらりひょんは手も足も出せずにいた。
しかしながら、あの刀がどういうものかは知らずに手を付けた。
その刀は敵の妖力を破る刃だった。
要は、対妖怪用の片根で、もともとは桜姫の護身用に作られた妖刀だった。
それがどういうわけか彼の手に渡った。
それでもって、激しく押される中でぬらりひょんは桜姫への思いを語る。
そして、ついにその時がやってきた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(500) ( No.509 )
- 日時: 2016/09/15 22:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そのぬらりひょんの力の真価が発揮された。
鏡花水月…それは人に自分がその場にいるのにもかかわらず、姿を幻影の中に消す力だ。
まさに鏡に映る花、水に浮かぶ月。
ぬらりくらりと変幻自在に幻影を見せる。
それこそがぬらりひょん。
そして、急接近し九尾の狐にの懐に切り込んだ。
九尾の狐はそれを察知し刀を手から弾いた。
それを再び手にするぬらりひょん。
尻尾が1本襲い掛かろうとしていた時、彼は狐の顔を切り裂いた。
傷口から、妖力がどんどん抜けていく。
それを追い、天守閣の屋根に這い上がろうとする九尾の狐。
さて、大阪の城下…
大阪城に妖が出入りしている噂が本当だということが伝わった。
この世の終わりを嘆く人々。
そんな中、ある黒づくめの男がこのことをあの方に報告しようとしていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(501) ( No.510 )
- 日時: 2016/09/20 22:18
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その頃、ぬらりひょんは下っ端妖怪の相手をしている暇はなかった。
こちらは九尾の狐を打ち取らねばならない。
階大を駆け上がり、店主の屋根にやっとの思いで這い上がったその時、かなりおぞましく、恐ろしく、不気味な妖気に触れた。
九尾の狐だった。
いくら仮に敵の見方の生き胆を100個集めようがすべて回復するかなんてわからない。
あれほどの妖気を失ったのだから。
九尾の1本がぬらりひょんの胸元に襲い掛かろうとした時だ。
ある呪文が聞こえてくる。
それが蘆屋一族最強の陰陽術、破軍。
これまでの当主の幽霊を式神として召喚する技だ。
九尾の動きは封じられた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(502) ( No.511 )
- 日時: 2016/09/21 21:41
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その刀は、妖力を切り裂く聖剣で、対妖怪に特化した特殊な刀だった。
その刀で九尾の狐を一刀両断。
あっけなく九尾の狐は斬り殺されてしまった。
その魂は眠ることはない。
ぬらりひょんの一族を許すこともない。
蘆屋一族をも許すことはない。
彼らを何百年何千年かけても呪う。
その呪いは、ぬらりひょん一族は天使や悪魔と子を為せない。
蘆屋一族は家の嫡男が早死にする呪いだ。
こうして、九尾の狐はこの町から消え去った。
この後、ぬらりひょんは桜姫と結婚し首無と雪女と合同して岡山に帰郷した。
一方、蘆屋家は京都に10の結界を作った。
並みの妖怪が抜けないような強い結界を。
400年500年続くほど強い結界を。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(503) ( No.512 )
- 日時: 2016/09/22 22:39
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
許しを得られず、京都へ戻る途中だった。
岩手県北上市…
北上川が流れるこの河原で僕らはサッカーをしていた。
それは菊地英治がやろうと言い出したもので、そもそも、彼だけではなく相原徹や中尾和人がサッカー部に所属していたからだ。
そんな河原に、ある高齢の男が現れた。
「…熊本健太郎という男はいるか?」
「それは僕のことだが、何か?」
彼は僕の目を見つめる。
「おぬし、あの姫の面影があるな…」
「あの姫って、何のことだ?」
柿沼直樹が詰め寄る。
「…ふむ、8代目、か…ずいぶんの時が流れたようだな」
「こいつ、何なんだ…?」
「思えば400年前、お前の先祖が我らの時を止めた…」
「おい!さっきから聞いてりゃいったい何を言っているんだ!?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(504) ( No.513 )
- 日時: 2016/09/26 22:19
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「それはお前たちにとっては関係のないこと。我らの目的は、熊本健太郎だ!」
「…何のために僕をつけ狙う?」
「では訊こう。なぜ貴様の一族はわれらの宿願の成就を邪魔するのだ?」
「さあな。陰の妖怪と陽の妖怪とじゃ考えが違うからな。とかく僕らの理想とは違うからに決まってるさ」
「…ならば、それを実力で思い知らせてくれる!」
鬼童丸はそう言うや否や刀を抜き、僕に斬りかかった。
僕はベンチのそばにいたものだからあの白竜で受け止めた。
「む、その刀は…」
「白竜さ」
「青竜院が刀作成をしていたのは聞いてはいたが、まさかこんな失敗作をこのような若造の手に渡るとはな…」
「失敗作?ああ、この刀は魔剣として作られるようだったけど、何かの手違いで聖剣になった…だろ?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(505) ( No.514 )
- 日時: 2016/09/27 22:51
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「いかにも」
「何だ…?あいつは何がしたいんだろう?」
頭の鈍い朗が和人に問うた。
「さあ、過去の因縁があるからな。ここで息の根を止めておきたいんだろう」
「ええっ!?」
「過去の因縁とか何のこと?」
「あいつの家はぬらりひょんだからな…」
「陰と陽じゃ対立も当然だな」
そんな会話が繰り広げられている中、僕はこの襲撃してきた鬼童丸と対峙していた。
「考えろ…ぬらりひょんはどういう妖なのか…」
そんな時、僕に一つの答えがよぎった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(515) ( No.515 )
- 日時: 2016/09/28 22:24
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「そうか…そうだったのか!」
僕はその答えに従って目を開く。
「やれ、牛力」
牛力と呼ばれた僕より図体の大きな男が僕を襲う。
まさにその動きはボディーブロー。
僕は目を閉じ、気を醸し出した。
牛陸はそのオーラに物おじせず、北上川に蹴り落とそうとした。
しかし、その攻撃は外れた。
まさに目の前の僕が幻だったかのように。
「小癪な小僧が!」
次は殴り飛ばそうとするが、やはり僕への攻撃は外れる。
「ならば、俺がやる!」
次は断鬼という若い鬼がナイフをもって僕の後ろを衝こうとした。
この攻撃が通ったと思った時だった。
僕の姿が桜のように舞い散り、別の場所に移った。
「以前、僕はぬらりひょんとはどういうものかを教えられた」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(507) ( No.516 )
- 日時: 2016/09/29 23:01
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
22代目山本五郎左衛門にぬらりひょんの性質を教えられた。
それは水に浮かぶ月を捕えてみるものだった。
当然ながら、捕まえられるはずがない。
それを見て、彼はこういった。
「ぬらりひょんとはそういう妖じゃ。敵をぬらりくらりとかわしてイラつかせる…そうやってやり過ごすものじゃ…まさに鏡に映る花、水に浮かぶ月…
」
僕はこの経緯を説明した。
「鏡花水月…か…」
鬼童丸がそう応える。
僕ではなく英治たちを睨み付け、
「どうか、お前たちも我らの側につかぬか」
「へっ、そんなのお断りだぜ」
英明が胸をそらして拒絶の意思を言い渡す。
「ならば、みな命はないと思え」
「はん、望むところだ」
宏がこぶしを胸に当てて言葉を返す。
「その意気やよし。しかし、奴らについたことを公開させてくれよう」
そう言って鬼童丸は去った。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(508) ( No.517 )
- 日時: 2016/10/14 16:58
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それでもって、僕の修行生活は過ぎていった。
そしてもってその真価が試される時。
僕はあまたの妖怪たちに悟られぬようにと、鏡花水月を発動した。
妖怪たちが姿を追い求めようとしたが僕はすぐそばにいる。
だけれども、僕の姿は見えない。
まさにぬらりくらりと変幻自在に姿が変わる。
それがぬらりひょんだ。
赤河童がのもとに駆け付けるや否や、僕はその手で酒の入った徳利をつかみ、その酒を盃に注いだ。
姿が見える頃にはもう、その杯には酒がなみなみと注がれていた。
この姿を見て赤河童は、
「ふむ…この力、自由に使いこなす素質があるな…合格じゃ」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(509) ( No.518 )
- 日時: 2016/10/15 16:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
みんなこの結果に顔色を明るくし、拍手喝采をした。
何とかこの結果も出せたわけだし、あとはあの九尾狐との因縁をつけねばならない。
だけれど、その頃の京都では、第6の結界の守護者が両目を失った状態で戦死し、第5の結界の守護者ですら自ら敵の大将の首を取ろうと直に用の力を体内に取り込む陰陽術で勇敢にかかっていったが、あっけなく一瞬で敗死してしまうという始末。
着々と結界は破られていく。
ついに僕が合格を認められた時に、第4の守護者も敗北しては逃げて行ってしまったので、そこで眠っていたがしゃ髑髏が解放されてしまった。
これで残す結界はあと3つ。
京都市北区にある鹿苑寺。
上京区にある相国寺。
中京区にある二条城。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(509-1) ( No.519 )
- 日時: 2016/10/15 16:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、10の結界の所在地をここにまとめておきました。
滋賀県大津市坂本 延暦寺 第10
京都府京都市左京区 慈照寺 第9
伏見区深草 伏見稲荷大社 第8
西京区桂 桂離宮 第7
右京区 竜安寺 第6
東山区清水 清水寺 第5
下京区堀川花屋町 西本願寺 第4
北区 鹿苑寺 第3
上京区今出川烏丸 相国寺 第2
中京区 二条城 第1
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(510) ( No.520 )
- 日時: 2016/10/15 16:35
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そして九尾の狐は鹿苑寺庭園に来ていた。
ここから池を挟んで鹿苑寺のきらびやかな姿が見えるところにたたずむ九尾の狐。
護衛の鬼や虫の妖怪たちを見張らせながらついにここまで来た。
その時、狐は光の結界の中に閉じ込められた。
星空奈々と彼女の側近がが急な襲撃をしてきたからだ。
まず手始めに丑凱の最強の結界『洛中洛外全方位金屏風』で動きを縛り、次に七星の最強の式神『虎松』で押さえつけたうえで、本人の最強の妖刀で首を取る。
そういうスタンスで勝つつもりだった。
しかし、思いもよらないことでこれが破綻することになってしまった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(511) ( No.521 )
- 日時: 2016/10/17 22:45
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そんな説明かましているうちにがしゃ髑髏が遅れてやってきた。
どうも九尾の狐を探しているようだ。
「待て待て、ここからが楽しみの時間じゃ」
その声を聞いた途端、がしゃ髑髏がそちらに向かって丑凱先輩結界を大きな手の骨で破壊してしまった。
「まさか…おれの結界を…」
破片となって消えていく結界を見てあっけにとられる丑凱先輩。
「そんな…どうするつもりですか星空さん!」
七星先輩も詰め寄る。
「さあ見せてみよ、その最強の続きとやらを」
「…」
彼女は言い放った。
「私がやつを攻撃する。2人はサポートに回って」
「え?」
「400年前、私たちの先祖は破軍、そしてあの白竜黒竜をもってあなたを葬った。あれから現在まで私たちのご先祖は陰陽術を磨いてきた。そうやって強化していた以上…破軍や白竜黒竜など必要ない!!」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(512) ( No.522 )
- 日時: 2016/10/18 22:08
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そう星空先輩は吐き捨てると、あの力を解放した。
「何じゃ、その姿は?」
彼女の肘より先が槍となったのだ。
「蘆屋家陰陽術・憑依一体。妖槍と人体を共鳴させることで攻撃力・機動力を大幅に上げる陰陽術よ」
「なるほど。陰陽師ながら禁術に手を染めたか。まさに鬼のような娘じゃな」
「九尾の狐は仕留める。いや、私が絶対に仕留めるべき相手。九尾の狐よ、覚悟なさい!」
「フフフ…」
さて僕はというと…
合格を認められた後、遠野にさよならをした。
そしてもって、京都に行くつもりだ。
だけどその前に、家族の皆にLINEで京都に行ってくると報告したうえで出発するつもりだ。
でも、僕らの場合は京都に住んでいるわけなので、その必要はない。
でも、京都の町は荒れに荒れていることを僕は知らなかった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(513) ( No.523 )
- 日時: 2016/10/19 23:02
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はというと…
東京都で出発の支度をしていた。
何せあのあたりには英治たちの自宅がある。
久美子の父さんは現在汚職事件で送検されている身なので、山梨県に移るかもしれなかったけれど、必死になって引き留めてくれたのでここにいる。
それでもって彼女は今は一人暮らしの身だ。
さて京都では、九尾の狐と星空先輩のつばぜり合いが続いていた。
それで状況は星空先輩が不利。
あの時、今の当主からこう言われていた。
破軍なしでは絶対に九尾の狐には勝てない。
けれども、彼女は粘る。
しかし、彼女は心の闇が蠢いていた。
それを見ていたものがいた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(514) ( No.524 )
- 日時: 2016/10/24 22:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、その闇に気づくものはおそらく誰もいなかったのかもしれない。
たとえあの側近2人でも。
「ひっひっひっ、心の闇見〜つけた」
武器な笑い声で心の闇を捕らえた老年の妖怪がいた。
鏖地蔵だ。
なんでも山本五郎左衛門の傍流から出た陰の妖怪だが、現在の嫡流と対立して離反、京都の九尾の狐の側に走ったのだ。
それで、九尾の狐の参謀として働くようになったのだ。
彼の宿願は今の嫡流に取って代わること。
そのために今の嫡流に不満な者たちを引き連れて離反した。
彼はその闇を見つけて彼女めがけて突進した。
「う…きゃああああああ!!」
断末魔のような叫びとともに星空先輩は倒れた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(515) ( No.525 )
- 日時: 2016/10/25 23:39
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
はてさて、僕はそのことも知らずして京都に向かっていた。
僕は京都に向かう新幹線の中で、京都の荒れようを想像していた。
京都の洛西学園都市も例外ではなく、町から1人1人が九尾の狐に捕らえられては生き胆を食らわれている姿。
京都の立派な寺院が多くの妖怪たちによって荒らされている姿。
どれもこれも考えるだけでも背筋がぞっとする。
さて、京都駅に着いた。
しかし、僕はそこから皆に会おうとした時、京妖怪の洗礼を受けることになったのだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・(516) ( No.526 )
- 日時: 2016/10/26 22:52
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕が京都駅に着いた時には曇り空。
とはいっても普通の曇り空とはわけが違う。
京妖怪によって京都の残る2つの封印、相国寺と二条城が落ちてしまって、今や魔物の住む都と化していた。
ここは鬼や怨霊の巣窟。
京都の町では、戒厳令が敷かれていて皆に外に出ないように警察は呼び掛けているんだけれど、妖怪たちは皆九尾の狐のために生き胆をかき集めることに精いっぱいだから、陰陽師から警察官から攻撃しているという。
これで京都府警のうちの4分の1が九尾の狐によって生き胆を食われてしまった。
陰陽師に至ってはもはや3分の1が犠牲になって戦死している。
もう、ここは僕の知っている京都ではない。
魔京だった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(517) ( No.527 )
- 日時: 2016/11/01 22:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、僕らが洛西学園都市に帰ってみると、青竜院兄弟のうちの上3人が今回のことについて話し合っていた。
「あら、お帰りなさい熊本君」
「結構こっちも学校からの電話がうるさくて参ってた時や」
「それで、お前はどこに行っていたんだ?どこかへ修行でもしに行っていたのか?」
「うん、遠野のほうだけどね」
「遠野?ああ、妖怪さんたちの忍者の里として有名だって魔界にも聞こえているあそこやな」
「そうだよ」
「それでもって、こっちは大変なことが起きてしまってね…」
「何があったんだ?」
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(518) ( No.528 )
- 日時: 2016/11/01 22:21
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「それがね、こういうことなの」
澪が事細かに洗いざらい全部京都で何が起きていたのか教えてくれた。
実はというと九尾の狐の動きがここ最近活発化していて、伏見稲荷大社を皮切りに次々と結界を破り、現在は相国寺の結界も丸腰になってしまったのを衝かれて破られてしまったということ。
下っ端京妖怪が言うには、二条城の結界を破ったらそこを本拠として、そこで九尾の狐は自らの子を出産するというのだ。
「やっぱり、あのメフィストという悪魔を産むため…」
「そうよ。だからここでいろいろ話し合っていたの」
やっぱり、あの九尾の狐にあのことを問うてみたい。
あの事件のことを。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(518) ( No.529 )
- 日時: 2016/11/03 00:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、ここは二条城…
ついに九尾の狐はここの結界を落とした。
九尾の狐はここを拠点として、自らの子であるメフィストを産む。
悪魔には階級がある。
その一番上位なのがメフィストだ。
そのメフィストの母親は絶対に九尾の狐でなくてはならない。
メフィストは全悪魔を統べる王だ。
大魔王の後継ぎとなるべき人物だ。
メフィストは第14代目を最後に、メフィストが未だ生まれずして九尾の狐が死んでしまうことが多発するようになったので、ほかの兄弟が跡目を継ぐことが多くなった。
大魔王の側室もまた、九尾の狐である。
だが、彼には立派な正室の大女神がいる。
彼は大女神を愛しているがゆえに魔力減少の束縛をやむなく受けるしかなかった。
それを九尾の狐は面白くなく思っている。
この戦争は、九尾の狐VS大女神という構図からできている。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(520) ( No.530 )
- 日時: 2016/11/07 22:59
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、戦いのほうに戻って僕らは京都の町へ出た。
その時の京都は普段だったら稀有な景色があった。
京都の町はまさに京妖怪がうろうろしており、まさに魔京というべき状態だった。
京妖怪がまずメフィストに力を与えるためには人間…その中でも強い力を持った人間の生き胆が必要だ。
それらの生き胆は精気があると信じられている。
その精気を吸うことでメフィストの力の源がたまる。
それが多いほどメフィストは強くなるという感じだ。
そんなこと考えているうちに、京妖怪の軍団が現れた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(521) ( No.531 )
- 日時: 2016/11/08 23:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その僕の前に現れたのは、白蔵主という僧侶の様ないでたちの狐の神だ。
「お前たち、葛の葉狐様にあったことはあるか?」
「え?まだ、会った覚えはないけれど…?」
「そうか…私は京妖怪には間違いないのだがな、九尾の狐とは真っ向から考え方が対立しておってな、私は出奔してきたのだ」
「出奔て…」
「つまり、あなたは九尾の狐と対立して逃げていったってわけね」
澪が言う。
「逃げてなどいない!私は卑怯なことが嫌いなものでね」
白蔵主が反論する。
「じゃあ、あなたの仲間はどうしたの?」
「それがな…私は同志ともに逃げていたのだがな、気づけば皆…」
彼は唇を噛み、無念そうな眼をした。
「つまり、あんたの同志は…」
雫が意味を察する。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(522) ( No.532 )
- 日時: 2016/11/09 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「…その通りだ」
「つまり、追っ手に…」
白蔵主がうなずく。
「彼らとは、いまだに再会できてはいない。もしかすると、もう殺されているかもしれん」
「はぁ、あいつらって裏切り者には容赦ないんだな」
「まだ仲間には会えていないのはよく分かったけど、ところで葛の葉狐って誰?」
「晴明様のお母さまでな、今でも、祭られている偉大な稲荷様だ」
「晴明?ああ、安倍晴明か…俺たちは青竜院の家の人なんだけどな…」
「なんと!では晴明様の血を引いているのか!?」
「あ、ああ、俺たちは青竜一族の一派だからな…」
「なるほど、葛の葉狐様はとても物知りなお方でな、もしやすると、慶長の封印を再建する方法をも知っているかもしれんぞ」
「なるほどそうですか、ありがとうございます」
僕は無性に葛の葉狐に会ってみたくなった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(523) ( No.533 )
- 日時: 2016/11/14 22:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その日はもう遅いので、さすがに夜の妖怪の町で歩きすることは躊躇われる。
今夜はゆっくり眠ることにした。
翌日、僕は葛の葉狐に会うことにした。
大阪府和泉市…
ここには、信太森葛葉稲荷神社という社がある。
この神社には葛の葉狐が祀られている。
僕は誰もいないその社の中に入った。
11月とはいえ、少し温かみのある日で、北風も弱い穏やかな晴天だった。
皆はあの神社の鳥居の下で僕を待つことにした。
僕はその葛の葉狐に出会って、九尾の狐とはどういう妖なのかを聞かされた。
九尾の狐は、葛の葉狐とは全く同じ先祖を共有するのだけれど、いつの頃からか、彼女たちは分裂してしまった。
九尾の狐は、そこらにいるような妖とは違う。
転生妖怪だ。
人間という衣を羽織ってこの世に災いを為す。
乱世に生まれては心の闇を持っていそうな子供にとともに過ごし、彼女を操らせる。
その心の闇が頂点に達したときに生体となり、メフィストを孕む。
生き胆を集めているのは、メフィストに力を与えるためだという。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(524) ( No.534 )
- 日時: 2016/11/15 22:24
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その力をもって百鬼夜行を当時最強の勢力を誇ったとされる。
しかし、メフィストの出産未だならずして悉く失敗に終わってしまっている。
一番の致命傷といえるべき事件が慶長の時に起きた。
それは、秀吉が死んで頼みとしていた豊臣家が関ヶ原の戦いで一諸侯に転落してしまい、徳川幕府当局がその不安を取り除こうとしてあれこれ頭を絞っているころだった。
それでもって、あの方広寺鐘銘事件だ。
これで家康の挑発にまんまと乗ってしまったことで、大坂冬の陣が起きた。
それでも、大阪城五人衆として後世名もなき市民によって尊敬される浪人たちをはじめとした豊臣の軍隊が家康を大阪城に入れることを許さなかった。
しかし、力が圧倒的だってのでやむなく堀の埋め立てを承認してもらう形で講和となった。
そのあとのことだ。
当時、京阪のあたりでは京妖怪が暗躍していた。
九尾の狐は、徳川時代が始まれば妖にとっては住みにくくなる…
そう考えると、早くメフィストのために力を蓄えねばと考えていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(525) ( No.535 )
- 日時: 2016/11/16 23:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、九尾の狐と僕の因縁…
それは8年前の東京であった。
僕は当時、山本五郎左衛門という妖怪の世界のもとでは神格化されていた男の子孫のもとで修業を積んでいた。
その時、今の九尾の狐の幼き日の姿と思われる少女と出会った。
僕はその少女と次第に打ち解けていき、次第に自分たちの夢について語り合うようになった。
それなのに、あの日だった…
東京の梅雨入りの日…
6月9日であっただろうか…
あのアジサイの花が咲く日に、彼は殺された。
赤黒い鮮血をその地に曝して…
その日以来、あのことを入梅のごとに思い出さずにはいられない。
子の因縁を完全に白日の下にさらすまでは。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(526) ( No.536 )
- 日時: 2016/11/21 22:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
あれは東京に入梅の報告があった日…
それは突然だった。
ある日、五郎左衛門は例の少女とどこかへ行ったきり帰ってこなかった。
そして、その夕方…
一通の電話があった。
それは、山本五郎左衛門が、亡くなっていたという旨の電話だった。
僕は雨の中、傘をさしてあの現場に駆け付けた。
そこは、神奈川県鎌倉市にある長谷寺だ。
そこには、山本五郎左衛門が倒れていたという場所で、警察が捜査を始めていたとのことだ。
結局、今現在になっても犯人は捕まってはいない。
ただ、例の少女が返り血を浴びて僕の後ろに立っていた。
その風景は、言いきることのできない気味の悪さが漂っていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(527) ( No.537 )
- 日時: 2016/11/22 21:41
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それ以来だ。
入梅の時期になるとこのことを思い出さずにはいられなくなるのだ。
その事件は、たぶん九尾の狐のせいだとはわかっている。
だけど、その動機が今でもなおわからない。
九尾の狐は今、自分の宿願であるメフィストの誕生の儀式を行うことを成就させようとしている。
メフィストが生まれることはつまり、大魔王たるにふさわしい息子が生まれるということを意味している。
だから、かなりの生き胆を集めているのだ。
特に、頭のいい者やボディービルダーのような強く逞しいもの、特殊能力の使えるものと化の生き胆はかなりの霊力を持つとされ重宝されている。
僕がそんなことを考えているうちに、九尾の狐のもとに生き胆が着々と集まっている。
反攻ののろしが上がるのは、これからだ。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(528) ( No.538 )
- 日時: 2016/11/23 14:38
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、星空先輩率いる軍力はすでに九尾の狐のもとに降伏してしまっていた。
一方、そのことを知った3年4組たちは大騒動。
「まさかあの星空が九尾の狐に屈してしまうとはな…」
「あの人のことだから負けるはずがないと思ってたのに驚きだよ」
「さて、俺たちはこれからどうしようか」
「俺らは3組と一種の協定をもう結んじまってるからな…」
「でも、九尾の狐に俺たちが勝てると思うか?」
「勝てるとは思ってないけど、俺たちだって京都が荒らされるのは見たくもないよ」
「なるほどそうだけど…」
「俺たちは、俺たちで何かできることを探そうじゃないか」
「そうだな。だって俺たちの京都だからな」
「賛成!!」
3年4組は、荒れる京都の中で自分たちが僕らにできることを探すことにした。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(529) ( No.539 )
- 日時: 2016/12/08 15:43
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
魔都となってしまった京都は言うまでもないが、昼は来ない。
雲は不気味な黒色で、空は当然ながら曇り空。
市街のいたるところに京妖怪が徘徊している。
その目的はもちろん、九尾の狐のためにより多くの生き胆をいただくためだ。
賢ければ知恵、勇ましければ武力、特殊能力が使えればその力が得られるのだ。
妖怪の世界ではそれほど重宝されないものはない。
一方、僕らはそれには興味を示さないが、自分たちの力をもって人々を魅了すること、それを生業としている。
人々はそれを江戸妖怪と呼んでいるという。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(530) ( No.540 )
- 日時: 2016/12/09 10:54
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、そのことを話すうちに、ある時に最古参の家臣が九尾の狐のもとへと来た時があった。
その最古参の家臣はもちろん九尾の狐の敵であるわけがなく、あっさり完敗して命だけは助けられて敗走した。
敗走したとは言えど、1つ確かな情報をもってかえることができた。
それは、九尾の狐が山本を殺したのは紛れもない事実だということだ。
やはり、僕はあのことを知った。
もう後戻りはできるわけはない。
あの時の敵は、宿願成就の破壊とともにとってやろうと思う。
しかしながら、現状は最悪。
まずは葛の葉狐の言っていた、延暦寺から行けということ。
僕は、延暦寺に行くことにした。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(531) ( No.541 )
- 日時: 2016/12/09 11:04
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
延暦寺…
そこにはもともと10の結界の第10番目があったところだった。
しかし、今はもうすべてが落ちて、現在は京都市街が魔京となってしまっている。
京都市街は普通であれば多くの観光客でにぎわっているはずだ。
しかしながら、今日は全く違う。
魔京となってしまって異様な雰囲気が漂う中、観光に楽しめる状況ではない。
それゆえに、人ばかりか猫1匹もいない寂しさだ。
この日、延暦寺のたもとに来た。
まさにその様子は異様以外の何物でもなかった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(532) ( No.542 )
- 日時: 2016/12/13 14:50
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そこには、典型的なモブの京妖怪がうじゃうじゃいた。
ひとみが、
「このくらいの京妖怪、私に任せて」
というや否や、機関銃を取り出した。
実をというと、僕が信太の森に行ったとき、九尾の狐が彼女たちに渡されたのが武器である。
どうやら武器を何も持たないようじゃ京妖怪に勝つどころか、まともに対峙することもままならないからというからだそう。
ひとみは言うと京妖怪たちをぐしゃぐしゃに撃ち落としてしまっていた。
なるほど、京妖怪の死骸が延暦寺につながる道に並べられている。
「どう?」
そう言われるものだから女子は皆拍手していた。
当の本人は嬉恥ずかしといったところだけど。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(533) ( No.543 )
- 日時: 2016/12/14 20:36
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
僕はそこの結界が封印されているうちに第9の結界のある慈照寺に来ていた。
やはりここにもモブの京妖怪がごまんといた。
だけれど、久美子や宏がここにとどまって京妖怪殲滅を図ることにして僕らに第8の結界、伏見稲荷大社に行くよう促した。
第8の結界にはもともと封印されていたのが京妖怪側の番人、二十七面千手百足といわれる千手観音のような妖怪がそこの守備隊長だ。
僕らはそこの千本鳥居の前にいた。
晴美もそこのパンフレットを引っ張り出していた。
実をというと、僕がいるのは奥社参拝所というところ。
ここにはあるおもかる石は、一見すると何でもないような石だけれど、実は僕が思いだにしなかった場所に引きずられることになる。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(534) ( No.544 )
- 日時: 2016/12/15 16:21
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、そのおもかる石に晴海は思わず手にかけてしまった。
その感覚は自分が思った以上に軽そうに持ち上げた。
何か、いやな予感がすると思って僕は千本鳥居のほうへと入ってしまった。
その千本鳥居で事件は起きた。
その千本鳥居の奥社側から500本くらい先のところに何かしらの魔界への入り口を連想させられそうな大きな空間の裂け目が開いていた。
その空間の裂け目の中にはやはり伏見稲荷大社だったが、そこは奥社参拝所だった。
しかし、それにしては何か雰囲気が怪しく思えてきて中に入ってみるとそこには多くの小鳥居があった。
そこの中央には、二十七面千手百足が居座っていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(535) ( No.545 )
- 日時: 2016/12/19 16:20
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その二十七面千手百足の攻撃方法とは、鳥居から腕を伸ばして敵の手を捕まえて引きずり込み、そのうえで敵の腕を切り刻むというのだから恐ろしい。
千手百足は敵を見つけるなり、さっそく先制攻撃を仕掛けてきた。
それも何百もある鳥居から腕を伸ばしてくるのだから、いくら切り落としても切り落としてもきりがない。
そればかりか、切り落とした腕は地に落ちるや否や、その腕は煙のように消えてしまって二十七面千手百足のもとに再生するじゃないか。
なかなかダメージ1つ与えられない僕らが手をこまねいている間に、1つ事件が起きた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(536) ( No.546 )
- 日時: 2016/12/27 20:28
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
千手百足はもともと回復力はあるが、それは腕に関して。
心臓はあまりにも脆弱すぎるので、その回復に費やされるとその体力を消費してしまう、つまりはこれによって体力を消耗させてしまうのだ。
実はダメージを受けてはいないようで受けていたのである。
それを睨んだ零は単身千手百足の懐に切り込もうとした。
けれど、相手は千本の腕を持っているのに対してこちらは2本。
しかも一本の太刀で襲い掛かろうとしているのだから、危険極まりない真似をしでかした。
しかし、それを霞が千手百足本体に銃弾を撃ち込んだ。
もちろん頭に遠弾を撃ち込むのだから、かなりのダメージは見込められる。
そこで完全に弱り切った千手百足の胸倉に太刀筋が貫いた。
完全に戦闘不能となったところの上には大きな杭が現れた。
零は刀を胸倉から抜いた。
大きな杭は抜き終えたのを見計らったかのように落ちた。
千手百足は再封印され、第8までの再封印が完了した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(537) ( No.547 )
- 日時: 2017/01/05 22:51
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
桂離宮・竜安寺でも、多くの陰陽師が最強の名将の指揮の下でこぞって奮戦したが、結局は陰の力を吸い込んで強くなった京妖怪によって敗北、桂離宮のほうに至っては全滅というありさまに終わってしまった。
それというのも、桂離宮では星空先輩が1人で陰陽師10人がかりで襲ってきたのを一振りのもとに倒してしまった。
さて、澪は桂離宮に向かうため、自分の家のある南区鳥羽に向かっていた。
澪はここに来てから1人暮らしで、京都大学にはいつも自転車を使って通学していたのだ。
澪が桂離宮に着いた時、異様ないでたちの星空先輩がそこにはいた。
その形相ときたら人間なのか魔物なのかぱっと見では判断できない様子だった。
澪はそのいでたちにたじろいだ。
しかし、彼女の目を覚ますには戦うしかない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(538) ( No.548 )
- 日時: 2017/01/10 21:46
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
桂離宮の澪は見るに堪えない変わり果てた姿だとしても、やはり戦わないわけにはいかない。
「まさか、こういう人と戦う羽目になっちゃうとはね」
澪もため息をつく。
「悪魔だとしても不足はない。まずはお前から倒して、私が当主になる!」
「当主?いったい何のこと??」
澪はこのことを知らない。
実は彼女は妖刀作りのエキスパートで、幼い時から実力を出していた生まれながらの天才だ。
澪は頭がいいことは生まれながらで戦闘力に関しては努力よって身につけたもの。
澪は生まれながらの完全無欠に憧れていた。
しかし、天才だった彼女にまさかの出来事が起きて以降、彼女はナンバーワンとしての地位を守ろうと腐心する。
しかし、その末がこれだ。
澪はこの姿で傷を負いながら天才の苦しみを思いやるのだったが、どうして彼女がナンバーワンにそこまでしてしがみつこうとするのかが分からなかった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(539) ( No.549 )
- 日時: 2017/01/17 22:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
澪は頭がよく、人格者とあがめられていて次期当主への期待が寄っていた。
それでも、自分は実力にあった力を求めるために当主としてより個人としての研鑽を積んでいた。
彼女は当主という地位にはあまり野心がない。
せいぜい当主とは家を取り仕切るような存在なので、結婚願望のある彼女は苦手意識を持っていた。
それだから、なにも自分は当主にならなくても雫が継いでくれそうだと思っていた。
しかし、いま彼女の目の前に当主の野心を持つ女がここにいた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(540) ( No.550 )
- 日時: 2017/01/24 22:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
そんな彼女の前にして一瞬戦慄を覚えたとたん妖鎗が彼女の肩を切り裂いた。
もう誰にも邪魔はさせないつもりだという気持ちだ。
その意思を認めた澪は鞭を引っ張り出して触手か何かの様に絡みつけようとした。
しかしそれらはすべて妖鎗の一振りのもとに切り捨てられた。
「やっぱり天才だとは魔界にいたときからは聞いてはいたものの、この人、強い…!」
澪はその力を前にその力の源を睨み付けた。
しかし、彼女はあの鏖地蔵といわれる妖怪が取り付いていたとは知る由もない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(541) ( No.551 )
- 日時: 2017/02/02 22:02
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてこちらは竜安寺…
篤が竜安寺の枯山水のもとに足を踏み入れた。
すると現れたのは酒呑童子の配下の4人の鬼だった。
彼らは長男熊童子、次男虎熊童子、三男星熊童子、四男金熊童子の四人兄弟で、酒呑童子の配下として京都の人々を恐怖に貶めていた。
しかし酒呑童子の死後、九尾の狐の前に敗れて以降は彼女の配下として仕えている。
彼らは兄弟そろって千年前から伝わる乱暴な鬼で、感情が高ぶりやすく手が付けられないが、それでも九尾の狐の前には忠実な部下である。
しかしながら、彼らは皆呼び捨てにしている。
そのため、彼女のことを「闇の聖母」として呼び慕っているしょうけらとはそりが合わない。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(542) ( No.552 )
- 日時: 2017/02/07 23:12
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「…何か……恐ろしそうな奴とあってしまったか…」
篤は卒塔婆で手の当てをしている4人の鬼兄弟を睨んだ。
「あ?てめえ、何だその目は?」
「いや何も、恐ろしそうだがな、ファイトがわくもんだからな…」
「なるほど、よっぽど死に急ぎたいらしいな」
4人兄弟はそろって刀やハンマーなどの武器を装備した。
さて、桂離宮…
澪は星空先輩と戦っていた。
彼女は手が傷だらけでもう鞭を持つことで精いっぱいという状態。
その恐ろしさの根源が澪には見えてしまった。
そのものは老齢の妖怪と見て取れるが、それでもやはり不気味さが恐ろしさと混じってより一層怖くしていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(543) ( No.553 )
- 日時: 2017/02/14 22:44
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、陰陽師たちは再封印の作業に取り掛かっていた。
戦力的な観点でいうと、エース格を為す存在が敵に寝返ってしまった状況を考えるとその分の戦力低下は間違いない。
そのために、戦闘的なところでの指揮官は第4の結界を涙を呑んで大被害を出すのを憚って退却し、無事誰一人として犠牲者を出さなかった『下松菜々子』が代行でなっている。
星空先輩は大いに戦ったが大勢の犠牲者を出したうえに、敵に操られてしまったがために、指揮官から外されるのは時間の問題だ。
さて、戦闘に戻って状況はというと竜安寺での戦いが始まり、桂離宮での戦いでは、澪が傷だらけの中、気味の悪い何かを見出した。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(544) ( No.554 )
- 日時: 2017/02/21 22:46
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
桂離宮…
この戦いで、澪はその恐ろしいものに向かって鞭を打ち放った。
星空先輩本体には効かなかったが、傀儡子と思われるものにあたることはできた。
「ひっひっひ…よくぞわしがいたことを見破ったな。さすがは青竜院一の頭脳の持ち主」
そういって現れたのは鏖地蔵といわれる妖怪。
一切の正体はすべて不明で、ここ最近に出現が認められた妖怪だ。
「頭のいいことは認めはするけど、あなた全く知らないんだけど。いったい何者なの?」
「小娘よ、おぬしが知らぬのももっともじゃ。わしはネクロマンサー…死霊魔術師じゃよ」
「死霊魔術師?悪魔の世界じゃ聞いたことはあるけれど。なぜ生きてる人間にとりつくわけ?」
澪は星空先輩を後ろで寝かすなり問い詰めると、まさかの答えが返ってきた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(545) ( No.555 )
- 日時: 2017/03/09 23:01
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
それは自分の宿願、ひとたび死んだ兵士をよみがえらせることの実験の手始めに、生きている人間を強化できるかどうかを確かめたかっただけとのこと。
澪はそんな考えを受け入れられるわけもなく、
「バカみたい。私はあんたなんかとは違って死者は甦ることはできないって思っているから」
「なるほど、さすがには受け入れてもらえはできないか…では我が力を見るがいい!」
そう言い放ち、澪の周りに多くの甲冑を着た髑髏が現れた。
「お前たちの大将では我が主を倒すことはできん。我らの力を思い知るがいい」
そういって消えてしまったネクロマンサーを追う澪だったがもう遅かった。
彼の姿は竜巻の中へと消えていった。
彼女は髑髏武者のほうへと向き直り、すべて薙ぎ払おうとして改めて鞭を構えた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(546) ( No.556 )
- 日時: 2017/03/14 22:55
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
竜安寺…
この4人の凶暴な近距離遠距離攻撃になかなか対応できず、防戦一方の篤。
その鬼は日本刀のみならず、銃火器や槍などのそれぞれ彼らが得意とする武器のコンボが展開されるので、紐でのトリッキーな攻撃を仕掛ける篤からしてみれば非常に厄介なものとなる。
「なんだ、あの野郎の家来にしてみりゃ大したことないじゃないか」
「あの23代目が継いだらもうお前の身は破滅だな」
「…」
「何だその目つきは。よっぽど死にたいらしいな」
「お望み通り地獄に送ってやるよ!!」
拳銃を構えたとたん、髪が伸びてきた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(547) ( No.557 )
- 日時: 2017/03/22 23:33
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その髪は、マルシーのものだった。
「ちっ、またしても邪魔者が入りやがってきたか…」
憎らしそうに睨む熊童子。
「Oh?私はそんなつもりじゃないけど」
「やはりあの家は忌むべき一族だったか…お前たちを全員一人たりとも残さず冥土に送ってやる」
「ふぅん、やってみなよ。けど、できるものならの話だけどね」
いたずらっぽい笑顔で挑発した。
「くぅっ、俺たち陰の妖怪の力をなめるなよ!!」
彼らは劇場に駆られてそれぞれの武器を構えた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(548)(549) ( No.558 )
- 日時: 2017/04/03 23:03
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さてそんな戦況だが、茨木童子たちもまた、400年ほど前は豊臣のもとで暗躍していた。
豊臣政権がわずか10年で完全崩壊した後、秀頼の力があまりにも秀吉とは遠く及ばないとした彼らは多くの人々を九尾の狐のための生贄を少しでも多くかき集めようとしていた。
そして、それは思った以上にその11年間で多く集まった。
それは高貴な一族の生まれから名に轟く猛将まで多くの力がそろっていた。
そのため多くの人々が片っ端から生き胆を失い、命を落とした。
しかしながら、それは破綻した。
というのもあの400年前にぬらりひょんたちが九尾の狐を打ち取ったからだ。
その結果主君を失った陰の妖怪の勢力は急激に弱まり、陽の妖怪たちの京都進出への足掛かりとなった。
茨木童子たちはそのあと、人間と交わるようになったことで陽の妖怪の仲間入りを果たした。
それ以降、酒呑童子の部下は例の4人兄弟たちとはたもとを分かつことになった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(550) ( No.559 )
- 日時: 2017/04/20 22:31
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その後400年間は、陰の妖怪たちは江戸時代から今までの記録書に暗躍していたという記録を一切記されない状態で沈黙していた。
しかしながら8年前、ある者の参加によって力を回復させていった。
さらには多くの死霊で、この世に深い執念を持ったものを次々と転生させていった。
さらには1000年前の貴族の娘を転生させた上に九尾の狐の依り代とすることに成功したのだ。
その貴族の娘は、中宮として嫁ぎ、皇子まで生んだにもかかわらず、子孫を長く保てなかった娘である。
その彼女が陰の妖怪たちを取り巻て目、悪魔と関わりを持ち、ついにここまでの勢力回復を見た。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(last) ( No.560 )
- 日時: 2017/06/18 17:45
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
これまでのお話をもってこの小説は無期限の凍結とさせていただきます。
これまでのご愛読ありがとうございます。
そしてこんな終わり方になってしまったごめんなさい。