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Re: 魔砲少女 アイン 〜GOTT KUGEL〜  ( No.4 )
日時: 2014/10/06 20:03
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: ZxqcZXZM)

 4話 


 

 『ブゥルォオオオオオオオッ!!!!』


 獰猛な威嚇の雄叫びを上げる異形『業魔カルマ』。

 巨大な胴体を震わせ、自分の触手を断ち斬った目の前の歳いくばも無いであろう小さな少女を睨む。

 「・・・」

 閑静とした森林公園。そこに人外の化け物と対峙する少女という、ひどく奇妙な、アンバランスとした光景。

 腰先まである白のロングヘアー。

 身に付けるは白いワンピース。

 現実には在り得ない魔の者を眼前にしても、その涼しげな蒼い瞳を一切揺るがさせない強い意志を垣間見させる。

 その少女の後ろ、倒れ伏す先程助けた女子学生の傍らに何時の間にか現れた真っ黒い奇怪な小動物。

 ヌイグルミのような正体不明のそれは鋭利な三角形の瞳で女子学生を見やり喋り出した。

 「キキキ。ツヴァイ、この人間の雌ガキの外傷はたいしたことないぜ。記憶を改竄して近くの民家の玄関先にでも放り込んで置くか」

 白い少女は後ろを視る事無く手にした不釣り合いな銃剣が組み込まれた長銃を怪物に向ける。

 「事後処理は任せる、クロム。私はこの『業魔カルマ』を叩く」

 そう言うや否や、少女を中心として巨大な力場が形成され始めた。

 纏う紫電が折り重なり、絶大な魔力を現出させる。

 「蒼き孤高の雷よ。我が躯を守護する鎧と至れ。魔武装ディアンブル・アムズ

 閃光が迸り少女を包む。

 蒼雷が弾け、魔法陣が顕現される。嵐が巻き起こり奔騰狂転し、破壊と創造を一手に引き受ける。

 衣服は分解され少女の裸身を惜しみなく晒し、流入する波動が覆い尽くす。

 奔流は幾何学の魔導文字の羅列となり少女の頭、腕、胸、腰、足へと流れ同時に白銀色の戦闘装束が形成されて次々と身に付ける。

 絶大な魔量を孕んだ豪雷が爆ぜる。

 白亜のスカーフとレースをあしらったスカートを靡かせ、今、絶対の執行者が爆誕した。

 「業魔カルマ。貴様たちの逝く先は『無』だ」

 少女は蒼い稲妻を帯びながら口を開き、異端の怪物に言葉を投げ掛ける。
 
 「貴様たちには何も無い。霊も魂も存在価値さえも」

 言いつつ、白銀の銃剣バヨネッタの鋭い刃先を示し、その刃よりも研ぎ澄まされた殺気を放つ。

 その気迫に圧倒されたのか異形は微動だに出来ず、ただただその巨体を振るわせるしかなかった。

 「我が愛銃『雷鳳天使(フィ二クス・テスラ・エンゼルン)』。汝が裁くは永劫の下愚。汝がもたらすは勝刻の勲印」

 嵐と雷の魔力が濃縮され膨れ上がり、急速な勢いで白銀の銃剣に集束される。


 少女ツヴァイは引き金に指を合わせ、





「真雷の天覇滅極剣エーテルリヒタル・シェラハルトシュルト・ディセイバー



 

 そして一気に解き放った。





 眼を覆う眩しい光の大剣。


 それは天を穿ち焦がす。


 疾風迅雷、神風塵雷の破魔の剣。


 
 圧倒的、力の差。



 異形は確信する。



 これは己の存在その物すべてを消し去る力。



 それすらも理解の範疇を超え、否定してしまいたくなる強さ。


 
 その醜い肉体は徐々に蒸発し、那由多、不可思議、無量大数の雷に貫かれ、一瞬の内に掻き消え、滅する。
 



 そして空間は白一色に塗り替えられた。