コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 伝えたい気持ちがあったとさ 【イラスト・有】 ( No.10 )
- 日時: 2014/09/13 22:28
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
「おい、泉待てーーーー!!」
廊下を猛スピードで走る僕の後ろから、応援部仕込みの女子にしては野太い声が響いた。
それに同調するように、
「待ちなさい!」と他の女子の声。
「うるせぇ一年!!!!」と三年や二年の声。
「廊下は走るなァァァァァァ!!」と教師達の怒号。
しかし、壁やらロッカーにぶつかりピンボールの様に廊下を走る僕は、止まらない。
そりゃあ、後ろから目を吊り上げた女子達が追いかけてくるのだからーー。
時は朝まで遡る。
*
「おい、泉」
いつも以上に重い足をひきずり、イヤイヤ学校に来た僕は予想通りというかなんというか、松尾さんに話し掛けられた。
松尾さんがバンと僕の机を叩く。
松尾さんのポニーテールがサラサラ揺れた。
「えーっと、何かなぁ?」
まぁ、用件は解りきっているのだが、ひきつった顔で必死に笑顔を作りながら僕は松尾さんに問い掛けた。
「美郷ちゃんの事フったんだってねぇ?」
松尾さんは意地悪そうに口の端をキュッと上げた。
僕は顔を伏せる。
「わたしが調べた所によると、アンタ、かなり前科があるみたいねぇ?」
松尾さんはそう続ける。
しかし何だ。
前科って……刑事ドラマの見すぎではないか?
「あ……何、前科って」
「中学の時にアンタ、かなりのプレイボーイというか、女の子をたぶらかすサイテーな人だったんでしょ?」
僕が言い終わらないうちに、松尾さんは目をクリクリさせながら言った。
その顔は新しいおもちゃを買ってもらった子供のようだ。
「中学の時、プレイボーイだったのよね?」
何も言わない僕に、松尾さんはそう繰り返す。
僕はまだ何も言えない。
「何か言いなさいよ!!」
またもや机を叩かれ、僕は震え混じりに答えた。
「何で知ってるの……?」
中学時代は、もうその全てが黒歴史と言っても過言ではない。
今思うとかなりはちゃめちゃやったものだ。
確かに女の子をたぶらかしてたな……
しかし、なぜ松尾さんはなぜその事を……?
「あぁ、愛梨ちゃんに聞いたの。
同じ中学でしょ?」