コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 伝えたい気持ちがあったとさ 【イラスト・有】 ( No.11 )
- 日時: 2014/09/14 21:36
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
「あぁ、愛梨ね」
少しだけ懐かしいその名前に、昔を思い出した僕の顔は少し綻んだ。
野々村 愛梨ーー僕の幼馴染みで、小学校、中学校、高校まで一緒という、かなりミラクルな女の子だ。
まぁ、高校ではクラスも違うし、まさかここで名前が出てくるとは思わなかった。
そうか、情報源はあの子か……
すると松尾さんはそんな僕を見たからか、「へぇ……」と声を漏らす。
そしてこう続けた。
「アンタって、こういう風に笑うんだ」
「え? 僕、いつも笑ってるよ?」
思いもよらなかったその言葉に、僕は首をかしげていた。
いつも、素っ気ない印象を与えぬように表情には気を付けているのだが……
「あんなの、上っ面だけでしょ」
僕が首をかしげている間に、松尾さんは素っ気なく言い返してきた。
……暫しの気まずい沈黙。
「え、ええと……つまり何が言いたいのかな……?」
その沈黙をクラッシャーすべく、僕は再びひきつった笑みをお供に松尾さんに話し掛ける。
「あ、そうそう!! 『泉 宅被害者の会』、結成!」
松尾さんは、そう高らかに宣言する。
これは、こんなに高らかに宣言するような事だろうか?
しかも、本人の前で。
僕は「あぁ、はい……」と適当に返し、読書を開始する。
僕が本の世界へ引き込まれそうになった、その時。
「みんなおはよ〜! あ、松尾っちじゃーん!!」
というかなり大きな声、
「あ、おはよう。恵ちゃん……と、泉君」
というほんわかした声が、ほぼ同時に聞こえてきた。
ほんわかした声の主は、隣の席の御園さん。
激しくオマケ臭が出ているが、僕にも笑い掛けてくれている。
……あれ? なんだか元気が出てきたぞ。
そんな御園さんとは対照的に、もう一人の声の主は僕と目が合った途端、目を逸らした。
「あ!!かのんと美郷じゃん! おはよ〜」
もう一人の声の主は僕が昨日フった、飯沼さんだった。
「あ、昨日の事の話してたの?」
飯沼さんは、意外と元気な様子で松尾さんに話し掛けた。
ただ、僕の事はガン無視のようだったが。
「昨日の事〜?」
御園さんが呑気な声を出した。
ーーあ、ヤバイ。
危険を察知した僕は、本で顔を隠す。