コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 少年少女の甘酸っぱい青春物語(の、つもり) 【イラスト・有】 ( No.13 )
- 日時: 2014/11/10 20:44
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
「おい、泉」
目の前で仁王立ちをした教師は、殺気を出しながら僕を見下ろした。
……誰もいない教室で正座をさせられている僕は、小さく「ハイ」と返事をした。
「正直、お前は性格的には目立たないタイプだから、廊下を爆走なんて事するとは思って居なかったんが……」
そう、教師は“ 性格的には ”という部分を少し強調しながら言って、一つため息をついた。
僕だって、まさか廊下を爆走するなんて思ってなかったんだけどな……
廊下を爆走していた僕はなんとか女子軍団には捕まらなかったものの、
全校生徒の見ものとなってしまい、男子の歓声や女子の雄叫びなんかを聞き付けた教師に呆気なく捕まり、今お説教を受けている。
まぁお説教なんて「ハイ」「ゴメンナサイ」「反省シテマス」なんていう言葉を駆使すればなんとか切り抜けられるのだが。
ただ、その時僕は、“性格的には” という言葉にカチンと来てしまった。
「悪かったですね、容姿が浮いてて」
そう言い放ち、いつの間にいたのかドアの前で覗いている野次馬の男子生徒を睨む。
そして、少し伸びてきた赤い癖っ毛をいじる。
僕は、生まれつき髪の毛は真っ赤で目は深い緑色だ。
どうやら、死んだ祖母が僕と同じ赤毛の緑目だったようで、それが家族の中で僕だけに遺伝したらしい。
ただ、顔が日本人そのものの為、物凄い違和感だ。
その為か「校則違反だ〜」と地毛だと分かってくれない学校が付きまとったので、たまに黒く染めたりもしていたのだが、学校側がやっと地毛だと理解してくれたので最近は染めていない。
髪が伸びているので、赤と黒のツートンカラー状態だ。
まぁそんな訳で僕はたまに好奇の目なんかに晒される。
それが、堪らなく嫌なのだ。
この容姿をからかわれると感情を抑えられなくなる。
「差別、ですか? そういうの」
「……いや、違うぞ」
教師は、否定しながらも少しバツの悪い様な顔をした。
心の何処かでそういう気持ちがあったのだろうか。
「失礼しました」
それきり黙りこんだ教師に僕は一礼して教室を出た。
今日って、最悪な日だな……