コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 少年少女の甘酸っぱい青春物語(の、つもり) 【イラスト・有】 ( No.14 )
- 日時: 2014/12/11 20:20
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
西日がジリジリと照り付ける、若干汗臭い廊下。
僕はその廊下を歩き、下駄箱へと急ぐ。
そして昼間と違い誰もいない、ガランとした下駄箱で僕はため息をついた。
外では運動部が女子のサポーターにキャーキャー言われながら練習をしている。
差し出されたタオルで汗を拭うあの人達が、「青春をしている」人達なら、無念の帰宅部の僕は一生青春なんて出来ないのかもしれない。
物凄くブルーな気持ちになりながら僕は、校庭を尻目に見ながら駅に急ぐ。
カバンの中から液晶形の携帯を取り出し、イヤホンを差す。
(ちなみに学校に携帯は持ち込み不可だが、皆持って来ている)
「大丈夫? 玲」
「大丈夫だ、これ位……心配するな」
そしてイヤホンを耳にはめようとしたその時、バッと耳にそんな会話が飛び込んできた。
声の聞こえた方を見やると、ヘアピンを付けた少女とホスト顔の少年が何やら話している。
御園さんと、鈴音 玲だ。
どうやらサッカーのユニフォーム姿の鈴音君が膝から血を流していて、それを御園さんが心配している様だ。
僕の視線に気付かない様で、二人はたまに笑ったりなんかしながら仲睦まじく会話を続けている。
不意に僕は二人に目を背けてイヤホンを耳にはめる。
大音量で音楽を流し、再び駅へと急いだ。
*
「だから、それはマズイですよ……」
「いいの! 宅ニイチャンいい人だから許してくれるもん!」
「はぁ? あいつが優しいって?あんな取っ付きにくい奴が?」
「そんなこと言っちゃダメですよ、進」
僕がズルズル気力の無い体を引きずるようにアパートに帰ってくると、見覚えのある無精髭オッサンと爽やか系オッサンが、長袖長ズボンの女の子と僕の部屋の前で話している。
「……堀越さんと水谷さん、何してるんすか」
僕が声を掛けると、オッサンコンビ+女の子は振り返った。
「あ、宅君……この子が勝手に入ろうとしててですね……」
誰よりも先に口を開いたのは、爽やか系オッサンことアパートの住民、水谷 孝明だった。
「なんだよ、お前いつの間に妹が出来たんだ?」
無精髭オッサンこと、堀越さんがニヤリと笑う。
「だって、宅ニイチャン来ていいって言ったもんね!」
その隣では女の子は屈託のない笑みで言った。
なんだなんだ、帰ってくる早々、こいつらに振り回されるってか?