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Re: 少年少女の甘酸っぱい青春物語(の、つもり) 【イラスト・有】 ( No.25 )
日時: 2014/10/13 14:48
名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)

耳元ではごうごうと風が鳴り響き、回りの景色は一瞬で移り変わっていく。
僕は振り落とされぬよう、前に座る堀越さんの背中に必死でしがみつく。

「ほ……堀越さん……! スピード出しすぎっすよぉ……!!」

「あぁん? よく聞こえねぇ!!」

ダメだ。
バイクを猛スピードでとばす堀越さんに僕の言葉は届かない。

僕は堀越さんの背中にしがみつきながら、ジッと込み上げてくるアレを堪える。
こんな所で失態を犯したら……水谷さんならともかく、ここに居るのは堀越さんだ。
僕の失態は光の速さで皆に広まるだろう。

堪えなければ、僕の未来はない……!
僕はクラクラする頭でそう結論を出し、ギュッと目を瞑った。





「ーーおい、着いたぞ。 って、どうした吐きそうな顔して……あっ、お前熱があったんだよな」

どれくらい時間が経ったのか、バイクは堀越さんの言葉と共に停止した。
薄目を開けると、見慣れたアパートの建物が見える。
だが立ち上がる気力もなく、ガックリと首を項垂れたまま僕はそのままの体制で相変わらず込み上げてくるアレと闘っていた。

「お〜い、宅ー。 立てんのか、おい。
 ……スピード出しすぎたな……」

堀越さんはツンツンと僕の背中をつついた。

「……スピード出しすぎっすよぉ……頭いてぇ……」

僕は絞り出すように呟く。

「……おぶろうか?」

堀越さんは遠慮がちにそう言った。
これは……不本意だがおぶられるしか道はないのか……!?
……歩ける気がしない……