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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 少年少女の甘酸っぱい青春物語(の、つもり) 【イラスト・有】 ( No.26 )
- 日時: 2014/10/14 22:19
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
「おい、宅……本当に歩けねぇのか?」
呆れたような堀越さんの声が僕の耳に届いてきた。
『お前のせいだよ!!』と突っ込む気力もないので、僕はバイクの上で項垂れていた。
「……ったく、高校生にもなってよぉ……」
堀越さんはそうボソッと呟いた。
突然、ヒョイっと僕の体が軽くなる。
「よいしょ」と小さく声を漏らし、堀越さんは僕を背中に乗せた。
僕が堀越さんの首に腕を回すと、堀越さんはゆっくりと歩き出す。
『おんぶ』なんて随分久しぶりでなんだか照れ臭い。
……いや、照れ臭いどころではない。
今すぐ羞恥心で宇宙まで飛んでいけそうな感覚だ。
まさか16にもなっておぶられるとは……
しかも相手はオッサンだ。
アパートの外からから自分の部屋までという、短い距離なのがせめてもの救いか……?
ーーでも、なんだか……大きな背中におぶられるのはとても気持ちが良かった。
そういえば、昔、こんなことがあった気がする。
確か、あの時は……
「…………父さん」
*
「…………父さん」
俺の背中で、あいつはそう小さく呟いた。
「うん?」と聞き返しても、何の反応もない。
後ろを向いてあいつの顔を覗き込むと、あいつは相変わらず真っ赤な顔をして目を閉じている。
どうやら寝てしまったようだ。
ーーうなされなければいいのだが……
と、あいつから伝わってくる異常な程の体温に、思わず心配になる。
見るところあいつは熱が上がってしまったようで、汗が玉のように吹き出していて、顔も真っ赤だ。
あいつの熱が上がったのは、俺がバイクをとばしすぎたせいだ。
……俺って、いつもそうだ。
人を助けようとして、逆に自分が助けてもらって。
だから、俺らをいつも怯えたように見るあいつを助けようとしたのに……
「お前みたいには、上手くいかねぇな」
俺は……いい年こいて本当に助けてもらってばかりだな。
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