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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 少年少女の甘酸っぱい青春物語(の、つもり) 【イラスト・有】 ( No.28 )
- 日時: 2014/10/17 21:19
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
「まだ意識が朦朧としているのですね。 寝てください」
そんな僕に、いつからいたのか水谷さんが声を掛けてきた。
「え? でも、全然平気っすよ? 意識もハッキリしてき……」
「いいえ。 『治ったつもり』でも体に菌が残っていたら大変でしょう。
……ねっ、進」
正直言ってさっきと違い意識もハッキリしているし、頭もそれ程痛くない。
それに、人に心配されるというのはどうも落ち着かない。
……いや、自分の部屋に自分以外の人がいること自体落ち着かない。
なので出ていって貰おうと口を開くが、水谷さんに簡単に制される。
水谷さんに話を振られた堀越さんは、ぷいと顔を逸らした。
なにかやましい事でもあるのだろうか。
僕は頭をかしげる。
「進がインフルエンザ完治していないのに学校に来て……」
「ほ、掘り返すなよそんなこと……」
「好きだった女の子にもうつしちゃって……」
「おい……! 宅の前だぞ」
「宅君の前だから言っているんですよ」
二人は楽しそうに会話を始めた。
「……仲が、いいんですね……少し羨ましいです」
そう呟いてしまい、慌てて口を押さえる。
だが、「あぁん? 聞こえねぇ!」という堀越さんの反応から見ておそらく聞こえてはいないようだ。
「……なんでもないです。 早く出ていってください」
僕はそう言って顔を伏せた。
*
「やっぱりお前、流石だよな……」
あいつの部屋から追い出され、俺は隣の孝明に話し掛けた。
孝明は昔から変わらない笑顔で頭をかしげてみせた。
「あいつ、結構楽しそうだった」
俺は孝明に笑い掛ける。
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