コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 伝えたい気持ちがあったとさ ( No.3 )
- 日時: 2014/09/07 16:12
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
「よぉ、泉ー。 今度カラオケ行こうぜー」
休み時間、僕が本を読んでいるとクラスメイトの男子が僕の前に集まってきた。
僕は顔を上げず適当に「うん」と返事を返す。
「じゃあ、後でメールする!」
そう言い残すと、クラスメイト達は来たとき同様わらわらと席に戻っていった。
ーーあぁ、面倒臭い。
思わず本音が出て、気分が憂鬱になる。
正直、友達なんて要らなかった。
別に、一人でもいい。
遊びたくもない。
まぁ、誘いを断る勇気も無いが。
僕は窓の外をボーッと眺めた。
泉 宅、16才。
今年の春に高校生になったばかりだ。
性格はーーかなりひねくれていると自負している。
いつもヘラヘラとして、心の底では皆をバカにしている。
……最低だ。
自分が少し不幸だからって、人との関わりを避けて居るのだから。
「泉君?」
不意に声を掛けられ、胸が跳ね上がる。
声のした方を向くと、隣の席の少女がにっこりと微笑んでいた。
「あ……御園さん? どうしたの?」
僕が訊くとその少女ーー御園 かのんは屈託の無い笑顔で、ピンクの封筒を差し出した。
ハートのシールが貼られていることから、おそらくラブレターだろう。
僕は封筒を受け取る。
「あ、あの……友達に渡してって頼まれたの」
御園さんが笑顔を崩さずに言った。
「あぁーー。 友達、ね」
確かに封筒の裏には、御園さんではないクラスメイトの名前が書いてある。
とりあえず、封を開けてみる。
ザッと目を通すと、『今日の放課後、図書室に来てください』と、いうような内容が書いてあるのが分かった。
「泉君って、モテるよね。 いいなぁ〜」
御園さんが自分の席に座り、僕に話し掛けてくる。
僕は
「あぁ、そう?」
と、曖昧に返した。
御園さんは「うん、絶対そう!」何てぶつぶつ言っている。
まぁ、僕は確かに女の子にモテる部類に入る。
だが、出来るだけ人と関わり合いたくない僕にとっては、それは不幸でしかなかった。
「あ、美郷ちゃんいい子だからね! 良かったら付き合ってあげて……!」
御園さんがすがる様にラブレターの主の名前を出した。
「…………あぁ、考えておく」
僕がそう言うと、御園さんはパァっと笑顔になった。
……どこまでも純粋なんだな、この子。
全く、なぜこの子は他人の事でこんなに喜べるのだろうか。
よく分からない。
御園さんの顔をマジマジと見つめる。
「授業始めるぞー」
教室のドアがガラッと開き、目をこすりこすり教師が入ってきた。
職員室か何かで、居眠りでもしていたのだろうか。