コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 人を妬み、恨んだ話。【▼番外編 が 作動 した!】 ( No.37 )
- 日時: 2014/12/04 20:40
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
《優男と段ボール箱》
長い長い夏休みが終わり、学校が再び始まった9月1日。
ゲンナリした顔の者や、友達とキャッキャと騒ぐ者。
生徒の中にも色々な種類がある。
堀越は、そんな生徒達がノロノロと歩く学校の廊下をイライラしながら歩いていた。
もう、ただでさえ短気な堀越は、堪忍袋の緒が切れる寸前だ。
まぁ、自分の教室はもうすぐ目の前に見えているし暴れることはないだろう。
堀越は騒ぐ生徒達を睨みつけながら自分の教室に入ろうとした。
……が。
「うわぁーっ! ごめんなさーいっ!」
発している謝罪とは裏腹に、全く反省はしていなさそうな……そんな呑気な声と共に堀越の体は、教室とは反対方向の壁に打ち付けられる。
体に走る物凄い衝撃と、耳の中に響く鈍い音。
『番長』と呼ばれる堀越になにが起きたのか生徒達は理解出来ず、廊下は無音の世界となる。
「……いってぇな」
でもなにが起きたのか、一番分からないのは吹っ飛んだ堀越自身な訳だ。
ただ確かなことは、自分は何者かに故意かは知らないが吹っ飛ばされたということ。
廊下中の視線を一身に浴びながら立ち上がる。
そして、睨むように周りを見回した。
すると、周りの生徒達がなにかしら怯えたような反応を示すのに対し、一人だけ呑気に頭をかく男がいた。
ジャージ姿のそいつを睨みつけると、そいつはあはは、とよくは分からないが笑いを漏らす。
「いやーぁ、最初にごめんって言ったじゃないですか。
そんなに睨まないで、許して下さいよ〜」
そいつは多分、体が吹っ飛ぶ前に呑気な声を出した男だ。
怒りが頂点に達しそうになり、深く深く深呼吸する。
「でも、段ボールが当たっただけで人って吹っ飛ぶんですね!
覚えておきます!」
その男は、ニコニコとしながら手に持った段ボール箱をこちらに見せてくる。
その段ボールは、妙に少しへこんでいる。
そう、ちょうどそこに人が当たったかのようにーー。
……自分は、この段ボール箱にぶつかって吹っ飛んだというのか。
堀越はガックリと肩を落とす。
「……ざけんなよ、お前」
なにが覚えておきますだ、このクソ野郎。
起こる気力もなくなった堀越は、そいつを無視して自分の教室に入った。
そして、それからすぐに予鈴がなる。
それで、いつもの先コウが入ってくる……はずだった。
だが。
「それでは、宜しくお願いしまーす!」
入ってきたのは、満面の笑みのジャージ田ジャジ男(仮名)だったのである。