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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: SANDAI ( No.3 )
- 日時: 2014/09/21 14:25
- 名前: 墓書 (ID: kaY8Y1HD)
起:【舞姫】【戦国】【一目惚れ】
時は戦国。
或る者は天を目指し。
或る者は主がために。
或る者は己の誇りを賭けて。
或る者は生きるために。
広大な空の下に命を預ける。
そんな戦いに身を投じた少女がいた。
名は鶴。
生まれも齢も知られてはいない。
藍の瞳に、濡れたような黒の髪。
背は低くはないまでも、やはり体つきは男に劣る。
しかし、人は畏れた。
そして、飲まれた。
彼女の威と戦いに。
舞い踊るかの如く剣戟を躱し、容赦なく振り下ろされる腕。
銀の刃を向けられたものは思う。
彼女は常人に在らず。
人は彼女を『狂鶴の舞姫』と呼ぶ。
ひどく重い体を引きずり、ようやく部屋に辿り着く。
人前では平気なふりをしても、やはりこの身体は戦い一つで悲鳴をあげる。
重い鎧を外し、畳の上に腰を下ろした。
今日の戦いもいつもと変わりなく終わらすことができた。
しかし、落ちることのない穢れがどうしても頭を過る。
降り積もる自らの科はどれ程のものか。
果たして、自分はどれ程繰り返すのか。
そこまで考えるといつも頭が痛くなる。
仕方なく大きく息を吸い込み、息を詰める。
そうして、
苦しい、
苦しい、苦しい、
息を、
呼吸を、
頭がそれで一杯になって、それしか考えなくなってから呼吸を許す。
そして、身体の力を抜き、手や肩を畳に預けると落ち着くことができた。
誰かの足音がこちらに近づくのが聞こえ、素早く身を起こす。
予想通り、襖の向こうから声がかかった。
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