コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: SANDAI ( No.9 )
日時: 2014/09/25 18:27
名前: 墓書 (ID: RnkmdEze)




へへ、ゴメンよいろは!でもね、俺もう無理だ…。
あと…は、ま、かせ…たり。 パタリ…

てなわけで、盛大に時間を掛けて続きをいろはに投げつけたいと思います。
いよいよ、結はいろはがしめてくれます!
自分だったら終わらないこの話、いろはどう収拾をつけてくれるかな!!!(自棄


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儚い。

その言葉が相応しいと思った。

凛とした声とは対照的な白く細い腕。

背丈はあるが、それはかえって細さを際立たせている。

だが、浅葱の瞳は少しつり上がり、きりりとした眉が儚いだけでは無い何かを感じさせた。

「あ…」

その姿が余計に今を夢見のごとく思わせ、それきり言葉が出ない。

彼は暫く鶴を眺め口を薄く開くが、何も言わずに閉じた。

そして、緩く首を振り、もう一度鶴を見据える。

「…女、か。このようなところで何をしている。」

彼はそう問い掛ける。

その声色には少しとがめるような響きが見られた。

何を、自分は何をしているのだろう。

まるで亡霊のように彷徨さまよっていただけで、それはどうにも伝えがたい。

心中では迷いながら、鶴は目の端に映る月を思い出す。

途端におのずと応えていた。

「…月を見ようと歩いておりました。」

「月…」

小さく呟き、彼は空を見上げた。

「やけに明るいと思えば、今宵は満月だったか。」

眩しそうに眇められた瞳がふと柔らかく緩み、彼は笑った。

「…どうやら、気を張り過ぎていたようだな。」

ふわりと空気が変わった。

そのせいだろうか。

思わず、声を掛けてしまっていた。

「どうかされたのですか。」

彼は驚いたように目を丸くする。

それを見てようやく、余計な質問をしてしまったことに気づいた。

「も、申し訳ありません…その…」

「いや、構わん。少し大き過ぎる独り言だったな。」

謝る鶴をすっと手で制す。

「…だが、今日は長話はできない状況でな。悪いが、すぐここから去って欲しい。」

そう彼が言うと同時に後ろで小さく葉を踏む音が聞こえ、鶴はハッと後ろを振り返る。

今、何か———

「…っ」

ぐいと腕を引かれ、ふわりと藤の香りが漂う。

「な…に…」

やはり、女の身。

不意打ちと強い力に負け、ぽすりと後ろにもたれかかってしまう。

視線を上に向けると、彼が鋭く先を見つめ…いや、睨みつけていた。

「…思ったより早かったな。まったく、そこまで急くこともなかろうに。」

おどけたようなその言葉は先ほどの柔らかさが消え、硬く緊張を帯びている。

その空気を敏感に感じ取り、鶴は口を閉じた。

すると、藤の花を掻き分け、一人の青年が現れた。

口元は緩く弧を描き、左手を腰紐にやって遊ばせている。

「逢瀬かと思って少し出るべきかどうか迷ってしまったよ。しかし、バレるとは思わなかった。」

軽い口調でくすくすと笑いながら千歳緑の衣を靡かせ、此方へと向かってくる。

「寝屋で大人しくしてればいいだろうに。そちら側の殿は息子に対して無関心なのかい。付き人もなしにこんな処へ行かせるとは。」

呆れたように言う青年に、後ろの身体がピクリと反応する。

「このことは父も承知の上。貴様に心配されるようなことはない。」

そう言う彼のの身体の力が適度に抜かれているのに鶴は気づく。

チラリと視線を動かすと手が刀に添えられているのが見えた。

彼は戦う気でいる。

おそらく目の前の青年もそうなのだろう。

鶴は先ほどの会話を思い返していた。

殿、息子。

後ろにいる彼がそうなのだろう。

何方の側か。

それが問題であった。

やはり場所からしては自分側の人なのかもしれない。

そう思うが、正確な位置を把握しているわけでもない自分にはやはり確信が持てず、二人の正体がわからないまま、どうすれば良いかと思いを巡らせたていた。