コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: SANDAI ( No.19 )
日時: 2014/09/28 12:45
名前: 墓書 (ID: w.lvB214)




切れ目としては妥当だと思ってあえてそこできったんだけどなー。

ってことで、墓書です!

性別をあえてわからないようにしてたら、女の子設定になってあたふたしました!
予想してる続きが返ってこないことがこれほど難しいとは…。
奥が深いなりよ!SANDAI!
キャラ変わってますね、落ち着こう。

結苦手だし、無理やり感満載だが投げます。



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「忘れちゃったか」

彼女は淋しそうにつぶやいた。

その様子に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

自慢ではないが、自分は限りなく記憶力がない。

つっこむな、わかってる。

保育園と小学校低学年の頃の記憶はほぼ皆無に等しい。

ある程度までなら顔を覚えることもできるが、メガネを掛けたりするだけですぐわからなくなってしまうタイプだった。

しかし、この子は一体誰なだろうか。

もしかしたら、小学校のときに転校した子だろうか。

「…、…あー、うん!久しぶりだね!元気にして「わかってないでしょ」すんません、わからないです、ごめんなさい。」

怖かった…(涙声

はぁ…っと大きなため息をつき、少女は腕を組んだ。

「まったく、わからないならそれでいいよ。本当に変わらないわね。」

やはり、冗談じゃなくて、本当に知り合いなのか。

実は初対面でしたー!!!とか、おま、誰?!っていう人違いオチかなー…っと、思わなくもなかったんだけれど…残念ながら違うようだ。

「ってか、急にキャラ変わってね?!!しょんぼりどこやった!!言ったら怒られるかもしんないから言わないけど、女王様感が微妙に滲み出てる!!」

「出てる出てる」

「ウッス」

短いコントかよ!

うん、ちゃんと今回は心で言えたよ(=´∀`)

やったね!(=´∀`)ノ

「顔に出てるよ」

もうダメぽ……

膝をつき、胸に手を当てる。

あゝ、無常…。

気を取り直して立ち上がり、彼女をもう一度見た。

やはり、記憶にない。

「ごめんなさい…本当にわからない…」

仕方なくそう言うと、彼女はおかしそうに笑った。

「十年振りだもんなぁ。仕方ないや、髪の毛も伸びたしね。」

十年前…。

そこで思い出した。

「…あき?」

「!」

尋ねると彼女は目を丸くし、顔をじっと見てきた。

そして、口元を綻ばせる。

「久しぶり、ゆみちゃん。」

あき…だ。

あきは幼い頃、近所の公園で初めて会って、それからよく一緒に遊んでいた。

微かに記憶に残っていた。

小さな虫を見つけたり、石や綺麗な赤や黄の葉を集めたり。

あきは髪に赤の葉を付けるととても似合っていた。

それを自分が羨ましいなと思っていると、ゆみちゃんはコスモスが似合うねって言ってくれたのが嬉しかった。

懐かしい想いが溢れる。

「…元気にしてた?」

さっきと同じ言葉。

でも、全然違う。

さっきはそう言わなきゃいけない気がしたから言っただけだったのに、今度は勝手に出てきた。

「あき…?」

黙ったままのあきに気付き、声を掛ける。

「…うん、元気だったよ」

何か違和感を感じる。

しかし、問い詰める…という気分にもなれず、そのまま話を続けた。

基本的に話すのが好きだから、長い間会っていなかったことも相まって一方的に話してしまうことも多かったと思う。

たまに思い出したように質問を投げかけると、あきはくすくすと笑いながら短く応えていた。

あまり、喋らない大人しい女の子になったのかもしれない。

可愛いからモテるんだろうな。

そう思うと思わず口元が緩んでしまい、あきにまた「ニヤニヤしてる」と言われて、余計にニヤニヤしてしまったりした。

随分長いこと話していたようだった。

緩い文化部ならば帰っているだろう時間。

話し足りない自分を止めたのはあきだった。

「そろそろ時間だ。」

「え?」

「帰らなきゃいけないの。」

とても淋しそうな顔だった。

思わず…といったところか。

手を伸ばし、あきの頭を撫でようとした。

しかし、避けられてしまっていた。

「あ、ごめん。苦手だったっけ?」

別にスキンシップが多い方ではないけれど、少ししょんぼりとしてしまう。

「あ、いや。そうじゃなくて、今はちょっとね。」

こんな年齢にもなって、撫でられるのはやっぱり恥ずかしいのかな。

その答えを聞いて、そう思った。

まあ、そろそろ帰ろうか、と声を掛けようとした時だった。





あの香りが漂う。

なんの匂いだっけ?

ふと、思い出せそうな気がして目を閉じて息を吸い込んだ。

すると、強く風が吹いて、その匂いを吹き飛ばしてしまった。

「あ…、消えちゃった。あき、これさ…」

目を開いた。

「…え」






目の前には楓の葉がひとひら、通り過ぎるだけだった。