コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: SANDAI ( No.43 )
日時: 2014/10/31 23:50
名前: いろはうた (ID: 5obRN13V)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

*今回は、わりと書きやすくまとまってくれて心底ほっとしましたなり



いろはうたは、どうも最近、ドラマcdで
どろどろした不倫とか、奪い合いとか、そういうのが自分の中でキテるみたいなんですよねぇ
相手から奪ってでもおまえがほしいZ☆みたいな
……いや、違うか……


本当は、ここがコメディライトじゃなったら、あーんなことやこーんなことを……
い、いや、やめておこう……






次のお題は「超高層ビル」「エレベーター」「壁ドン」










〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜








*「アンタさ、もう来ないでよ」


おれはキコの手首をみながら言った。

目を見れないからだ。

そして、その細くて白い手首にあざが残っていたからだ。

キコだって兄貴になんか言われて、乱暴もされたんだ。

馬鹿な女。

なんで、兄貴に脅されてもまだここに来るんだ。

なんで…………おれに、絶対に叶わない希望をもたせるんだ。

期待をしてしまう。

キコが、お礼のためだけじゃなくて、おれに会いに来てくれているんじゃないかって。

すこしでも、キコの心におれが居るんじゃないかって。

ぎりりとこぶしを握り締める。

期待、なんてもうずっと昔にやめたはずだったのに。


「帰ってよ。

 迷惑だから」


そんなこと、ありえないってわかっているからこそ、頭がガンガンするほど苦しい。

キコは兄貴の女だ。

絶対におれのにはならない女だ。

わかっている。

痛いくらいにわかっている。

わかっていた……はずだったのに。


「ごめん……なさ……い……」


涙の気配がする。

涙は嫌いだ。

ああ、むしゃくしゃする。

なにもかもが思い通りに行かなくて。

でも、これだけひどい言葉を投げつければ、キコはもうここには来ない。

兄貴になんかひどい事をされる心配もない。


「最、後に……」


震える声に、おれはのろのろと顔を上げた。

キコの目には涙がたまっていた。

目が充血している。

おれのせいだ。

でも、これでいいんだ。


「わたしに、なにか、できることは………」


つっかえつっかえの言葉。

なんでこんな時まで、こんなひどい事を言う相手に気を使おうとするのだろう。

でも、答えなんて、決まっている。





おれのになってよ

好きだ

初めて会った時から

キコを想う気持ちだけは

絶対に誰にも負けない

兄貴にも負けない

おまえを守る

全てから

おれの全てをかけて守るから

だから

だから——————






「アンタ、馬鹿じゃないの?

 アンタにできることなんてないんですけど。

 わかったら、さっさと出て行ってくれる?」


けど、答えは言わない。

代わりにひどい言葉を投げつける。

キコがここに来ないようにするための、キコを守るためのお守り。

キコが哀しそうに顔を歪めた。

滑らかな頬に、透明な雫が伝う。

無言で部屋を出ていく細い背中を見送る。

おれはしばらく動けなかった。

さよなら、とおれの乾いた唇がつぶやいた。