コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: SANDAI ( No.59 )
日時: 2014/12/17 10:53
名前: いろはうた (ID: 16oPA8.M)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

こう……なんといいますか……
このお話、あまりにも穏やかに時間流れすぎて、
その穏やかさをぶち壊したくなr……いえなんでもありません。


そこらじゅうに墓書の趣味がぶちこまれていて、
これどういうベクトルに走ればいいのか……悩みますよね……ううん……
方言か……
いろはうた、方言で書くの……苦手なんだよなあ……


まあ、いろはうたは、いろはうたらしく行こうと思います!!
そうだそうしよう!!



〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜







*薄暗い中をのぞいてみれば、しゃがみこんでいる娘の姿があった。

どうやら皿かなにかを落としてしまったらしく、床に散らばった白い欠片を拾い集めていた。

鼻腔をくすぐる風雅な匂い。

棚の上にはいくつもの小さな器が置いてあった。

店……のように見える。

猫が娘の方にすりよって小さく鳴く。

それに気づいた娘が、猫が欠片を踏んで怪我をせぬように咄嗟と言う風に

欠片をさっと自分の方にかき集めた。

その拍子に、床に落ちるこちらの影に気付いたらしい。

娘が顔を上げてこちらを見る。

若い娘だった。

その目にかすかに驚きが混じって見えた。

こちらの気配に気づかなかったということだろう。


「まあ、すんまへん!!

 どうぞお入りくださいな」

「おじゃまします」


店におじゃましますと言って入るのもおかしなものだが、

なんんとなくつぶやいて薄い布を使ったのれんをくぐって店に入る。

とたんに全身を何とも言えぬ空気が包んだ。

こんな店、いつのまにできていたのだろう。

ぱたぱたと足音がして、娘が奥にひっこんでしまったのを見る。

床を見れば大きな欠片は取り除かれていた。

小さな欠片は残っているから、それを箒で履く気なのかもしれない。


「危ないからなぁ」


欠片のほうに行こうとする猫をそっと抱き上げる。

先程よりも少しだけ毛は乾いている気がした。

改めて棚や机の上に乗っている小さな器を見る。

どうやらこの不思議な香の匂いはこの器からするようだ。


「練香水です」


唐突に声をかけられそちらを見る。

奥から箒を抱えて娘が出てきた。


「練香水……」


店を見るに、それだけしか売っていないようだ。

器の中をのぞいてみると、なにか固まった油のような、軟膏のようなものが入っているのが見えた。

こんなものからこんな風雅な香りがするとは思わなかった。


「お兄さんみたいな男の人がうちに来はるのは珍しいんですよ。

 女の人がよくつけはるものやから」

「へえ……」


手のひらに蜜柑よりも小さな器をのせ、しげしげとそれを眺める。

女向けとは言われたが、この穏やかな香りなら別に男がつけてもおかしくない気がする。

腕の中の猫がまた小さく鳴いた。


「一つ、いただくわ」


気付けば、箒で床を履いている娘にそう言ってしまっていた。