コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: SANDAI ( No.60 )
日時: 2015/02/16 21:50
名前: 墓書 (ID: Ftjvm8dm)

はいはーい!!!!

お久しぶりですどうも、墓書でございます!

忘れられたかもしれないやべーと思いながらの登場でございます((((;゜Д゜)))))))

気づけば昨年振りではないですかー、年末はインフルに罹って書けなかったーなんて言い訳を考えていたわけですが、流石に長すぎましたね(真顔

あけましておめでとうござい(殴

いや、いろはにはほんと、申し訳なかったです(てへぺろ

まぁ、いろいろ言い訳を並べようと算段を立てておりましたが、長くなってしまうのでここら辺でやめておきませう!

待たせるのもアレです、中途半端かもしれませんが投稿しちゃいたいと思います(=´∀`)


次のお題→→【醒める】【冷める】【覚める】



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思いもしなかったのだろう。

キョトンとした表情を浮かべた少女は、すぐさまハッと表情を変える。

「あ、…えと…」

あわあわと箒を持ったままどうしようかと戸惑う少女の姿に、彼は笑みをもらした。

「あぁ、かまへんよ。ゆっくりしい。」

そう言って腕の中の猫を抱え直す。
 
猫はされるがままに彼の腕に身を委ねていた。

「ほんま、すんまへん!すぐ終わらしますんで!そこの椅子にでもかけといてください。」

そういうと、少女は手際良く欠片をちりとりに放りこみ、ぱたぱたと奥へと駆けて行った。

言われたようにおとなしく椅子に座り、猫を膝に移す。

「…ええ匂いやんなぁ?男もつけたって可笑しないやろ?」

そう猫に問いかけるが、もちろん応えはない。

だが、きっとこの猫もこの匂いが好きだから、此処に入り込んだのだろう。

そう思っているうち、慌ただしい足音が聞こえ、少女が戻ってきた。

「お待たせしました。」

「んーん、全然待ってへんよ。ところで、お勧めとかあるん?」

棚に並んだ練り香水を眺めながら、少女に問いかける。

上品なその佇まいは置いてあるだけでお洒落な雰囲気がある。

「そうですね…。」

少女はチラリと青年に視線を向けると、少し考えるような素ぶりを見せる

「…匂いの強さも色々あるんやけど、お兄さんはキツイのよりはさり気ない方が合ってるんや無いですかね。少し甘めかもしれんけど、この紅茶や緑茶ベースのもんなんていかがですか?」

薄いグリーンのケースを棚から取り上げ、少女はそっと青年に差し出す。

ふわりと漂う少し甘く爽やかな香りは優しく、男性にもあいそうな香りだ。

猫もふんふんと匂いを嗅ぐと、気に入ったのかご機嫌とでもいうように、鳴き声をあげた。

「せやな、これが良さそうやな。コレでお願いします。」

「まいど」

ニコリと少女は笑うと手の上の練り香水を新しいものに変え、レジの方へと向かう。

そうして、棚から緋色の花弁があしらわれた紺色の紙を取り出し、丁寧に包装をはじめた。

「え、そんな自分用やからいらんで?」

慌てて少女を引き留めるが、少女は笑うばかりで手を止めない。

どうやら、やめる気はなさそうな少女の雰囲気と、既に折り目がついてしまった紙からどうすることもできないだろうと青年は仕方なく制止を取りやめた。

「…せや、幾らするんです?その香水。」

青年は未だに代金を払ってないことに気付き、用意しておこうと財布を取り出す。

だが、それも無駄となった。

「あぁ、お代は要りません。」

「はい?」

がま口にかけていた手を止め、意味がわからないとでもいうように青年は少女を見た。

「御礼やいうてましたよ。まさか、当人連れて来るとは思わんかってんけど、香りは人を選びますもんね。本来やったら、今日は店を閉めてるんやけど、開けといてくれって言うてたんはこういうことやってんな。」

すらすらと少女は応えるが、青年にとってはわけがわからない。

「ちょ、待ちいな。何言うてはるんです?御礼や、言われても誰からかわからんやないですか。」

そう問うと、今度は少女がキョトンとする。

「誰…って、一緒に来はりましたやん。」

「…え?」

思わず耳を疑う。



「せやから、ずっと一緒に待ってはったやないですか。」



ふと足元にふわふわとした感触を覚え、視線を下へと向ける。

そこには、何時の間にか膝から降りた猫がすりすりと身を寄せていた。

「…あ」

まさかと思うと同時に何故か腑に落ちてしまい、不自然に声が漏れる。

すると、少女はまるで「もうわかったやろ」とでも言いたげに笑った。

「はい、せやからお代は結構。さぁ、どうぞ。」

そうして、丁寧に包装が施された練り香水は青年の手に渡った。

丁度その時、壁掛けの時計が時間を知らせた。

全員が其方に顔を向け時間を把握すると、少女はぼそりと呟いた。

「…ウチもそろそろ店、閉めなあかんなぁ」

その言葉にそういえば、周囲のお店はどれも閉まっていたことを青年は思い出す。

「今日、何かあるんですか?」

再び猫を抱き上げ、少女に尋ねる。

すると、少女は店仕舞いをしながら答えた。



   −−−−−今日は、天女が降りて来はる日やから。