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第二十七話　＜対抗戦編＞

「やだ！私は、私…は、うあああっ！」

「おい、フィル…」

フィリアの様子は、時間が経つほど悪化していた。頭を抱えたまま地面に転がり、激しく暴れている。

「フィル、お前こんな時に何ふざけてんだよ…なあ、フィル？」

ジークは、自分がどうするべきなのか分からなかった。もだえ苦しむクィリアに、声を掛けるだけしかできない自分がもどかしい。

「フィル、お前一体どうし……うわッ！？」

フィリアの顔を覗き込んだジークは、思わず身を引いた。

いつもの緑とは違う、射抜くような赤い目と、目があったからだ。

「フィ、フィル？」

「おいおい……勝てないからといって、安い芝居はやめてくれよ」

さっきまで傍観していたメロークが、唐突に口を挟んだ。
そして、槍を構えながらにやりと笑う。

「では、さっさと終わらせようぜぇ！！」

「来るかッ」

フィリアをかばうように前に出ようとするジークの服が、くいっと引っ張られた。

「……下がれ、ヒト」

「えっ？」

バァァァン！！

「ぐわっ！」

今にもジークを串刺しにしようとしていたメロークは、なぜか吹っ飛ばされていた。
「メロークさん！」三人組が、慌てて駆けつける。

煙の中に、メロークを見下ろすシルエットが一つ。

ジークが、信じられないというように呟く。「おまえ…フィル、なのか？」

「き、貴様…」

「ヒトの分際でこの私に傷を負わせようとは……いい度胸だな。のう、人間？」

　
　次回、二十八話。いよいよ対抗戦編もクライマックス！お楽しみに☆