コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.115 )
- 日時: 2014/12/02 21:48
- 名前: 雪兎 (ID: gDKdLmL6)
第三十話 <対抗戦編>
校舎を出て、敷地内の林までやってきたフリトとギルバートは、アークの姿を見つけられずにいた。
「……もう校舎の外へ行ってしまったのか?だとすると…。」
ブツブツと呟いたフリトを見て、ギルバートが尋ねてくる。
「申し訳ないが、貴方が外に出たいと願った理由を聞かせていただけないだろうか。…私も、長々と校舎外をうろついているわけには」
そういえば、アークのことを話していなかった。でも、なぜかここで話してはいけないような気がする。これ以上、巻き込めないし……。
「そう、だよな。でも」
フリトが口を開きかけたとき、頭上に気配を感じた。
「!!」
それはギルバートも同じだったようで、一瞬遅れてからさっと身構えた。「…誰だ?」
次の瞬間、木の葉がザァァァッと二人の間を駆け抜ける。そして、フリトには聞き覚えのある声が、頭上から降ってきた。
「よう、久しぶり。フリト」
この声は。
見上げると、太い木の枝に、黒いコートをまとったアーク・コルネリウスが腰掛けていた。
「っ!やっぱりっ。」
「誰だ、貴様は!」
フリトの声と、ギルバートの怒声とが重なった。ギルバートが目を丸くして問う。「先輩、この不審者と知り合いなのですか?」
「…おいおい、不審者と決め付けるなよ。……いけない、お前らに構ってる暇はもう無いんだった」
アークがけだるげに呟く。どうしてお前がここにいる?ここで何をするつもりだ。聞きたいことが洪水のようにあふれてくる。
だが、本人はその時間を与えてくれるつもりはないらしい。
弾みをつけると、いきなり木の枝から飛び去ったのだ。
「アークッ!!」
「あっ、待て!」
薄暗い林に、再び静寂が訪れた。沈黙を破ったのはギルバートだった。
「くそ、逃がしたか。何も無ければ良いが……。先輩、この件は先生方に報告するので、後でお話を聞かせてもらえますか?」
「あ、ああ。」
今回はダメだったけど……。
次に会ったときは。必ず。
もどかしい思いと新たな決意を胸に秘め、フリトは校舎への道を辿った。
☆
そのころ、屋上では。
「さあ行きなさい、私のビーストちゃん達ッ!」
フレアが両手を広げて叫ぶと、地面に現れた多数の魔方陣から獣人たち
が這い出てくる。
「ぼ、僕、戦闘は嫌いなのに…!」
獣人たちの恐ろしいうめき声を聞いて、エリオットが震え上がる。
ババババババンッ!!
「ひっ!」
「…震えている暇があるのなら、ボクの足手まといにならないように隅っこに避難でも、してて」
どこから取り出したのか、ごつい機関銃で獣人を三体まとめて倒したリュネットは、顔も向けずにエリオットに促す。
「え、ええ〜?じゃ、じゃあ戦いますぅ」と半泣きになりながらエリオット。
リリアンたちも、そのやり取りを黙って見ているわけではなかった。
「ハク君っ、あたしよりも多く獣人倒したら、後で焼きジャケ定食おごったげるよんっ♪」
音波で獣人を吹き飛ばしたリリアンが、緊張感皆無の声で言う。
「べ、別にいらないっすよっ!……ていうかそれ、一番安い奴じゃないっ…すかッ!!」
ハクがハンマーを獣人にスイングしながら返す。いつのまにか四人の周りには、獣人の山ができていた。
その様子を見て、フレアがむっと顔をしかめる。
「もうっ、こいつらはなんでこんなに余裕なのかしら?気に入らないわ。ユズカ、二人で攻めるわよ」
「…はーい、もう準備はできてますよ〜。」
ユズカが舌なめずりをしながら一歩、前に出た。
次回、第三十一話。お楽しみに♪