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Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.130 )
日時: 2014/12/30 23:22
名前: 雪兎 (ID: gDKdLmL6)

第三十七話 <女神像奪還作戦編>

「…は?俺達がかよ?」

ジークが真っ先に問う。私達も同じ気持ちだった。私達だけで!?

「そうだ。」

理事長、会長、副会長がそろって頷く。マジですか……。

「なぜ、私達なのでしょう。理由をお聞かせ願えますか」

隊長が落ち着いた口調で言う。けど、ものすごく顔怖いんですけどっ。

理事長は手を組んでその上にあごを乗っけた。
「もともと『アレ』は世間一般に知られていないブツだ。この学校の信頼できる人物にしか存在を明かしていない。悪用でもされたら困るのでな。」

じゃあ、その信頼できる人に頼めばいいじゃない。

そう、私達の顔に表れていたのが分かったのか、理事長がもう一度口を開く。

「あいにく私達教師はもともと数が少ないうえに多忙なのだ。だから、生徒の中でも選りすぐりのメンバーを集めたつもりだが?」

「つもりだが?じゃねーよ。大体俺らはガッコーあんだろがっ。」

若干キレ気味のジークだが、その言い分には一理ある。

だが、会長がにこやかにそれを打ち壊した。「みんな忘れてるようやけど、明日からゴールデンウィークやで。」

………。

「だって、でも」

「理事長命令です」

さらにハク君の反論を、リンダさんがぶった切る。

…………。

私達は、頷くしかなかった。

そして終始無言だったリュネットも、小さくため息をついた。

             ☆

「では一同、解散!……ああでも、フィリア、お前は残れ」

「え?あ、はい。」

何だろう。なにかやらかした?

「さあ、帰った帰った」会長が、皆を部屋から追い立てていく。

リリアンの心配そうな表情とジークの探るような視線は、ドアの向こうに消えた。



「さて、対抗戦のときに君の体に起こった異変についてだが」

ぎくっ。

やっぱり、そのことだよねえ…。

あまりにも唐突に切り出されたから少し驚いたけど。

でも、知りたい。「あの人」について。

「今、君の中に宿っているのは、瀞竜……実の名前は瀞流の神。東の国からやってきた、生と死と破壊をつかさどる神だよ。」

神…さま?

神様って、どうして。

「なんでそんなものが、私の中に……」

「思い出さないのかい?」

「はい……。」

思い出すって、そんなこと言われてもなにも思い浮かばない。

でも。

何か少しだけ、その名前に懐かしさを覚えるのは、何故だろうか?

「君に宿っているその力は、人を殺しも生かしもする危険な力だ。……くれぐれも、使い方を間違えるなよ。」

理事長の深い紫色の瞳が、じっと私を見つめている。

こんな突拍子もない話をされたはずなのに、この目を見ると不思議と落ち着いた。

「はい…」

私はそれだけ小さく答えると、部屋を出た。

もしかして、私がここに呼ばれたのも、この学園に入学したのも。

全部、関係してるのかな……?



心にもやもやを抱えたまま、作戦決行はもう少し先。

                 次回、第三十八話。お楽しみに☆