コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【新章スタート!】 ( No.131 )
- 日時: 2014/12/30 23:20
- 名前: 雪兎 (ID: gDKdLmL6)
第三十八話 <女神像奪還作戦編>
「ええっ!会長は、この作戦に参加されないんですか!?」
「おお、そうや。あれ?言うてへんかった?」
これは、ゴールデンウィーク初日、生徒会室でのエリオットと会長の会話である。
理事長室での作戦発表の次の日、生徒会室に集まるようにとの連絡があった。そのため私達は休日なのに早起きし、今現在に至るというわけである。
んで、ここから冒頭の会話につながります。
☆
「もちろん、サポートはさせてもらうで。まあでも、こっちも仕事がいそがしいんでなあ。悪いな」
「そんなあ。かいちょーがいてくれないとぉ、ちょっと心細いかもぉ。」
この、全然心細いと思ってなさそうな声はリリアンだ。鏡を見ながら髪型を整えている。
それに続いて、隊長が切り出した。「それで、会長。そろそろ作戦内容をご説明いただけますか」
「おおそうや、悪い悪い。ほな、こっから真面目な話やで」
会長が急に声を低くしたので、好き勝手なことをしていたメンバーも集まってきた。
「まずさっきも言った通り、僕はこの作戦にはいっしょには行けへん。だから、リンダに無線で指示を出してサポートしてもらう」
そして会長は、部屋の隅に佇んでいたリンダさんを手で指し示す。それに答えるように少し目を伏せるリンダさん。
「次に、この作戦では八人を大きく二組に分ける。囮の班と、実際に女神像を取り返す班や。ちなみに、囮班はフィリア、エリオット、リュネット、ギルバートで、実行班はジーク、リリアン、ハク、カイル。…異論はないな?」
ちなみに、このときの皆の心境はというと。
(お、囮かあ。ちょっと安心だけど、やっぱ心配だなあ。あ、今から緊張してきた。)
(…ちっ、なんでフィルと一緒じゃねえんだ?この組み分け考えたヤツ、後で覚悟しとけ。)
(やっほお♪華の実行部隊ですかあ。くぅ〜、シビれるねえ!…あっ、でもジークとフィルっちが離れ離れに。むむむ……。)
(…え?囮?実行班じゃなくて!?やったああああっ!神様ありがとうございます。)
(へえ、僕は実行班ですか。賢明な判断ですね。…では、誠心誠意がんばらせていただくことにしましょうか。)
(やったっス、ついにジーク先輩と同じ班ッスっ。この組み分け考えた方、感謝っス〜。)
(……囮。……それにしても眠い。)
(なぜ、特別調査隊隊長をまかされている俺が、囮班なのか。…俺の実力が下級生よりも劣ると、判断されたのだろうか。)
以上、メンバーのつぶやきでした。(作者より)
☆
「ギルバート。『なぜ、自分が囮班なのか。実力が劣っていると判断されたのか。』って顔してんなあ。」
会長の言葉に、隊長がはっと顔を上げる。どうやら図星だったようだ(もしかして会長って…すごい人?)。
「囮だから、実行班より劣っていると決め付けるのは間違っとるよ。こういう作戦ってのは、囮がきちんと機能しないと総崩れになってしまうモンや。…だから、君は重要な役割を任されたんよ。」
「……はい。」
隊長は、まだ釈然としない様子だったが、会長の優しい眼差しに頷いた。
「…質問。」
突然、リュネットが口を開いた。会長は、「おっ、しゃべった」と言わんばかりの嬉しそうな顔をした。「何じゃらほい?」
「…ボクたちは、エルフォード学院の生徒ではない。…どうやって潜入するのか」
あっ。
言われてみれば、そうだった。さすがにライバル校だし、あんな事件があった後じゃ、警備も厳しくなるよね。
だが会長は、ニヤリと笑って言った。「そこは大丈夫や。ぬかりはないで?」
おお、さすが生徒会長。
「実は明日は、エルフォード学院の学校公開日で、一般人の出入りが自由になっとるんや。君達にはそのドサクサに紛れて女神像を手に入れてもらうことになる。」
「へえ。でも、肝心の女神像のありかは分かってんのか?」
ジークのもっともな質問も、会長は心配ないと言う。
「そりゃ自分らで誰かに聞くしかない思うけど。幸運なことにこのメンバーの中には、人をだまくらかして陥れる、口の達者な天才がいるやないか。」
ジークか……。
ジークの何か言いたげな表情を無視し、会長はパンパンと手を打った。
「さあさあ、これにて解散。まだ気になることもあると思うが、それはまあ現地でリンダにでも聞くようにな。以上!」
そして私達は、いよいよ本番を迎えることとなる。
はあ、大丈夫かな?
次回、第三十九話。お楽しみに☆