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Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【新章スタート!】 ( No.135 )
日時: 2015/01/17 20:45
名前: 雪兎 (ID: gDKdLmL6)

第四十一話 <女神像奪還作戦編>

女神像の在り処(と思われる)場所を突き止めたジークたちは、校舎の二階の、突き当りの部屋に向かった。

女神像の場所は、すでに囮班に伝えておいた。あとは、向こうが上手くやってくれるのを信じるしかない。

部屋の前には、警備員が一人立っていた。

「やけに警備が薄いのが気になるが…やるしかないよな」

「確かに気になりますね。もしかしたら部屋の中にも、何か罠があるのかも知れません」

「うーん。女神像はここじゃないって可能性もあるよね〜。ただ『古いアンティーク品が保管されてる場所』って聞いただけだし」

上級生三人が冷静に分析をしている中、ハクの緊張はピークに達していた。

(ううう…やっぱり荷が重いっすぅ。ななななんとか心臓を、お、落ち着かせないと…!)

すると、なんだか左の方が騒がしくなり、人だかりが出来始めた。演技が始まったのだろう。

4人は顔を見合わせると、大きな観葉植物の裏に隠れた。警備員との距離は4メートルくらいで、少しでも顔を出せば見つかってしまいそうだ。

緊張の空気が4人を包む中、ふいに警備員が動いた。その直後、無線にザザザッとノイズ音が。

『警備員がこちらに向かった。部屋に入って中を探れ』

「『了解。』…よし行くぞ、お前ら」

ジークが振り返ると、三人はコクリと頷いた。そして、すばやく部屋のドアのノブを回し、中に滑り込む。


バタン。

4人は、一斉にため息をついた。

「ふうー。なんとか入れたねえ〜。」

「…ええ。でも、ここからが本番ですから。気を引き締めていきましょう」

カイルは、こんな時でもにこやかだ。この笑顔に、今まで何人の女子がしとめられたのだろうか。ジークは漠然とそんなことを思った。

「そ、それより早く女神像見つけましょうよ〜。それで、早くこんなところ…」

「ああ、そうだな。お前ら、手分けして探せ」


そんなこんなで必死に探したものの、女神像は一向に発見できなかった。

「ええ〜?もーここには無いんじゃないのぉ?疲れたよお。」

「しっ、うるせえ!もう戻ってるぞ、あの警備員。」

「むう〜。」

それからまた探すこと一分。

「……あっ、せ、先輩達〜、ちょっと来てください〜。」

「どうした?」

ハクが指し示す床には、小さな取っ手が付いていた。しかも、周りの床の色が微妙に違う。

「もしかして…いや絶対、女神像はこの中だよっ。開けてみよーよ!」

はしゃぐリリアンに対し、ハクは不安げだ。

「えー、でももし、罠とかあったらあ…」

「…その通りだ。開けないほうが、…賢い。」

!?

「誰だっ!?」

見上げると、積みあがった段ボール箱の上に、男が腰掛けていた。
暗くてよく見えないが、黒いコートをまとっているようだ。

「あっ、ちょっと。大きな声出したら」

「…心配いらねえよ。…ここ、防音」

カイルの声をさえぎるように、男はつぶやいた。

じゃあ、今までの俺ら馬鹿みたいじゃん!…と4人が思ったのは言うまでもない。

「…まさかここが見つけられるとは。…でも、なおさらこのまま返すわけにはいかないな…」

男はまたつぶやき、ちらりと部屋の奥に目をやる。…なんだか嫌な予感がする。

そのとき、ガチャリとドアの開く音がした。

「っ!!」

薄暗い部屋の中でも、大勢の人が入ってきたことは誰もが理解した。そして、その人たちには好意的な感情が一切無いことも。

「何だこいつら…まさか!」

ジークが目を見開く。

「どうしたんですか。彼らが何か…」

「こいつら、この学院の生徒だよ!」

                次回、第四十二話。お楽しみに☆