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Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【参照1000突破♪】 ( No.144 )
日時: 2015/01/23 21:22
名前: 雪兎 (ID: gDKdLmL6)

第四十五話 <女神像奪還作戦編>

一方その頃、フィリアたち囮班にも、リンダの切羽詰った声が無線で届けられていた。

「リンダさん?リンダさん!」

私が必死に語りかけるも、帰ってくる声は無い。聞こえるのは、たまに走るノイズだけ……。

「…会長たちに何かあったとみて間違いないだろうな。一旦戻って、状況を確認しよう」

冷静な口調の隊長に、エリオットが反論する。

「えっ、でもジーク君たちがまだ」

「だが、さっきの無線はあいつらにも聞こえているはずだ。利口な奴らなら、作戦をやめて戻ってくるさ」

…そう、だよね。あのメンバーなら、案外早く女神像を見つけて、屋台で買い食いでもしてそうだし。

「…隊長さんの言うとおりですね。戻りましょう」「…了、解」「急ぎましょう!」

こうして私達は、急いで学園へと取って返す羽目になった…。

             ☆

さっきから何度声をかけても、ノイズが走るだけで応答が無い。

「ど、どうするんスか?戻って囮班と合流した方が」

「…でも、まだ肝心のブツを手に入れてねえだろ。こいつから場所聞き出すか?」

ジークが、顎をクイッとルカのほうへ向ける。それを慌ててリリアンが制した。

「ちょっとちょっとぉ。今はこーゆう状況なんだからさ、一刻も早く学園へ戻らないとぉ。」

「それもそうですね……」

そのとき。

シューーッ!

「ぎゃ!何すかっ。」

いきなり黒い煙が、四人を襲った。

「クソッ!」

「うにゃっ…!けほけほ。」

煙が晴れると、見たことのある人物が、ルカを抱えていた。

「…アークくん。」ルカが、小脇に抱えられたまま呟く。

「君は…。理事長達に、何をしたんですか?」

突然目の前に現れた、黒いコートの男……アークは、カイルの質問にめんどくさそうに答えた。

「さーあ?…おたくらの生徒がドジって魔法でも暴発させたんじゃね?」

「…しらばっくれる気かよ。いいから答えろよ。俺は気が長い方じゃねえからな」

そういってジークは薄く笑うと、大鎌をわずかに持ち上げた。

それを見て、アークはふっと鼻を鳴らす。

「…悪いけどさ。あんたらに付き合ってるヒマ、無いんだよね。…それに」

そこでアークは一旦言葉を切ると、顎をわずかに持ち上げて言い放った。

「あんたたちじゃ、俺には絶対勝てないよ?」

「ッ!……んだと?」

ジークは睨み返したが。

悔しいことに四人は、剣を交えてもいないのに、アークの圧倒的な強さに気づいていた。

「…んじゃ。まあ、頑張れー。」

アークは最後にそういい残すと、何か丸い球を空中に放った。

その正体に気づいたカイルが、あわてて叫ぶ。「皆さん、目を閉じて!」

次の瞬間、まばゆい閃光が四人を襲った。

「ぐっ!…こんの、ま…てっ!」

アークとルカの姿は、一瞬にして消えていた。

              ☆

「ごめん、アークくん」

空中を移動しながら、ルカは謝った。

「…別に。俺は、あの三人みたいにヘマしたくないだけ。…それに」

「?」

「…ちょっと助かったわ。学園で騒ぎ起こしてくれた連中、一体どこのどいつなんだろうな。」

                 次回、第四十六話。お楽しみに☆