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Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【参照1000突破♪】 ( No.148 )
日時: 2015/02/01 19:06
名前: 雪兎 (ID: jM89U6Tv)

第四十八話 <女神像奪還作戦編>

「これは……どういう状況だ?」

エルフォード学院からの脱出に成功したジークたちは、やっとの思いで学園に帰った__まではいいのだが。

「なーに、このうっとうしい煙ちゃんは。誰か屁でもこいたの?」

「ジ、ジークせんぱぁい……シャレ言ってる場合じゃないですってぇ!」

隣で真っ青になっているハクをちらりと見やり、ジークはハアッとため息をついた。

「どうしてこうも…トラブルばっか起きるんかなあ、この学園は。」

「よぉし!こんな時こそスーパーヒーローの登場でしょッ。イエーイ、出動だあ☆…あ、あたしはピンクがいーなー。」

「リリアン……あなたがうらやましいですよ。まあでも、とりあえず中に入ってみるのが先決ですね」

カイルが苦笑いしながらも、リリアンに同意する。全員の意見が一致したところで、一行は校舎の中へと入っていった。

              ☆

ザリザリと、靴底が地面をこする音だけが流れる。

もはや四人は疲弊しきり、声を出す気力さえも残っていなかった。

校門をくぐり、噴水のある長い道を歩く。ちょうど真ん中くらいに差し掛かった、その時。

パリーン!!

「!?」

今のは……窓ガラスが割れる音!

四人は瞬時に顔を見合わせ、音の発生源を探した。そして、全員同時に気づく。

「理事長室だ!」

              ☆

ジークたちが来るのを待っていた私達は、突然どこかで窓ガラスが割れる音を聞いた。

「!…隊長、今のは」

確信があるわけでもなかった。証拠も何もないが、なぜか頭の中には一つの場所が浮かんできた。

「理事長室…ですかね」

「ああ、俺もそう思うよ」

音がしたのは、ほぼ真上から。そして、理事長室は位置的にも、この真上のそのまた一番上…最上階!

「俺が見に行く!お前達はここを動くなっ。」

隊長が走り出すけど、一人で行かせるわけにはいかない。考えるより先に、思わず叫んでいた。

「私も行きます!……ジークたちが来たら伝えて!エリオット君、リュネ!」

「あっ、ちょっとっ。」

背を向けて走り出す。後ろから声が聞こえたが、振り返らなかった。

隊長も、ジロリとこちらを見たけど、何も言わずにまた前を向いた。それは付いていって良いってことですよね、隊長?

私はニカッと笑って言った。「ありがとうございます」

「…好きにしろ。だが、気をつけろよ」

隊長の整った横顔は、なんだか赤く見えた。

             ☆

はあっ、はあっ。や、やっと着いた…!

隊長が、バンッと勢いよくドアを開ける。「誰かいるのか!」

すると。

「っ…!ヤッベ」

中に、人がいた。

黒いパーカーを着ていてフードを被っているので、顔は見えないが、声からしてまだ若そうだ。

そして、その足元に倒れているのは……

「理事長!」

駆け寄ろうとしたが、隊長に抑えられる。

「貴様…一体誰だ?理事長に何を…」

その声は、怒りを押し殺すみたいに低い声だった。思わず、ゴクリと唾を飲み込む。

「…ちっ」

黒パーカーの男は小さく舌打ちをすると、割れた窓ガラスに手をかけた。

まさか!

…そのまさかだった。

男は、なんの躊躇もなく飛び降りた。

「!!」

私達は急いで窓に駆け寄ったが、もうそこには誰もおらず、強い風が吹いているだけだった。

                 次回、第四十九話。お楽しみに☆