コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【参照1000突破♪】 ( No.152 )
- 日時: 2015/02/21 15:28
- 名前: 雪兎 (ID: jM89U6Tv)
少し時間が空いてしまいました。すみません!
テストという名の泥沼にはまっておりました……疲れた。
こんなことを語っててもしょうがないので、本編をどうぞ!
第五十一話
昼前の商店街は、活気にあふれていた。
昼食の買出しに来た主婦、カフェを探すカップル、やや疲れた表情のおじさん。
こんなに人が集まるとこ、学園以外では久しぶりだなあ。
「ねえリュネ、買うお店は決めてるの?」
「……まだ。でももう、見つけた」
「え?」
リュネは急に立ち止まると、立ち並ぶお店の一つを指差した。
あっ!
そこには、小さな雑貨の屋台があった。
銀の装飾がついたネックレスや、ブレスレットなどがぶら下がっている。
「え、でもリュネ、なんかさ…」
なんか、めちゃめちゃ怪しいんですけど!
カウンターは、人一人がやっと座れるくらい狭くて、中もやけに薄暗い。
そんな不気味な雰囲気のせいか、お客もまったくいないみたい。
「あそこ、行く。…行く」
えっと……。
少しためらったが、リュネが目をキラキラさせながら私の服を引っ張るので、行くことにした。
ぼったくられたりしないかなぁ…?
☆
「あ、あの〜、すみませーん」
私達が店の前に立つと、「いらっしゃい」としわがれた声が帰ってきた。
店主は茶色いフードを被ったおばあちゃんで、顔が半分くらいしか見えないのでちょっと怖い。
そこで改めて、私は商品をじっくりと見てみた。
「わあ…」
きれい。
店の雰囲気とはそぐわず、商品は目を見張るくらい美しかった。
売っているのは全て銀細工で、高価な宝石は一切使われていない。
それでいてとても繊細で神秘的で、気品があって。
隣を見るとリュネも、商品たちに目を奪われていた。
私は、疑問に思ったことを聞いてみることにする。
「この銀細工、おばあさんが作ったんですか?」
おばあさんは、ふぇっふぇっと笑って答えた。「…さあ、どうかねえ。」
さあ、って……。
でも、確かにそんなこと、どうでもいいのかもしれない。
心を奪われるほどいい作品を作る人に、悪い人はいないもんね!
ちょうど、リュネも買うものを決めたようだった。「…これ。くだ、さい」
リュネが差し出したのは、スミレの花の形をした髪留めだった。
「かわいい!すごくリュネに似合ってるじゃない。」
「…うん。…おばあちゃん、お勘定、いくら…?」
でもおばあさんは、あっさり言った。「…ただで良いよ、持ってお行き。それに、この子にはねえ…」
そこまで言うと、おばあさんはわずかに顔を上げた。灰色の瞳が覗き、銀のようにきらりと光った。
「悪いものを退ける力があるんだよ。……危険な目にあった時、その子がきっと守ってくれるだろう。」
悪いものを、退ける力……。
リュネは、おばあさんから目を離さずに言った。「…あり、がとう。」
☆
「さっきのおばあさん、不思議な人だったねえ。」
「うん。」
リュネはよっぽど気に入ったのか、もう髪留めをつけていた。
それにしてもあのおばあさん、何で「危険な目にあった時」なんて言ったんだろう?
そんなのまるで、これから私達が……。
…私の胸騒ぎは、どんどん大きくなっていた。
次回、第五十二話。お楽しみに☆