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- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【新章スタート☆】 ( No.165 )
- 日時: 2015/04/01 21:31
- 名前: 雪兎 (ID: FiSCMDMo)
第六十話 <何でもアリな体育祭編>
それから第三走、第四走、第五走と続いた。
途中経過は、赤チーム3勝、桃チーム2勝。赤チームが少しだけリードする結果となっている。
これで桃チームが勝てば、ちょうど3勝ずつだけど…。それを許すような甘いチームでもないよね…奴らは。
『続きまして最終走者、第六走目です。』
おっ、アナウンスだ。よーし、次は誰が…ん?
…今まで、ジークが出てきてないような。
ということは。
ザッ、と砂の音を立て、6走目のメンバーがスタートラインに並んだ。
「あっ!…やっぱり、ジークがアンカーか…。」
晴天の空の下、やけに目立つ赤毛の持ち主。
ジーク・オースティンが、軽く腕まくりをしつつ、女子の声援に余裕の笑みで答えていた。
「おいフィル、見てるかコラァ!」
えっ…。私!?
いきなり名を呼ばれて動揺する私に人差し指を突き付け、ジークは高らかに宣言した。
「いいか。今から、この桃チームの雑魚どもに、大差つけてゴールしてやるからなァ!この俺様の勇姿、しっかり目に焼き付けとけよォ?」
やれやれ、という顔で、赤チームのほかのメンバーが苦笑いをするのが見えた。
ざわざわ、と会場が波打つ。…ていうか、視線が集まってめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!!
一方、今さっき小馬鹿にされたアンカーの皆様は、すごい剣幕でブーイングをしていた。
「おい!僕達を愚弄する気か!?」
「そうだ!いくら対戦相手だからとはいえ、礼儀というものがあるだろう!」
それに対し、ジークは腕を頭の後ろで組み、鼻でフンッと笑ってから一言。
「ハァ?雑魚に雑魚って言って、何が悪いわけェ。んなとこでギャーギャー吠えてないで、グラウンドで決着つけようや。なァ?」
「なっ…」
絶句する桃チームの選手たち。…あーあ、やっちゃったよ。これで負けたらジーク、とんだ笑い者だよ。大丈夫かな…?
「まあ、ジーク君ならきっと勝つと思うよ。」
えっ?
まるで私の心を読んだかのように、エリオット君が苦笑気味に話しかけてきた。
「…うん。…珍しく同意」
リュネも、下からひょこっと出てきてつぶやいた。エリオット君が、「珍しくって…」と顔を引きつらせている。
…うん。そうだよね。
こんなんであいつが負けるわけない。
あいつは、約束よりプライドを守るやつだから。
「…ふふっ。」
自分で思ってたら、なんだか可笑しくなってきた。まあ今は、自分の心配をするべきだよね…。
あれ?そういえば、うーん。
アンカーの選手たちの中に、どっかで見たことある顔が…。
……。
あーー!
あの人、対抗戦の時に最初に闘って、私たちに負けた、ええと…。
名前、何だっけ…?
☆
「…クソッ、あいつめ。調子乗りやがって…!」
ディックは、一人ギリギリと唇をかんだ。ジーク・オースティンには、対抗戦の時の借りがあるのだ。
「まあ、いい。あいつは今から、大恥かくことになるんだからな…!」
そう呟き、下卑た笑いを浮かべると、ディックは列に並んでいるアベルと目配せをした。
そう。アベルの地属性魔法で奴の足元に亀裂を作り、ひっかけて転ばせる。……ククク、ああ待ち遠しい。早く奴に屈辱を味わわせてやらなければ!
ディックは自分の作戦に満足し、一人笑いをこらえるのだった…。
次回、第六十一話。お楽しみに☆