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- えっ、今日から私も魔法使い!?【参照2000突破感謝!!】 ( No.204 )
- 日時: 2015/07/05 23:58
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
第七十七話 <何でもアリな体育祭編>
「はあ〜〜。」
私は、すれ違う人たちの嬉しそうな笑顔を横目に、その流れに逆らって
歩いていた。
今はお昼休み。みんなは家族の人たちと優雅なお弁当タイムを楽しんでるんだけど……。私は———いっしょに食べる家族なんか来てないしね。
当たり前だ、父さんはこの場所を知らないだろうし、まず足で歩いてくることもできない。……それに、ほかの家族も——もういないし。
——というわけで、一人寂しく購買へ向かっているわけだった。
なんか良いの残ってるかな?…まあ買うの先生くらいのもんだし大丈夫か。
☆
「あれ?リンダさん、どうしたんですか?」
本部テント前を通ると、寝転がった男子生徒の胸元に手をかざしている彼女の姿があった。
「…ん、フィリア・ヴァレンタイン」
リンダさんが、少しだけ首を曲げてこちらを見る。黒髪にメガネ…女の私から見ても、なんか色っぽい。
「その人、具合悪いんですか?でも、なんでリンダさんが…」
私が訪ねると、リンダさんは黙って折り畳み式の長机の上を指さした。
えっ?……と、
「『救護テント』…あっ、そうか!」
「私の使用魔法は治癒魔法です。…故にこうして、昼食の間を惜しんで熱中症患者の手当てをしているわけです」
なるほど。確かに私たちの周りにも、腕に「救護班」と書かれた腕章をつけている人がいっぱいいる。
「そーですか〜。あっ、ちょっと待っててください!」
「…?」
ふと思いついた私はそう言い残し、首をかしげるリンダさんを残して購買へと急いだ。
☆
「リンダさーん!お待たせしました、ハイこれ!」
私は、買ってきたコーヒー牛乳をリンダさんに手渡した。
びっくりしたように受け取るリンダさん。ふふ、喜んでくれたかな?
さっき自分のパンを買うついでに、これもついでに、ね。まあ、買ったメロンパンはさっき我慢できなくて食べちゃったけど。テヘッ!
「なぜ、私の好物がわかったのですか…!」
「…え?」
黒縁メガネの奥を光らせ、リンダさんが呟く。え、えーっと?
…言えない、パンに合うのはやっぱコーヒー牛乳だよねっ♪なんて超個人的な理由で買ってきましたなんて絶対言えない——!
「と、とりあえず良かったですっ!じゃあ私はこれで失礼します〜!」
ふう…。まあ喜んでもらえたみたいだし良かったあ。
☆
「よ、よ〜し!…今日こそお昼誘うぞー…!」
「へっ、フィリアど〜こだ〜?まだ誰にも誘われてねえだろうな…」
「ふむ。姿が見当たりませんね……まさかもうジークが?——早く見つけなければ。」
「ふ、ふんっ。またあのような血気盛んな男子生徒に襲われる可能性も低くはない。——よって、この俺が近くにいればという常識的判断で——……とはいえ、少し作りすぎたか…?」
「うっふふ〜♪今日は得意料理の、ササミのあんこ添えを作ってきたぞ〜!フィルっち喜んでくれるかなー、っと!」
「…購買のある南棟周辺には見当たらない。……かといって購買の遠いその他の棟にいるとも考えにくい。…どこなの、フィリア?」
さっきパンを食べたにもかかわらずおなかを鳴らしているフィリアは、このあと思いもよらない大戦争が起こるとは夢にも思っていない——。
次回、フィリア争奪戦勃発!?お楽しみに☆