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えっ、今日から私も魔法使い!?【参照2000突破感謝!!】 ( No.207 )
日時: 2015/07/12 21:30
名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)

第七十八話 <何でもアリな体育祭編>

「う〜ん…やっぱお腹すいたし、また買いに行こうかな。」

私は、そんなことに頭を悩ませつつ中央の噴水付近を歩いていた。

——当然、背後から迫りつつある影にも気づかないぐらい、真剣に。


ガシッ。


「ひっ!ななな、何っ」

突然何者かに肩を掴まれ、あわてて振り向く。

「あっ、ゴメン。驚かせちゃって」

そこには、決まり悪そうに頬を掻くエリオットの姿があった。


「なんだエリオット君かあ、びっくりした。……ところで、どうしたの?」

「あ、あのさ。よよかったら、僕と一緒にお昼を——!」


「ああーーー!や〜っと見つけたぜぇ、フィル!」

エリオット君の声を遮るように、頭上から降ってくる声。…うああ、この声、まさか。

ダンッ!と凄まじい着地音とともに、わたしとエリオット君の間に声の主——ジークが降り立った。

「…どこをどう移動してきたのかは知らないけど、なんて登場の仕方してんのよ、アンタは!」

「まーいいじゃん、そんなこと〜。それより早く飯食おーぜ飯!俺腹減っちまったよマジで〜」

「あっ、ちょ!」

そう言いながら、私の右腕を強引に引っ張るジーク。ああもう、痛いってば!

「ちょっと待ってよっ。さっき僕が先に」

「おおーーーーい!いったいたぁ〜、フィルっち—♪」


…と、またしてもエリオット君の声を遮り、今度はきれいなソプラノボイスが響く。


「ねえねえ見て見てぇ!これはねぇ、あん納豆パスタっていってねえ、あたしの得意料理なんだけどいっしょに食べよお〜!」

何かぐちゃぐちゃしたものが入ったタッパーを押し付けてくるリリアンを引きはがし、事情を説明しようとあわてて口を開く。

「あ、あのねリリアン今なんかちょっと混乱してて、だから私はいっそ一人で食べようとここから抜け出す方法を模索中で———!」


「…そう…それは残念。おいしいエッグタルト、作ってきたのに…」


って、リュネまで!?いつの間にか私たちのすぐ近くまで来ていたらしい。ていうか、エッグタルトかあ……。いいなあ。


「もう、だから皆聞いてよ!元はといえば僕が」

「おや、皆さんお揃いで。…それより申し訳ありませんが、僕少しフィリアに用事があるので、この場を離れていただけませんか?」


またまたエリオット君の声を(以下略)、カイル君が現れた。うわあ、また面倒な時に!……ってか、後ろに数十人の女の子たちを引きつれてるとこが一番問題なんですけど!?


「フィリア、お昼をご一緒しても?今日のためにシェフを雇って作らせましたので……」


そう言って、私の左手を取って跪くカイル君。……きゃあああ!は、恥ずかしッ…!


「おい、その手を離せカイル!嫌がってんだろーがっ」

「そういうあなたこそ、随分強引に見えますが?……女性の気持ちを察せないようでは、この先不安が残りますね」

「…はっはぁ〜ん?そーんなに俺と一戦交えたいってぇの、箱入りお坊ちゃんよぉ?」


ううう…こんなことになるなら、まだ職員室の隅でパンかじってたほうがよかったかも…。


「ぐう…!カイル君まで出てきちゃあ、もう俺の出る幕なんか…!」

「おっほほー、モテモテですなあフィリアさーん♪ここは気を利かせて退場かなあ…。」

「むう…。やはりチョコトリュフくらいでないと弱かったか……」


気づけばもう、四方八方を囲まれてしまっているわけで。…いやそれよりも、周りが美形すぎて恥ずかしいんだけど……!(ああ、自分が醜く思えてくる。)


ああ、これはもう昼休み終わるな。そう覚悟したとき、


バリバリバキバキ!


突如、地面が割れた。


きゃあ!ええ、ちょっと何!?


辺りには砂埃が充満し、足元も岩や石が突き出してぼこぼこになってる。これは…地属性魔法?いや……もしかしたら、


「ッ!!」



その瞬間、強い力で引っ張られたフィリアの体は、茂みの向こうに消えた——。


                 次回、第七十九話。お楽しみに。