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- えっ、今日から私も魔法使い!?【参照2000突破感謝!!】 ( No.210 )
- 日時: 2015/08/04 15:41
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
第八十一話 <何でもアリな体育祭編>
相手側のコートからの、視線が恐ろしい……
白チームのみんなも、明らかに動揺している。エリオット君なんか、すっかり萎縮してしまってかわいそうなくらいだ。
一方で全然気にしてない人たちもいる。キャンディさんは「隊長の奮闘ぶりを、こんなに間近で見られるなんて!」と盛り上がっているし、ルーク君は「なんか面白そうだな!」とわけのわからない感想を述べている。
リュネはフリトさんに負けたのがよほど悔しかったのか、目に闘志を燃やしている。
「なあ…やばくね俺ら?あの隊長が相手だぜ」
「いやでも、相手はたったの三人——外野を除けば二人だぜ?勝ち目あるって。」
その通り。向こうは隊長、フリトさん、ハク君の三人。対してこちらは、白チームの中でも理事長に選ばれた精鋭チーム10人——らしい。
ははは…。まあ、怪我しないように頑張るか……。
☆
「ボールは無論、そちらからで構わん。——外野は」
「——俺が行く。ちょっと疲れたからさ、若いお前たちに任せるよ」
「ありがとうございます。では」
ピーーッ!と、ピストル代わりの笛が鳴る。開始の合図だ!
「行きますわよ、皆さん!」「おおーー!」
うん、いい感じだ!みんなの士気が回復してる…!
「では、最初はわたくしですわ。お覚悟をッ!」
キャンディさんが叫ぶと同時に、足元に魔法陣が出現し、ボールがビリビリと磁気を帯び始める。
そして裂帛の気合いとともに、紫の電流が走り、物凄い勢いでボールを押し出した!
「ほう、すごい威力だ。だが——、」
隊長がゆっくりと、グローブをはめた手のひらをボールに向けた。そして——
バチバチバチッ!
力と電流がぶつかり合う、激しい音が響き、次の瞬間には。
シュウウ、と音を立て、ボールは隊長の手の中に納まっていた。
「嘘でしょ…?そんな」「おい、あれを止めるのかよ!」
——間違いなく、キャンディさんは全力で撃っていた。手加減なんてしていなかった、なのに!
「片手で……ですって?」キャンディさんが崩れ折れる。あ、危ない——!
「今度はこちらから。——はあっ!」
黄色の光を帯びた剛速球が、キャンディさんめがけて一直線に飛んでいく。もう、間に合わない……!
「くっ!」
ヒュオッ!と、旋風がコートを吹き抜けた。そして、ボールは、
「エリオット君!」
片膝をつくエリオット君の腕の中には、ボールが収まっていた。白チームから歓声が上がる。
「はあ、はあ……大丈夫、キャンディさん?」
「え、ええ…不覚ですわ」
良かった、これぞチームワーク!……ふん、カッコイイところ見せてくれるじゃない、エリオット君。
「……ボールは、こちらにある。…反撃開始」
リュネが構えながら、静かに告げる。よし、負けませんからね隊長!
次回、第八十二話。お楽しみに☆