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- えっ、今日から私も魔法使い!?【参照2000突破感謝!!】 ( No.218 )
- 日時: 2015/09/21 21:36
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
第八十八話
「……というわけでみんな、お願いッ!」
私は目の前の三人に向かって、パンッと両手を合わせた。
リリアンとエリオット君は、困惑したように顔を見合わせた。「明日、リュネの家に行ってくるから。この事は誰にも言わないでっ」
すると、それまでふてくされたようにそっぽを向いていたリュネが、驚いたように言った。「……フィリア、本当に……行くつもり」
「決まってるじゃない!」
「ええっ!そ、そんなことして大丈夫なの、フィリア」
———エリオット君の心配も、よくわかる。けど、
「うん……でも、もし私の立場だったらって考えちゃうと、どうしても放っておくなんてできないんだ」
「フィリア……」
ほとんど自己満足だよなあこれ。———それでも、私は私らしく行動しなきゃいけない。……あの影に、のまれないためにも。
「だったら、あたしは黙ってるだけじゃなく、付いて行っちゃおっかな〜?」
「えっ、ちょっと、リリアン」
「———あ、当り前だろ!そんなの、僕も行くに決まってるよっ」
「…………」
今度は私とリュネが顔を見合わせる番だった。
「———じゃ、俺帰るわ」
その時、ドアのそばに立っていたジークが、唐突に言った。
「ちょ……ジーク、君は来ないの?」
「あー?……別に俺は、その白いモフモフちゃんと仲いいわけでもねえし、明日は寝る予定だしー」
その言い草に、私はちょっとだけムッときた。「もう、この薄情者っ。まあ強制はしてないけどさあ、これ皆行く感じの流れだったじゃん!」
「まー、フィリアちゃんはまーたそんなに熱くなっちゃって。そういうとこもかわいいけどさー、おせっかいばっか焼いてて疲れない?」
ぐぬぬ〜、馬鹿にして〜!
私は鼻息荒くジークに歩み寄り、肩をガシッと掴んだ。
「……フィリア……それ、正論。だから、別に……」リュネが慌てて止めてくるけど、構わない。
「ふ〜ん、フィル、今日はやけに積極的……」「(小声で)今度、あんたの大好物のジンジャークッキー、作ってあげるからさ!いいでしょ?」
すると予想通り、ジークの耳がピクリと動く。「ま、半日くらいなら付き合ってあげてもいいけど。……焼き方は硬めでよろしくー」
「はーい♪」
はんっ、本当にこういうところはガキなんだから。
「??フィルっち、硬めって何のコトー?」「ふふ、何でもない」
私はすぐに表情を引き締めると、よし、と呟いた。
こういうことは慣れてないけど。リュネのために頑張るぞ!
次回、第八十九話。お楽しみに☆